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フランス料理サロン:講座ご報告(2013年11月28日)

12月 1st, 2013
フランス料理サロン:講座ご報告(2013年11月28日) はコメントを受け付けていません

 

飯田橋から市ヶ谷に続く土手の桜が紅葉したのも束の間、先日の「野分」ですっかり散ってしまいました。マリオンのリビングの大きな窓からは黒々とした枯れ枝の間から冬のようなキラキラとした青空がのぞいています。玄関入り口にも、リビングにも大きなクリスマスツリーが飾られています。そうです。今日のテーマは「エキゾティックなクリスマス料理」。本日のテーブルには、真っ赤なクロスと小さな銀色のドットが散りばめられた白色のチュールが重ねてかけられています。各皿の上には赤と緑のクリスマスカラーのかわいい靴下の形をしたサックにカトラリーが収められています。これはタイの働く女性たちを支援する団体が毎年販売するハンドメイドの小物だそうです。タイに住んでいたことのあるフランス人が東京でもネットワークを作ってこれらの販売を支援しているのだとか。フランス人の偉いところは、ボランティア精神が生活の中にしっかり根付いていることです。東北の震災のあと、フランス人のビジネスマンたちが、週末や連休などに有志を募って東北の瓦礫の片づけや、住居の掃除などに何度も出かけて行きましたが、クリスマスのテーブルの上の小物まで彼らのボランティア精神が現れています。脱帽です!!

本日のメニューは次の通りです。

–       Carpaccio de Saint-Jacques au jus de mangue et épices
(帆立貝のカルパッチョ、マンゴーとスパイス風味)
–       Blancs de Poulet farcis aux champignons
(鶏肉のきのこファルシ)
–       Les röstis (ルスティ:じゃがいもの薄切りガレット)
–       Tarte meringuée au gingembre et aux fruits de la passion
(パッションフルーツとジンジャーのメレンゲタルト)

まずアントレの帆立貝のカルパッチョ。とても簡単で本当にエキゾティックな「新味覚」。マンゴーネクターとナツメグ、シナモン、クローブの液に帆立貝を漬け込んでよく冷やしておきます。皿にスライスした帆立貝を花弁状に並べ、そこにマリネ液にライムのしぼり汁とゼラチンを加えて作ったソースをかけます。ライムの汁を加えた生クリームをかたく泡立ててクネル形にしたものを花弁中央にのせ、ライムの皮の千切りを散らし、いくらを彩りに散らせば完成です。マンゴーの酸味と甘味をまとった帆立貝のやさしい味の後からスパイスの香りが追いかけてきます。アントレにふさわしい一品。にわかに胃の腑が活動を開始します。

メインは鶏の胸肉を使ったファルシです。鶏肉をラップの上に敷いて、その上からまたラップをかぶせ、すりこぎで円形になるように薄くのばしていきます。その中央にゆでて軽くつぶしたにんじん、ズッキーニ、たまねぎ、にんにく、きのこをのせて、ソーセージ状に巻いてラップで両端をしっかり閉じ、熱湯で5分ほど煮ます。きのこはフレッシュなものでも乾燥したものでもいいそうですが、今回はTrompette de la mort ( 黒ラッパ茸)を使いました。5年前にマリオン自身が摘んで乾燥させたものだそうです。「死のラッパ」とうフランス名(確かに真っ黒のトランペットの形をしたきのこです)から、食べたがらない人もいるそうです。香りは強くなく、しゃきしゃきとした歯ごたえがあります。ゆであがったチキンロールからラップをはがし、フライパンできれいな焦げ色をつけたら完成です。これもとても簡単かつ見栄えがいい、主婦にはうれしい料理です。きのことその戻し汁でソースを作ります。細く千切りにしたじゃが芋をガレット形にまとめてフライパンで焼いたものを付け合せます。鶏肉はラップに包んでゆでることで、肉がしっとりとやわらかく仕上がります。

デザートは、パッションフルーツとジンジャー風味のメレンゲタルト。タルト生地をまず作ります。バターと小麦粉に卵黄、バニラビーンズ、塩を混ぜ合わせて最後にミルクを加えてボール状にまとめてねかせておきます。タルト型の大きさにのばして型に敷きこんだら、クッキングシートを上に敷いて、あずきを入れてオーブンで空焼きしておきます。次にクリームを作ります。卵と砂糖を加えて白っぽくなるまで混ぜ合わせたら、レモン汁、レモンのすりおろした皮、パッションフルーツ、バニラ、しょうが汁を加えて,火にかけトロミがつくまで煮ます。火からおろしてバターを加えれば出来上がり。パッションフルーツが手に入らない場合には、冷凍の果肉のピューレを使います。クリームをタルトに流し込んで冷蔵庫で冷やしておきます。最後に卵白と砂糖でメレンゲを作り、口金をつけた袋に移して、タルトの表面に絞り出して全体を覆います。バーナーできれいな焦げ目をつけたら再び冷蔵庫で直前まで冷やしておきます。パッションフルーツのほか、レモンでも同様に作れるそうです。クリームの酸味とメレンゲの甘さが口の中で溶け合い、最後にジンジャーの香りが広がります。クリスマスのごちそうの後の締めくくりにこんなさわやかなお菓子をいただくのもいいですね。

マリオンのおしゃべりが楽しくてついつい長居をしました。なんと10時半に始まって3時半!!「秋の日はつるべ落とし」。朝の澄みきった青空にも少し陰りがでてきました。これは大変、フレンチの異空間から一気に現実に引き戻されたマダム達は、そそくさと家路を急ぐのでありました。

Cotes de Rhone 2004

フランス乾燥きのこ

料理サロン

フランス料理サロン:講座ご報告(2013年10月28日)

10月 29th, 2013
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久しぶりの秋らしい快晴の一日。今日は二面にバルコニーのあるアリスのリビングでレッスン開始。新宿の少し高台にあるからでしょうか、大きなリビングの窓からは青空と遠くにビル群が望めます。近くの防衛省のヘリコプターがたまにドッドッドッドッと旋回して上空を通り過ぎていく以外、都心とは思えない静かさです。ヤングミセスのアリスは、黒のノースリーブのTシャツに白地に色とりどりの小さな蝶々が飛ぶかわいいミニスカートでお出迎え。6月に来日したばかりで、家具やインテリア小物もちょっとずつ買い揃えているところ。リビングはブルーを基調にコーディネイトされています。若い人たちが集まって、いろいろな形の椅子に腰かけて、楽しくおしゃべりに興じるのでしょう。カジュアルで解放感にあふれる空間です。

本日のテーマは「冷凍保存できるおもてなし料理」です。
–       Cake à la moutarde(マスタードケーキ)
–       Tomates Farcies(トマトファルシー)
–       Terrine Glacée au Citron(レモン風味のアイスクリームテリーヌ)
どれも超簡単で、3品作るのに1時間少々。忙しい主婦には最高の料理ばかりです。

まず、Cake à la moutarde。
小麦粉、卵、ミルク、オイル、グルイエールチーズ、粒マスタード、ハーブ、ベーキングパウダー、塩、こしょう、これらをよく混ぜ合わせて型に流し込んで、オーブンで30分ほど焼けば完成。少し冷ましてから型から出して、適当な厚さにスライスします。冷凍にする場合は、型から出してすっかり冷めたらジップロックなどに入れて保存します。お客様に出すとき、ケーキの中央まで解凍できていない場合は少しオーブンで温めなおします。今回はマスタードを入れましたが、ベーコンやほうれん草などを入れてもおいしそうです。

次にメインのTomates farcies。

できるだけ大きくて赤く熟したトマトを選びます。トマトのヘタの部分を大きくスライスして、がくは取り除きます。トマトの中をくりぬき、中身は耐熱皿の中へいれておきます。オーブンで焼いている間においしいソースに変身します。詰める肉はソーセージ用の豚ひき肉ですが、今日は生ソーセージの皮をむいて、ソーセージの肉をボールに入れます。味がすでについているので今日は塩こしょうはふりません。ボールに豚ひき肉を入れ、ミルクでしとらせたパンを小さくちぎったものと、パセリを加えて、よく混ぜます。これをトマトの中に詰め、きりとったへたを上にのせます。同様にナスやじゃが芋も中をくりぬいて肉を詰め、取り置いたシャポー(帽子)を上にのせます。オリーブオイルをまわしかけて、オーブンで40分焼いたら出来上がりです。冷ましてからタッパーなどにソースごと移し替えて冷凍します。解凍したら、少しオーブンで温めなおしていただきます。

デザートはTerrine Glacée au Citronです。

これは超超簡単です。(*)quatre-quarts(カトルカール)を指で細かくします。レモン汁とすりおろした皮、砂糖をよく混ぜ合わせたら、細かくしたカトルカールに加えて混ぜます。型の底にこのカトルカールを敷き、その上からバニラアイスをのせます。この作業を交互に行ってアイスとカトルカールの層を作ります。型はアイスの入っていたプラスティックの容器でもOKです。今回使用したアイスはニュージーランド産。アリスによると、フランスのアイスよりずっとクリーミーなのだそうです。これを最低3時間冷凍庫で冷やし固めます。今回は洋梨のコンポートを添えました。赤ワインではなく白ワインと砂糖で煮たそうですが、白い梨の色がきれいです。さらに解凍したフランボワーズをミキサーにかけただけのクリソースをかけて、華やかな彩りに仕上げます。アイスとカトルカールが甘いので、ソースの酸味がよく合います。


こんなに簡単に調理ができてしまったら、確かにホームパーティーを開くのもそんなに苦ではなくなりますね。おしゃべり大好き人間のアリスは、本当にいろいろなことをよく知っていて、フランスの現代事情を教えてくれます。おいしい食事はもちろんですが、フランス人にとって時間をかけていろいろな人とおしゃべりすることは、情報源として、また人生をエンジョイするために欠かせないことなのですね。1時間少々で調理が終ったというのに、その3倍も長居をしてしまいました。若いアリスの料理サロンはカジュアルでとてもサンパ(sympa:いい感じ)でした。

 

(*) カトルカール(quatre-quarts):卵、小麦粉、バター、砂糖を同量で作るケーキ。フランスでは市販のカトルカールを使っていたそうですが、今回は市販のパウンドケーキで代用していました。

料理サロン

フランス料理サロン:講座ご報告(2013年10月17日)

10月 20th, 2013
フランス料理サロン:講座ご報告(2013年10月17日) はコメントを受け付けていません

秋の食卓

10年に一度という大型の台風が関東を直撃した翌日、台風一過の晴天に恵まれた一日となりました。美食家の淑女6名がマリオン宅へ集合。ベランダの小鳥のさえずりをバックグラウンドに、まずは本日のテーブルを拝見。ハロウィーンを思わせるオレンジと黒のコーディネートでまとめられています。よく見ると、白いテーブルクロスの上に白地に金銀のドットの入ったチュール生地がかけられています。そのチュール地の下に別布のオレンジ色のチュール生地がランチョンマットのように四角く切られて各席の皿の下に、そしてテーブルのセンターにも端から端まで帯状に渡してあります。3種の生地でテーブルを覆っているわけです。キャンドルホルダーもオレンジ色、センターに並べられたカボチャたちもオレンジ系で統一。ハロウィーンは数年前からフランスでも祝われるようになったそうですが、本来フランスには全くなかったお祭り。毎年子供たちがこの時期「かぼちゃを買って!」というおねだりに決して首を縦に振らなかったマリオンですが、本日のおもてなしのためについにかぼちゃを並べることに。オレンジ色のリボンが結ばれた黒のナプキンが全体をキュット引き締めています。最後に一番下の坊やが拾い集めてくれた銀杏の葉をセンターに並べて「秋の食卓」の完成です。おまけにマリオン自身も今日はオレンジ色の服を着ています。完璧なコーディネート!!

本日のメニューは次の通りです。
Verrines de fèves au jambon de Parme et à la Coppa
(そら豆のヴェリーヌ、パルマハムとコッパ添え)
Filet mignon en croûte sauce chasseur (豚肉のフィレパイ皮包み、ソースシャッスール)
Cheese Cake Gelée Framboise (チーズケーキ、フランボワーズのジュレ)

まずそら豆のヴェリーヌ。嬉しいことに冷凍のそら豆でもOK。一年中手に入りますね。これをゆでてミキサーにかけてピューレを作ります。ここにマスカルポーネとスパイスも加えてよく混ぜれば出来上がり。超簡単レシピですが、そら豆の淡いグリーンがきれいです。よく冷やしておいて、いただく直前にグリッシーニにパルマハムを巻いたものとコッパを上に飾って出来上がり。シャーベットグリーンにハムのピンクが美しいアントレです。そら豆のピューレはほのかに甘く、それにハムの塩味が融合して絶妙なハーモニーをかもし出しています。グリッシーニのポリポリという食感も楽しい逸品です。

次にフィレミニョン。フィレ肉のパイ皮包みです。黄金色に焼けたパイに包まれたフィレ肉は大変ゴージャスですが、作り方はいたって簡単。フィレ肉を両面しっかり焼いて少し冷ましてから、特製のソースを塗りつけてパイ生地に包みます。ソースはマスタード、生クーム、にんにく、パセリをよく練り合わせて作ります。難しいのはパイ生地です。折込パイ生地を使いますが、冷凍のものを解凍しすぎないうちにのばします。切れ目などがはいると焼いたときにパックリとそこに大きな穴があいてしまうのでご用心。フランスではすでに丸くのばした生の生地を売っているので、マダムたちはもっぱらそれをご愛用とのこと。残念ながら日本では冷凍の生地と悪戦苦闘するしかないようです。付け合せにじゃがいものピューレ。これはソースシャッスールといっしょにいただくと最高です。「狩人のソース」という名前のこのソース、バターとエシャロットのみじん切り、ブイヨン、赤ワイン、マッシュルーム、生クリームで作ります。(「狩人」といってもこの場合はchasseur de champignons :きのこ狩りをする人)

最後にデザートのチーズケーキ。フランス語ではクリームチーズのことをなんでもPhiladelphia(フィラデルフィア)と呼びます。これはブランド名ですが、そのほかのものでもこの現象はよく見られます。ティッシュペーパーは「kleenex :クリネックス」セロテープは「scotch:スコッチ」、冷蔵庫をフランス語では「frigo:フリゴ」といいますが、これもメーカーの名前だそうです。
ビスケットをフードプロセッサーで細かく砕いて、バターを加えて混ぜて、型に入れて押し固め、冷蔵庫で冷やしておきます。クリームチーズと砂糖、生クリーム、板ゼラチン、レモン汁を加えたクリームを先ほどの型に注ぎいれます。このとき絞り袋に入れて注ぐと縁についたりせずきれいに入れられます。これも冷蔵庫で30分ほど冷やしておきます。その間にフランボワーズのジュレを作ります。今回はすでにピューレの状態になっている製菓用の冷凍フランボワーズを使用。砂糖とともに加熱し、沸騰したらゼラチンも加えて火からおろして冷まします。チーズケーキの上から流し入れ、3時間以上冷やしておきます。テーブルへ運ぶ直前に金粉を振りかけます。一つ星から三つ星へグレードアップです。

★マリオンの買い物マップoutil a ecraser des pommes de terre PA170402

テーブルにかけたチュール生地「どこで買ったの?」という質問にマリオン、「トマトの店」。― 日暮里にある有名な生地屋だそうですね。知りませんでした!
じゃがいものキャラクターのついたマッシャー。「フランスで買いましたか。」マリオン「いいえ、ニッシンで」麻布十番にある外国人御用達のスーパーですね。
「フランス人は夕食後には余りコーヒーを飲まないの?」マリオン「飲む人もいるけれどカフェインが入っているから、ハーブティーを飲む人が多いわね。Yuzumitsuもおいしいわよ。」「ユズミツ???」そこでマリオンが棚からだしてみせてくれた大きな瓶には「柚子蜜」と書いてあります。韓国の「柚子茶」と違って柚子の皮が入っていません。蜂蜜のようなとろんとした液体です。ホットでも夏なら冷たくしてもおいしいそうです。これは何と巣鴨で買い求めたとか。 フランス人は皆さんよく合羽橋へ食材や調理器具を買いにいくようですが、最近は「トミザワ」という店の名前をよく耳にします。その他、「ナショナル麻布」「コスコ(costcoをフランス人はそう発音します)」「イケヤ」などでよく買い物をしています。マリオンのサロンに置かれた茶箱の和紙も「どこで買った?」と聞かれて、「サクラホリキリ」。日本人以上によ~く東京の店をご存知です。

★フランスの塩:
今日のレッスンではたくさんの種類の塩がでてきました。
Fleur de sel(フルールドセル)は、天然干しの際に一番表面に浮かんでくる塩で、非常に純度が高くて高品質ですが、生産量が少ないため珍重されています。フランス北西部の Guerande(ゲランド)、île de Ré(レ島)、南仏のCamargue(カマルグ)などが有名。
またSel à la Truffe d’été(夏のトリュフ風味の塩)も出てきました。イタリア産。

日本料理を習っているマリオンは、おけいこのあったすぐその日に食材を買い込んで、家族のために習った料理を作るそうです。家族が「おいしい」と評価したレシピーを残していくのだとか。この話を聞いたからかどうかわかりませんが、今回は早速ご自宅で挑戦した方も多かったようです。

おなかも頭もいっぱいになって、幸せ気分100%の情報満載の料理サロンでした。

料理サロン

フランス料理サロン:講座ご報告(2013年10月5日)

10月 14th, 2013
フランス料理サロン:講座ご報告(2013年10月5日) はコメントを受け付けていません

今日はビュッフェ式の料理サロンです。残念なことに雨がしとしと降っています。天気がよければ、ヤスミナの広々としたテラスで食事会となるはずでしたが…でもまさに「ピンチはチャンス」。ヤスミナはテラスの木製のテーブルをリビングサロンに持ち込んで、とても素敵な食卓に仕上げました。参加者一同から「オーッ!」という感嘆の声があがりました。前日からいろいろとアイデアを考えたといいますが、どんな状況になっても知恵を絞って「お客様を温かくもてなす」ことを貫くスピリッツ、まさに「お・も・て・な・し」です。

氷の彩りもおしゃれ

人数はヤスミナも含めて12人。「大皿が足りないけれど、なんとかするわ。」と言っていましたが、その解決策として、ヴァイオレットの紙ナプキンを敷き、その上に白と深い紫色の中皿を交互に並べ、皿の上には若草色のナプキン。テーブルの左右にナプキンと同色のリボンを2本ずつかけ渡したところは、まるで木箱にリボンをかけたような、気取ってはいないけれどおしゃれな雰囲気をかもしだしています。テーブルの中央には白くて丸い卵のようなキャンドルがふたつ。それを松ぼっくりが囲み、ライムを思わせるグリーンの果物が入った細長いガラスの筒が2本、キャンドルの横に立てられています。このガラスの筒の中身は、季節によっていろいろに変わります。茶室の床の間の生け花に通じる役割を果たしているのでしょうね。

グラスマーカー

本日の料理はこちらです。
Terrine de Canard aux noisettes et pistaches
(鴨肉のテリーヌ、ヘーゼルナッツとピスタチオ)
Rillettes ( リエット)

Fromages(チーズ)
Tarte Tatin aux Pommes avec une boule de glace
(タルトタタン、アイスクリーム添え)

まず鴨肉のテリーヌ。テリーヌ型に鴨肉の脂部分と薄切りにした肉を敷きます。ボールの中に豚terrine de canard PA050366ひき肉、細かく刻んだ鴨肉、卵、小麦粉、刻んだパセリ、エシャロット、にんにく、オリーブオイル、香辛料などを加えてよく混ぜます。そこへ砕いたヘーゼルナッツとピスタッチオ、粒こしょう、刻んだオレンジピールも加えます。最後に(これがポイント!!)グランマルニエを1カップほど加えます。パテには普通コニャックを使いますが、鴨肉にはオレンジの風味が合うということでオレンジリキュールを使っています。そしてヘーゼルナッツとピスタッチオをそのまま少量ずつ加えて全体をよく混ぜ合わせます。これを型に詰め込んでローリエの葉を数枚のせて完了です。オーブンに入れて、湯煎で1時間ほど焼きます。そのままオーブンの中で2~3時間置いておき、冷めたら最低一晩冷蔵庫でねかしておきます。4日後くらいがベストだそうです。冷凍保存もOK。さっぱりとしていてナッツの食感が楽しいパテ。好みで塩や挽きたてのこしょう、エスペレットなどをつけていただきます。洗練された味です。Tarte Tatin (2) PA050378次にデザートのタルトタタン。型にキャラメルソースを流し込んで、厚めにスライスしたりんごをぎっしりと並べ、その上からパイ生地をかぶせてオーブンで焼き上げます。焼き上がったら、型をひっくり返して大皿に出します。キャラメルソースが型の底できつね色になり、りんごがそのソースをしっかり吸って金色に仕上がっています。キャラメルソースにバターを使っているのでソースに深みがあります。パイ生地はパリッとしていて、アイスクリームとキャラメルソースをまとったりんごのやさしい甘味が後を引きます。

リエットはヤスミナの特製。豚肉をパラパラになるまでひたすら4時間煮込むのだそうです。市販の瓶詰のリエットと違って塩分はいたって控えめ。ところがこのリエットに、粗塩(ゲランド)や唐辛子(エスペレット)、その場で挽いた粗挽きこしょうをつけていただくと絶品です。こんなリエットの食べ方があったのかと驚きました。

 

ボール状の砂糖もキュート

コーヒーといっしょにヤスミナの新作菓子がふるまわれました。題してRuiné (ルイネ:破産者)。フィナンシエは「金融者」の意味がありますが、チョコレート味のフィナンシエの上にMendiant(マンディアン:乞食)というチョコレートがのっているので、「乞食に金融者は食いつぶされる=破産する」という意味のネーミングだそうです。いやはや最高にリッチで美味ながらこの名前だけは再考していただきたい…。
すっかり心地よく腰を据えてしまいました。外の雨もようやく上がったようです。そろそろお暇いたしましょう。

★料理用語豆知識:

Mendiant(マンデイアン):干しイチジク、干しブドウ、はしばみ、アーモンドを混ぜた焼き菓子。主にチョコレート。クリスマスに送り合うのが伝統。トッピングの4つの色が四つの托鉢修道会の服の色を連想させるためこの名がある。

Piment d’Espelette(ピマンデスペレット):日本の一味唐辛子を思わせる唐辛子の粉。日本のものより辛みが少ない。スープの彩りにも使われる。バスク地方の特産品。Espeletteはその地方の村の名前。

新作菓子 ルイネ

エスペレット

 

 

料理サロン

フランス料理サロン:講座ご報告(2013年9月26日)

9月 29th, 2013
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心配していた台風は東の海上にコースを変え、関東地方直撃は避けられました。朝のうちは傘を開く時間もありましたが、マリオンの家に着くころには雨も上がり、まずまずの天気となりました。
マリオンが玄関で、午後からの授業に出かけるという息子さんと一緒にお出迎え。いつも感心するのですが、フランス人の家庭では、お客様が来るとかならず子供たちもあいさつに出てきます。親がそうするように言うのでしょうが、とてもいい習慣だと思います。夕食にお呼ばれすると、すでに食事を済ませてパジャマ姿になった子供たちがリビングに出てきて、お客さんたちのほっぺにビズをしてBonne nuit !(おやすみなさい)とあいさつして名残惜しそうに自室へ入っていきます。小さい時から社会性をこうやって実践していくのですね。

マリオンの本日の食卓は爽やかなグリーンを基調としたコーディネート。特筆すべきはマリオンお手製のナプキンです。生地からリボンまで「これ!」というものを選んで作ったとか。麻風のメッシュ生地に細いリボンをつけてナプキンリングの代わりの帯にしています。おしゃれ!!
さて本日の料理は盛りだくさん!!まず、Papeton d’Aubergines(ナスのパプトン)のナス1kgを賽の目に切るところからスタート。塩を振って水分を出したら、フライパンで炒めて、テリーヌ型に詰めます。長さ20㎝少々、幅10㎝くらいの型に1kgのナスが見事におさまります。これに卵と生クリームを混ぜた液をしっかり底まで流し込んで湯煎にしてオーブンで焼き上げます。仕上がりはちょっとパテのようです。マリオンはズッキーニでもよくパプトンを作るそうです。こちらはズッキーニの食感を楽しみます。これに2種のソースを好みでつけながらいただきます。トマトソースとピストゥソース。トマトソースは、製氷皿に小分けして冷凍しておけば必要な分量だけ取り出して、パスタやピザにも使えるそうです。(便利!)ピストゥソースは、バジル、にんにく、松の実、オリーブオイル、パルメザンチーズを混ぜるだけの超簡単ソースですが、コクがあって美味!こちらも製氷皿で冷凍しておけば、パスタやスープに応用できるそうです。

 

メインはCrumble de Saumon et Fondue de Poireaux(サーモンのクランブル、ポワロのフォンデュ)。玉ねぎと長ネギを炒めてからとろ火にかけてフォンデュを作ります。鮭は1㎝角に切り、生クリーム、ディル、レモン汁、塩、こしょうで味をつけます。クランブルは小麦粉、パン粉、パルメザンチーズ、バターを混ぜ合わせてざらざらとした感触の生地をつくります。グラタン用の器にフォンデュ、サーモンを敷き、最後にクランブルでおおって、オーブンで焼きます。フォンデュの甘味、サーモンのプリプリとした食感、チーズが少し焦げて香ばしいクランブルのサクサクとした舌触り、何層にも楽しめる味わいが口の中に広がります。小麦粉とパン粉を使っているので少量でもかなりの満腹感が得られます。

次にデザートのCharlotte(シャルロット)。チョコレートムースをまず作って冷蔵庫で冷やして少し固めます。その間にシャルロット型(フィンガービスケットが立てられるくらいの深さがあって、緩やかな円錐形をしています)に洋梨の缶詰のシロップに軽く浸したビスケットを型の底と側面にはりつけていきます。チョコレートムースが少しかたくなったところで、型にスライスした洋梨とムースを交互に入れて、層をつくります。最後にシロップにくぐらせたビスケットでおおったら、ラップをかけて6時間以上冷蔵庫でねかしておきます。いただいたシャルロットのビスケットはしっとりと柔らかく、チョコレートムースと洋梨が絶妙なコンビネーションです。いつものチョコレートムースがちょっとした手間をかけることでとてもエレガントなおもてなしのデザートに変身しました。

このほかにも前回好評だった(黄パプリカのブルテ)がアントレの一番目に出ました。見よう見まねで作ったものの成功しなかったという前回の参加者の方のためにレシピーを用意してありました。確かに「秘訣」がレシピーには書かれていました。これを入れなければこの味は出せないという…。それが何かって??C’est un secret ! (それは秘密です!)「秘訣」ってそういうことですね?!

本日の白ワインは、Pouilly Fumé (プイフュメ)2012年です。レッスンのワインは、いつもソムリエの友人にメニューを見せて、おすすめワインのリストを作ってもらうのだそうです。軽やかでフルーティー。マリオンは本当にいいお友達をお持ちだこと!!ごちそう様でした。

 

料理サロン

フランス料理サロン:講座のご報告(2013年6月10日)

6月 17th, 2013
フランス料理サロン:講座のご報告(2013年6月10日) はコメントを受け付けていません

バカンスまであと3週間という今日のレッスンのテーマは、「Légumes du Soleil 太陽の野菜たち」。フランス人のウキウキ感が伝わってくるようなタイトルです。6月という月は、子供がいるフランス人家庭なら、学年末でもあり、学校の行事がいろいろあってマダムたちはにわかに忙しくなります。1年間の子供の成績、素行などについて、日本と同じように「保護者面談」があり、進級できるかどうかという深刻な問題を抱える家庭もでてきます。また、「学芸会」のようなものもあり、子供たちが舞台の上で歌ったり、ダンスをしたり、劇をしたりするのを、両親が招待されて見に行きます。更に夏を前に日本を離れ、フランスへ帰国したり、他の地へ赴任することが決まった家族の子供たちのために「さよならパーティー」も開かれます。マダムたちのプライベートでも離日する友人たちのためにあちこちでパーティーを開くので、いささか皆様お疲れ気味。ヴァレリも前日遅くまで集まりがあったようでちょっと寝不足のご様子です。
まずレッスンの前にお茶をいただきながら、おしゃべりをひとしきり。「間もなくバカンスですね。」と水を向けると、「ウイ~!ソウソウソッ!!」ととても嬉しそうなお返事。日本人だってバカンスは欲しいですが、仕方がありません。せめて太陽をいっぱい浴びて育った野菜の料理に挑戦いたしましょう。

今回はオーブンがフル回転するため、手順よく段取りを決めて行かないととても2時間では終わりそうにありません。ヴァレリのお手並み拝見!
まずポレンタ用に輪切りにしたトマトを150℃のオーブンで30分ほどじっくり焼いて水分をとばします。その間にデザートのspritz(スプリッツ:サブレの一種)の生地を作って絞り袋にいれて、クッキングシートを敷いたバッドの上にS字を描きながら形を絞り出していきます。オーブンからトマトを取り出し、温度を180℃に上げて、スプリッツを入れて15分ほど焼きます。うっすらと焼き色がつく程度がベストなので時々チェックを入れます。その間に、ズッキーニとフェタチーズのタルトにとりかかります。半月切りにしたズッキーニとみじん切りにした玉ねぎをオリーブオイルでじっくりと全体がしっとりするまで炒めます。タルト型に冷凍のパイシートをのばして敷き込み、ここにズッキーニを加え、卵、生クリーム、フェタチーズをよく混ぜ溶かしたものを流し込みます。オーブンからスプリッツを取り出し、そこへ今度はタルトを入れてやはり180℃で35分ほど焼きます。その間にチキンロールを準備します。鶏胸肉を観音開きにして、コップの底で叩いて全体を平らにします。コッパ(生ハムの一種)、リコッタとマスカルポーネを合わせたチーズ、トマト、バジルの葉を重ねてしっかり巻いて、タコ糸をかけます。オリーブオイルでじっくりと焼き色をつけて焼きます。最後にポレンタを作ります。ミルクと水を沸騰させてポレンタの粉(とうもろこし粉)を振り入れ、弱火にかけて6~8分静かにかき混ぜ、最後にチーズを加えます。耐熱皿に移して輪切りのトマトを並べ、チーズを散らします。ズッキーニのタルトにおいしそうな焦げ色がついてきたので、オーブンから取り出し、続いてポレンタを入れて10~15分焼きます。最後のこの工程までオーブンには2時間の間に5回も料理の出し入れがありました。(スプリッツは2回に分けて焼きました!!)大変緻密な計算で、温度管理から調理順番まで完璧に流れが組み立てられていました。お見事!!

いよいよ試食タイムです。ズッキーニとフェタのタルトは、ズッキーニの甘味とフェタチーズの酸味がほどよくマッチしていて、思いのほか軽く、夏の疲れた胃袋にもやさしい料理です。メインはチキンロールとポレンタ。チキンロールは、さっぱりとした胸肉にコッパハムの塩気とトマトの酸味が融合し、バジルの香りが全体をひきしめています。ポレンタはチーズがはいり、なかなかのボリュームです。ポレンタは、かつて貧しい人たちの主食に用いられていたので、余りいいイメージではありませんでしたが、近年また料理の付け合せとして見直されているとか。今日の料理に合わせたのは、Rosé d’Anjou(ロゼダンジュ)。ロワール川のアンジュ地方の軽やかなロゼを冷たく冷やしていただきました。夏、友人や家族との食事によく登場するそうです。デザートには、ヴァレリが作っておいてくれたりんごの冷たく冷やしたコンポートにスプリッツを合わせていただきます。甘さをおさえたサクサクのサブレとりんごの優しい甘さがあとをひきます。

また、食卓では料理についての質問のほか、フランス語についてもいろいろな質問が飛び交いました。ヴァレリはそのひとつひとつに丁寧に答え、それを熱心にメモ書きしている方もいらっしゃいました。料理の豆知識だけでなく、いつも疑問に思っていたフランス語の言い回し、でも誰に聞いたらいいのかわからなかったことが聞けるのも、ヴァレリの気取らない人柄とこじんまりとした人数での会食のおかげです。お腹は満たされ、頭の引き出しにも新しい知識が加わり、幸福度120%の異文化体験の3時間は瞬く間に幕切れとなりました。

◆マダムの料理アドバイス:

絞り袋にクリームなどを入れるときは、背の高いコップに袋をいれて作業すると一人でも楽に注入できるのよ。

◆食卓で使えるフランス語表現:
日本語の「ごちそうさま」にあたるフランス語は?

  1. C’était délicieux. (おいしかったです。)
  2. J’ai bien mangé. (たくさんいただきました。)
  3. Je suis calé(e). (お腹がいっぱいです。)

1)はどんな場面でも使えます。一番無難な表現かもしれません。3)のcaléは動詞calerが語源で、「固定する」という意味ですから、「もう動けない」という感じも含んでいて、くだけた表現のようですから、あらたまった場面では使わないほうがいいかもしれません。

カルチャー講座, フランス語, 外国語, 料理サロン

フランス料理サロン:講座のご報告(2013年5月25日/28日)

6月 4th, 2013
フランス料理サロン:講座のご報告(2013年5月25日/28日) はコメントを受け付けていません

今回は、「男子厨房に入る」というテーマで、パテとデザート一品をヤスミナに習う予定でしたが…
25日(英語)は女性7人、28日(フランス語)は女性5人と男性1人という結果で、男性陣に送ったラブコールは見事惨敗となりました。そのうちまた懲りずに企画いたしますので、そのときは是非男性の皆様ご参加ください。この報告をご覧になったらその気になっていただけるのでは…。

ダイエット中のヤスミナ:
「どうしてダイエットを?」という参加者の方の質問に、「夏になるから」とのお答え。「ビキニを着たいから??」「薄着になるから??」という参加者の方々の憶測は裏切られました。「夏休みにフランスへ帰ると、おいしいものがたくさんあるから、つい食べてしまうのね。だから今のうちに体重を落としておくの。」彼女のダイエットは「サラダと豚肉以外の肉だけを食べる」というもの。炭水化物も甘いものも、ワインもご法度。ですから、食卓で彼女が食べたのはサラダ菜とチーズ少々のみ。ちょっぴりワインを飲んでいましたが。お手製のマカロンなんてとんでもない。すでに1週間続けているそうですが、よく不機嫌にならないものだと、感心してしまいます。しかも、毎日1時間くらい軽くジョギングしたりしているとか。以前より少しスマートになったかどうかは微妙です。わずか1週間のダイエットでは何とも…。にわかに自分のかつてウエストがあったあたりに手をやってしまいました。
とにかく今回は「ダイエット」には最悪のメニューです。そうとわかっていてもついつい両目を閉じて口へと運んでしまう「太らばもろとも!」の世界です。

― 田舎風パテ。(豚肉と鶏レバーがギューギューに詰め込まれた肉塊です!)
― りんごのカラメリゼ、スペキュロスクリームのヴェリーヌ
(マスカルポーネがたっぷり入ったデザート。シナモンの利いたりんごと絶妙なハーモニー!)
その他、4〜5種類のチーズにカイザーのパン。レッスンで習ったパテ以外に、ヤスミナが事前に作っておいた「鴨肉のパテ」(ピスタッチオとヘーゼルナッツが入っていて美味!)と「スパイシーパテ」(レッスンで作ったパテより香草がふんだんに入っています。これも美味!)さらにお手製のリエットまで並びました。デザートも毎度のことながらヤスミナ特製「マカロン」。(毎回、季節に合わせた色とフレーバーで登場します。)

25日は快晴。広々としたテラスに食卓が準備されていました。都心とは思えない静かな昼下がり。吹き渡る風が心地いいパラソルの下で、ピクニックのような楽しいランチが始まります。ワインの1本目はBourgogne Pinot Noir (ブルゴーニュ ピノノワール)。くせのない爽やかな後味ですが、決してパテに負けてはいません。次にチーズといっしょに出されたのはCôte du Rhôhe Mélodie du Rhône
(コートデュローヌ メロディ デュローヌ)。濃厚なチーズたちに負けないパンチを持ったワインです。フランス料理では、ワインは弱いものから強いものへと変えていくのがよしとされています。確かに軽やかな前菜から相当ヘビーなメインまでいきつくと、舌もちょっとやそっとの香りでは驚かなくなっています。
28日は薄曇りで風もちょっと強めに吹いていました。そこで食事は初夏らしく向日葵が飾られた室内のテーブルでいただくことに。デザートとコーヒーはテラスに移動。小さな竹林に囲まれたコーナーのソファで、おしゃべりが弾みます。「一刻千金」[素晴らしい時間をありがとう! ヤスミナ!

こぼれ話:
今回のパテ用には、豚の肩ロース肉と鶏レバーをミンチしましたが、そのRobot(フードプロセッサー)が優れものでした。[ Kitchen Aid ]のスタンドミキサー、アメリカ製です。色が何とも素敵な紫色なんですが、その機能がまたすごい。メレンゲなどのクリーム撹拌、肉などのミンチ、アイスクリーム、パスタ、パンなど、部品をちょこちょこと変えればいろんなことができてしまう!!本体だけでも5万円弱はするので、年に1回か2回しか使わないのでは、器械が泣きますね。ちなみにミンサーがなくても、肉屋で肩ロースを挽いてもらえば大丈夫だそうです。(ホッ…)

●ある参加者のお言葉:
「例えただの紙ナプキンでも、こんな風に2色の大小を組み合わせるだけでおしゃれになるのね。」

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フランス料理サロン:講座のご報告(2013年4月22日)

5月 11th, 2013
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本日は市ヶ谷のヤスミナ宅にて夏野菜と果物をテーマにした料理を習います。いつも素敵なテーブルセッテイングをするヤスミナの今日の食卓は春の花畑。背の高いガラスの花瓶に、やさしい春色のガーベラがすくっと投げ入れられています。そして花瓶の周囲にガーベラの花が点々と並べられ、よく見ると、花瓶の水中にも花が浮かんでいます。花に合わせて、テーブルクロスは濃い藤色。ガラス製のキャンドルホルダーも涼しげです。ヤスミナの食器はいつもシンプルな白の陶器。ただ形にはこだわりがあって、正方形とか、テリーヌ型や和食にも使えそうな深鉢などヴァリエーションに富んでいます。この白の陶器は、どんなテーブルコーディネートにも、どんな料理にも、フレンチでも和食でも中華でもきれいに収まる優れものです。日本人の食器棚には、和食器、洋食器、中華用などすごい数の皿や鉢がひしめいていますが、このシンプルな白の和モダンともいえる陶器にしたら、そんなにたくさんの数は必要なさそうです。

本日のメニュー:
前菜:Mille-feuilles(*) de Poivrons et Chèvre
(パプリカと山羊のチーズのミルフイユ)
メイン:Terrine de Caviar d’aubergine(*) et sa poêlée(*) de champignons
(ナスのキャビア風テリーヌ、きのこのポワレ)
デザート:Tarte aux deux citrons
(レモンとライムのタルト)
本日のワイン:Mouton Cadet Bordeaux 2010
(ムトンカデ ボルドー 2010年)

このワインは他のサロンでもでてきました。値段も手ごろで飲みやすいボルドーの赤です。フランスワインの近年ものでは、2009年と2010年は当たり年。お勧めのワインです。

レッスンのはじめに、冷たいお手製のドリンクをいただきました。レモン汁としょうがをすりおろしたもの、水、そして蜂蜜で作るのだそうです。しょうがの香がかすかにする口当たりの爽やかな飲み物です。夏には冷たく冷やして炭酸やジンなどで割ってアペリティフにしてもいいそうです。
さてレッスン開始です。まず、前菜のミルフイユ。パプリカの皮をきれいにむいてセルクルのサイズに丸くカットしてありました。オーブンで丸ごと40分ぐらい焼いたら、ZIPの中に入れて少し蒸らし、それから皮をむくと簡単にきれいにむけるそうです。山羊チーズとパプリカのミルフイユ、どんなお味かと思ったら、チーズも主張しすぎず、パプリカの甘味とトマトのクリーの酸味と相まって、さっぱりとしたお上品な味でした。メインのナスのキャビア風テリーヌ、お肉をまったく使っていませんが、立派にメインの役割を果たしています。ナスをバカにしてはいけませんね。すごい存在感です。たくさん食べてもあまり罪悪感を覚えないのが野菜料理の素晴らしいところ。むしろ体の中がきれいになっていくような気さえしてきます。デザートのタルトには、レモンとライムを使います。レモン3個は皮ごとざく切りにしてフードプロセッサーにかけます。ライムは皮をすりおろして使います。砂糖と卵、レモン、溶かしバター、オレンジエッセンスも加えてフィリングを作り、市販の冷凍パイシートを敷きこんだ型に注ぎいれて、オーブンで焼きます。レモンの皮が相当量入りましたので、クリームは軽い苦みがありました。甘いのが苦手な方にはちょうどよかったかもしれません。私はあとからコーヒーと一緒にだされたマカロンが嬉しかったですけれど。
食事のテーブルでは、なかなか話せない、マダムの話を聞くばかり…というジレンマに陥っている方も少なくありません。ひとり浮き立って話を独占することを好まない、慎み深い日本人ならではのことですが、ここはやはりせっかくですから、どんどん話していただきたい。そこで、今回はヤスミナと相談して、一人一人に何か質問をして話すチャンスを作ってもらうことにしました。今回はゴールデンウイークの過ごし方についての質問です。
みなさん、はたとフォークの手を止めて、料理ではなくフランス語の単語を舌の上で転がし始めます。フランス語を習い始めたばかりで話せないという方にも均等に質問がまわってきます。日本語で答えると、ヤスミナは困った顔に。日本語を習い始めたばかりの彼女にはこの日本語が全くわからない。
ですから立場はまったく同じです。聞かれたことが分からない、言いたいことが伝えられないというジレンマをヤスミナも共有してくれます。
でもみなさん、本当によく話されました。自己評価がとても高い…高すぎるフランス人によく出会いますが、日本人はその真逆だとつくづく感じます。次回は更におしゃべりに花を咲かせたいですね。お料理そっちのけになってしまったらお許しを!

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フランス料理サロン:講座ご報告(2013年4月11日)

4月 17th, 2013
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マリオン初登場
本日の料理サロン、初登場のマリオンのお宅で開かれました。13歳から4歳まで4人の子供を抱えて、フランス人コミュニティでは新宿区の地域責任者も引き受け、日本料理を習い、菓子の学校にも行き、
日本語も勉強し、ご主人の仕事関係から友達まで頻繁にホームパーティーを開き、体がいくつあっても足りないという忙しさにもかかわらず、ネイルサロンに通ったり、おしゃれにも気を付けるスーパーレディです。好奇心旺盛で陽気でバイタリティーに溢れて…と思っていると時として空気の抜けた風船のようにダウンします。当然です。聞いているだけでも眩暈がしそうなハードスケジュールをこなしているのですから。彼女に限らず、フランス人全体に言えることですが、手帳をスケジュールで真っ黒に埋めるのがお好きな国民性とでもいいましょうか。「忙しい」は日本人の感覚ではネガティブなイメージなので、「仕事は忙しいですが、おもしろいです。」となりますが、フランス人にこの二つの形容詞を使わせると「仕事は忙しくておもしろいです。」とかならず言います。
そんな典型的なフランス人のマリオンのレッスンは、賑やかなおしゃべりとともに始まります。キッチンへ移動する途中で、家族の写真が並んでいるリビングの棚の前でにわかに大渋滞。すでに陽気なマリオンを中心にみなさん、おしゃべりに花が咲いています。

本日のメニュー
前菜:Terrine de Saumon(サーモンのテリーヌ)
メイン:Gratin de coquilles St-Jacques avec des champignons
  (マッシュルームと帆立貝のグラタン)
デザート:Profiteroles au chocolat(プロフィトロール チョコレートソース)
本日のワイン:Bourgogne Chardonnay(ブルゴーニュ シャルドネ)白 2010年


サーモンのテリーヌは、蒸してほぐした鮭の身を、自家製のマヨネーズと生クリーム、ハーブとあえてゼラチンで固め、スモークサーモンで包んだなかなか手の込んだ料理です。一人分ずつ型に入れて作りましたが、蛇の目型に入れて作って、食卓で切り分けてもいいそうです。でも一人ずつにしたほうが断然見た目がおしゃれです。
メインのグラタンは、日本人におなじみのホワイトソースのかかったものを想像すると裏切られます。
バター、玉ねぎ、白ワイン、小麦粉を加え混ぜてホワイトルー作り、そこにブイヨン(fumet de poisson魚介のスープストック)を加えて全体がもったりするまで煮詰めたら、帆立貝とマッシュルームを加えてチーズを散らしオーブンで焼きます。白ワインの風味と帆立の甘味がやさしく溶け合ってとてもさっぱりした味に仕上がりました。ちなみにホワイトルーにミルクをいれたものをベシャメルソースと呼びます。
デザートは、プロフィトロール。シュークリームのシューの中にアイスを入れてチョコレートソースをかけていただきます。シューは、カスタードクリームを入れたり、油で揚げてsucre en grains という粗塩ならぬ粗砂糖とでもいいましょうか、金平糖を細かく砕いたような砂糖をかけて子供のおやつにするほか、サーモンと生クリームを和えたものを詰めればアペリティフのおつまみにもなります。アイデア次第でいろいろに形を変えられるというわけですね。
メニューにはなかったのですが、食事の初めにVelouté de Poivron jaune(黄パプリカのヴルーテ)の冷製が出されました。パプリカの甘味が存分に引き出されていて、のど越しも爽やかで、暑いシーズンにはぴったりのポタージュです。また、マリオンはバゲットも自分で焼いていました。パン生地には市販のベーキングパウアダーを使わず、自分で作るのだそうです。小麦粉に水を混ぜて置いておくだけだそうです。イースト菌は入れないのかという質問に、暑い時期に作っておくと中でバクテリアが繁殖して、菌ができるという説明。「そんな菌を食べてお腹は大丈夫かしら?」という参加者の方の不安にマリオンいわく、「納豆と同じで~す。大丈夫で~す。」(マリオンは結構日本語が話せるのです!)自家製のバゲットは外側がカリッとしていて、中はしっとりふわふわ。市販のバゲットより長い間しっとりしているそうです。
茶箱また、彼女は焼いたケーキなどを茶箱に保存するそうです。そうするととてもいい状態で長く持つのだとか。湿気対策、虫よけというように、茶箱の機能は日本の風土から作り出された知恵の箱。美しい色の和紙を貼って、収納と同時にリビングのインテリアとして使っている外国人が増えています。
日本人の家では押入れに仕舞い込まれているか、全く見かけなくなった茶箱ですが、外国人の目にはこれもクールジャパンのひとつ。マルコポーロではありませんが、ジパングはやっぱりお宝の山ですね。

★フランス料理の豆知識:
ブイヨンには4種類あるそうです。
1) Bouillon de viande (肉のブイヨン)
2) Bouillon de légumes (野菜のブイヨン)
3) Bouillon de Volaille (チキンブイヨン)
4) Bouillon de poisson(魚のブイヨン= fumet フュメともいう)

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フランス料理サロン:講座のご報告(2013年3月19日)

3月 26th, 2013
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3月とは思えない初夏のような一日でした。関東では軒並み25度以上の気温になって、コートを脱いでも汗ばむ陽気。ヴァレリーのリビングの窓も大きく開け放たれています。「みなさん、暑いから喉が渇いたでしょう?」といってヴァレリーがお茶をいれてくれました。でも熱いお茶。フランス人は暑い夏でも氷など入れてキンキンに飲み物を冷やすということはあまりしないですね。あるとき日本に出張でやってきたフランス人男性が嘆いていました。「どこへ行っても、水を頼むと氷が入っていて、おかげで僕はお腹の調子が悪いよ!」と、何度目かのトイレダッシュ。

さてさて、本日はクレープとガレットのレッスンです。最大のポイントは「ダマをつくらないこと」です。ヴァレリー曰く、「ダマはダメ、ダメ!」こんなダジャレが言えるヴァレリーの日本語は相当なものです。まずは、ガレットの生地とクレープの生地を作りました。そば粉で作る生地を「ガレット」と言います。小麦粉で作る生地を「クレープ」といいます。クレープには、「クレープサレ crêpe salée」といって料理に使われるものと、「クレープシュクレ crêpe sucrée」というデザートに使う生地がありますが、ガレットの生地ではデザートは作りません。ガレットは日本のそば粉を使いました。ブルターニュのそば粉とはやはりちょっと違うようで、今回は小麦粉を少々入れて作りました。小麦粉のクレープとは違って、かなり粘りのある生地になりました。

Nos ennemis d’aujourd’hui, ce sont des grumeaux !「今日の敵はダマです。」
ヴァレリーがレッスンの初めに宣告したように、ガレットとクレープの生地、ベシャメルソースではダマとの戦いになりました。「まだちょっとダマがチョロチョロしているのよね。」と言いながら、ヴァレリーは必死に泡だて器で格闘。「今日は右腕のトレーニングだわ!」

ダマをつくらないためのコツは、「まずかたいものを混ぜること。それから液体を混ぜて最後に卵を混ぜること」だそうです。是非お試しください。

本日のメニューは、

  • Galette roulée aux rillettes de saumon(サーモンリエットのガレット)
  • Salade bretonne(サラダ ブルターニュ風)
  • Galette aux champignons(きのこのガレット ベシャメルソース)
  • Cidre(シードル)
  • Crêpes sucrées(デザートのクレープ)キャラメルブールサレ caramel au beurre salé )


以前に習ったサーモンのリエットをガレットでクルクルと巻いて、3cmほどの筒状に切り分けて、Amuse gueule(一口サイズのおつまみ)に。炒めたマッシュルームをベシャメルソースで和えたものを包んでグルイエールチーズを散らして、さっと5分ほどオーブンで焼いたガレット。サラダブルトンヌは、一見サラダニソワーズ風ですが、ブルターニュの代表的な野菜、カリフラワーとアーテイチョーク、そして漁業の盛んな地方だけに海の幸が入るのが特徴だとか。
デザートのクレープは、モチモチしていて、美味!ジャムのほか、ヴァレリーお手製のキャラメル・オ・ブールサレ(caramel au beurre salé )も用意されていました。キャラメルソースは、砂糖を焦がさないように気を付けてバターといっしょに飴色になるまで煮詰めて、生クリームを加えて作りますが、そのとき生クリームを少し温めてから加えるのがコツだそうです。ヴァレリーは色がちょっと薄かったと不満そうでしたが、お味は上々!
ブルターニュ地方はその大半が海に面していることから、古くから漁業が盛んで、海に乗り出たブルトン(Bretons)の子孫は世界各地に分散しているそうです。また彼らの結束は固く、独特のケルト文化に誇りをもっていて、フランス国内にあってもフランス人である前にブルターニュ人であると自負しているそうです。気候は穏やかで、南仏の海岸が今やリゾート地として観光化されつくしているのに対して、今だに自然を残し、鄙びた風情があることから、フランス人が別荘を持ちたいと思う最後の桃源郷の観があるようです。「でもね、ブルトンはtêtu(頑固)よ。」「料理にバターも使いすぎるしね!」とヴァレリー。でも誇り高いフランス人が「誇り高い民族」と呼ぶブルトンの住むブルターニュ、是非行ってみたいものです。

※本日の飲み物は、クレープには欠かせないシードル(cidre).    BOLÉE D’ARMORIQUE
よく冷やしていただくと爽やかなりんごの風味が際立ちます。

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