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Archive for 8月, 2013

にゃんこ?

8月 13th, 2013
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外国人の方が日本語レッスンを申し込まれると、まずはインタビューをさせていただくのですが、そのとき特に男性からこんな質問をされることがあります。
「それで、教える先生は男ですか?女ですか?」
来日する前に、日本通の友人から「日本語には女言葉と男言葉があるから、気をつけろ!」とアドバイスされることがあるようです。確かに英語やフランス語に女言葉・男言葉というのがあるとは聞きませんね。フランス語のJ’adore(大好き) は女性がよく使う傾向にあると聞いたことはありますが、それでも日本語のように歴然と男女の使用区別があるわけではありません。
「そうよね。」「そうだぜ。」
「もう行くわよ。」「もう行くぞ。」
「やめてよ。」「やめろよ。」
「嬉しいわ。」「嬉しいさ。」
日本人ならそれが女の言った言葉か男の言葉かすぐにわかりますが、これがまた外国人には「目が点!!」の難解さのようです。もっとも近頃は、「ウマそう!」とか「わかんねぇだろ!」「すげェ!」なんていう言葉が若い女の子の口からスルスル出てくるご時世ですから、そのうち女言葉で話すのは「オネエキャラ」の方ばかりとなるのか…。

女教師に習ったら、男なのに「今日、そちらへ行ってもいいかしら?」なんて話すようになるのではないかと心配をされているわけです。勿論、NO!です。日本語の教材もそこは細心の注意を払って、「中性的」日本語路線で統一されています。でも時には教師もびっくりの事態が起こります。
絵カードを見せて、「~の上に~がいます・あります」という存在文をビジネスマンに練習させていると、彼は平然と答えました。

「椅子の上にニャンコがいます。」
犯人は彼の日本人の奥様でした。いつも彼女は猫を「あら、かわいいニャンコね。」というようにお呼びになるものですから、この男性は「はは~ん、あれはニャンコか!」と思い込んで何年も過ごしていたようです。小さな子供がいる家庭では、日本人の母親が子供に向かって「クマさん」「キツネさん」などと言っているのを聞いて、そのまま「北海道でクマさんを見ました。」とお話しになるビジネスマンもいます。これは「女言葉」というより「母親が使う幼児語」の部類でしょうか。
また、他のビジネスマンとのレッスンではこんなことも…。
「北海道へ何で行きましたか?」
お船で行きました。」
彼の奥様も日本人で、家族で横浜へ出かけると、子供たちに「ほら、あそこにお船がみえるでしょ?」といつも言うのだそうです。「なるほど、あれはお船というのか。」以後、日本語教師に「それは女言葉です。」と教えられるまで、彼は「お船の旅行」「お船に乗って…」と何の疑いもなくお使いになっていたんですね。一方、日本人の男性と結婚したあるフランス人マダムは、ことあるごとに「アッ、そうか!!」とおっしゃる。女性でもこれは言いますが、イントネーションが違います。女性は「そうか」の「そ」の部分が一番高いイントネーションで話しますが、彼女のイントネーションは、「そうか」の「か」が一段低く長いので、ちょっと男っぽいのです。きっとご主人の「そうか」を聞いて覚えちゃったのでしょうね。

「男言葉」や「女言葉」を心配している方、日本語学校で日本語を習っていればだいじょうぶです。でも日本人の彼女や彼ができたらご用心!

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