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フランス料理サロン:講座のご報告(2013年2月16日)

2月 27th, 2013
フランス料理サロン:講座のご報告(2013年2月16日) はコメントを受け付けていません

土曜日の市ヶ谷。天気はまずまずですが、暴風が吹き荒れています。体温が一気に奪われていく感じで、「痛冷たい」風に身をこごめてマンション最上階のお宅へ。玄関に入ると、半そでのTシャツにコットンのスカートという夏姿のヤスミナがお出迎えしてくれました。キッチンは床暖房が利いていて、窓からは暖かい日差しが差し込んでいます。
今日のテーブルは、赤のチェアに映えるモスグリーンのクロスに白いリボンがアクセント。藤製のランチョンマットに白の四角い皿。テーブル中央には前回と同じガラスの四角い花瓶が2本シンメトリーに置かれ、ランチョンマットと同系色の木の実と銀色のモミの葉が詰められています。キャンドルに火をともしてくださいましたが、夜の席なら花瓶のガラスに揺らめく灯が映って銀色のモミの葉もきらめいてさぞ美しいことでしょう。

本日のメニュー:

  • Entrée(前菜):Brique au fromage et épinards 山羊のチーズとほうれん草のブリック
  • Plat(メイン):Mini-cocotte de Saint-Jacques sur fondue de poireaux et marrons帆立貝とポワロ、マロンのフォンデュのミニココット
  • Déssert(デザート):Crème Brûlée (クレームブリュレ)
  • Vin(ワイン):Vin blanc sec et fruité ( Côtes du Rhône )(白ワイン フルーティーな辛口)


まずクレームブリュレから作り始めます。卵黄、砂糖、バニラビーンズ、生クリームを混ぜ合わせるだけの超簡単レシピ。液をラムカン(スフレなどでおなじみの円筒形の容器)に注いで、100℃のオーブンで湯煎にして1時間ほど蒸し焼きにします。オーブンから出したら、冷まして冷蔵庫でさらに2時間ほど冷やしておきます。いただく直前に、クリームにcassonade(サトウキビから作られた赤砂糖)をふりかけ、バーナーできれいな焦げ目をつけます。このバーナーは、インターネットで「クッキングトーチ」で検索するとみつけられるそうです。マダムKは早速楽天で6069円で購入なさったそうです。

クリームをオーブンで焼いている間にアントレとメインにとりかかります。

まず、アントレのブリック。春巻きの皮に似ていますが、もっと薄くて円形です。ヤスミナは麻布十番の「ニッシン」で購入していつも冷凍しているそうです。料理だけでなく、コンフィテュールなどを入れて焼けば、子供たちの大好きなおやつにもなるとか。もともとは北アフリカの食材ですが、クスクス同様、フランス人の食卓によく登場するようです。数年前にチュニジア人のマダムから聞いた話ですが、フィアンセがやってくると(男でも女でも)、このブリックに生卵を入れて扇型に包んで油で揚げたものをふるまうんだそうです。半生状態の卵は上手に扱わないと、ブリックから、口からボタボタと流れ出てくるので、上手に食べなければなりません。そこで「お育ち」がわかるのだとか。日本でもお見合いには会食がつきものですが、これも食べ方から家庭環境、育てられ方がわかるといいますね。いやはや怖い話ですが、今日のブリックはだいじょうぶです。生卵は入りませんし、折りたたんで三角形にしっかり包みこみます。中に入れる具は、さっとゆでたほうれん草のざく切りと砕いた松の実、輪切りにスライスしたチーズに塩、カイエンペッパー、オリーブオイルをくわえて混ぜたもの。オーブンで焼いてもフライパンで焼いてもOK。今日は焦げ目がきれいにつくので、フライパンで焼きました。ここで秘密兵器投入です。フライパンに薄く油をしくかわりに、ヤスミナが取り出したのは、オイルのスプレー。ひと吹きで霧状にオイルがフライパンの表面をコーティングします。いろいろな使い方ができそうです。

OLIVE OIL COOKING SPLAYと書いてあります。

お皿にブリックをのせ、再度カイエンペッパーをふりかけたらサラダ菜を添えます。このサラダ菜にかけるドレッシングがまたおいしいのですが、ワインビネガーではなく、「シェリービネガー」を使っています。ワインビネガーに比べて、酸味がマイルドに感じます。

次はメインディッシュです。ポワロは日本のねぎよりずっと柔らかいのですが、入手困難ということで日本のねぎを代用。それでもよく煮込むことでほぼ同じようなテクスチャーが得られます。まず、オリーブオイルの中にニンニクを1〜2片いれて香りを出したら取り出し、しょうがのすりおろしたものを入れて炒めます。(ヤスミナはよくしょうがを使います!)ねぎと玉ねぎ(ほんの少々)をスライスして炒めたものを加えて煮込み、さらに白ワインと栗を投入。しばらくして生クリームと塩こしょうを加えてさらに5分ほど煮込みます。帆立貝はバターでソテーしておきます。ここで参加者の方々からため息が…。ルクルーゼのミニココットが登場。フォンデュと帆立貝を入れてオーブンで10分ほど焼くのですが、とてもおしゃれです。そしてここでまた秘伝のモノが…。Confit de citron コンフィ・ドゥ・シトロン-レモンを半分か四つ切にして塩漬けにしたもの。これはタジーヌなどの蒸し料理にも使うそうですが、確かに帆立貝の今日の料理にも、薄切りにしたものが2切れほど入っていましたが、塩味のあとにレモンの爽やかな香りが口の中に広がります。和食の柚子と役割は似ているかもしれません。

今日のワインは白のCôtes du Rhône(コートデュローヌ)。さっぱりとした辛口タイプですが、フルーティーな余韻があります。フランスの家庭でもワインといえば赤が圧倒的に飲まれていますが、それでも近年は料理のタイプにかかわらず合わせやすいということもあって、白ワインも支持され始めているそうです。今日のために作っておいてくださったマカロンは、レモン風味とカプチーノキャラメル風味の2種。3時間もかけて作ってくださったのに、5分でペロリ(!)

今回はフランス事情や旅の情報を発信している人気ブロガーのco malicoさんが参加してくださり、ご自身のブログで美しい写真と的確なコメントで詳しく紹介してくださっています。こちらも合わせてご覧いただけると料理のプロセスやサロンの雰囲気などがよくおわかりいただけると思います。

今週はパリ・ウィーク♪5日目【日本で楽しむおフランスな習い事-フランス料理】part1
今週はパリ・ウィーク♪6日目【日本で楽しむおフランスな習い事-フランス料理】part2

カルチャー講座, フランス語, 料理サロン

灯り

2月 16th, 2013
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「すみませんが、ちょっと暗すぎて本の字がよく読めないんです…。先生にもっと部屋を明るくしてほしいと言っても失礼じゃないでしょうか?」ある日、フランス語会話のレッスンをとっている日本人マダムKから電話がはいりました。マダムKの話によると、リビングのソファでレッスンを受けているが、ただでさえ広いリビングのよりによって窓から遠い奥の場所にソファがあって、昼間だというのに薄暗くて、老眼もあり教科書の字が読みづらいのだとか。本当は懐中電灯でも持っていきたいくらいなのだとこぼしておられる。「遠慮なく部屋をもっと明るくしてもらうよう頼んで大丈夫です。」と申し上げたところ、後日再び電話があって、「先生、どこからかコーナ―用の電気スタンドをもってきてくださったけれど、たいして明るくなくて…でも悪いから我慢します…。」とご報告がありました。
この反対の例が、フランス人の生徒。学校の教室は(日本ではどこでも同じですが)蛍光灯の光が天井から降り注ぎ、影ひとつない明るさの中で勉強します。「明るすぎる」と時々クレームをつけられてしまいます。瞳の色が薄い欧米人は強い光が苦手だという話も聞いたことがありますが…。確かに夏ともなると彼らは一様にサングラスをかけて外出しますね。顔を隠すためとかおしゃれのためにサングラスをする日本人とは違って、(勿論、目を保護するためにかけている方もいらっしゃいますが)本当に必要なのでしょうね。
室内の照明も日本と欧米ではかなり雰囲気が異なります。暗いところで本などを読むと目が悪くなるとかで、日本の家庭の夜の照明は天井から部屋の隅々までくまなく照らし、真昼並みの明るさです。一方、フランス人の家ではほとんど間接照明しか使いません。夜になると、壁に取り付けられたランプやコーナースタンドなどが灯ります。部屋の中には丸い小さな光の輪がいくつかできて、その光の周辺から段々外へと闇のグラデーションが広がっていきます。日本の家の照明が主に白色か明るいオレンジ系の色であるのに対して、欧米の灯りは深みのある暖色が好まれているようです。煌々と電灯が昼間のようについていると、つい仕事の残りをやってしまったり、翌日のことを考えてしまったりと、頭の中は常に覚醒状態のままで休まりません。ドアを開けた途端、薄暗い部屋の小さな灯りの輪が出迎えてくれるなら、「戦意喪失」ですね。
それから夜といえばフランス人はよくsoirée(夜のパーティー)をします。普段、ジーパンとTシャツにスッピンのフランス人マダムたちも、こういうときはお化粧をして、ドレスアップして現れます。まさに一世一代の晴れ姿。でも悲しいかな、蛍光灯の下ではどんなに頑張っても寄る年波を隠せるはずもなく、化粧のりの悪い肌、深いしわ、シミそばかす、およそ女性の大敵と思われるありとあらゆる老いのしるしがあらわになります。ところが、間接照明のリビングでは、まるでフィルターをかけられたように、淑女のお顔が「ウスラボンヤリ」としか見えず、どなた様もなかなかにお美しいのです。谷崎潤一郎も「陰影礼賛」の中で言っています。「美は…物体と物体との作り出す陰影のあや、明暗にある…われわれの祖先は、女というものを蒔絵や螺鈿の器と同じく、闇とは切っても切れないものとして、出来るだけ全体を闇へ沈めてしまうようにし、…ある一か所、首だけを際立たせるようにしたのである。」みんなが幸せを感じられるためにも「薄暗い灯り」はいかがでしょう?このご時世ですから節電にもなりますし…。

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フランス菓子サロン:講座のご報告(2013年1月28日)

2月 4th, 2013
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晴天ながら北風が冷たい昼下がり。今日はValérie(ヴァレリ)のお宅で午後からお菓子作りです。

Rochers à la noix de coco(ココナツのロシェ):
ココナツのロシェづくり
Rocherはフランス語で「岩」のこと。卵白を軽く泡立てて、たっぷりのココナツと砂糖を混ぜあわせて、あとはバッドの上に敷いたシートに「岩状」に固めて並べるだけ。でもとても柔らかい生地なので、成形が難しい。人が作っているのを「富士山」だとか「愛宕山」みたいだとかワイワイ言いながら完了。オーブンでゆっくり焼きます。焼いている間に少し広がって高さが落ちるので、間隔をあけて、エベレスト級の高さにしておくのがいいかもしれません。

フィナンシエづくり
Financiers(フィナンシエ)
Financierはフランス語で「財界人、資本家」。このお菓子の由来は諸説ありますが、パリの証券取引所を中心とした金融街で流行った菓子だからとか、長方形の形が「金塊・インゴット」に似ているからなどいろいろです。「金塊」が一番説得力あるかもしれません。金色に焼きあがった姿は確かにゴージャスです。アーモンドパウダーと砂糖をどっさり使っていますが、そんなに甘くないのはアーモンドパウダーのおかげ?でもカロリーは相当ですね。ヴァレリはアーモンドエッセンスも数滴加えます。私達がいつも食べているアーモンドはスイートアーモンドで、一方のアーモンドエッセンスは有毒性物質を含むビターアーモンドから毒性を除去し、精油加工したもの。手袋や手紙に毒を仕込んでいろいろな人を殺したという疑惑が絶えなかった16世紀のカトリーヌ・メディシスは、このアーモンドエッセンスを菓子に使うことを長く禁じていたとか。毒薬の恐ろしさを身を以て知っていたのでしょうね。今回、型は洗う手間なしの使い捨てタイプの紙製を使用。100円ショップで手に入ります。

Moelleux chocolat coeur fondant
(フワフワのショコラフォンダン)

フワフワのショコラフォンダンづくり
Fondantは「溶けた」という意味でchocolat fondant(ショコラフォンダン)は、中がしっとりしているチョコレートケーキです。卵、砂糖、アーモンドパウダー、小麦粉、バター、ブラックチョコレートを泡だて器で混ぜながら次々に投入。型に流し込んでオーブンで8〜10分焼くだけの超簡単レシピです。温かいうちにバニラアイスと一緒にいただくのがお勧めです。
キッチンだけでなくリビングにまでお菓子が焼ける甘い香りが漂っています。最近のフランス人のティータイムは、コーヒーや紅茶と一緒に今日作ったような小さなお菓子を何種類も並べて楽しむのだそうです。名付けて(Café Gourmand)―「食いしん坊のコーヒータイム」いろいろな形や色の皿にカップとお菓子を並べて、「いただきます!」。(こんなにたくさん、食べられるかな…??)という思いは杞憂でした。皆様、ペロリとたいらげていらっしゃいました。お菓子を食べて、コーヒーを飲んで、しかもおしゃべりも忙しい!!
フランスの若い人たちの就職状況から話はフランスの伝統工芸のタペストリーにまで発展します。仕事が見つからないので、若い人たちがこうした伝統工芸に戻ってきて、後継者が育ち始めているというのです。不況が生んだ幸運??タペストリーといえばゴブラン織り(Gobelins)が日本ではよく知られていますが、その他にもオビュッソン織り(Aubusson)やボベ織り(Beauvais)など歴史の古い織物があるそうです。ゴブラン織りは、パリ地区にしか工場がなかったのですが、王侯貴族の宮廷御用達だったため有名になったとか。「ヘェ〜!!」と何度思ったかしれない甘くて豊かな午後の一時でした。
参加の皆様と記念撮影

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