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フランス菓子サロン:講座ご報告(2014年9月29日)

10月 3rd, 2014
フランス菓子サロン:講座ご報告(2014年9月29日) はコメントを受け付けていません

P9290506  table(2)

 

9月末とは思えない強い陽射しながら、さすが空気はカラッとして爽やかです。チャイムを鳴らすと今日のお天気のように爽やかな笑顔のフロランスが扉を開けて、「Bonjour ! ボンジュール!」と迎えてくれます。
今日初めて参加された方々は、きれいに手入の行き届いたピカピカのリビングやキッチンに思わずため息。オーブンのガラス扉など買いたてのように曇りひとつない美しさ。まるでショールームの中にいるようです。(今度、「お掃除講座」をフロランスに開いてもらいたいものです…。)
さて、今日のお料理はキッシュと淡雪卵(ウッフ・ア・ラ・ネージュ)にフィナンシエ。キッシュもフィナンシエもフランス人マダム達が日常的によく作るもので、他のサロンでも何回かいろいろなマダムが自慢のレシピをご披露くださいました。しかし驚くことに、一度たりとも同じ内容に出くわすことがありませんでした。本当にフランス料理の奥深さを感じます。今日は「バルサミコ酢」が大活躍のようです。楽しみです!!

 

P9290519 Quiche aux oignons caramelises (2)

Quiche aux Oignons caramélisés, Parfum de Gingembre accompagnée d’une salade verte assaisonnée d’une vinaigrette balsamique(こんがりオニオンのキッシュ、ジンジャー風味、グリーンサラダ、バルサミコドレッシング)

 キッシュはパイ生地で焼くものと生地なしで焼くものの2種を作ります。忙しいときにはフランス人マダムたちもパイ生地なしで作ったりするそうです。そのパイ生地ですが、何とバルサミコ酢を加えます!!小麦粉、コーンスターチ少々、バター(かなりたっぷり)、全卵1こ、ここに隠し味としてバルサミコP9290514 salade verte酢大さじ1、砂
糖小さじ1、塩少々がはいります。バルサミコ酢をこのように使うのが目下フランスではトレンドなのだ
そうです。確かに焼き上がりはコーンスターチも入っているからでしょうか、サクサク感が際立って美味。フィリングの玉ねぎはすりおろしたしょうがといっしょにオリーブオイルで炒め、さらに赤ワインも加えて水分がとぶまで加熱し、こんがり焼き色をつけます。これを空焼きしたタルト生地の上に敷き詰め、卵、ミルク、生クリームを合わせた液を上から注いでオーブン(180℃)に入れて30分焼きます。玉ねぎの甘味がとてもおいしいキッシュの出来上がりです。

 

P9290502  oeufs a la neige

Oeufs à la neige(ウッフ・ア・ラ・ネージュ)

日本語では「淡雪卵」といいますが、まさにふわふわの今にも溶けてしまいそうな雪の塊を思わせるデザートです。フランスではどんな小さな
レストランでも扱っているとてもポピュラーなデザートだそうです。砂糖を数回に分けて加えながらしっかりと固く泡立てた卵白を大きなスプーンで適量すくっP9290525  oeuf a la neige dans l'assietteて、沸騰したお湯の中に落としてポシェします。両面を返したら布巾などの上に並べて水分を切ります。別に作っておいたクレーム・アングレーズの上に浮かべて冷たく冷やしておきます。その上からカラメルソースをかけていただきます。今回のように大きな器に入れて各自取り分けるか、一人用の小さな深皿に入れてもおしゃれです。冷たく冷やしておくのがお勧めです。こんなデザートが出てきたら、テーブルは歓声の嵐間違いなしです。

 

 

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Financiers au miel (蜂蜜のフィナンシエ)

「財界人、資本家」という意味のこのお菓子、その由来は諸説ありますが、パリの証券取引所を中心とした金融街で流行った菓子だからとか、長方形の形が「金塊・インゴット」に似ているからなどいろいろです。「金塊」が一番説得力あるかもしれません。
今日習うフィナンシエの材料もちょっと変わっています。今回は小麦粉ではなく全粒粉、白砂糖のかわりにブラウンシュガーと蜂蜜、アーモンドパウダー少々、バター、そし全卵ではなく卵白5個分を使います。とにかく混ぜて、お好みの型に流し込んで210℃のオーブンで10分焼けば完成。とても簡単で、しかも1週間くらいは缶などに入れておけば保存可能。卵白がはいっているからでしょうか、しっとりながら軽やかで、蜂蜜の優しい甘さが絶妙です。

 

フランス人マダム達の台所はお宝の山。便利そうな料理グッズや珍しい食材が毎回のように登場します。参加者の方が「どこで買ったんですか?」と聞くと、意外なことに「合羽橋」とか「イケア」、「コストコ」「ニッシン」というお答えがよくかえってくるのですが、本日のフロランスのキッチンで発見したお宝は残念ながらMade in Franceでした。

P9290517  pot de vinaigretteドレッシングボトル。上部のレバーをくるくる回すと中のドレッシングが見事に撹拌されます。ドレッシングを入れて冷蔵庫で保存するのにもちょうどいいサイズ。野菜の絵もかわいい。

 

 

 

 

P9290486  serviette「Bon appétit ! ( さあ召し上がれ!)」と書かれたナプキン。だまし絵のようなフォークもおもしろい。

 

 

 

 

P9290503  decoなべ敷でしょうか。「MENU DU JOUR, Qualité Extra, Médaille d’or ( 本日のメニュー、絶品料理、金メダル)」と書かれています。料理上手なマダムのキッチンだからこそ堂々と置いておける代物ですね。赤色がとてもきれいだったのでついパチリ。

カルチャー講座, 菓子サロン

フランス菓子サロン:講座ご報告(2014年6月16日)

6月 19th, 2014
フランス菓子サロン:講座ご報告(2014年6月16日) はコメントを受け付けていません

P6160426  table今日のフロランスのサロンは「クレープ&ガレット」です。日本ではクレープといえばフルーツやクリーム、アイスなどの入った甘いデザートというイメージですが、フランスでは町のあちこちに「クレープ屋」があり、料理としてのクレープをリンゴの発泡酒シードルと一緒に楽しみます。日本の「お好みやき屋」のような感じでしょうか。カジュアルな食べ物のようです。でもフロランスのクレープとガレットはちょっぴりグレードアップされています。今日のテーブルも料理に合わせてカジュアルな感じの木目プリントのテーブルクロスとお揃いのナプキンです。(ちなみにイケアで購入されたそう。)近くでみても木質感があっておもわず触って確認したくなります。

 

本日のメニューは次の通りです。

–       Crêpe Complète(クレープコンプレート)
–       Crêpe aux Crevettes et à la béchamel(エビとベシャメルソースのクレープ)
–       Crêpes aux Pommes au beurre salé et sirop d’érable    (りんごのクレープ、塩バターとメーブルシロップ風味)
–       (*)Aumônière de crêpe à la Pêche, crème d’amande et Chocolat blanc
(桃のクレープオモニエール、アーモンドクリームとホワイトチョコレート)

(*) aumônière : もともとはコインなどを入れる袋状のさいふのこと。転じて茶巾包み。)

 

P6160431  faire une crepe (Florence )

P6160435  galette de sarasin

そば粉のガレット

P6160450  pate de crepe

クレープ

まずはクレープとガレットの生地作りから。クレープとガレットの生地の材料はちょっと違います。クレープが小麦粉を使うのに対して、ガレットはそば粉を使います。その他、クレープにはミルクと砂糖、卵が数個使われますが、ガレットは水と卵1個を使います。これを見ても、カロリーの高いクレープ、低カロリーのガレットというのがわかりますね。ガレットは料理用。クレープは料理にもデザートにも使われます。本日の料理2品はガレットで、デザート2品はクレープを使います。

P6160465  deux galettes

Crêpe aux Crevettes et à la béchamel(エビとベシャメルソースのクレープ)
Crêpe Complète( クレープコンプレート)

 P6160457  crepe completeガレットにたっぷりのチーズ(エメンタール、グルイエールなど)をのせて、ハム、その上には生卵をのせて、4辺の縁を折り曲げて四角形にしてフライパンで加熱します。溶けだしたチーズとトロトロの卵がハムにからみ、香ばしいそば粉の香りと相まって、そのおいしいこと!!焼き立てをサービスするのがお約束です。

 

P6160447  crepe aux crevettes et a la bechamelガレットの中央にベシャメルソースを敷き、オリーブオイルで炒めた大ぶりのエビを3匹ほどのせてからくるくると巻いてオーブンでさっと温めます。エビのほか、ベシャメルソースにあうものなら、他のシーフードでもチキン、野菜でもアイデア次第。こちらもアツアツをいただきたいですね。

 

 

P6160468  deux desserts

Aumônière de crêpe à la Pêche, crème d’Amande et Chocolat blanc
 Crêpes aux Pommes au beurre salé et sirop d’érable
(桃のクレープオモニエール、アーモンドクリームとホワイトチョコレート& りんごのクレープ、塩バターとメーブルシロップ風味)


有塩バターで賽の目に切ったリンゴをアメ色になるまで炒め、シロップも加えて煮ます。クレープの真ん中にたっぷりのせてロール状に包み、上から再びシロップを回しかけてオーブンで15分ほど焼きます。 バニラアイスを添えていただきます。バターの塩味がリンゴのやさしい甘さを引き出し、メープルシロップの香りが立ちのぼります。温かいクレープに溶けだしたバニラアイスをからめていただくときの幸福感!!


P6160440  crepe aux pommesP6160451  crepe aux pommes 2P6160452  crepe aux pommes 3

 

 

 

 

 

アーモンドクリームをクレープの中央に丸く敷き、その上に桃(熟したものか缶詰のもの)を2分の1個分を置き、さらにホワイトチョコレートを数片のせてクレープを茶巾状に絞ってraphia(ラフィア:ヤシの繊維で作ったひも)で結びます。クッキング用の糸を使ってもOK。これをオーブンで15分ほど焼いてテーブルへ。まずこれが運ばれてくると、そのかわいい茶巾の姿にテーブルの一同「おーッ!!」ナイフをいれて中からトロンと溶けたチョコレートをまとった桃が姿を見せると再び「おーッ!!」。口に運んで三度「おーッ!!」楽しくて美味なるデザートなのです。

P6160454  aumoniere de crepe a la peche  2P6160455  aumoniere de crepe a la peche

P6160460  cidres

 

 

 

 

 

クレープ料理にはかならずシードルをいただきます。本日はbrut(辛口)とdoux(甘口)がキンキンに冷やして用意されています。甘口のほうがアルコール度数は低いですが、辛口でも5%以下ですから、とても飲みやすいです。チーズやソースを使ったクレープのあとに甘いデザートのクレープですから、どちらかというと辛口が今日の食卓にはあいそうです。

クレープもガレットもたくさん作って冷凍しておけますので、梅雨の一日、台所にこもってクレープとガレット焼きもいいのでは?梅雨明けの夏の暑い午後、冷たいシードルとお手軽クレープ&ガレットで親しい人たちと素敵な時間をぜひお過ごしください。

P6160443  boite de l'hule d'olive

P6160427  bambou

P6160433  essayer de faire une crepe

菓子サロン

フランス菓子サロン:講座ご報告(2014年4月12日)

4月 17th, 2014
フランス菓子サロン:講座ご報告(2014年4月12日) はコメントを受け付けていません

P4120397 table

久々の土曜日サロン。春の陽光が暖かく降り注ぐ中、フロランスのお宅訪問。いつものことながらドアを開けて訪問客を迎え入れるフロランスの笑顔がステキです。この瞬間に初めての方も、今までの緊張が解けて「安心オーラ」を放ち始めます。
本日のテーブルは、白のクロスの上に青みを帯びたグレーの織物のランチョンマットが敷かれています。ナプキンも白地にブルーの小花模様。全体を寒色ですっきりまとめています。テーブル中央に絶妙な間隔で置かれた淡いピンクとレモンイエローのバラの花がアクセントです。(これが造花だとは着席するまで気づきませんでした!)お皿はフロランスのおばあ様から譲り受けたというリモージュ。可憐な花が描かれています。

今日教えていただくのは、次の三品です。

P4120439 salade de pates 4              Salade de Pâtes ( パスタサラダ)

フジッリを使った超簡単レシピです。ポイントは、チェリートマト、バジルの葉、パルメザンチーズをたっぷり使うこと。にんにくと塩こしょう、オリーブオイルで調味するだけ。バジルの爽やかさと、トマトの酸味と甘みのあとから、チーズの芳醇なコクがおいかけてきます。今日は入れませんでしたが、黒オリーブなど彩りに入れるとまたぐっとおしゃれになりそうです。おすすめです!!

P4120424 salade de patesP4120431 salade de pates 2

 

P4120441 Tarte Chocolat 3

Tarte Chocolat Liegeois (リエージュチョコレートタルト)

タルト生地には、アーモンドパウダーやカカオパウダーも入れて、サクッと焼き上げます。型に敷いたあとの切れ端の生地を寄せ集めて棒状にのばし、1.5㎝くらいの厚さにカットして、これをオーブンで焼けばおいしいサブレの完成です。(無駄がない!!)カカオ70%のチョコレートクリームは、甘さ控えめの大人の味で、とても美味です。コッテリした感じはありませんが、卵、砂糖、生クリーム、ミルクもたっぷり入っていますから、ご用心!上からCrème Chantilly(固く泡立てた生クリーム)をこれまたたっぷり絞って完成です。

P4120413 billes de cuisson

P4120421 creme au chocolat

P4120436 tarte chocolat 2

 

 

 

 

 

 

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Sablé Breton (サブレ・ブルトン)

 卵、砂糖、バター、小麦粉、ベーキングパウダー、塩をしっかり混ぜて、5㎜厚さにのばし、オーブンで焼くだけの簡単レシピです。ついもう一枚、もう一枚と手がでてしまうおいしさです。金属の缶などに入れておけば二週間くらいは保存がきくそうです。食べないで我慢できればの話ですが…。

P4120406 casserole bain marie本日の特ダネはフロランスの調理器具。たとえばチョコレートの湯煎用のお鍋。フランス語ではcasserole bain-marie といいます。普通は大小のお鍋で代用してしまいますが、さすがチョコレート職人!インターネットで調べたら、さらにすごいお鍋がありました。鍋が二重構造になっていて、注ぎ口から水をいれると外側の空間に水がたまり、そのまま火にかけて放置できるタイプです。かき回すときプカプカ揺れる鍋を左手で支える必要がありません。価格は15ユーロから36ユーロくらいです。湯煎だけでなく、温かい状態でサーブしたい料理などを保温しておくのにも使えるそうです。
P4120428 ciseauxそれから、刃が何重にもなっているはさみ。バジルの千切りに使っていました。均等な幅に一度にたくさん効率よく切れます。「まな板文化」の日本人にしてみると、包丁でザクザク切ればいいようなものですが、欧米の人はあまりまな板を使いませんね。ゆで卵をみじん切りにするときも、細長いカップにゆで卵をいれて、はさみやナイフをカップの中に差し込んで、ザクザク刻みます。これは後片付けが簡単なのでいいアイデアです。

 

それからスポンジ。およそフランス人は「布巾」でテーブルをふきません。皿や手を拭くのには使いますが、テーブルなどはスポンジを使っています。しかも日本製はだめで、フランス人は皆さん、バカンスを終えて日本へ帰ってくるときに、スーツケースの中に商売ができるぐらいたくさんのフランス製のスポンジを入れて持ってくるそうです。吸水力が格段に違うとか。

日本人の台所に馴染まないものもありますが、そのアイデア、いただき!というものもあり、おもしろいです。フロランスは「日本人は器用だ。」と言いますが、本当にそうかもしれません。フロランスのキッチンの引き出しのように道具で溢れかえっていることはありませんが、まな板と包丁で大体のことをやってしまうのが日本人かもしれません。

6月末にはフランス人のバカンスが始まります。フロランスのバカンス前最後のレッスンは6月に2回予定しています。「クレープ&ガレット」です。もっちりふわふわのクレープの他、そば粉のガレットも習います。クレープ料理からデザートまで、冷たく冷やしたシードルといっしょにいただきます。暑くなる時期にぴったりのサロンです。皆さまのご参加をお待ちしております。

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菓子サロン

フランス菓子サロン:講座ご報告(2014年2月3日)

2月 4th, 2014
フランス菓子サロン:講座ご報告(2014年2月3日) はコメントを受け付けていません

昨年のクリスマスに引き続き、今回はバレンタインデーにちなんでチョコレート菓子を習います。何かというとチョコレートが登場するフランスの食文化。製菓会社が考え出したバレンタインのチョコレートに踊らされている日本とは比べ物にならない文化力を感じます。チョコレート職人のフロランスが繰り出す本日のアントルメ、いやがうえにも期待が増します。

まずテーブルセッテイングを見てみましょう。ワインレッド(フランス語ではボルドーと言うそうですが)の太いストライプのクロスがかけられています。食器やグラスの周りには真紅の大きなハートがいくつも散らしてあります。しかもそのハートの周りにもごく小さなハートがまるで満天の星のように散りばめられています。招待客にその日のテーマを知らせる役目もあるでしょうし、このように時間をかけてテーブルを設える主人側の「おもてなし」の心が伝わる憎い演出です。おいしい料理を出すだけでなく、このように食卓をキャンバスに見立てて客人を目でも楽しませる工夫をこらせば、食事の前から会食者のテンションが高まること間違いありません。

本日のメニューは次の通りです。

Chèvre frais en Feuilleté (山羊チーズのパイ)

ものすごく簡単で見栄えがよく、そして美味!お勧めの一品です。作り方も材料もいたってシンプル。市販のパイシートを少しのばして、好みの型に切り、(今回は円形にしました。)中央にハーブを混ぜ込んだ山羊チーズを適量置きます。ハーブはフレッシュタイムでも乾燥のものでもOK。今日はHerbes de Provence(エルブ・ド・プロヴァンス)を使いました。チーズの上にもハーブをふって、もう一枚の同じサイズのパイ生地でおおい、少量の水でのばした卵黄を表面に塗り付けて、180℃のオーブンで20分ほど焼けば出来上がり。サラダと一緒にお皿にのせてテーブルへ。熱々のパイはサクサクしていて、山羊チーズのピリッとした風味とよく合います。ブルーチーズ系がお勧めだそうですが、にんにく風味のBoursin(ブルサン)のようなチーズでもおいしいそうです。是非お試し下さい。

 

Entremet chocolat(アントルメ・ショコラ)

まずDacquoise(ダコワーズ)から始めます。これはあらゆるお菓子のベースに使えるとても便利なレシピです。材料は小麦粉、アーモンドパウダー、粉砂糖、卵白、グラニュー糖。卵白を固いメレンゲにして粉とまぜるのがポイントです。さくさくしていて、しかもしっとり感のある生地に焼き上げます。セルクルで型抜きしてアントルメの土台にします。
Crémeux au chocolat(チョコレートクリーム)は前日に作ってよく冷やしておきます。材料はチョコレート(カカオ70%のもの)、ミルク、生クリーム、卵黄、グラニュー糖。チョコレートは湯煎で溶かしておきます。卵黄と砂糖を混ぜ、次に鍋にミルク、生クリームといっしょに入れて弱火で煮てクレームアングレーズを作ります。これを溶かしたチョコレートに混ぜいれてよくなじませたら、クリーム表面にぴったりラップをはって一晩冷蔵庫で冷やしておきます。これをダコワーズの土台に厚めに塗り付けたら食卓へ出すまで冷蔵庫で冷やしておきます。いただく直前に固く泡立てた生クリームをチョコレートクリームの上に絞り出し、干しブドウを散らして出来上がり。チョコレートクリームは思ったより甘すぎず、ダコワーズのしっとりサクサク食感と絶妙なマリアージュ。とてもとても上品なアントルメです。こんなお菓子を出されたら、彼のハートは間違いなく貴女のもの。

Truffes au Chocolat (チョコレートトリュフ)

カカオ50%以上のブラックチョコレートに沸騰させた生クリームを加えてよく混ぜます。次にバターを加えて完全に混ぜ合わせたら、冷蔵庫にしばらく入れて少し固めにします。これを手、または2本のスプーンでクネル形にして、カカオやココナツ、粉砂糖などでコーテイングします。チョコレートにはリキュールを混ぜたり、シナモンやジンジャーパウダーなどを入れてもいいそうです。

Philtre guatémaltèque au chocolat(ガテマラのチョコレート 愛の媚薬)

おもしろい名前の飲み物です。作り方はとても簡単。鍋にミルクをいれて温めます。熱湯でのばしたカカオにこのミルクを注ぎ入れ、よくかき混ぜます。つぎに蜂蜜、砂糖を混ぜいれ、バニラエッセンス、ラム酒、タバスコ、塩、ジンジャーパウダーも入れてよく混ぜたら出来上がり。ホットココアにリキュールとタバスコとジンジャーを入れるのが特徴です。確かに甘味がギュッと引き締まるように感じます。この3つを入れれば、確かに体がポカポカしてきて、気持ちが高まるかもしれません。ちなみにフロランスはご主人と結婚する前にこの「媚薬」を試したかと聞いたところ、「彼は私に首ったけだったから飲ませる必要はなかったの。」だそうです。
日を改めて、他のフランス人マダムに聞いたところ、彼女は高校生のとき、友達の家のパーティーに来た男の子たちにこのジンジャー入りの飲み物を飲ませて、彼らがどうなるか観察したことがあるそうです。確かにすごく興奮してやたら元気いっぱいになったけれど、「結局、何も起こらなかったわ。」とのことです。効果があるのかどうかちょっとよくわかりませんが、体が温まることは確かです。血流もよくなりそうですから、美容効果があるかもしれません。その結果、ボーイフレンドのハートを射止めるとしたら確かに「媚薬」には違いないですね。

チョコレート缶
女の子がかわいい

クラシックなココア缶

菓子サロン

フランス菓子サロン:講座ご報告(2013年12月9日)

12月 11th, 2013
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フロランスの玄関外にはサンタクロースが置かれ、交流会で作った正月飾りが扉にかけられています。リビングの暖炉の前に置かれていたソファは窓と対面する位置に変わっています。クリスマスシーズンには、暖炉がメインになるのだそうです。そのわきにはツリーと大小さまざまなキャンドルに火がともされて私たちを歓迎してくれます。テーブルもクリスマスらしい演出がほどこされています。ナプキンまでかわいいサンタクロースの絵柄です。日本のクリスマスは本来のクリスマスの意味とはかけ離れたところで楽しまれていますが、クリスマスグッズや料理、菓子、そしてプレゼントなどワクワクする要素が満載のイベントですから、経済的な効果も考えれば大いに楽しんでいいのではないかと思います。

本日のメニューは以下の通りです。
–       Bûche de Noël au chocolat (チョコレートのビュッシュ・ド・ノエル)
–       Fruits déguisés (フルイ・デギゼ)

ブッシュ・ド・ノエルは、スポンジ生地をロール状に巻いて木の丸太形に作る菓子ですが、もっと失敗が少なくて簡単に作れるものをということで、今回は長方形の型でスポンジ生地を焼きました。スポンジ生地は器械ではなく手で根気よく混ぜましたが、そうすることでたくさん空気がはいるのでずっと柔らかく仕上がるのだそうです。皆さんで協力してしっかり泡立てたので、本当にフワフワの生地に焼き上がりました。糸鋸のような道具でスポンジを3枚に薄くスライスします。たよりなくフワフワしている生地がスーッときれいに切られていきます。次にラム酒入りのシロップを生地に吸わせて、チョコレートガナッシュを3層に塗り付け、外側の全体もガナッシュで覆って、冷たく冷やしていただきます。デコレーションは砂糖菓子のモミの木や、きのこ、サンタクロースなどを載せて、最後に粉砂糖を上からふって雪化粧。テーブルでは、フロランスが予め作っておいてくれたビュッシュ・ド・ノエルをいただきました。チョコレートガナッシュも上品な甘さです。チョコレート職人のフロランスですから、チョコレートの品質にはかなりうるさいようで、フランス製のものを使っているそうです。

次にフルイ・デギゼ。アーモンドパウダーと粉砂糖を同量(かならずこの二つは同じ分量で)混ぜ合わせます。アーモンドエッセンスを数滴たらして、水を少しずつ加えて粘土状にします。マジパンの出来上がりです。これに好みの着色料を入れて、さらによく練って色づけします。まずバラの花に挑戦。テーブルに砂糖を振ってマジパンを薄く伸ばして花弁を丸くくりぬきます。円錐形の芯を作って、そのまわりに花びらをぐるりとはりつけていきます。「バラじゃなくて椿の花だわ!」などと言いあいながら、楽しい工作の時間となりました。次にマジパンを棒状にのばし、適当な大きさにカットして、丸くのばしてドライフルーツやナッツをのせます。デーツやプラムのような大きなものは縦に切れ目をいれて、その中にマジパンを詰めます。クリスマスの食後、コーヒーなどといっしょにつまむお菓子だそうです。これは、自分たちで作ったビュッシュ・ド・ノエルといっしょに小さな箱に入れて持ち帰ります。フロランスが箱の上に「Merry Christmas」とかかれたかわいいシールをポンポンと貼ってくれて、本年第一号のクリスマスプレゼントになりました。

食卓でコーヒーとケーキをいただきながらの会話の中で、なぜか結婚式の話題になりました。「日本の結婚式のパーテイーは短いんでしょ?」というフロランスに、「でも、二次会、三次会となることも多いから、それも入れると結構長くなるかも。」「フランスの結婚式はどうですか?」「長~い!!まず招待客全員にアペリティフが配られて、そのあとは家族や友人が残って会食。午後2時くらいから始まって真夜中までダンスをしたりして盛り上がる」そうです。食事が済んだら、新郎新婦は退席するけれど、朝になると皆して「オニオンスープ」をもって新郎新婦を叩き起こしにいくのが習わしだそうです。有難迷惑な感じもしますが、なぜオニオンスープ?フロランスもその理由はよくわからないけれど、夜遅くにとる食事Souper (スぺ)からきているのではないかとのことです。

日本人のクリスマスの過ごし方もフロランスの気になるところのようです。フランス人にとってクリスマスイブはミサへ行って(普段教会にご無沙汰の人もこの日は行くそうで)それからごくごく内輪の家族で食事をし、25日は親戚が集まってもう少し大きな食事会をするという「家族のイベント」。それに対してréveillon(レベイヨン:大晦日の食事)や新年のパーテイーは友人などと賑やかに過ごすのだそうです。「日本のクリスマスは?」というフロランスの質問に日本人マダムたちのお答えは「レストランへ行って食事」「コンサートへ行く」など。若い人たちなら友人たちと盛り上がるところでしょうか。逆に新年は日本人にとって重要な「家族のイベント」。お国柄の違いにフロランスも日本人マダムたちもいろいろな発見があって楽しいティータイムとなりました。

 

 

菓子サロン

フランス菓子サロン:講座ご報告(2013年11月8日)

11月 9th, 2013
フランス菓子サロン:講座ご報告(2013年11月8日) はコメントを受け付けていません

猛暑、台風に翻弄された日本列島にもやっと豊穣の秋が、木々の葉をゴールド、ルビー色に染め上げながらやってきました。フロランスの自宅の玄関前には、ハローウインの名残らしきかぼちゃが置かれています。にこやかに扉を開けてフロランスが参加者の皆さんとあいさつをして、中へと招き入れます。玄関に入るとすぐに、古代中国の甲冑を着た兵士がお出迎え。暗闇ではちょっとギョッとしますが、西安の遺跡から発掘されたものと同じレプリカだそうです。いつも感心するフロランスの家のインテリア、ヨーロッパとシノワズリのテイストの絶妙なマリアージュ、そして落ち着いたモノトーンを基調に上手にアクセントの赤やグリーンを入れて、しかも整然と片づけられています。二人の男の子がいる家庭とは思えません。
本日のメニュー:
– Clafoutis aux raisins blancs (ホワイトグレープのクラフティ)
– Tartare de Pommes et sa génoise de Marron(りんごのタルタル、マロンのジェノワーズ)

まずジェノワーズからスタート。バター、砂糖、卵、小麦粉、ベーキングパウダー、塩を加え混ぜてスポンジの生地を作ります。フードプロセッサーを使わずに手作業となると、混ぜるのはかなりの力仕事。ボールを誰かが抑えて二人がかりでヨイショヨイショ。練り上げた生地を流す型がステキです。長さと幅が伸縮自在の箱型で、仕切りを入れると同時に二種類のものがオーブンで焼いたり、蒸したりできてしまいます。残念ながらドイツ製。インターネットからなら買えるかもしれませんが。これをオーブンで10分ほど焼きます。少し冷ましてから、セルクルで丸く型ぬきします。厚さが均等に焼けなくても大丈夫。型抜きした残りから切り出して、足りない部分にはめ込んで高さを揃えます。ぬりつけるマロンクリームは、市販のものでもOKですが、甘味を抑えたい場合には生のむき栗を水と砂糖とバニラエッセンスを加えたシロップで煮て、ミキサーにかけてピューレ状にしたものを使います。このときシロップは少し取り置き、ラム酒も加えて、焼き上がったジェノワーズの表面にたっぷりと塗り付けます。マロンクリームを塗った上に、やはりシロップをくぐらせたりんごのスライスを並べ、その上にマロンクリームをクネルの形にしてのせます。そこへ薄焼きのビスケットなどをさして飾れば出来上がり。今回はイチゴのクリーソースとチョコレートソースで銘々がデコレーション。前回習ったラングドシャの丸型のものにカカオパウダーをかけて添えます。マロンクリームのほっこりとした甘さとかすかな酸味のあるりんごのシャキシャキとした歯ごたえ。ジェノワーズのふわふわとしたやさしさ。カリカリのビスケット。何層にも楽しめる実り豊かな味わいの一品です。

次にクラフティ。これはとても簡単でおしゃれなデザートです。卵、砂糖、コーンスターチをよく混ぜ合わせ、そのあと小麦粉、アーモンドパウダー、溶かしバター、塩、バニラエッセンスを順次加えてよく混ぜ合わせ、最後にミルクを加えてなめらかな生地にします。今回は銘々用の小さなラムカン型を使いましたが、大きな角皿で焼いて銘々用に切り分けてもいいそうです。型の底に小さくカットしたマスカットを並べ、その上から生地を流し込み、最後にアーモンドスライスを散らして、オーブンで25~30分ほどやけば出来上がり。かなり膨らむので、型の縁ギリギリまで生地を注がないのがコツです。せっかくフロランスが「このくらいの量を入れてね。」と見本をみせてくれたのに、悲しいかな、主婦の性(さが)。ボールに残った生地を「もったいないから入れましょっ!」と皆ですべての型になみなみと…結果、焼き上がったクラフティのいくつかは噴火して溶岩が流れ出した火山状態に…。残念!!そんな一部惨状にも穏やかなフロランスは平然としたものです。公平に平等にとこっちの型が少ない、あっちの型にももう少し、とヤンヤンやっている生徒たちを見て、「これは日本人だわね!きっちりとね!」と失笑。このクラフティは温かくても冷たくてもおいしくいただけるそうです。アーモンドパウダーがはいっているからでしょうか、こっくりとしたやさしい甘さが引き立ちます。スプーンが底にあたるとレーズンのシャキシャキとした爽やかな食感が加わります。簡単ながら、美味!!
次回はクリスマスの伝統菓子、Bûche de Noël(ビュッシュ・ド・ノエル)とFruits déguisés(フルイ・デギゼ)を習います。Fruits Déguisésは、ドライフルーツや砂糖漬けのフルーツを、いろいろな色に染めたマジパンで包んだお菓子です。形も丸いものから、野菜やフルーツ、魚などいろいろな形があります。クリスマスシーズンのコーヒータイムにつまむ楽しいお菓子です。詳細はサイトの講座案内からご覧ください。初めての方もどうぞ素敵なフロランスと彼女のリビング、そして匂いだけでもハッピーになれる菓子レッスンにどうぞお越しください。

また、今回フロランスのチョコレートを購入いたしました。5種類のチョコが200g入ったボックスが1800円。チリ入りのトリュフなども後味がピリッとしておもしろいです。個人的にはラムレーズンのトリュフが気に入りました。

菓子サロン

フランス菓子サロン:講座のご報告(2013年9月28日)

10月 1st, 2013
フランス菓子サロン:講座のご報告(2013年9月28日) はコメントを受け付けていません

中国で集めた思い出の品々のコーナー

お勤めの方にとって平日のサロンはなかなか参加が難しいものです。そこで今回はフロランスにお願いして土曜日の午後にレッスンを組んでもらいました。「今日はご家族は?」とたずねたら、「主人と母は友達と外で食事をしている」「下の息子はでかけているし、上の息子ももうじき出かける」そうです。何とフランスからお母様がいらしていたのですね。恐縮!!このご家庭でもやはり居残っていた息子さんがちゃんとキッチンへ現れて日本人マダムの生徒さんたちにご挨拶。「一緒にママのおいしいお菓子が食べられなくて残念!!」と言うと、「いえいえ、だいじょうぶ。Bonne chance ! ( うまくいくといいですね!頑張って!)」と言いながら、出かけて行きました。それはプロの腕を持つママのレッスンですから、失敗するはずがないですよ!!レッスンもたけなわの頃、にわかに賑やかな男性たちの声がして、ご主人様たちがご帰還。二人の男性がキッチンに入ってきて、「これはすごい!みんなフランス語が話せるの!?」「どこでフランス語を習ったのか?」などなどレッスンそっちのけで質問攻めに。フロランスにビズをした男性がてっきりご主人かと思ったら、離れて立っていた男性が「僕が夫、あれは彼女のamant(愛人)だよ。」と答えます。しばらくレッスンをかきまわしてから、リビングへ移動する彼らに「ごいっしょにお菓子をいかが?」と声をかけると、ご主人のお友達のほうが「いやいや、遠慮しておくよ。歯医者に行かなきゃならなくなるからね!」と言ってカラカラ笑いながら去って行きました。本当に賑やか!このような珍客に日本人マダムたちはただ呆然としていたわけではありません。粛々と作業は続行いたしました。

さてさて、本日習ったお菓子は次の3品です。

Moelleux aux Marrons:(モエル・オ・マロン)これはとても簡単でおいしいお菓子です。栗のクリーム、卵、溶かしバターを混ぜ合わせて小さいタルト型に流し込んでオーブンで10分ほど焼けば出来上がり。冷蔵庫で少し冷ましておいて、いただくときに湯煎で溶かしたチョコレートソースでデコレーションし、バニラアイスとラングドゥシャのビスケットも添え、最後にカカオパウダーを芸術的に振りかけて完成です。ほどよい甘さの栗のクリームで作られたスポンジはふわふわでしかもしっとりしています。今回はバニラアイスを添えましたが、フランスではマロン入りのバニラアイスを使うこともあるそうです。

Langues de chat(ラングドゥシャ:「猫の舌」という意味)バターと砂糖を混ぜ合わせてから、軽く泡立てた卵白も加え、バターと小麦粉も入れてよく混ぜ、絞り袋に入れて、何回も洗って使えるという特殊なシートに適当な大きさに絞り出していきます。参加者それぞれが少しずつ作った形は長さ、太さが若干まちまちになりましたが、オーブンで焼くと広がって、確かに縁がうっすら焦げ目のついたラングドゥシャになりました。

Petits babas cacaotés et oranges fraîches:(カカオ風味のプチババとフレッシュオレンジ)ババとは蛇の目型で焼いたケーキのこと。小麦粉、カカオパウダー、砂糖、ベーキングパウダーを混ぜて、そこへ卵とミルクを溶き混ぜた液を流し込んで混ぜ合わせます。ババの型の内側にしっかりバターを塗り付けるのがポイントです。そうでないと、オーブンで焼いて冷ましたあと、型からはずすときケーキが型の側面にくっついてしまって、「あばた面」のババになってしまいます。焼き上がったババにはたっぷりとシロップをかけます。

Sirop : (シロップ)オレンジのしぼり汁と、水、砂糖、シナモンスティックを鍋に入れて弱火で10分ほど煮て、3/4程度まで煮詰めます。最後にブラウンラムも加えます。深めの皿にババをのせ、冷やしておいたシロップをたっぷりかけます。スライスしたオレンジで飾り、最後に粉砂糖を皿全体にふりかけて完成。ラムのシロップをたっぷり吸いこんだババのカカオ風味がオレンジと絶妙な取り合わせです。

★ フランス菓子作りの豆知識:

moelleux:(モエル)ふんわりしっとりしたスポンジ生地の呼び名だそうです。
tapoter: (タポテ)とんとんと軽く叩く。ババの生地を型に入れてから、このタポテをきちんとすると空気がぬけて表面がきれいに焼けるそうです。菓子以外でも「おしりをtapoter」などと言うそうです。
peler à vif:(プレ アヴィフ)オレンジなどのスライスをするとき、皮をきれいに取り除いて果肉だけにすること。

 

菓子サロン

フランス菓子サロン:講座のご報告(2013年6月13日)

6月 21st, 2013
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連日のカラ梅雨で夏の水が心配され始めていましたが、台風の接近で本日は待望(?)の雨。時折雨脚が強くなる中、白金台のフロランスの自宅にスイーツ大好き女子が集まりました。レッスンの始まる前から、リビングやキッチンの素敵なインテリアに皆さま興味津々。鳥のいない藤製の鳥かごの中には藍染のきれいな水用の陶器が3つほどかけられています。となりには朱色のとんがり帽子を思わせる収納箱。その上の壁には様々な筆が絵画のように並んだ巨大写真。シノワズリコーナーという感じです。反対側の出窓には大きな帆船。こちらはスエーデンのお友達からのプレゼントだとか。やっとリビングからキッチンへたどり着いたと思ったらまたもや気になるものがたくさん目にとまります。まず出窓の下に置かれたスパイスラック。下に回転盤を置いているので、くるくる回ってとても便利そう。キッチンの隣の部屋に通じるガラス戸に下げられた「Laundry 」と書かれた木製のボードには小さな靴下が吊るされています。お子さんが赤ちゃんだったときに使っていたものだそうです。思い出の品を捨てずに上手にインテリア小物に再利用しています。さてさて、今度こそレッスン開始です。

必要な材料は事前にすべて計量され、カウンターに並べられています。「誰から始める?」と、フロランス。とにかく自分でやってみる、というのが彼女の主義のようです。冷やす時間の都合上、まずはVerrine de crème au citron et son crumble au chocolat (レモンクリームのヴェリーヌ、チョコレートクランブル)のレモンクリームから始めます。レモンの皮をすりおろし、レモン汁、砂糖、コーンスターチを鍋に入れて火にかけてゆっくり混ぜていきます。途中で卵を混ぜいれてとろみがついたらガラスの容器(ヴェリーヌ)に均等に分けいれて冷蔵庫で冷やしておきます。次にチョコレートクランブルを作ります。アーモンドパウダー、砂糖、バター、小麦粉、カカオパウダーをミキサーにいれて撹拌します。それをバッドに広げ、オーブンで焼きます。途中何回か出してかき混ぜると、ボソボソとしたクランブルの出来上がりです。冷ましている間にマスカルポーネに砂糖をいれてよく混ぜ合わせます。これを冷やしておいたレモンクリームの上に少量のせて、その上からクランブルを散らせば完成です。

次はTartelettes frangipane aux fraises(イチゴとフランジパヌのタルトレット)に挑戦。タルトレットは小型のタルトのことです。フランジパヌはアーモンドクリームです。まず、小麦粉、アーモンドパウダー、卵、砂糖、バター、塩を混ぜてタルト生地をつくります。ボール状にまとめて冷蔵庫で1時間ほどねかせます。レッスンではすでにねかせておいた生地を使って銘々が麺棒でのばして、型に敷きこむ練習をしました。作業台は、打ち粉で真っ白になり、四方八方から麺棒で生地をのばす腕・腕・腕…

フロランスが一つ見本を作ってくれましたが、さすがプロです。厚さは均等でぴったりと型に敷きこまれています。アーモンドクリームは、アーモンドパウダー、砂糖、バター、卵、生クリームで作ります。お気づきのことと思いますが、すごいカロリーです。生地にもクリームにもバターとアーモンドパウダー、砂糖がどっさり使われます。タルトレットにこのクリームを注ぎいれたら、オーブンできつね色に焼き上げます。飾りにイチゴをのせて上から粉砂糖を振りかけて出来上がりです。今回はイチゴをつかいましたが、他にはフランボワーズ、パイナップル、キーウイなどでもいいそうです。また、大きなタルトにして、いろいろな種類のフルーツをのせてもきれいです。さらにイチゴのクリーを作ります。イチゴと砂糖、水を合わせて沸騰させてしばらく煮たら、冷ましてミキサーにかけます。イチゴのつぶつぶをふるいにかけて取り除き、滑らかなクリーにします。大きな四角形の白い皿に、各自がタルトを載せて、クリーでデコレーションに挑戦します。そしていよいよ食卓へ移動して試食タイムです。

レモンクリームはレモンの風味が際立っています。チョコレートクランブルの食感と滑らかなクリームを交互に楽しみます。タルトレットは、フランジパヌの甘くてリッチな味にイチゴの酸味がとてもよく合います。ヴェリーヌもタルトレットも日本人の感覚の1.5倍の量で、2つのお菓子をいただいたらすっかり満腹。夕飯はパスしなければ大変なことに…。当のフロランスは、どうしたことかお菓子を一切れも口にしません。「フランスへ帰るから…」とどこかで同じセリフを聞いたような。フランス人のマダムたちは、本当にフランスへ帰ったらおいしいものをたっぷりいただくつもりなんですね。たくさん食べた後にダイエットするより、おいしいものをたくさん食べる前にダイエットするほうが精神衛生上いいかもしれませんね。

◆マダムのアドバイス:
イチゴのヘタは、洗ってからとること。洗う時にヘタを取るとイチゴが水っぽくなってしまうのね。

菓子サロン

フランス菓子サロン:講座のご報告(2013年1月28日)

2月 4th, 2013
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晴天ながら北風が冷たい昼下がり。今日はValérie(ヴァレリ)のお宅で午後からお菓子作りです。

Rochers à la noix de coco(ココナツのロシェ):
ココナツのロシェづくり
Rocherはフランス語で「岩」のこと。卵白を軽く泡立てて、たっぷりのココナツと砂糖を混ぜあわせて、あとはバッドの上に敷いたシートに「岩状」に固めて並べるだけ。でもとても柔らかい生地なので、成形が難しい。人が作っているのを「富士山」だとか「愛宕山」みたいだとかワイワイ言いながら完了。オーブンでゆっくり焼きます。焼いている間に少し広がって高さが落ちるので、間隔をあけて、エベレスト級の高さにしておくのがいいかもしれません。

フィナンシエづくり
Financiers(フィナンシエ)
Financierはフランス語で「財界人、資本家」。このお菓子の由来は諸説ありますが、パリの証券取引所を中心とした金融街で流行った菓子だからとか、長方形の形が「金塊・インゴット」に似ているからなどいろいろです。「金塊」が一番説得力あるかもしれません。金色に焼きあがった姿は確かにゴージャスです。アーモンドパウダーと砂糖をどっさり使っていますが、そんなに甘くないのはアーモンドパウダーのおかげ?でもカロリーは相当ですね。ヴァレリはアーモンドエッセンスも数滴加えます。私達がいつも食べているアーモンドはスイートアーモンドで、一方のアーモンドエッセンスは有毒性物質を含むビターアーモンドから毒性を除去し、精油加工したもの。手袋や手紙に毒を仕込んでいろいろな人を殺したという疑惑が絶えなかった16世紀のカトリーヌ・メディシスは、このアーモンドエッセンスを菓子に使うことを長く禁じていたとか。毒薬の恐ろしさを身を以て知っていたのでしょうね。今回、型は洗う手間なしの使い捨てタイプの紙製を使用。100円ショップで手に入ります。

Moelleux chocolat coeur fondant
(フワフワのショコラフォンダン)

フワフワのショコラフォンダンづくり
Fondantは「溶けた」という意味でchocolat fondant(ショコラフォンダン)は、中がしっとりしているチョコレートケーキです。卵、砂糖、アーモンドパウダー、小麦粉、バター、ブラックチョコレートを泡だて器で混ぜながら次々に投入。型に流し込んでオーブンで8〜10分焼くだけの超簡単レシピです。温かいうちにバニラアイスと一緒にいただくのがお勧めです。
キッチンだけでなくリビングにまでお菓子が焼ける甘い香りが漂っています。最近のフランス人のティータイムは、コーヒーや紅茶と一緒に今日作ったような小さなお菓子を何種類も並べて楽しむのだそうです。名付けて(Café Gourmand)―「食いしん坊のコーヒータイム」いろいろな形や色の皿にカップとお菓子を並べて、「いただきます!」。(こんなにたくさん、食べられるかな…??)という思いは杞憂でした。皆様、ペロリとたいらげていらっしゃいました。お菓子を食べて、コーヒーを飲んで、しかもおしゃべりも忙しい!!
フランスの若い人たちの就職状況から話はフランスの伝統工芸のタペストリーにまで発展します。仕事が見つからないので、若い人たちがこうした伝統工芸に戻ってきて、後継者が育ち始めているというのです。不況が生んだ幸運??タペストリーといえばゴブラン織り(Gobelins)が日本ではよく知られていますが、その他にもオビュッソン織り(Aubusson)やボベ織り(Beauvais)など歴史の古い織物があるそうです。ゴブラン織りは、パリ地区にしか工場がなかったのですが、王侯貴族の宮廷御用達だったため有名になったとか。「ヘェ〜!!」と何度思ったかしれない甘くて豊かな午後の一時でした。
参加の皆様と記念撮影

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