九段下 BBQレストラン DON GAUCHO(ドン・ガウチョ)

2017年3月26日 日曜日

時は巡り今年もまた桜の季節となりました。千鳥ヶ淵、北の丸公園、靖国神社、飯田橋の土手など桜の名所が多く集まるエリアの九段下に2016年10月末にオープンした小さなレストランのご紹介です。

名前は「ドン・ガウチョ(Don Gaucho )」。昔NHKの子供向け番組「ひょっこりひょうたん島」の中に出てきたキャラクターのドンガバチョと名前が混ざってしまう方もいらっしゃいますが、「ドン・ガウチョ」の「ガウチョ」は最近の流行の「ガウチョパンツ」の「ガウチョ」でして、スペイン語でカーボーイのこと。

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アルゼンチンで育ったオーナーの思い入れが詰まったBBQレストランです。アルゼンチンでは草原のガウチョたちのみならず市井の人々も家族や友人たちとバーベキューを楽しむそうです。おもしろいのは、だれかの家に招待されたら「マイナイフ」を持参するのだとか。それくらいしょっちゅう「肉の塊をやっつける」おもてなしが多いということでしょうか。ガウチョたちのBBQは牛一頭を丸ごと草原で焼いて食べる豪快なイメージですが、一般家庭でもドカンと肉の塊や臓物などを炭火で焼いて盛大に食べているらしい。日本の肉の薄切り、野菜の串刺し、焼きそばを鉄板や網に広げて焼くBBQとは全く異なります。日本のステーキは高すぎる、量が少ない、ワインも高すぎる、安いワインはちっともおいしくない、と嘆くオーナーが、「安くて、おいしくて、十分満たされる量の肉料理」が食べられる店を日本にも開きたいという悲願の末に開店に漕ぎつけたレストランです。

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店内は21席。カウンターでワインやビールを飲むもよし。厨房の炉では炭火がカッカと燃え盛り、グリルの上の肉の脂肪が溶け落ちて炭火に落ちては香ばしい匂いを立ち昇らせます。でもグリルの上の超強力ファンのおかげで、焼き鳥屋さんの店内のように煙幕の中で人間まで燻製になるようなことはありません。炭火でじっくり焼かれた肉は余分な脂肪が落ちて、しかもジューシー。牛肉はいろいろな部位が楽しめます。でももしかしたら鶏肉が一番おいしいかも。皮はカリカリで肉の部分はしっとり柔らかく焼きあがっています。それからドン・ガウチョのもう一つのお勧めは、「チミチュリ」というアルゼンチン風ソースです。ソースといってもアメリカのBBQソースのようにドロリとした濃厚なソースではありません。岩塩やハーブを合わせて作った透明な液体です。ワインボトルを逆さに振ってコルク栓の穴から肉に向けてシャバシャバと中に入っているソースをかけていただきます。昼食の時間帯には、テーブルのあちこちで皆さんワインボトルを逆さに振ってお肉にかけて召し上がっています。中にはうっかりコルクの栓を抜いてしまって中身のハーブまでどっさりかけてしまい「Oh, My God !」状態の方も。

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夜もいろいろな肉の炭火焼きが納得のお値段でいただけます。特に「ブラセーロ」という炭火の入ったプレートにドッサリいろいろな肉がのったものは、テーブルに出されると必ず10人が10人「オーッ!」という驚きの声とともにパシャパシャとスマホで撮影という流れになります。何がいいと言ってプレートの下に炭火が仕込まれているので、たくさんの肉をゆっくり楽しんでも最後まで温かい状態でいただけること。ブラセーロのお肉は予算と希望に応じたオーダーが可能。(4~6種類の肉盛り合わせ:1人前3,000円~ 注文は2人前から)このブラセーロだけはお肉の準備があるので当日午前中までに電話で予約をいれる必要がありますが、他の肉料理はフラッと来店してもOK.人数が多ければ注文したステーキをブラセーロに入れてサービスもしてくれます。ビールで乾杯、そしてステーキはやはりワインが美味しい。ボトルでも2,000円から3,000円でとびきり美味しいものがそろっています。

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おもしろいところでは、「29」(にく:肉)という肉料理用に作られた焼酎、「94」(くし:串)という肉料理のための日本酒もあります。花見の帰りに桜色のロゼのスパークリングワインで美味しいステーキはいかが?スパイスはドン・ガウチョのwarm heart !!

お店の情報:

Don Gaucho logo

東京都千代田区九段北1-10-5 九段櫻ビル2階
電話:03-6256-9792
mail: dongaucho@nifty.com
営業時間:
ランチ :月~金  11:30~14:00
ディナー:月~土  17:30~23:00
定休日: 日曜・祝日

 

 

 

 

未分類, 神楽坂・飯田橋周辺

知ってる?知らない?フランス食品あれこれ

2016年9月13日 火曜日

最近は郊外の小さなスーパーでも輸入食品が棚に並んでいたりして、まして都会の高級食品を扱う外国人御用達のスーパーへ行けば、まるでどこか海外の店にいるかと錯覚するほどの品揃えです。「もはや日本で手に入らないものはない!!」と言いたいところですが、実際のところ「見たことも聞いたこともない」食品のほうが多いのではないかと思います。365日毎日3度の食事をとり続ける人間の食に対する旺盛な探究心、味覚の快楽への際限ない欲求が、次々と新しい味覚、食感、香りを生み出しているからです。フランスからちょっと珍しい食品をいくつかご紹介します。すでにご存知の方もあるかもしれませんが、日本ではなかなか入手できないものばかりです。

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☆ Confit d’Oignon à la Figue sèche

ドライいちじくと玉ねぎのコンフィ。材料は玉ねぎ、赤砂糖、ジュラ地方の有機シードル酢(これも見たことがありません!)、ドライいちじく、塩、コショウ、ナツメグ、クローブ。お味は甘い玉ねぎのジャムといったところ。フォワグラ、ソーセージ、肉、ラクレット、サラダ、サンドイッチ、チーズなどに合うと表示にあります。試しにゆでた豚肉のスライスにつけていただくとこれが美味!この酸味のある甘さが絶妙です。豚肉とフルーツは相性がよく、リンゴやプラムなどと一緒に料理されることもありますが、なんといってもこの瓶詰は便利です。

☆ Griottines

Griotte(グリオット)というさくらんぼうの一種の実をKirsch(キーッシュ)リキュールに漬け込んだもので、コーヒーなどと一緒に食後にいただくちょっと高級なデザートです。相当にリキュールが強いのでお酒の苦手な方には要注意ですが。フランス東部のFranche-Comté(フランシュ・コンテ)地方の有名な瓶詰です。ただ、アサヒビールがこれをオンラインショップで販売しているのを発見。ちょっと有難味が薄れましたが…。

 

 

 

☆ Bouquet Garni

ブーケガルニ、といえばフランス料理の煮込みなどのときによく使われる香辛料ですね。タイムとパセリとローリエをガーゼなどに包んでスープの中に投入…していた方もこのクノール社のブイヨンならこれを1粒投入するだけでOKです。とても便利!塩も含まれているので、調味には注意が必要です。Aさんからお土産でいただきましたが、ずっと昔からあるとのこと。知らなかったのは私だけ??

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☆ Tourteau Fromagé

トゥールト・フロマジェは、フランス東部のPoitou(ポワトゥ)地方の菓子です。真っ黒に焦げた外側にはびっくりしますが、ケーキの内側は白いフワフワのスポンジです。パイ生地に山羊チーズと卵、小麦粉、砂糖、バニラなどを混ぜたものを流し込んで焼き上げます。外側の焦げた皮はさほど苦くはなく、中のスポンジは甘さもあっさりしていて朝食にいただいてもいいような軽さだそうです。昔はボール状に底が丸くなった土器で焼いたそうですが、現在ではサラダボールを代用することもあるとか。このお菓子は伝統的に結婚式のときに作って配られていたものですが、現代でもイースターなどのイベントの会食で出てきます。またデザートや朝食、おやつとして今でもこの地方で食べられているお菓子です。この写真はIさんにいただきました。地方ごとにいろいろなおもしろい食べ物があるんですね。また珍しい食べ物があったらご紹介いたします。皆さまもフランスへ旅行に行かれたら、是非スーパーマーケットや街角のパン屋さんを覗いてみてください。そして「見たこともきいたこともない」食べ物に出会ったら是非パチリと写真をとって私たちに見せてください。お味のコメントといっしょに!!

 

フランス情報, 未分類

ワークショップ「英語でヨガ」:講座ご報告(2016年9月9日)

2016年9月11日 日曜日

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目黒区の駒場公園内にある和館でダラがヨガのワークショップを開いてくれました。駒場公園には時々散歩に来るという方もこの和館はご存知ありませんでした。洋館の裏にひっそりとたたずむ和館は、前田侯爵が外国からのお客様をもてなすために建てたというなんとも贅沢な屋敷です。この建物を管理されている職員の方が建物についてとても熱心に説明してくださいました。中でも目からウロコのお話は、「畳の部屋は座って鑑賞すべし」。
和室には欄間が設えられていることが多いですが、立ったまま次の間を眺めると、欄間で部屋全体が見渡せなくなるとのこと。「まずは座ってみてください。」と言われて座ってみると、確かに部屋全体がしっかり視界に収まります。畳の部屋は着座した状態で眺められることを想定して設計されているそうです。文化遺産を一般公開し、部屋も貸し出しするというのは驚きです。邸内の見学はしかも無料です。秋には京都の寺院に負けないくらい紅葉の素晴らしい風景が広間から眺められるとか。東京の中にこんなところがまだあったのですね。

p9092463-yoga-lessonさてダラのヨガレッスン。和室の窓を開け放って、畳の上にマットを広げ、座布団も使って座ります。ヨガでは「陰と陽」あるいは「静と動」と言葉を言い換えてもいいと思いますが、この二つをうまく組み合わせて体の血流を循環させると同時に心のバランスを整えます。背中や皮膚、体の中心を感じられるように集中します。また足裏や足の指にはいろいろな臓器につながる、いわゆるツボがあり、そこを刺激することで血流がうまく流れていくのだそうです。(足ツボマッサージと同じですね。)足裏を押して足首やひざを軽く回していくうちに、ちょっと足が軽くなったような気がします。体を床に這いつくばらせて3分間の静止、片足を反対側の足につけて立ってまた3分間。スフインクスポーズで腹ばいになりまた3分間。このような動きをいくつも行います。決して p9092467-yoga-lesson-6飛んだり跳ねたりするわけではなく、同じポーズをしばらく続けるだけなのですが、段々うっすらと汗がでてきます。これらはいわゆる「陽」のヨガ。さらにじっと座って目を閉じるか、目を開けて庭を見ます。そして周りの音、庭でさえずる小鳥の声、セミの声、建物の裏側でかすかに聞こえる話し声など、そうしたものにじっと聞き入ります。また仰向けに横たわり、静かにダラの声を聴きます。「あなたの大事な人のことを考えて…」かすかな鈴の音がすれば瞑想は終わり。このように「陰」の中では、呼吸を整p9092470-yoga-lesson-4え、心に向き合うように導かれます。2時間近く続きましたが、アッという間に過ぎていきました。いつも忙しく飛び回っている人には、たまにはこのような時間、- 自分の体に向き合い、心に問いかける時間を持つことはとてもいいことだと思います。家でも一連の動きを続けて行う習慣を持てば、体調もよくなりそうです。そもそもヨガの先生でおデブさんをみたことがありませんが、ダラもスレンダーでなんとスタイルがいいのでしょう。彼女が話す英語には優しい響きがあり、にこやかな笑顔は魅力的です。彼女のヨガの中での主張も「愛」。ダラの中に「愛」をいっぱい感じました。最後にダラが私たちにくれたテキストから。
There are two basic motivating forces: fear and love.

When we are afraid, we pull back from life.

When we are in love, we open to all that life has to offer.

with passion, excitement, and acceptance.

We need to learn to love ourselves first,

in all our  glory and our imperfections.

If we cannot love ourselves, we cannot fully open

to our ability to love others or our potential to create.

Evolution and all hopes for a better world rest in the

fearlessness and  open-hearted vision of people who embrace life. ~John Lennon

カルチャーサロン, カルチャー講座, 英語

料理サロン:講座ご報告(2016年6月17日)

2016年7月15日 金曜日

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バカンス前の最後の料理レッスンです。今日のメニューにふさわしい暑い一日、日差しはすでに真夏のような強さです。まずはリビングでベランジェールと参加者の皆さまで記念写真をパチリ。今日のテーブルをご覧ください。深いブルーのランチョンマットにオレンジのナプキンが並んでいます。その奥のリビングのソファーの赤とオレンジ色の椅子やサイドテーブルも見事に調和しています。なかなか思いつかない色の組み合わせですが、オレンジ色の絶妙な配合がおしゃれです。フランス人のリビングのこうした色使いは本当に勉強になります。

chaise et coussin (2)

また、アンティクなデザインの椅子にこんなかわいいクッション。キチント感の中にこんな遊びをいれることでインテリアはぐっとポップな感じになります。上品さも失っていないところが素晴らしいですね。さて本日のメニューです。

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Gaspacho Yaourt-Concombre à la Menthe, garniture croquante

(きゅうりとヨーグルトのガスパチョ、ミント風味、歯ごたえのあるガルニチュール添え)

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きゅうりとアボカドをベースにニンニクとしょうがも加え、ミント、ヨーグルト、ミルクを混ぜ入れて一気にミキサーにかけます。塩こしょうで味を調えて、最後にレモン汁とオリーブオイルを加えてよく混ぜ合わせて冷たく冷やしておきます。

 

 

P6172426 garniture au fond du bol de soupe容器の底にりんごときゅうりの小さな角切り(5mmくらい)を敷き、ガスパチョを流しいれて、最後に同じくりんごときゅうりの角切りをトッピングしてオリーブオイルを一筋流して出来上がり。ミントの香りがさわやかな、さっぱりとした冷製スープです。きゅうりがたくさん手に入ったとき、是非お試しください。食欲がないときでもスルッといただけます。

 

 

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Carré d’Agneau, Crème d’ail

(子羊肉とガーリックソース)

 

P6172420 carre d'agneauラムの骨付き肉Côteletteの塊肉をフランス語でcarréと言います。確かに四角形ですね。この塊肉の骨の各部分の上部に少し切り目を入れてから(こうすると後でさばきやすくなります。)フライパンにオリーブオイルとバターを入れ、肉を加えて両面をこんがり焼きます。これをオーブンバッドにのせて、オイルとバターを混ぜたものを上からまわしかけ、180℃~200℃のオーブンで15分、次に温度を150℃に下げて更に20分焼きます。アルミホイルで全体を覆って、オーブンの中で10~20分ほどねかせておきます。

P6172421 creme d'ailいただくときに各骨の部分でカットし、ガーリックソースを添えます。このガーリックソースがまた仔羊肉にとてもよく合います。鍋に生クリームとにんにく10片、塩コショウをいれて沸騰させます。そのあと火を弱火にして10~15分ほど煮て、ミキサーにかければ出来上がりです。とても簡単で、美味!!

 

 

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Tian Provençal

(プロヴァンス風ティアン)

P6172402 monter tian肉料理の付け合わせというには余りに存在感のある一品です。玉ねぎとにんにく(2~3片)のみじん切りをオリーブオイルでよく炒めます。これを耐熱容器の底にしき、その上に5mm幅の輪切りにしたトマト、ズッキーニ、なすを並べていきます。コツはこれでもかというくらいギュウギュウに詰めること。焼くと水分が出て野菜が小さくなるからです。

 

P6172410 tian avant de mettre au fourその上からオリーブオイルを回しかけ、塩こしょうを振り、パルメザンチーズ、タイム、刻んだパセリも散らします。180℃のオーブンでゆっくり1時間半から2時間焼きます。仔羊に限らず、いろいろな肉料理の付け合わせに使えそうです。しかもこのティアンのお皿をドーンと食卓においてそこから各自のお皿に取り分けたら、なかなかのパフォーマンスになります。夏野菜がたっぷりいただけて花丸のお料理!!

 

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Tarte au Citron méringuée

(メレンゲレモンタルト)

P6172394 pate de sableレモンのクリームに軽やかなメレンゲの初夏にぴったりのタルトです。ただし、生地はサブレ生地。材料はたっぷりの砂糖、バター、小麦粉、アーモンドパウダー、卵と超高カロリーです。でもサブレ生地のサクサク感は捨てがたい魅力。

 

 

 

L1190938 thermometreそして今回はイタリアンメレンゲを添えます。普通のメレンゲと違うのは、卵白を泡立てる際、シロップを加えるところ。砂糖と水を鍋に入れて118℃(ここがポイント!そのための温度計を使います。)になるまで加熱します。それを少しずつ卵白を泡立てながら加えていきます。確かに普通のメレンゲに比べて艶があります。

 

 

P6172422 pate sable demoule小さなセルクルで焼いたサブレ生地の台にレモンクリームを塗り付け、その上からメレンゲを絞り出します。バーナーで表面に焦げ色を付ければ完成です。ちょっと手間がかかりますが、それだけの価値のある素敵なデザートです。

 

 

 

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6月はフランス人を初め、東京に駐在している外国人家族には忙しい時期です。新学期が9月からの国では人事異動も多くは夏休み前になりますので、この月は離日する友人たちとの「さよならパーティー」が目白押しになります。特に金曜日の晩や週末に集中。ベランジェールもレッスンのあと、晩に呼ばれているパーテイー用にケーキを焼く準備を始めました。3時間近く立ちっぱなしでレッスンをこなした後、またもやケーキを作るとは…本当に料理が好きでなければとてもとても…。Chapeau bas (脱帽)!P6172404 dans le cours

カルチャー講座, フランス語, 料理サロン

Sortie amicale 交流会(9)深川散策 2016年6月14日

2016年7月1日 金曜日

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谷中や浅草は下町情緒あふれた町として日本人だけでなく外国人にも人気のスポット。ところが隅田川を挟んで東側に位置する深川はというと、みなさんあまりピンと来ない様子。近年はアーティストが住みついたり、ギャラリーが増えたり、アメリカ発祥のBlue Bottleという日本にまだ2店舗しかないコーヒーショップがこのエリアにあるということで少し知名度があがっていますが「や~、そこは行ったことがないですねェ。」という人がまだまだ多いのが現実。そこで今回はこの深川の魅力を探る散策を計画。6人のフランス人と5人の日本人が集まってくれました。
まず、「清澄白河」駅に集合。ここは、半蔵門線、都営大江戸線の2線が入っている上に、少し北側には都営新宿線「森下」駅、南には大江戸線と東西線の入った「門前仲町」駅があります。東側には東西線「木場」駅も徒歩圏内にあります。深川がこんなに交通の便のいい所だというのも今回知った次第です。「木場」という名前の通り、江戸時代には町を縦横に流れる運河に隅田川から木材ばかりでなくいろいろな生活必需品が入ってきて、相当な賑わいを見せていたようです。今はそんな面影はなく、日中は人通りも少なく、運河沿いのコンクリートのアパートのベランダに布団がのどかに干されている風景ばかりが目につきます。
まず清澄庭園の裏側(道路に面した通り沿い)に建つ清澄長屋を見学。清澄庭園の森を背負って建つこの古い建物は、関東大震災の後建てられ、戦時中はこの深川一体が空襲で焼かれたときも、生き残ったというツワモノ。表参道の同潤会のアパートは取り壊されてしまったけれど、こちらはまだ住人もいて何とか頑張っている様子。古いものがどんどん取り壊されてガラスやコンクリートの冷たいビルに変わっていく東京の街で、是非生き残っていてほしい建物です。

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池の松の上で私たちを迎えるアオサギ

清澄庭園ではガイドの方が待っていてくれました。(平日は要予約)やはりガイドの方の説明があるのとないのとでは全然面白さが違います。庭園の意匠など詳しく聞けて脳細胞がピチピチ騒ぐのを感じます。大きな池を中心に水辺を散策しながら、様々に変わる景観を楽しむように造園されています。庭園入口にある巨大な「つくばい」の石は黒色ですが、もともとはごま塩色の石だったとか。戦争中の空襲で焼けて黒くなってしまったそうです。火の勢いが目に浮かびます。恐ろし!!
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圧巻は「磯渡り」。池のほとりに飛び石のように並べられた巨大な石の上を渡るときです。(この清澄庭園の所有者だった三菱財閥の岩崎弥太郎はとにかく岩が大好きだったそうで、全国から珍しい岩を運ばせ、庭園のそこかしこに使用しています。中にはその岩ひとつで家が一軒たつほどの高価なものもあるそうです。)池のほとりの岩を歩いていると、すぐ足元まで巨大な鯉が口をパクパクさせて近づいてきます。亀の数も半端ではなく、二段三段に重なって甲羅干しをしているのやら、見るのもうんざりというくらいたくさんいます。中にはなんとスッポンまで岸辺に上がってきてガーッと口を開けています。

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池を半周すると、菖蒲園があります。菖蒲祭り開催中でしたが、今年はすでに見ごろを過ぎ、花もまばらでちょ残念でした。ただ、広々とした広場になっていて、桜の木もあり、春には格好のお花見スポットになりそうです。戦時中の大空襲でこの一帯は焼け野原になったそうですが、この庭園に逃げ込んだ人たちは奇跡的に戦火から逃れることができ、1万人もの人が救われたそうです。この大きな池のお陰で火の手を食い止めることができたのでしょうか。清澄庭園のボランティアガイドは土日と祝日、午前と午後に一回ずつ行われています。私たちは人数が多かったので特別平日でしたがガイドをお願いすることができました。目の前の黒く焦げたツクバイとガイドさんの説明が戦争の恐ろしさを教えてくれます。これは後世にまで伝えていかなければいけませんね。ボランティアガイドの竹内様、すばらしいガイドをありがとうございました。

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さて、そのあとは相撲部屋の集まっている深川稲荷神社周辺を少し歩きました。昼時で部屋はどこも稽古も終わり静かでしたが、時折湯あみをしたのか上半身裸のお相撲さんが外で涼んでいたり、ジャージ姿で自転車に乗ってどこかへ出かけていく姿がありました。ちゃんこを食べて全員お昼寝というわけでもないのですね。そのあと、深川江戸資料館へ回ると、なんと閉館!!月曜日が休館だとうことは調べてあったのですが、火曜日というのにしまっています。「メンテナンスのため休館」と張り紙があり大ショック。でも皆さん、「また深川にくる理由ができたから大丈夫。」「お腹がすいたからごはんにしましょ。」と優しいこと。そこで資料館近くの「釜匠」へ。

あさりと出汁がたっぷりの深川どん

あさりと出汁がたっぷりの深川どん

ここは3階まで席があり、2階と3階は畳でちょっと座り辛いながら、予約をしなくても11人が同じ部屋に入れました。もちろん、「深川めし」か「深川どん」。深川どんはあさりの出汁がきいたスープがかかっていて、生卵をかきいれながらいただきます。生卵の苦手なフランス人は皆さん、深川めしを注文。あさりの量がすごい。あさりの間からごはんがのぞいているといってもいいくらい、どっさりあさりがはいっています。しかもふっくらと炊き上がっていておいしい。ただ、ごはんの量も半端ではなく多いです。テーブルにはお漬物やラッキョウの容器が置いてあって、好きなだけいただけます。とても良心的な店です。申し訳ないことにご飯を残してしまいました。お腹一杯になりました。ごちそうさまです。店を出て、次の散策の道を相談。日本人の方々はアメリカから上陸した「Blue Bottle」へ是非行ってみたいということで、食後のコーヒーが大好きなフランス人もそろってブラブラと散歩を続行。ほとんど人が歩いていない通りを行くと、先の方にそこだけいやに人が集まっている一角が出現。細長い倉庫のような建物の奥に巨大な銀色に光る機械が鎮座しているお目当てのBlue Bottle。どこからこれほどの人が湧いてきたのかと思うほど、次から次へと人がやってきます。その割には着席できる席が少ないという印象。テイクアウトするお客さんも結構います。壁の高いところに縦長にメニューボードがありますが、表記はアルファベットだけ。冷たい飲み物…と探すとLimonadeとありますが、なんとすべてコーヒーでフレーバーのことでした。店内の巨大マシーンで焙煎をやっているのがまるで工場のようでちょっと面白い。店員さんもカウンターにずらりと並んでコーヒーを淹れています。味もおいしい。いかにもアメリカらしく、店構えからコーヒーの提供の仕方までThat is a show !という感じです。欲を言えばもう少し座ってゆっくりコーヒーを楽しめる席を増やしてほしい。バックヤードにもまだスペースがありそうでしたし…。リンクを貼っておきますので詳細はそちらからご覧になってみてください。

 

https://bluebottlecoffee.jp/cafes/kiyosumi

Blue Bottleを出て運河沿いにプラプラ歩いていくと、清澄庭園の南側に出てしまいました。つまり清澄庭園から深川江戸資料館、Blue Bottleをぐるっと回って、振出に戻ったわけです。案外コンパクトにまとまった町です。もう少し時間があれば隅田川にでて遊歩道を歩き、松尾芭蕉の史跡記念公園まで行き、芭蕉が奥の細道へと旅立ったとされる所を訪れるのも一興でしたが、そろそろフランス人マダムたちはお子様たちのスクールバス到着時間が近づいてきたので、本日はここまでとなりました。小さなエリアをじっくり4時間以上かけて散策しましたが、考えてみればいろいろな店の前で立ち止まり、歩き出してはまたハタと歩みを止めておしゃべりが始り、「牛歩」の散策でしたが、深川をディープに味わえた一日となりました。(完)

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交流会

パリの公園 Parc Floral Paris

2016年6月3日 金曜日

Parc Floral Paris

今年の5月のゴールデンウイークには、フランスへ行かれた方も多かったようです。昨年12月のテロ事件後、旅行者が激減してパリの人たちは歯ぎしりしたことでしょう。「これはテロリストの思うつぼだ」と。ですから、「是非パリへ来て!」とパリに住んでいる人たちからラブコールが頻繁に送られてきたりもしました。「日常を変えないで暮らすことが唯一の抵抗」と言っている人もいます。ですから、日本から再び少しずつながらも観光に訪れる人が増えることは喜ばしいことでしょう。Atsukoさんもその一人。ちょくちょくフランスへ出かけて行って、観光客というよりも町の中に溶け込んで住人の目線で滞在を楽しんでいるようです。今回は12区VincennesにあるParc Floral Paris(パリフラワーパーク)に行かれたそうで、写真を送ってくださいました。

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Vincennesの森はナポレオン・ボナパルトが19世紀に軍隊の演習場として使用していたものですが、ナポレオン3世が1860年にパリ市に譲渡し、パリの西16区にあるBoulogneの森と対になるように公園として整備されたそうです。広さは31ヘクタール。(新宿御苑は58ヘクタール少々ありますので規模が何となくわかりますね。)パリ市内の公園としては4番目の規模だそうで、都会の中のオアシスといったところでしょうか。この公園の造形には日本的な要素も見られるようですが、これは1964年に東京オリンピックが開かれたときに影響を受けたものだそうです。Atsukoさんが送ってきてくれた写真にも盆栽がたくさん見られます。その名前の通り、季節ごとにいろいろな花が咲きそろい、広々としたスペースではピクニックをするパリ市民も多いそうです。イベントもいろいろ開かれているようですから、石畳の散歩に飽きた向きにはこのような草木に囲まれた空間でのんびり過ごすのもいいかもしれません。最後はAtsukoさんのコメントです。

この時期、日が長いので20:00までopenです。園内には盆栽庭園?もあります。ちびっこ連れが沢山いました。フランス人をはじめ、アラブ系やアジア系の人も沢山いて、皆仲良く、テロなんてない平和を願わずにいられませんでした。

 

フランス情報

料理サロン:講座ご報告(2016年5月19日)

2016年5月29日 日曜日

P5192298 participants dans le cours今回の料理レッスンのテーマは「初夏のごちそう」。日差しが強く、木陰の風が心地よい今日のような日にぴったりのメニューです。まずは、食堂のテーブルでコーヒーや紅茶をいただきながら、レシピーの説明を聞きます。そしてエプロンをつけてキッチンへ。アリスのキッチンはさながら「子供ミュージアム」。白い棚の扉のあちこちに子供たちの作品が飾ってあります。訪れた美術館で特に印象に残ったという縞々のネコの絵、銀色に輝く山と真っ赤な太陽の絵、淡いタッチで描かかれた緑の野原とピンクの花…どれも独創的で色のタッチが素敵です。さすが芸術の国フランスの子供たち。また子供たちの作品をいつも並べて飾ってくれるママも素敵です。こんな風にしてアートを身近に感じる教育がさりげなく日々行われているんですね。そして私たちは「味覚のアート」に取り組み開始です。

P5192323 soupe froide ourgette et menthe

Soupe froide Courgette et Menthe ( Gazpacho )

ズッキーニとミントの冷たいスープ(ガスパチョ)

前回のビーツのヴェリーヌ同様、とても簡単です。さっとゆでたズッキーニとヨーグルト、ミント、クミン、オリーブオイル、塩、コショウをミキサーにかけてまぜるだけ。冷たく冷やして、いただく直前にズッキーニの薄い輪切りとミントの葉を飾り、固く泡立てた生クリームを添えていただきます。ミントが爽やかなスープというよりムースをいただいているような舌触りです。

 

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Paëlla verte aux Légumes

グリーン野菜のパエリャ

パエリャといえばスペイン料理ですが、このパエリャにはどっさり野菜がはいります。野菜とシーフードの間からお米が見える、という感じです。オーブンで焼かないところも簡単でいいかもしれません。つぶしたにんにくとみじん切りにした玉ねぎをオリーブオイルと一緒に大きなパエリャ用フライパンで炒めます。そこへグリーンの野菜を投入。アスパラガズ、インゲン、グリーンピース、絹さやも一緒に焦がさないようにかき混ぜながら4~5分炒めます。次に米(タイライス)300gも加えて炒め、熱湯をひたひたに注いで、パプリカ、サフラン(今日はターメリックを使用。日本のサフランは高すぎるとアリスはこぼしていました…)、塩で調味してさらに5分煮ます。次に解凍しておいたシーフードを入れてまた5分加熱します。米がやわらかくなったら干しブドウも一掴み加えて火を止めます。その間に鶏肉にエルブプロヴァンスを振りかけてオーブンで焼いておきます。パエリャの上にチキンを並べます。冷めてしまったらオーブンで少し温めてからいただきましょう。

 

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Crumble Pomme Rhubarbe ( sans gluten )

りんごとルバーブのクランブル (グルテンなし)

これは小麦アレルギーの人でも食べられるグルテンを使わないレシピーです。ルバーブは冷凍のものを使います。(フレッッシュなものがあればベストですが、なかなか手に入りにくいですね。)解凍したら鍋に砂糖と一緒に弱火にかけます。リンゴは皮をむいて種と芯をとり、薄切りにして、さらに小さくカットしてルバーブの鍋に加え3分ほど煮ます。耐熱容器に詰めて(半分の高さくらいまで)シナモンをふりかけておきます。次にクランブルを作ります。通常は小麦粉120gですが、今日はその代わりに米粉60gとアーモンドパウダー60gを合わせて使います。そこへ砂糖40g(ブラウンシュガー)、室温に戻したバター100g、ココナツパウダー80gを混ぜて、指の先を使って生地がパラパラの粒上になるようにします。これを耐熱容器のフルーツの上にかけます。レモン汁を数滴ずつ容器のクランブルの上からかけて、180℃に温めておいたオーブンにいれて25分ほど焼きます。クランブルがきつね色に焼けて、カリッとしたら出来上がりです。冷たく冷やしておいて、いただくときに固く泡立てた生クリームか、バニラアイスを添えていただきます。甘酸っぱいリンゴとルバーブのしっとり感と、クランブルのカリカリとした感触がおもしろく、ココナツの風味も楽しめます。簡単に作れて、おいしく、クランブルをスプーンですくって口にいれたときの新食感とその下から顔を出すフルーツの味をしっかりと確認する楽しみがあります。フルーツは季節のものならいろいろ応用がきくそうですから、是非他のフルーツでもお試しください。お薦めです!!

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カットしたルバーブ

P5192319 pate de crumble

クランブルの生地

P5192316 taille de pommes

リンゴは薄く切りカットする

 

今回も食卓では、お義父様のワイナリーの赤をいただきます。例のCôte de Brouillyです。ボージョレー地方のワインとしてはボージョレーヌーヴP5192325 cote de Brouillyォーが日本では有名ですが、フランス人にすれば、何であんな若いワインが人気なんだろうと不思議だそうです。それに対してこのコート・ブルイは同じGamay(ガメ/ガメイ)という品種のブドウで作られているのですが、タンニンが少なくライトボディながら、味に深みがあります。アリスはうっかりして、ワインの栓を抜いてchambré(シャンブレ:室温にしておく)するのを忘れていたと残念がっていましたが、確かに一杯目より二杯目の方が味に更に深みが増したように思います。カベルネ・ソビニョンやメルロ、ピノ・ノワールなどはよく耳にする品種ですが、ボージョレーワインがガメという品種で作られているとは今日初めて知りました。ちなみに正式な名称は、Gamay Noir à Jus Blanc (白い果汁を持った黒い果皮のガメ)というそうです。

 

また参加者のお一人のご家族の方が立ち上げたNPOの話になり、そのNPO団体ACE(エース)の活動についてうかがいました。世界の子供を児童労働から守るためにいろいろな取り組みをしているのですが、そのひとつに私たちが大好きなチョコレートがあります。チョコレートの原料となるカカオ豆は、日本に輸入されている7割がガーナ産だそうです。そのガーナでは子供たちが学校にも通えず、過酷な労働条件の中で生産に携わっているそうです。このように子供たちを搾取して安く調達したカカオがチョコレートとして店頭に並ぶのです。フェアートレードという言葉を耳にしたことがあると思いますが、(フランス語ではcommerce équitable というらしいですが)これをACEが日本の菓子メーカーと共同で取り組んでいるというのです。それが森永製菓の「ダース」チョコレート。私たちがこのダースを買うと、その価格の一部がこうした労働に苦しむ子供たちのための基金になるのだそうです。NPO活動もボランティアも興味はあるけれど飛び込む勇気がなかなかね…という方は多いと思います。でも誰でもできるのですね。ちょっとしたお手伝いなら。いつものチョコレートをやめて、今日はダースをスーパーのかごに入れてみてはどうでしょう?このNPOの活動にご興味がある方は以下にそのサイトのリンクを貼っておきますのでご覧になってみてください。まだまだほかにもいろいろな活動があります。…つまりたくさんの児童労働問題があるということですが。

http://acejapan.org/about/message

P5192324 porte couteau avec un petit elephant

象の飾りのナイフ置き

P5192326 serviette

パリ満載のナプキン

P5192305 dans la cuisine

キッチンで

 

 

 

 

カルチャー講座, フランス語, 料理サロン

おフランス的花見

2016年4月18日 月曜日

九州熊本と大分が深刻な地震災害に見舞われていることは世界中のメディアが伝えているようで、昨年夏に帰国したマリ先生からもお見舞いのメールが届きました。

なぜか2011年の東北大震災も桜の花の時期でした。今回も桜の開花が日本列島を北上している最中に起こりました。そのためではないでしょうが、マリ先生が一緒に送ってきた写真もフランスのお花見。

photo par Marie

photo par Marie

パリ近郊のParc de Sceaux(ソー公園)は八重桜がまるで日本の桜のように密集して植えられているので有名らしいです。写真を見るとまだ五分咲きですが、ソー公園のウィキペディアを見ると満開の様子はかなりインパクトがあります。座っている人もいますが、立っておしゃべりに花を咲かせているグループも多い。座っている人たちはというと、スナックの袋にミネラルウォーターのボトルが転がっていたり、静かに紙コップでお茶らしきものを飲んでいるグループも。お弁当らしきタッパーが数段並んでいるグループもありますが、日本の上野公園や代々木公園のような「音」を感じない、静かな花見風景です。桜の木に横断幕がかかっていますが、「LES  TANUKI   A L’OUEST 日本」と読めます。これは?とインターネットで検索したところ、フランスの日本文化を愛する非営利団体の名前らしいです。フェースブックにソー公園でお花見をするイベントの告知が載っていました。「オベントウも持って来たらこれぞ日本のお花見」といった文も見られます。今、ヨーロッパ、とくにフランスでは日本文化がとても流行しているとよく聞きますが、納得させられる内容です。FBではお花見のときのベントウの写真もたくさんのっています。

https://www.facebook.com/Les-Tanuki-à-lOuest-651047488265349/

またこのページでは

pour les nostalgiques du bento dans le train …..c’est le moment (駅弁にノスタルジックを感じる人達に…今でしょ!)という投稿といっしょにおもしろい情報が掲載されていました。

「2016年3月1日からパリのリヨン駅で日本のJRが東京駅で販売しているものと同じ弁当を売り出す」

期間限定らしいですが、パリで駅弁の需要が見込まれるということですね。

photo par Marie

photo par Marie

なんだか嬉しいですね。ついこの前までは日本人の片思い的なフランス熱が目立ちましたが、今やそれに劣らずフランス人の日本文化に向ける視線の熱いこと。やっと「相思相愛」になれたでしょうか??

最後にソー公園の八重桜にも負けない、雅な桜、「白妙(しろたえ)」のアップでおフランス的花見にエールを送りま~す。

IMG_3908

photo par Sachiko

フランス情報

料理サロン:講座ご報告(2016年4月8日)  

2016年4月16日 土曜日

P4082240 cuisine de Berengere桜の花もこれで散ってしまうかと心配した雨の翌日、ぴかぴかの鏡のような青空が広がりました。桜の花びらはそこかしこにうっすらと散ってはいるものの、枝にはまだ7分ほど咲き残っていて、その健気さにちょっと嬉しさがこみ上げてきます。しかも今日はベランジェールの料理レッスン。朝からメニューを考えるだけで「お腹のムシ」が大合唱。いつものようにキッチンはこれからの「切る、混ぜる、炒める、焼く」といった戦いを前に、食材、道具が整然と並んでそのときを待っています。On y va ! (じゃ始めましょう!)というベランジェールの掛け声とともに彼女のキッチンは温かな湯気をたて、フードプロセッサの高速回転の音と一緒に胃の腑を刺激する美味しそうな匂いが漂います。さあ、本日のメニューです。

 

P4082282 salade epinard

Salade d’Epinards et Vinaigrette chaude à l’ail

ほうれん草のサラダ、ガーリックのホットドレッシング

ベストはベビースピナッチですが、今回はふつうのほうれん草の柔らかくて小ぶりの葉

ホットドレッシング

ホットドレッシング

を選んでよく洗い、水気を切っておきます。そして熱々のドレッシングを作ります。オリーブオイルを鍋に入れて火にかけ、温まったら細かくみじん切りにしたニンニクを加えて少し色づくまで更に加熱します。ドライトマト、ケイパー、ブラックオリーブ、レモン汁、タイム、コショウを加えさらに1分加熱したら、この熱々のドレッシングをほうれん草の上からかけます。カリカリに焼いたパンにナスのキャビアをのせてサラダに添えたら出来上がりです。超簡単レシピーながら、彩りといい、にんにくの香りとオリーブやケイパーの酸味と塩味にほうれん草の独特の食感が相まって、目からうろこの美味しさです。ポパイのようにモリモリいただきました。

P4082290 blanquette au riz

Blanquette de Poulet aux LégumesPrintaniers

チキンと春野菜のブランケット

このブランケットはBlanc(白)を語源とする、白いソースのことです。大きな鍋にオリーブオイルを少々注P4082253 legumes pour blanquetteぎ、そこへセロリ、にんじん、玉ねぎ、ポワロ(長ネギ)を加えて焦がさないようにきをつけながら5分炒めます。次に一口大に切った鶏もも肉(皮の部分は取り除く)も加えてさらに5分炒めます。水をひたひたに注ぎ入れ、ブイヨンキューブ、ニンニク、グローブ、タイム、ローリエの葉、塩、コショウも加えて、フタをして時々かき混ぜながら弱火で煮込みます。別の鍋に四つ切りにしたマッシュルーム、レモン汁、バター、塩コショウを入れ、ひたひたに水を注ぎ入れて15分ほど煮込みまP4082259 champignons pour blanquetteす。レモン汁を入れて煮ることでマッシュルームの白色をたもてるようです。火が通った鶏肉と野菜(にんじん、長ネギ、玉ねぎ)を取り出し、ブイヨンはこしておきます。別鍋でバターを溶かし、一気に小麦粉を加えて混ぜ合わせ、ブイヨンを少しずつ加えてのばします。全体にとろみがついてきたら、生クリームと卵黄1個を合わせたものをソースに混ぜ入れます。レモン汁少々も加えます。肉と野菜にソースを注ぎ入れ、マッシュルーP4082277 sauce de blanquetteムも加えます。炊いた白米(タイライス)を付け合わせていただきます。野菜の旨味がベースになったブランケットソース、バターや生クリームを使っているのにとても軽やかです。こういうのを深い味わいというのでしょうか。付け合わせの米にソースがしっかりとからんで美味しいのですが、バゲットでソースをすくっていただくと、パンの塩味が加わるからでしょうか、また違った美味しさになります。ブランケットソースなら子供も喜びそうです。

 

P4082295 baba au rhum a l'ananas

Baba au Rhum à l’Ananas

ババオラム、パイナップル添え

Babaはポーランド語でスポンジケーキのこと。19世紀にポーランド人の菓子職人がパリに「オ・ババ」という店を開き、そこで販売されたラム酒風味のシロップに浸したケーキが現在のババオラムのルーツだとか。1P4082247 pate de baba au rhum8世紀にポーランドの王様が「千夜一夜物語」の主人公アリ・ババにちなんでこのスポンジケーキを「ババ」と名付けた、という説もあるようですが真偽のほどはわかりません。温めたミルクに小麦粉とイースト、卵、塩少々、砂糖を加えてよく混ぜ合わせます。全体がよく混ざり合って弾力が出てきたら、室温で柔らかくしておいたバターを少しずつ加え混ぜます。ババの型(プリン型のようなものでも可)に半分ほど流しいれて、温かい場所で1時間ほど発酵させます。170℃のオーブP4082273 baba trempe dans le siropンで25~30分焼きます。その間にシロップを作ります。水に砂糖、割いたバニラビーンズ、干しブドウを合わせて火にかけます。皮をとり、一口大にカットしたパイナップルも加えて10分ほど煮たらパイナップルは取り出しておきます。次にシロップにラム酒をたっぷり(!)150cc加えて火を強め沸騰させます。ババを型から外し、深皿に並べて上からラム酒のシロップを回しかけて、スポンジに吸い込ませます。生クリームを固く泡立P4082271 ananas pour decoration de babaてて、よく冷やしたババにパイナップルとともに添えていただきます。ババの生地はかなり膨らみます。今回は小さなババの型に入れましたが、角形の型で作って、四角く切り分けていただいてもよさそうです。さらに大人の味にしたい場合はババの上からラム酒を振りかけていただきます。冷えた白ワインのせいか、ババオラムのせいかわかりませんが、皆さまのおしゃべりがいつも以上に弾んだのは確かです。P4082288 dejeuner ensemble (2)

カルチャー講座, フランス情報, 料理サロン

料理サロン:講座ご報告(2016年3月12日)

2016年3月19日 土曜日

P3122178 dans la cuisine今回は初登場のアリスの料理レッスンです。土曜日ということで可愛いお子さんたちもお出迎えしてくれました。全員がきちんと一回は顔を出してご挨拶…と言っても小さな坊ややお嬢ちゃんは恥ずかしそうにモジモジしていましたが、そこがまた何とも可愛いのです。レッスンの途中でフランスから出張でちょうどお帰りになったご主人様とリビングで鉢合わせ。大きな袋を何とか冷蔵庫にスペースを作って詰め込んでいらっしゃいましたが、全部チーズだそうです。参加者のどなたかがご夫婦に向かって「なんだかごきょうだいみたいによく似ていらっしゃいますね。」とおっしゃっていましたが、確かにエレガントな雰囲気の漂う素敵なカップルです。アリスがそれに答えて「似P3122181 support pour des recettesてるとしたら、私たちの鼻かしらね??」とおどけて見せるところがまたすてき。
アリスのレッスンで素晴らしいと思ったことは他にもあります。参加者銘々のためにレシピーを挟むボードと、各自の名前を書いて胸にとめる名札も準備していました。自分の胸にも「Alice」と書いた名札をつけたのが好印象。レッスンの間は、参加者全員に役割を与えて、切る、こねる、焼くなど実際に体験させています。セルクルは合羽橋に買いに行く時間がないので、フランスのクリスマスシーズンにかろうじて店に残っていたものを一つ買って持っているだけだそうで、参加者全員が使えるように、透明の使い捨てコップを上手にカットして代用品を作ってありました。なんだか料理レッスンに対する情熱がビシビシと伝わってきます。よく料理サロンのマダムたちが、「これもそれも合羽橋で買った」とおっしゃるのですが、アリスは「これもそれもダイソーよ」と百円ショップの製品を上手に利用しています。レシピー用のボードも100円ショップで購入したそうですが、赤のボードの下に可愛い小花模様が入っていてとてもおしゃれ。コーヒーや紅茶をいただきながらレシピーの説明を受けて、いざ台所へ。子供さんたちの絵が貼ってあったりして、白を基調にした明るいキッチンがホンワカとても暖かい雰囲気です。冷蔵庫に子供さんの誰かの文字で「今日はパパが帰ってくる!」とメモがありました。こんなに待たれている父親って素敵ですね。さてさて、本日は4品も作ります。

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Verrines Betterave, Pommes , Noix

ビーツとりんごとくるみのヴェリーヌ

これは嬉しくなるほど「超簡単」です。が、ビーツとクリームチーズに塩少々加えてミキサーにかけると美しい淡紫のクリームができあがります。これをベリーヌの底に敷き、その上から細かくカットしたリンゴ、小さく刻んだクルミの順に入れて、いただくときに上からコショウを挽いて散らし、いただきます。クリームチーズとビーツがこんなに合うとは知りませんでした。目にも美しく、しかもビーツは鉄分をたくさん含んでいるので、体にもとてもいいと思います。是非お試しを!!

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Salade montée au Crabe et Endives

カニのサラダモンテ、チコリ添え

フランス語でpièce montée(ピエス・モンテ)といえば、何段にも盛り上げたデコレーションケーキのことですが、ここではいろいP3122225 sauce pour la saladeろな具材を何層にもしてケーキのように作り上げるところから、モンテという言葉を使っています。製菓用のセルクルを皿の中央に置いて、まず底に缶詰のカニの身をマヨネーズと塩コショウであえて敷き詰めます。次にきれいに袋をはずして細かくカットしたグレープフルーツを敷きます。(グレープフルーツの果汁をしっかり絞ることがコツです。それをしないと出来上がりが水っぽくなります。)次にやはり細かくカットしたアボカドを敷き詰めます。この状態で食卓へ出すまで冷蔵庫で冷やしておきます。食卓へ出す直前にセルクルをはずして、チコリの葉を数枚添えます。サラダの上から挽きこしょうを振ります。生クリームにチャイブのみじん切りを加えたソースを別の容器に入れて添えます。それぞれの具材の本来の味のハーモニーを楽しむ一品です。チコリの葉にサラダをのせていただくと、チコリのほろ苦さとグレープフルーツの爽やかさ、クリーミーなアボカドとカニのコラボが何とも美味。簡単に作れるのに、お洒落。おもてなしにぴったりです。具材をいろいろ変えて楽しむこともできそうです。こちらもお勧めです!!

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Quenelles Sauce Champignons et Tomates

クネル、きのことトマトのソース

クネルは小麦粉とバター、ミルク、卵をこね合わせて作った生地を絞り袋に入れて棒状に絞り出し、熱湯でゆでて作ります。日本の「スイトン」の小麦粉のお団子とよく似ています。リヨンのスペシャリテだそうです。ゆであがったクネルを耐熱皿に並べ、その上からきのことトマトをオリーブオイルでソテーしたソースを注ぎ入れ、削ったチーズを表面に散らしてオーブンで10~15分ほど焼いて出来上がりです。パスタとも違ったモチモチとした食感のクネルにトマトソースがからみ、「マンマの料理」という美味しさです。クネル作りがちょっと大変ですが、雨に降りこめられた週末などにキッチンにこもって挑戦するのもいいですね。

P3122189 pate de quenelle P3122195 faire quenelle P3122200 quenelle cuite

 

 

 

 

 

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Blanc-Manger Coulis de Fraises

ブランマンジェ、いちごのクリソース

ミルクとコンスターチ、砂糖で作るこのブランマンンジェ、作り方は至極簡単。コンスターチをミルク少々でよく溶き混ぜ合わせ、さらに温めたミルクも注ぎ入れて、砂糖とバニラエッセンスを加えます。一部を取り置き、アーモンドエッセンスも試しましたが、こちらは「杏仁豆腐」風となりました。やはりバニラ風味がいいようです。ラムカンか小さなボールに注ぎ入れて、冷蔵庫で最低3時間冷やしておきます。イチゴのクリソースは、イチゴ200gとレモン汁半個分、20~30gの砂糖を合わせてミキサーにかけます。必要なら水を加えて調整します。最後にこしてイチゴのツブツブを取り除きます。ソースは別の容器に入れて、ブランマンジェに添えます。デコレーションは参加者各自にまかされましたので、個性的な仕上がりとなりました。メインの濃厚なトマトソースのクネルのあとのデザートとして、さっぱりとしていてのど越しのいいブランマンジェはピッタリ。イチゴのクリソースは、ヨーグルトやムースにも合いそうです。

P3122227 vin cote de Brouilly

また本日いただいたCôte de Brouillyはアリスのお義父様が作られているボージョレーワインです。ボージョレーといえば日本ではボージョレーヌーボーが有名ですが、ヌーボーはその名の通り「若い出来立ての」ワイン。同じボージョレーでもこのCôte de Brouillyは、ボルドーワインにも負けないパンチのある深い味わいのワインです。ボルドーほどにはタンニンを感じないところがいかにもボージョレーでしょうか。生産量が少ないために日本には輸出されていないとのこと。残念です。今日の料理はどれも簡単に作れて見栄えがいいので、「是非、家で試したいわ!」と参加者の皆さま。大満足の一日でした。

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フランス製の紙ナプキンもおしゃれ

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共同作業の息もピッタリ

カルチャー講座, フランス語, 料理サロン