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フランス料理教室:講座のご報告(2012年12月17日)

12月 23rd, 2012
フランス料理教室:講座のご報告(2012年12月17日) はコメントを受け付けていません

クリスマスや忘年会、正月など、友人や家族が集まる機会の多いこの時期、Yasminaにおつまみにもなる、ちょっとおしゃれな小皿料理をいくつか教えてもらいました。
まずクリスマスカラーの赤を使ったテーブルセッティングをご覧ください。赤のテーブルクロスの上に白いサテンの幅広のリボンが、まるでプレゼントのラッピングのように3本渡されています。中央には今日のデザートと同じテーマのガラスの細長い容器がオブジェとして二つ置かれています。中には金柑、胡桃、青りんご、銀色の樅の葉が詰め込まれています。それに赤いナプキンが敷かれた四角形の白いお皿が大中小。赤と白のコーディネイトが絶妙です。
食卓
今回はビュッフェなどでつまめるように、すべて1口サイズのロール状ですが、サイズを大きくすればアントレやメインディッシュにも応用がきくそうです。2時間ですべてのレシピを仕上げました。作り方は簡単ですが、それぞれにソースを工夫したり、ハーブを利かせるなど、味わいはバリエーションに富みどれも美味でした。ちなみにverrineはverre(グラス)が語源で、「小さいガラスの容器」の意味です。デザートなどにverrineを使うのが最近のフランス料理では流行のようです。

Cannelons de Courgettes au Bleu(ブルーチーズのズッキーニロール)
Cannelons de Courgettes à la crème de Crabe(かにクリームのズッキーニロール)
Fondant de Lotte au Jambon(白身魚とハムのフォンダン)
Roulés de Dinde farcis au gingembre(ジンジャー風味の七面鳥ファルシロール)
Bouchées de Thon au lard(まぐろとベーコンのブーシェ)
Verrines d’abricot au spéculos(アプリコットとスペキュロス)
Verrines à la Framboise(フランボワーズのマスカルポーネ)
料理
本日のワインはBourgogne Pinot Noir(ブルゴーニュ ピノノワール)2010年です。魚料理にも肉料理にも合う、タンニンの少ない軽やかな赤です。参考までに近年のフランスワインでは、2009年と2010年が当たり年だそうです。

記念撮影今回の料理は、伝統料理というよりは、ヌーベルキュイジーヌのジャンルになるかと思います。若いフランス人たちは、従来のソースに飽き足らず、しょうがやゴマ油など東洋の食材も取り入れて、「新味覚」に挑戦しています。ムースオショコラに「ゆず」の皮をすりおろして入れるとおいしいとYasminaは言います。「ゆず」はフランスでも人気の食材だとか。フランス人シェフの中には、日本の昆布やかつおのだしを使う人もでてきていると聞きますが、そのだしの「旨味」という日本語をフランス語で何と訳したらいいか名訳が見つからないとも。フランス人の日本文化に向ける眼差しはかなり熱いものがありますね。

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アートサロン[コラージュ]:講座のご報告(2012年12月13日)

12月 17th, 2012
アートサロン[コラージュ]:講座のご報告(2012年12月13日) はコメントを受け付けていません

今日は広尾のソフィの家で「コラージュ」の教室がありました。ソフィのリビングのバルコニーは、紅や黄の葉をつけた大きな木々に囲まれて、静かな晩秋の日差しを浴びています。北欧風の家具とアジアンテイストのインテリアが調和した室内には絵画やオブジェが並んでいてまるで美術館。

コラージュ作り手順

コラージュ??]昔、美術の時間に聞いたかもしれないけれど、なんだったかしらん?という人も多いと思います。私自身、「貼り絵?」くらいのお粗末な知識でのぞみましたが、実際にソフィの説明を聞いて、自分で[コラージュ]を体験して、そのおもしろいことにびっくり!時の経つのも忘れてカード作りに没頭することに…。

まずソフィお手製のサブレとお茶を楽しんでいるときに、ソフィが紙を一枚出してきて言いました。「順番になんでもいいからここに言葉を一つ書いてください。書いたらその部分は折って次の人には見せないで。次の人も同じように書いて隣の人に紙を回して」6人がそれぞれ書いて、最後にソフィがその紙を開くと、「河、羽、縁結び、空、amour(愛)、夜の月」と字が並びました。これがソフィいわく、「言葉のコラージュ:コラージュの詩」だとか。字でもコラージュが出来るんですね!!
コラージュは、第一次世界大戦のころに生まれたアートで、物資も不足し、苦しい生活の中で「楽しみたい」という人々の思いから生まれたアートだそうです。材料も、写真、文字、絵、絵の具、インク、デッサン…なんでもOK。唯一のルールは、「偶然性」を楽しむこと。深く考えず、好きな色、好きな絵を合わせていくうちに、思いもかけない仕上がりになる「驚き」-これがコラージュの神髄だそうです。こんな意味をなさない音の響きだけを楽しむ詩もあります。(Zimzim urallada zimzim, urullala zimzim zanzibar, zimzalla zam)

ソフィは私たちの作品をひとつひとつ写真にとりながら、「すばらしい!」「美しい!」「おもしろい!」などと褒めちぎります。そして、各作品について「この色使いがきれい」とか「素材の使い方がおもしろい」など、どこかいいところを見つけ出してコメントしていきます。フランスの学校の美術の授業では、教師は生徒に絵の描き方を指導しないと聞いたことがあります。紙と絵の具を持たせて、自分の好きなように描かせるのです。そしてきっとソフィのようにいいところを見つけてほめて、子供たちを励ますのでしょうね。こうして個性豊かな、ちょっと自信過剰なフランス人気質が培われていくのですね。
作品完成記念撮影
作品とレッスンの模様は、ソフィのサイトにもアップされています。
次回の教室では、pochoir (型紙)を使ったもう少し大きな作品に挑戦します。
http://leszas.wordpress.com

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フランス現代映画教室:講座のご報告(2012年11月29日)

12月 16th, 2012
フランス現代映画教室:講座のご報告(2012年11月29日) はコメントを受け付けていません

ミシェル・プラノ・ガルニエ今回は映画の講座です。あまり馴染みのないフランス現代映画についてミシェルに紹介してもらいました。彼女のフランス映画に対する情熱がヒシヒシと伝わってくる内容で、紹介された作品は全部で14作品(!)集まった方々も「映画大好き人間」とあって熱心に耳を傾けていました。どれも是非見たいと思う作品ばかり。日本で入手できる日本語の字幕付きDVDをたくさん紹介していただきましたが、その中からいくつかご紹介します。

講座風景
INTOUCHABLES(最強の二人)
2千万人の観客を動員した今年のメガヒット作。身体障害者で超インテリの大富豪と貧民街育ちの無教養なアフリカ移民の青年が、ひょんなことから雇い主と雇われ者の関係になり、最後には強い友情の絆で結ばれるというとても「いい」お話。しかもこれは実話。映画の最後には実際の二人の映像も流されます。欧米の金持ちというのは半端ではない!ということを見せつけられる映画でもあります。(これはまだ日本語字幕のDVDが出ていませんが、近々発売になるだろうとのことです。)
LA GUERRE EST DECLAREE (私たちの宣戦布告)
愛し合った若いカップルが結婚し、子供が生まれる。そこまではごく普通の話ですが、この子供に脳腫瘍があることが判明。そこからこの若い両親の「闘い」が始まります。シリアスなテーマですが、決して暗くない、むしろ勇気をもらえる作品です。こちらも実話です。この映画の監督で主演でもあるヴァレリー・ドンゼッリと主演男優のジェレミー・エルカイムは、かつては夫婦で、その二人の間に生まれた息子の難病が題材になっています。こちらも映画の最後のシーンでは彼らの8歳になった実際の息子が登場するそうです。このパターン、今のトレンドでしょうか?
UN SECRET(ある秘密)
こちらはミステリアスなドラマ仕立てです。あるときから両親に何か秘密があると感じ始めた子供が、だんだんとその「秘密」にたどり着くまでのお話。第二次世界大戦をはさんで話は展開していきます。この映画の見所は、モノクロとカラー画像の使い分け。過去のシーンは鮮やかなカラーで、現実はモノクロで描かれています。そうすることで監督は何を意図したのでしょう?

フランスの映画事情について:
受講者の皆様と記念撮影
フランスではすべての映画のチケット1枚につき、その料金の15%がCNC(国立映画センター)に振り分けられ、フランス映画製作の資金源として蓄えられ、フランス映画振興に使われています。(日本の映画人が聞いたら羨ましくて涙が出る話ですね。)そのおかげで、毎年150余りの映画が製作されているそうです。1週間にに2〜3本新しい映画が登場している計算です。
たくさん映画のダイジェストを見て、いろいろなことを学び、にわかに賢くなったような錯覚に頭が酔いしびれ、そろそろフランス語が美しい音楽のように聞こえ始めたころ、ミシェルお手製のリンゴタルトがふるまわれて、口の中までフランスの味で満たされました。素敵な中国のタンスの前で、記念写真をとって楽しい午後はお開きとなりました。
最後のおまけは映画用語のいろいろです。
Film décomplexé:最近のアメリカ映画の影響を受けた新しいジャンルの映画
Film choral:主役のいない、登場人物それぞれが等しく重要な役割を演じている映画
Comédie dramatique:ハッピーエンドであれ、悲劇であれ、コミックな要素を含んだ映画
Comédie sentimentale:ラブストーリーが中心の映画
Un nègre:本来は「ニグロ、黒人」の意味ですが、映画用語では「黒子」英語の「Ghost writer」の意

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フランス料理教室:講座のご報告(2012年11月27日)

12月 3rd, 2012
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10月に引続き、ヴァレリ宅にて料理教室を開きました。定員5名という小さな教室はあっという間に満席になってしまい、1日遅れで申し込めず涙をのまれた方もいらっしゃいました。(すみません!)

今回は「秋のごちそう」がテーマです。
テーブルセッティング
まずは、テーブルセッティング。秋らしい辛子色のテーブルセンターの上に菊の花とかぼちゃ。そして柿をモチーフにした和紙製のランチョンマット。
欧米では墓に菊を供える習慣がありますが、(日本も同じですね。)最近では部屋の中でも菊を飾る人達が増えてきたそうです。<Tokyo>という名前の菊も売られているそうです。

●本日のアントレ:Rillettes aux deux Saumons(2種のサーモンのリエット)
ゆでた生鮭とスモークサーモンを合わせただけの超簡単レシピです。隠し味は、ディルやシブレットなどのハーブ。チコリにのせて一緒にいただきます。パーティーのワインのおつまみにお勧めです。白の冷たく冷やしたワインといっしょに。
※本日の白ワインは、Mouton Cadet Bordeaux 2011
●メインディッシュ:Boeuf-mode aux Carrottes(牛肉と人参の煮込み)
今回は牛のもも肉をどっさりのにんじんといっしょに煮込みました。にんじんのほのかな甘みとコトコト煮込んだ肉が柔らかく、さっぱりしていて美味。付け合せのクスクスをソースと一緒にいただきます。
※本日の赤ワインは、Château Paul Mas Coteaux du Languedoc 2010
●デザート:Flognarde(フロニャード)
Limousin(リムザン)地方でしか食べられないりんごのお菓子です。卵と小麦粉、砂糖、ミルクを混ぜて、スライスしたりんごに注ぎ込んでオーブンで焼くだけのシンプルなケーーキですが、りんごのかすかな酸味と甘みが後を引きます。この地方名産のりんごを使うケーキですが、日本のゴールデン、青森の王琳は、このリムザン地方のりんごの種を交配して作られたものだそうです。また、近年日本のりんご、ふじの種がフランスに渡り、栽培され始めたとか。フランスと日本のりんごのマリアージュですね。
本日の料理

追記:朗らかなヴァレリの人柄と、大きな窓から差し込む暖かい日差しのおかげで、(ちょっぴりワインの力も加わって)会話も弾み、すっかり長居をしてしまいました。皆様、「お腹がいっぱいで、晩ごはん作りのことは考えたくないわぁ!」とおっしゃりつつ帰路につかれました。ご参加の皆様
ヴァレリは、来年1月末ごろに「お菓子レッスン」を提案しています。昼過ぎから始めて、作った数種類のお菓子はティータイムにいただく、というレッスンです。
お呼ばれしたときや、お友だちをお茶の時間にお招きするとき、お手製のケーキが披露できたらステキですね。乞うご期待!!

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