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Sortie amicale 交流会(9)深川散策 2016年6月14日

2016年7月1日 金曜日

P6142368 Etang et pavillon

谷中や浅草は下町情緒あふれた町として日本人だけでなく外国人にも人気のスポット。ところが隅田川を挟んで東側に位置する深川はというと、みなさんあまりピンと来ない様子。近年はアーティストが住みついたり、ギャラリーが増えたり、アメリカ発祥のBlue Bottleという日本にまだ2店舗しかないコーヒーショップがこのエリアにあるということで少し知名度があがっていますが「や~、そこは行ったことがないですねェ。」という人がまだまだ多いのが現実。そこで今回はこの深川の魅力を探る散策を計画。6人のフランス人と5人の日本人が集まってくれました。
まず、「清澄白河」駅に集合。ここは、半蔵門線、都営大江戸線の2線が入っている上に、少し北側には都営新宿線「森下」駅、南には大江戸線と東西線の入った「門前仲町」駅があります。東側には東西線「木場」駅も徒歩圏内にあります。深川がこんなに交通の便のいい所だというのも今回知った次第です。「木場」という名前の通り、江戸時代には町を縦横に流れる運河に隅田川から木材ばかりでなくいろいろな生活必需品が入ってきて、相当な賑わいを見せていたようです。今はそんな面影はなく、日中は人通りも少なく、運河沿いのコンクリートのアパートのベランダに布団がのどかに干されている風景ばかりが目につきます。
まず清澄庭園の裏側(道路に面した通り沿い)に建つ清澄長屋を見学。清澄庭園の森を背負って建つこの古い建物は、関東大震災の後建てられ、戦時中はこの深川一体が空襲で焼かれたときも、生き残ったというツワモノ。表参道の同潤会のアパートは取り壊されてしまったけれど、こちらはまだ住人もいて何とか頑張っている様子。古いものがどんどん取り壊されてガラスやコンクリートの冷たいビルに変わっていく東京の街で、是非生き残っていてほしい建物です。

P6142365 heron

池の松の上で私たちを迎えるアオサギ

清澄庭園ではガイドの方が待っていてくれました。(平日は要予約)やはりガイドの方の説明があるのとないのとでは全然面白さが違います。庭園の意匠など詳しく聞けて脳細胞がピチピチ騒ぐのを感じます。大きな池を中心に水辺を散策しながら、様々に変わる景観を楽しむように造園されています。庭園入口にある巨大な「つくばい」の石は黒色ですが、もともとはごま塩色の石だったとか。戦争中の空襲で焼けて黒くなってしまったそうです。火の勢いが目に浮かびます。恐ろし!!
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圧巻は「磯渡り」。池のほとりに飛び石のように並べられた巨大な石の上を渡るときです。(この清澄庭園の所有者だった三菱財閥の岩崎弥太郎はとにかく岩が大好きだったそうで、全国から珍しい岩を運ばせ、庭園のそこかしこに使用しています。中にはその岩ひとつで家が一軒たつほどの高価なものもあるそうです。)池のほとりの岩を歩いていると、すぐ足元まで巨大な鯉が口をパクパクさせて近づいてきます。亀の数も半端ではなく、二段三段に重なって甲羅干しをしているのやら、見るのもうんざりというくらいたくさんいます。中にはなんとスッポンまで岸辺に上がってきてガーッと口を開けています。

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池を半周すると、菖蒲園があります。菖蒲祭り開催中でしたが、今年はすでに見ごろを過ぎ、花もまばらでちょ残念でした。ただ、広々とした広場になっていて、桜の木もあり、春には格好のお花見スポットになりそうです。戦時中の大空襲でこの一帯は焼け野原になったそうですが、この庭園に逃げ込んだ人たちは奇跡的に戦火から逃れることができ、1万人もの人が救われたそうです。この大きな池のお陰で火の手を食い止めることができたのでしょうか。清澄庭園のボランティアガイドは土日と祝日、午前と午後に一回ずつ行われています。私たちは人数が多かったので特別平日でしたがガイドをお願いすることができました。目の前の黒く焦げたツクバイとガイドさんの説明が戦争の恐ろしさを教えてくれます。これは後世にまで伝えていかなければいけませんね。ボランティアガイドの竹内様、すばらしいガイドをありがとうございました。

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さて、そのあとは相撲部屋の集まっている深川稲荷神社周辺を少し歩きました。昼時で部屋はどこも稽古も終わり静かでしたが、時折湯あみをしたのか上半身裸のお相撲さんが外で涼んでいたり、ジャージ姿で自転車に乗ってどこかへ出かけていく姿がありました。ちゃんこを食べて全員お昼寝というわけでもないのですね。そのあと、深川江戸資料館へ回ると、なんと閉館!!月曜日が休館だとうことは調べてあったのですが、火曜日というのにしまっています。「メンテナンスのため休館」と張り紙があり大ショック。でも皆さん、「また深川にくる理由ができたから大丈夫。」「お腹がすいたからごはんにしましょ。」と優しいこと。そこで資料館近くの「釜匠」へ。

あさりと出汁がたっぷりの深川どん

あさりと出汁がたっぷりの深川どん

ここは3階まで席があり、2階と3階は畳でちょっと座り辛いながら、予約をしなくても11人が同じ部屋に入れました。もちろん、「深川めし」か「深川どん」。深川どんはあさりの出汁がきいたスープがかかっていて、生卵をかきいれながらいただきます。生卵の苦手なフランス人は皆さん、深川めしを注文。あさりの量がすごい。あさりの間からごはんがのぞいているといってもいいくらい、どっさりあさりがはいっています。しかもふっくらと炊き上がっていておいしい。ただ、ごはんの量も半端ではなく多いです。テーブルにはお漬物やラッキョウの容器が置いてあって、好きなだけいただけます。とても良心的な店です。申し訳ないことにご飯を残してしまいました。お腹一杯になりました。ごちそうさまです。店を出て、次の散策の道を相談。日本人の方々はアメリカから上陸した「Blue Bottle」へ是非行ってみたいということで、食後のコーヒーが大好きなフランス人もそろってブラブラと散歩を続行。ほとんど人が歩いていない通りを行くと、先の方にそこだけいやに人が集まっている一角が出現。細長い倉庫のような建物の奥に巨大な銀色に光る機械が鎮座しているお目当てのBlue Bottle。どこからこれほどの人が湧いてきたのかと思うほど、次から次へと人がやってきます。その割には着席できる席が少ないという印象。テイクアウトするお客さんも結構います。壁の高いところに縦長にメニューボードがありますが、表記はアルファベットだけ。冷たい飲み物…と探すとLimonadeとありますが、なんとすべてコーヒーでフレーバーのことでした。店内の巨大マシーンで焙煎をやっているのがまるで工場のようでちょっと面白い。店員さんもカウンターにずらりと並んでコーヒーを淹れています。味もおいしい。いかにもアメリカらしく、店構えからコーヒーの提供の仕方までThat is a show !という感じです。欲を言えばもう少し座ってゆっくりコーヒーを楽しめる席を増やしてほしい。バックヤードにもまだスペースがありそうでしたし…。リンクを貼っておきますので詳細はそちらからご覧になってみてください。

 

https://bluebottlecoffee.jp/cafes/kiyosumi

Blue Bottleを出て運河沿いにプラプラ歩いていくと、清澄庭園の南側に出てしまいました。つまり清澄庭園から深川江戸資料館、Blue Bottleをぐるっと回って、振出に戻ったわけです。案外コンパクトにまとまった町です。もう少し時間があれば隅田川にでて遊歩道を歩き、松尾芭蕉の史跡記念公園まで行き、芭蕉が奥の細道へと旅立ったとされる所を訪れるのも一興でしたが、そろそろフランス人マダムたちはお子様たちのスクールバス到着時間が近づいてきたので、本日はここまでとなりました。小さなエリアをじっくり4時間以上かけて散策しましたが、考えてみればいろいろな店の前で立ち止まり、歩き出してはまたハタと歩みを止めておしゃべりが始り、「牛歩」の散策でしたが、深川をディープに味わえた一日となりました。(完)

P6142385 balade dans le quartier Fukagawa

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