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料理サロン:講座ご報告(2015年9月17日)

9月 26th, 2015
料理サロン:講座ご報告(2015年9月17日) はコメントを受け付けていません

P9171876  salon et salle a manger

夏休み明けのサロンには8人もの方々が参加してくださいました。あいにく雨脚の強い悪天候ではありましたが、ひとたび家の中に入ってしまえば、こんな料理日和はありません。キッチンの大きな窓ガラスに雨の滴が当たっては流れていく向こうに、木々の緑とビル群と鈍色の雲の流れる空がまるで絵画のように控えています。キッチンのカウンターには、本日の主役の野菜と果物がこれまた静物画と見まがう静謐さで私たちを待ちうけています。リビングで全員の記念写真をとります。イタリアンテイストの色調にまとめられたおしゃれな空間には、コンタンポラリーアートの巨大なポートレートやオブジェが美術館さながらに飾られています。ぜひまねをしたいところですが、そのためにはこの広々とした空間がまず必要です。よく日本人の方がおっしゃいます。「絵は大好きなんだけど、飾るカベがないの。」そう、日本人の家は本棚、タンス、テレビ、サイドボードなど本当に家具が多いですね。大きな絵を飾るスペースがなくなるのも当然。そういえばベランジェールのリビングにはテレビが見当たりません。ソファーと椅子とテーブルの他には、棚が少々あるだけ…。すっきりしているわけです。今度テレビがどこにあるのか聞いてみなくては…。

P9171842  legumes pour la terrine

P9171843  peches

 

 

 

 

 

さて、本日のレッスンで習う料理は以下の3品です。

 

P9171888 terrine sur l'assiette

Terrine de Légumes confits(野菜のコンフィ、テリーヌ)

アントレは野菜のテリーヌ。スライスしたズッキーニは塩コショウを振ってオリーブ油をたらし、そのまま電子レンジで軽く加熱します。なすは皮をむいてさいの目にカット。オリーブ油で松の実とにんにく、玉ねぎのみじん切りを炒めたところになすも加えて炒め、水も加えてフタをして蒸し煮にして、ナスをキャビア状にします。パプリカはピーラーで薄く皮をむき、くし型にカットしたものをオリーブオイルと一緒にフライパンでしんなりするまで炒めます。パプリカの皮は、グリルやオーブンで焼いたりしてむくことが多いですが、ピーラーを使うと、パプリカ本来の美しい色をとどめることができます。次にトマトのクリソースを作ります。フライパンでみじん切りの玉ねぎを炒め、トマトの果肉を加え、塩こしょうで味を調えます。ミキサーにかけて水を加え、バルサミコ酢少々と刻んだコリアンダーを加えます。水にふやかした板ゼラチンも加えて再度加熱してゼラチンをよく溶かします。テリーヌ型の内側をラップでしっかり覆います。(型から外すときとても楽です。)型の底にまずズッキーニを切り口が平行になるように並べ、次にナス、パプリカ、トマトのクリソースという順番で重ねていきます。冷蔵庫で4時間冷やしておきます。

いただくときに型からはずし、銘々の皿にロケットサラダをしいて厚めにカットしたテリーヌをのせます。トマトソースのほのかな酸味といろいろな野菜の異なる食感が楽しめます。夏の暑さに疲れた胃袋にやさしい滋味豊かな一品です。

 

P9171898 saumon en papillote

Saumon en papillote, sauce mousseline (サーモンのパピヨット、ムスリーヌソース)

メインディッシュはサーモン。クッキングシートの上にサーモンの切り身をのせて、塩こしょうをふり、オリーブ油もまわしかけます。シートの両端をキャンディーのように絞ってタコ糸でしばります。180℃のオーブンで15~20分焼きます。魚料理はやはりソースが決め手となります。本日のムスリーヌソースは絶品です。バターを180g、卵黄3個、レモン汁一個分、塩こしょうを湯煎で混ぜ合わせます。マヨネーズくらいのとろみがついたら火からおろして固く泡立てた生クリームと合わせます。大量のバターに生クリーム、お約束のフレンチソース。たまにはこんなリッチなソースも目をつぶっていただきましょう。本当に絶品!!!

P9171902  Sabayon de peches (2)

Sabayon de Pêches (桃のサバイヨン)

 

新鮮な桃が手に入ったら是非トライしたいデザートです。桃は適当な食べやすいサイズにカットしておきます。次にソースを作ります。卵黄にレモンの皮、砂糖、バニラビーンズそして白ワインも加えます。その間絶えずしっかりと泡立て続けます。次に湯煎にかけてさらに分量が2倍か3倍に膨らむまで泡立てます。このソースを桃の上に回しかけ、ローストしたアーモンドの薄切りを散らして出来上がり。バニラの香り高い上品なサバイヨンソースは決して桃の富貴な香りを殺さず、混然とまじりあって限りなく美味。

P9171853  cours de cuisine今日は3種のソースを習いました。トマトのクリソース。泡という意味のmousse(ムース)を語源としたムスリーヌソースはその名の通り軽くてなめらか。サバイヨンソースは温かいうちに果物や菓子にかけていただきます。まさにソースに始まり、ソースで終わるフレンチコース。ベランジェールの料理は素材本来の味を大切にし、ソースは美味ながら、素材を引き立てる脇役に徹しています。みんながメインディッシュの肉や魚になることを目指している今のご時世に、肉や魚をおいしくするソースみたいな人生もあってもいいかも、と深く思うのでした。

 

 

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