料理サロン:講座ご報告(2016年4月8日)
桜の花もこれで散ってしまうかと心配した雨の翌日、ぴかぴかの鏡のような青空が広がりました。桜の花びらはそこかしこにうっすらと散ってはいるものの、枝にはまだ7分ほど咲き残っていて、その健気さにちょっと嬉しさがこみ上げてきます。しかも今日はベランジェールの料理レッスン。朝からメニューを考えるだけで「お腹のムシ」が大合唱。いつものようにキッチンはこれからの「切る、混ぜる、炒める、焼く」といった戦いを前に、食材、道具が整然と並んでそのときを待っています。On y va ! (じゃ始めましょう!)というベランジェールの掛け声とともに彼女のキッチンは温かな湯気をたて、フードプロセッサの高速回転の音と一緒に胃の腑を刺激する美味しそうな匂いが漂います。さあ、本日のメニューです。
Salade d’Epinards et Vinaigrette chaude à l’ail
ほうれん草のサラダ、ガーリックのホットドレッシング
ベストはベビースピナッチですが、今回はふつうのほうれん草の柔らかくて小ぶりの葉
を選んでよく洗い、水気を切っておきます。そして熱々のドレッシングを作ります。オリーブオイルを鍋に入れて火にかけ、温まったら細かくみじん切りにしたニンニクを加えて少し色づくまで更に加熱します。ドライトマト、ケイパー、ブラックオリーブ、レモン汁、タイム、コショウを加えさらに1分加熱したら、この熱々のドレッシングをほうれん草の上からかけます。カリカリに焼いたパンにナスのキャビアをのせてサラダに添えたら出来上がりです。超簡単レシピーながら、彩りといい、にんにくの香りとオリーブやケイパーの酸味と塩味にほうれん草の独特の食感が相まって、目からうろこの美味しさです。ポパイのようにモリモリいただきました。
Blanquette de Poulet aux LégumesPrintaniers
チキンと春野菜のブランケット
このブランケットはBlanc(白)を語源とする、白いソースのことです。大きな鍋にオリーブオイルを少々注ぎ、そこへセロリ、にんじん、玉ねぎ、ポワロ(長ネギ)を加えて焦がさないようにきをつけながら5分炒めます。次に一口大に切った鶏もも肉(皮の部分は取り除く)も加えてさらに5分炒めます。水をひたひたに注ぎ入れ、ブイヨンキューブ、ニンニク、グローブ、タイム、ローリエの葉、塩、コショウも加えて、フタをして時々かき混ぜながら弱火で煮込みます。別の鍋に四つ切りにしたマッシュルーム、レモン汁、バター、塩コショウを入れ、ひたひたに水を注ぎ入れて15分ほど煮込みます。レモン汁を入れて煮ることでマッシュルームの白色をたもてるようです。火が通った鶏肉と野菜(にんじん、長ネギ、玉ねぎ)を取り出し、ブイヨンはこしておきます。別鍋でバターを溶かし、一気に小麦粉を加えて混ぜ合わせ、ブイヨンを少しずつ加えてのばします。全体にとろみがついてきたら、生クリームと卵黄1個を合わせたものをソースに混ぜ入れます。レモン汁少々も加えます。肉と野菜にソースを注ぎ入れ、マッシュルームも加えます。炊いた白米(タイライス)を付け合わせていただきます。野菜の旨味がベースになったブランケットソース、バターや生クリームを使っているのにとても軽やかです。こういうのを深い味わいというのでしょうか。付け合わせの米にソースがしっかりとからんで美味しいのですが、バゲットでソースをすくっていただくと、パンの塩味が加わるからでしょうか、また違った美味しさになります。ブランケットソースなら子供も喜びそうです。
Baba au Rhum à l’Ananas
ババオラム、パイナップル添え
Babaはポーランド語でスポンジケーキのこと。19世紀にポーランド人の菓子職人がパリに「オ・ババ」という店を開き、そこで販売されたラム酒風味のシロップに浸したケーキが現在のババオラムのルーツだとか。18世紀にポーランドの王様が「千夜一夜物語」の主人公アリ・ババにちなんでこのスポンジケーキを「ババ」と名付けた、という説もあるようですが真偽のほどはわかりません。温めたミルクに小麦粉とイースト、卵、塩少々、砂糖を加えてよく混ぜ合わせます。全体がよく混ざり合って弾力が出てきたら、室温で柔らかくしておいたバターを少しずつ加え混ぜます。ババの型(プリン型のようなものでも可)に半分ほど流しいれて、温かい場所で1時間ほど発酵させます。170℃のオーブンで25~30分焼きます。その間にシロップを作ります。水に砂糖、割いたバニラビーンズ、干しブドウを合わせて火にかけます。皮をとり、一口大にカットしたパイナップルも加えて10分ほど煮たらパイナップルは取り出しておきます。次にシロップにラム酒をたっぷり(!)150cc加えて火を強め沸騰させます。ババを型から外し、深皿に並べて上からラム酒のシロップを回しかけて、スポンジに吸い込ませます。生クリームを固く泡立てて、よく冷やしたババにパイナップルとともに添えていただきます。ババの生地はかなり膨らみます。今回は小さなババの型に入れましたが、角形の型で作って、四角く切り分けていただいてもよさそうです。さらに大人の味にしたい場合はババの上からラム酒を振りかけていただきます。冷えた白ワインのせいか、ババオラムのせいかわかりませんが、皆さまのおしゃべりがいつも以上に弾んだのは確かです。
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