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フランス料理サロン:講座ご報告(2013年11月28日)

2013年12月1日 日曜日

 

飯田橋から市ヶ谷に続く土手の桜が紅葉したのも束の間、先日の「野分」ですっかり散ってしまいました。マリオンのリビングの大きな窓からは黒々とした枯れ枝の間から冬のようなキラキラとした青空がのぞいています。玄関入り口にも、リビングにも大きなクリスマスツリーが飾られています。そうです。今日のテーマは「エキゾティックなクリスマス料理」。本日のテーブルには、真っ赤なクロスと小さな銀色のドットが散りばめられた白色のチュールが重ねてかけられています。各皿の上には赤と緑のクリスマスカラーのかわいい靴下の形をしたサックにカトラリーが収められています。これはタイの働く女性たちを支援する団体が毎年販売するハンドメイドの小物だそうです。タイに住んでいたことのあるフランス人が東京でもネットワークを作ってこれらの販売を支援しているのだとか。フランス人の偉いところは、ボランティア精神が生活の中にしっかり根付いていることです。東北の震災のあと、フランス人のビジネスマンたちが、週末や連休などに有志を募って東北の瓦礫の片づけや、住居の掃除などに何度も出かけて行きましたが、クリスマスのテーブルの上の小物まで彼らのボランティア精神が現れています。脱帽です!!

本日のメニューは次の通りです。

–       Carpaccio de Saint-Jacques au jus de mangue et épices
(帆立貝のカルパッチョ、マンゴーとスパイス風味)
–       Blancs de Poulet farcis aux champignons
(鶏肉のきのこファルシ)
–       Les röstis (ルスティ:じゃがいもの薄切りガレット)
–       Tarte meringuée au gingembre et aux fruits de la passion
(パッションフルーツとジンジャーのメレンゲタルト)

まずアントレの帆立貝のカルパッチョ。とても簡単で本当にエキゾティックな「新味覚」。マンゴーネクターとナツメグ、シナモン、クローブの液に帆立貝を漬け込んでよく冷やしておきます。皿にスライスした帆立貝を花弁状に並べ、そこにマリネ液にライムのしぼり汁とゼラチンを加えて作ったソースをかけます。ライムの汁を加えた生クリームをかたく泡立ててクネル形にしたものを花弁中央にのせ、ライムの皮の千切りを散らし、いくらを彩りに散らせば完成です。マンゴーの酸味と甘味をまとった帆立貝のやさしい味の後からスパイスの香りが追いかけてきます。アントレにふさわしい一品。にわかに胃の腑が活動を開始します。

メインは鶏の胸肉を使ったファルシです。鶏肉をラップの上に敷いて、その上からまたラップをかぶせ、すりこぎで円形になるように薄くのばしていきます。その中央にゆでて軽くつぶしたにんじん、ズッキーニ、たまねぎ、にんにく、きのこをのせて、ソーセージ状に巻いてラップで両端をしっかり閉じ、熱湯で5分ほど煮ます。きのこはフレッシュなものでも乾燥したものでもいいそうですが、今回はTrompette de la mort ( 黒ラッパ茸)を使いました。5年前にマリオン自身が摘んで乾燥させたものだそうです。「死のラッパ」とうフランス名(確かに真っ黒のトランペットの形をしたきのこです)から、食べたがらない人もいるそうです。香りは強くなく、しゃきしゃきとした歯ごたえがあります。ゆであがったチキンロールからラップをはがし、フライパンできれいな焦げ色をつけたら完成です。これもとても簡単かつ見栄えがいい、主婦にはうれしい料理です。きのことその戻し汁でソースを作ります。細く千切りにしたじゃが芋をガレット形にまとめてフライパンで焼いたものを付け合せます。鶏肉はラップに包んでゆでることで、肉がしっとりとやわらかく仕上がります。

デザートは、パッションフルーツとジンジャー風味のメレンゲタルト。タルト生地をまず作ります。バターと小麦粉に卵黄、バニラビーンズ、塩を混ぜ合わせて最後にミルクを加えてボール状にまとめてねかせておきます。タルト型の大きさにのばして型に敷きこんだら、クッキングシートを上に敷いて、あずきを入れてオーブンで空焼きしておきます。次にクリームを作ります。卵と砂糖を加えて白っぽくなるまで混ぜ合わせたら、レモン汁、レモンのすりおろした皮、パッションフルーツ、バニラ、しょうが汁を加えて,火にかけトロミがつくまで煮ます。火からおろしてバターを加えれば出来上がり。パッションフルーツが手に入らない場合には、冷凍の果肉のピューレを使います。クリームをタルトに流し込んで冷蔵庫で冷やしておきます。最後に卵白と砂糖でメレンゲを作り、口金をつけた袋に移して、タルトの表面に絞り出して全体を覆います。バーナーできれいな焦げ目をつけたら再び冷蔵庫で直前まで冷やしておきます。パッションフルーツのほか、レモンでも同様に作れるそうです。クリームの酸味とメレンゲの甘さが口の中で溶け合い、最後にジンジャーの香りが広がります。クリスマスのごちそうの後の締めくくりにこんなさわやかなお菓子をいただくのもいいですね。

マリオンのおしゃべりが楽しくてついつい長居をしました。なんと10時半に始まって3時半!!「秋の日はつるべ落とし」。朝の澄みきった青空にも少し陰りがでてきました。これは大変、フレンチの異空間から一気に現実に引き戻されたマダム達は、そそくさと家路を急ぐのでありました。

Cotes de Rhone 2004

フランス乾燥きのこ

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