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アートサロン「ガエラの帽子サロン」:講座ご報告(2013年12月4日)

2013年12月5日 木曜日

Modiste(モーディスト)とは帽子をデザインから製作まですべてこなす職業のこと。工場などで帽子を大量に製造するChapelier(シャプリエ)と  は区別されています。高級な手作りの服がhaute coutureと呼ばれるように、modisteがつくる帽子はhaute modeと呼ばれます。ガエラは自身のブランドを持つModisteです。本日は、彼女がコレクションに出品した貴重な作品をなんと試着させていただくことに!日本ではどんな服に合わせて、どんな場所で着用したらいいかわからないくらい華やかな人目をひきそうな帽子ばかりです。イギリスのロイヤル・アスコット、フランスのシャンティイーのディアヌ賞とかロンシャンといった競馬場へ行けば、このような帽子をかぶったご婦人にたくさんお目にかかれるそうですが、戦後ヨーロッパは帽子の着用が少なくなり、このような社交場や結婚式といったイベントのときにしかみられなくなってきたとも。日本の着物もヨーロッパの帽子と同じ宿命をたどっていますが、これはちょっと淋しいことですね。びっくりしたのは、戦前のヨーロッパの家庭には、帽子用の頭部の木型があって、家族のだれかしらが帽子を手作りしていたそうです。残念ながら戦後、これらの木型は使い方のわからない子孫たちの手によって燃やされたりしてほとんどが処分されてしまったということです。かつてヨーロッパの古典絵画の中ではしばしば帽子をかぶった人物が描かれていましたし、ピカソやドガもmodisteのアトリエや、帽子屋を描いています。また、フランスで最初に帽子をhaute modeにまで高めたのは、マリー・アントワネットお抱えのmodiste、Rose Bertin(ローズ・ベルタン)と言われています。Chapeau-cloche(シャポ・クロッシュ:釣鐘型の帽子)を世に出したCaroline Reboux(キャロリヌ・ルブ)は長い間「modistesの女王」と呼ばれていました。その後一世を風靡したhaute coutureの大御所Coco Chanel(ココ・シャネル)もスタートはmodisteだったそうです。

このように欧米人の生活と切っても切れない存在だった帽子にも最近は変化が出てきました。chapeau miniature(シャポ・ミニアチュール)といわれるような、被るのではなく頭の上や斜めにちょこんとのせる装飾をほどこした小さな帽子や、bijoux de tête(ビジュ・ド・テート)という髪飾りなどが帽子にとってかわられる傾向にあるようです。文明の進歩はあらゆるものを最小化していくのでしょうか?

ガエラのアトリエの帽子たちもどんどん進化しています。素敵な髪飾りがたくさんあります。でもそれを頭に飾る前に、まずはゴージャスなバーティーを見つけなければ…

ガエラの作品はこちらのサイトから

www.gaela.com

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