Home > 料理サロン > フランス料理サロン:講座ご報告(2013年10月17日)

フランス料理サロン:講座ご報告(2013年10月17日)

2013年10月20日 日曜日

秋の食卓

10年に一度という大型の台風が関東を直撃した翌日、台風一過の晴天に恵まれた一日となりました。美食家の淑女6名がマリオン宅へ集合。ベランダの小鳥のさえずりをバックグラウンドに、まずは本日のテーブルを拝見。ハロウィーンを思わせるオレンジと黒のコーディネートでまとめられています。よく見ると、白いテーブルクロスの上に白地に金銀のドットの入ったチュール生地がかけられています。そのチュール地の下に別布のオレンジ色のチュール生地がランチョンマットのように四角く切られて各席の皿の下に、そしてテーブルのセンターにも端から端まで帯状に渡してあります。3種の生地でテーブルを覆っているわけです。キャンドルホルダーもオレンジ色、センターに並べられたカボチャたちもオレンジ系で統一。ハロウィーンは数年前からフランスでも祝われるようになったそうですが、本来フランスには全くなかったお祭り。毎年子供たちがこの時期「かぼちゃを買って!」というおねだりに決して首を縦に振らなかったマリオンですが、本日のおもてなしのためについにかぼちゃを並べることに。オレンジ色のリボンが結ばれた黒のナプキンが全体をキュット引き締めています。最後に一番下の坊やが拾い集めてくれた銀杏の葉をセンターに並べて「秋の食卓」の完成です。おまけにマリオン自身も今日はオレンジ色の服を着ています。完璧なコーディネート!!

本日のメニューは次の通りです。
Verrines de fèves au jambon de Parme et à la Coppa
(そら豆のヴェリーヌ、パルマハムとコッパ添え)
Filet mignon en croûte sauce chasseur (豚肉のフィレパイ皮包み、ソースシャッスール)
Cheese Cake Gelée Framboise (チーズケーキ、フランボワーズのジュレ)

まずそら豆のヴェリーヌ。嬉しいことに冷凍のそら豆でもOK。一年中手に入りますね。これをゆでてミキサーにかけてピューレを作ります。ここにマスカルポーネとスパイスも加えてよく混ぜれば出来上がり。超簡単レシピですが、そら豆の淡いグリーンがきれいです。よく冷やしておいて、いただく直前にグリッシーニにパルマハムを巻いたものとコッパを上に飾って出来上がり。シャーベットグリーンにハムのピンクが美しいアントレです。そら豆のピューレはほのかに甘く、それにハムの塩味が融合して絶妙なハーモニーをかもし出しています。グリッシーニのポリポリという食感も楽しい逸品です。

次にフィレミニョン。フィレ肉のパイ皮包みです。黄金色に焼けたパイに包まれたフィレ肉は大変ゴージャスですが、作り方はいたって簡単。フィレ肉を両面しっかり焼いて少し冷ましてから、特製のソースを塗りつけてパイ生地に包みます。ソースはマスタード、生クーム、にんにく、パセリをよく練り合わせて作ります。難しいのはパイ生地です。折込パイ生地を使いますが、冷凍のものを解凍しすぎないうちにのばします。切れ目などがはいると焼いたときにパックリとそこに大きな穴があいてしまうのでご用心。フランスではすでに丸くのばした生の生地を売っているので、マダムたちはもっぱらそれをご愛用とのこと。残念ながら日本では冷凍の生地と悪戦苦闘するしかないようです。付け合せにじゃがいものピューレ。これはソースシャッスールといっしょにいただくと最高です。「狩人のソース」という名前のこのソース、バターとエシャロットのみじん切り、ブイヨン、赤ワイン、マッシュルーム、生クリームで作ります。(「狩人」といってもこの場合はchasseur de champignons :きのこ狩りをする人)

最後にデザートのチーズケーキ。フランス語ではクリームチーズのことをなんでもPhiladelphia(フィラデルフィア)と呼びます。これはブランド名ですが、そのほかのものでもこの現象はよく見られます。ティッシュペーパーは「kleenex :クリネックス」セロテープは「scotch:スコッチ」、冷蔵庫をフランス語では「frigo:フリゴ」といいますが、これもメーカーの名前だそうです。
ビスケットをフードプロセッサーで細かく砕いて、バターを加えて混ぜて、型に入れて押し固め、冷蔵庫で冷やしておきます。クリームチーズと砂糖、生クリーム、板ゼラチン、レモン汁を加えたクリームを先ほどの型に注ぎいれます。このとき絞り袋に入れて注ぐと縁についたりせずきれいに入れられます。これも冷蔵庫で30分ほど冷やしておきます。その間にフランボワーズのジュレを作ります。今回はすでにピューレの状態になっている製菓用の冷凍フランボワーズを使用。砂糖とともに加熱し、沸騰したらゼラチンも加えて火からおろして冷まします。チーズケーキの上から流し入れ、3時間以上冷やしておきます。テーブルへ運ぶ直前に金粉を振りかけます。一つ星から三つ星へグレードアップです。

★マリオンの買い物マップoutil a ecraser des pommes de terre PA170402

テーブルにかけたチュール生地「どこで買ったの?」という質問にマリオン、「トマトの店」。― 日暮里にある有名な生地屋だそうですね。知りませんでした!
じゃがいものキャラクターのついたマッシャー。「フランスで買いましたか。」マリオン「いいえ、ニッシンで」麻布十番にある外国人御用達のスーパーですね。
「フランス人は夕食後には余りコーヒーを飲まないの?」マリオン「飲む人もいるけれどカフェインが入っているから、ハーブティーを飲む人が多いわね。Yuzumitsuもおいしいわよ。」「ユズミツ???」そこでマリオンが棚からだしてみせてくれた大きな瓶には「柚子蜜」と書いてあります。韓国の「柚子茶」と違って柚子の皮が入っていません。蜂蜜のようなとろんとした液体です。ホットでも夏なら冷たくしてもおいしいそうです。これは何と巣鴨で買い求めたとか。 フランス人は皆さんよく合羽橋へ食材や調理器具を買いにいくようですが、最近は「トミザワ」という店の名前をよく耳にします。その他、「ナショナル麻布」「コスコ(costcoをフランス人はそう発音します)」「イケヤ」などでよく買い物をしています。マリオンのサロンに置かれた茶箱の和紙も「どこで買った?」と聞かれて、「サクラホリキリ」。日本人以上によ~く東京の店をご存知です。

★フランスの塩:
今日のレッスンではたくさんの種類の塩がでてきました。
Fleur de sel(フルールドセル)は、天然干しの際に一番表面に浮かんでくる塩で、非常に純度が高くて高品質ですが、生産量が少ないため珍重されています。フランス北西部の Guerande(ゲランド)、île de Ré(レ島)、南仏のCamargue(カマルグ)などが有名。
またSel à la Truffe d’été(夏のトリュフ風味の塩)も出てきました。イタリア産。

日本料理を習っているマリオンは、おけいこのあったすぐその日に食材を買い込んで、家族のために習った料理を作るそうです。家族が「おいしい」と評価したレシピーを残していくのだとか。この話を聞いたからかどうかわかりませんが、今回は早速ご自宅で挑戦した方も多かったようです。

おなかも頭もいっぱいになって、幸せ気分100%の情報満載の料理サロンでした。

料理サロン