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フランス料理サロン:講座ご報告(2013年10月5日)

2013年10月14日 月曜日

今日はビュッフェ式の料理サロンです。残念なことに雨がしとしと降っています。天気がよければ、ヤスミナの広々としたテラスで食事会となるはずでしたが…でもまさに「ピンチはチャンス」。ヤスミナはテラスの木製のテーブルをリビングサロンに持ち込んで、とても素敵な食卓に仕上げました。参加者一同から「オーッ!」という感嘆の声があがりました。前日からいろいろとアイデアを考えたといいますが、どんな状況になっても知恵を絞って「お客様を温かくもてなす」ことを貫くスピリッツ、まさに「お・も・て・な・し」です。

氷の彩りもおしゃれ

人数はヤスミナも含めて12人。「大皿が足りないけれど、なんとかするわ。」と言っていましたが、その解決策として、ヴァイオレットの紙ナプキンを敷き、その上に白と深い紫色の中皿を交互に並べ、皿の上には若草色のナプキン。テーブルの左右にナプキンと同色のリボンを2本ずつかけ渡したところは、まるで木箱にリボンをかけたような、気取ってはいないけれどおしゃれな雰囲気をかもしだしています。テーブルの中央には白くて丸い卵のようなキャンドルがふたつ。それを松ぼっくりが囲み、ライムを思わせるグリーンの果物が入った細長いガラスの筒が2本、キャンドルの横に立てられています。このガラスの筒の中身は、季節によっていろいろに変わります。茶室の床の間の生け花に通じる役割を果たしているのでしょうね。

グラスマーカー

本日の料理はこちらです。
Terrine de Canard aux noisettes et pistaches
(鴨肉のテリーヌ、ヘーゼルナッツとピスタチオ)
Rillettes ( リエット)

Fromages(チーズ)
Tarte Tatin aux Pommes avec une boule de glace
(タルトタタン、アイスクリーム添え)

まず鴨肉のテリーヌ。テリーヌ型に鴨肉の脂部分と薄切りにした肉を敷きます。ボールの中に豚terrine de canard PA050366ひき肉、細かく刻んだ鴨肉、卵、小麦粉、刻んだパセリ、エシャロット、にんにく、オリーブオイル、香辛料などを加えてよく混ぜます。そこへ砕いたヘーゼルナッツとピスタッチオ、粒こしょう、刻んだオレンジピールも加えます。最後に(これがポイント!!)グランマルニエを1カップほど加えます。パテには普通コニャックを使いますが、鴨肉にはオレンジの風味が合うということでオレンジリキュールを使っています。そしてヘーゼルナッツとピスタッチオをそのまま少量ずつ加えて全体をよく混ぜ合わせます。これを型に詰め込んでローリエの葉を数枚のせて完了です。オーブンに入れて、湯煎で1時間ほど焼きます。そのままオーブンの中で2~3時間置いておき、冷めたら最低一晩冷蔵庫でねかしておきます。4日後くらいがベストだそうです。冷凍保存もOK。さっぱりとしていてナッツの食感が楽しいパテ。好みで塩や挽きたてのこしょう、エスペレットなどをつけていただきます。洗練された味です。Tarte Tatin (2) PA050378次にデザートのタルトタタン。型にキャラメルソースを流し込んで、厚めにスライスしたりんごをぎっしりと並べ、その上からパイ生地をかぶせてオーブンで焼き上げます。焼き上がったら、型をひっくり返して大皿に出します。キャラメルソースが型の底できつね色になり、りんごがそのソースをしっかり吸って金色に仕上がっています。キャラメルソースにバターを使っているのでソースに深みがあります。パイ生地はパリッとしていて、アイスクリームとキャラメルソースをまとったりんごのやさしい甘味が後を引きます。

リエットはヤスミナの特製。豚肉をパラパラになるまでひたすら4時間煮込むのだそうです。市販の瓶詰のリエットと違って塩分はいたって控えめ。ところがこのリエットに、粗塩(ゲランド)や唐辛子(エスペレット)、その場で挽いた粗挽きこしょうをつけていただくと絶品です。こんなリエットの食べ方があったのかと驚きました。

 

ボール状の砂糖もキュート

コーヒーといっしょにヤスミナの新作菓子がふるまわれました。題してRuiné (ルイネ:破産者)。フィナンシエは「金融者」の意味がありますが、チョコレート味のフィナンシエの上にMendiant(マンディアン:乞食)というチョコレートがのっているので、「乞食に金融者は食いつぶされる=破産する」という意味のネーミングだそうです。いやはや最高にリッチで美味ながらこの名前だけは再考していただきたい…。
すっかり心地よく腰を据えてしまいました。外の雨もようやく上がったようです。そろそろお暇いたしましょう。

★料理用語豆知識:

Mendiant(マンデイアン):干しイチジク、干しブドウ、はしばみ、アーモンドを混ぜた焼き菓子。主にチョコレート。クリスマスに送り合うのが伝統。トッピングの4つの色が四つの托鉢修道会の服の色を連想させるためこの名がある。

Piment d’Espelette(ピマンデスペレット):日本の一味唐辛子を思わせる唐辛子の粉。日本のものより辛みが少ない。スープの彩りにも使われる。バスク地方の特産品。Espeletteはその地方の村の名前。

新作菓子 ルイネ

エスペレット

 

 

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