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フランス料理サロン:講座のご報告(2013年6月10日)

2013年6月17日 月曜日

バカンスまであと3週間という今日のレッスンのテーマは、「Légumes du Soleil 太陽の野菜たち」。フランス人のウキウキ感が伝わってくるようなタイトルです。6月という月は、子供がいるフランス人家庭なら、学年末でもあり、学校の行事がいろいろあってマダムたちはにわかに忙しくなります。1年間の子供の成績、素行などについて、日本と同じように「保護者面談」があり、進級できるかどうかという深刻な問題を抱える家庭もでてきます。また、「学芸会」のようなものもあり、子供たちが舞台の上で歌ったり、ダンスをしたり、劇をしたりするのを、両親が招待されて見に行きます。更に夏を前に日本を離れ、フランスへ帰国したり、他の地へ赴任することが決まった家族の子供たちのために「さよならパーティー」も開かれます。マダムたちのプライベートでも離日する友人たちのためにあちこちでパーティーを開くので、いささか皆様お疲れ気味。ヴァレリも前日遅くまで集まりがあったようでちょっと寝不足のご様子です。
まずレッスンの前にお茶をいただきながら、おしゃべりをひとしきり。「間もなくバカンスですね。」と水を向けると、「ウイ~!ソウソウソッ!!」ととても嬉しそうなお返事。日本人だってバカンスは欲しいですが、仕方がありません。せめて太陽をいっぱい浴びて育った野菜の料理に挑戦いたしましょう。

今回はオーブンがフル回転するため、手順よく段取りを決めて行かないととても2時間では終わりそうにありません。ヴァレリのお手並み拝見!
まずポレンタ用に輪切りにしたトマトを150℃のオーブンで30分ほどじっくり焼いて水分をとばします。その間にデザートのspritz(スプリッツ:サブレの一種)の生地を作って絞り袋にいれて、クッキングシートを敷いたバッドの上にS字を描きながら形を絞り出していきます。オーブンからトマトを取り出し、温度を180℃に上げて、スプリッツを入れて15分ほど焼きます。うっすらと焼き色がつく程度がベストなので時々チェックを入れます。その間に、ズッキーニとフェタチーズのタルトにとりかかります。半月切りにしたズッキーニとみじん切りにした玉ねぎをオリーブオイルでじっくりと全体がしっとりするまで炒めます。タルト型に冷凍のパイシートをのばして敷き込み、ここにズッキーニを加え、卵、生クリーム、フェタチーズをよく混ぜ溶かしたものを流し込みます。オーブンからスプリッツを取り出し、そこへ今度はタルトを入れてやはり180℃で35分ほど焼きます。その間にチキンロールを準備します。鶏胸肉を観音開きにして、コップの底で叩いて全体を平らにします。コッパ(生ハムの一種)、リコッタとマスカルポーネを合わせたチーズ、トマト、バジルの葉を重ねてしっかり巻いて、タコ糸をかけます。オリーブオイルでじっくりと焼き色をつけて焼きます。最後にポレンタを作ります。ミルクと水を沸騰させてポレンタの粉(とうもろこし粉)を振り入れ、弱火にかけて6~8分静かにかき混ぜ、最後にチーズを加えます。耐熱皿に移して輪切りのトマトを並べ、チーズを散らします。ズッキーニのタルトにおいしそうな焦げ色がついてきたので、オーブンから取り出し、続いてポレンタを入れて10~15分焼きます。最後のこの工程までオーブンには2時間の間に5回も料理の出し入れがありました。(スプリッツは2回に分けて焼きました!!)大変緻密な計算で、温度管理から調理順番まで完璧に流れが組み立てられていました。お見事!!

いよいよ試食タイムです。ズッキーニとフェタのタルトは、ズッキーニの甘味とフェタチーズの酸味がほどよくマッチしていて、思いのほか軽く、夏の疲れた胃袋にもやさしい料理です。メインはチキンロールとポレンタ。チキンロールは、さっぱりとした胸肉にコッパハムの塩気とトマトの酸味が融合し、バジルの香りが全体をひきしめています。ポレンタはチーズがはいり、なかなかのボリュームです。ポレンタは、かつて貧しい人たちの主食に用いられていたので、余りいいイメージではありませんでしたが、近年また料理の付け合せとして見直されているとか。今日の料理に合わせたのは、Rosé d’Anjou(ロゼダンジュ)。ロワール川のアンジュ地方の軽やかなロゼを冷たく冷やしていただきました。夏、友人や家族との食事によく登場するそうです。デザートには、ヴァレリが作っておいてくれたりんごの冷たく冷やしたコンポートにスプリッツを合わせていただきます。甘さをおさえたサクサクのサブレとりんごの優しい甘さがあとをひきます。

また、食卓では料理についての質問のほか、フランス語についてもいろいろな質問が飛び交いました。ヴァレリはそのひとつひとつに丁寧に答え、それを熱心にメモ書きしている方もいらっしゃいました。料理の豆知識だけでなく、いつも疑問に思っていたフランス語の言い回し、でも誰に聞いたらいいのかわからなかったことが聞けるのも、ヴァレリの気取らない人柄とこじんまりとした人数での会食のおかげです。お腹は満たされ、頭の引き出しにも新しい知識が加わり、幸福度120%の異文化体験の3時間は瞬く間に幕切れとなりました。

◆マダムの料理アドバイス:

絞り袋にクリームなどを入れるときは、背の高いコップに袋をいれて作業すると一人でも楽に注入できるのよ。

◆食卓で使えるフランス語表現:
日本語の「ごちそうさま」にあたるフランス語は?

  1. C’était délicieux. (おいしかったです。)
  2. J’ai bien mangé. (たくさんいただきました。)
  3. Je suis calé(e). (お腹がいっぱいです。)

1)はどんな場面でも使えます。一番無難な表現かもしれません。3)のcaléは動詞calerが語源で、「固定する」という意味ですから、「もう動けない」という感じも含んでいて、くだけた表現のようですから、あらたまった場面では使わないほうがいいかもしれません。

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