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アートサロン<Regarder la peinture autrement :違った視点で絵画を楽しむ>講座ご報告(2014年6月7日)

6月 13th, 2014
アートサロン<Regarder la peinture autrement :違った視点で絵画を楽しむ>講座ご報告(2014年6月7日) はコメントを受け付けていません

 

今回のアートサロンはIBSインターカルチャーの教室で、開かれました。講師はグラフィックデザイナーのダニエル。大学講義のように美術史Art salon 2014.06.07などの知識を学ぶのではなく、絵の前に立ってどのように絵を見るか、どんなところに注目したらその絵がもっとおもしろいものになるかを、絵画の中に入りこんでじっくり見ようというのが、ダニエルのサロンの趣旨です。たくさんの驚きと発見がありました。その中のいくつかをご報告いたします。

ダニエルがパリの美術学校の学生だったときは、たった一枚の絵画をなんと3か月もかけてじっくり勉強したそうです。ところが今日はわずか2時間少々の間に30点ほどの作品を見ることに!

絵画を楽しむための7つの視点とは:

1)Anatomie :(解剖学という意味ですが、ここでは「体つき」)

有名なダビデ像も作り手によってとても同一人物とは思えないような表現解釈があるものですね。ミケランジェロの作品は、筋肉質の雄々しい若者像ですが、帽子のような兜をかぶった「草食系男子」風ダビデ像(ドナテッロ作)もあります。

2)Physionomie : (顔つき)

肖像画の人物の描き方は画家によって様々ですが、その人物の内面を描写しようとしているところは共通しています。
ダヴィンチの「モナリザ」と同じく彼の作品「ジネヴラ・デ・ベンチ」を比べてみます。肖像画の人物は基本的に笑ったりしないものだそうです。ところがモナリザは微笑んでいます。しかも眉毛が抜かれています。当時このような様子の女性は娼婦によく見られたそうで、そのようなことから注文主に受け取られることなく、生涯ダヴィンチの手元に残ったという説。「ジネヴラ」のような肖像画が一般的であったとしたら確かに当時としては異様な肖像画だったのかもしれません。

ジネヴラ・デ・ベンチの肖像 1476-1478 ナショナル・ギャラリー・オブ・アート(ワシントン)所蔵 

ジネヴラ・デ・ベンチの肖像 1476-1478
ナショナル・ギャラリー・オブ・アート
(ワシントン)所蔵

モナリザ 1503-15191 パリ ルーブル美術館所蔵

モナリザ 1503-1519
パリ ルーブル美術館所蔵

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

3)Espace :(空間)

絵画の中でとても重要な要素。風景画でも静物画でも空間が描かれます。物と物の間に作られる空間。遠近法によって作られる幾何学的な空間。通常肖像画の人物と鑑賞者の間の境界線のように描かれているparapet(欄干)をあえて人物の背後に描いたのが、「モナリザ」。モナリザと鑑賞者の間を隔てるものが取り払われ、モナリザはぐっと私達の側へ近づいてきます。

4) Texture :(テクスチャー)

絵画の中の金属、木などの材質をどのように描いているか。例えばフェルメール(Vermeer:フランス語ではヴェルメールと発音)の有名な「牛乳を注ぐ女」のパンを至近距離でよ~く見ると、無数の細かい点で描かれているのがわかります。印象派以前にすでに彼はこの技法を駆使しています。

5) Lumière : (光)

舞台のスポットライトと同じように絵画の中で際立たせたいものに光をあてる。影を使うことで光はよりドラマティックに対象を照らします。ルノワールの「Le Moulin de la Galette(ムーラン・ド・ガレット)」では、木漏れ日が光と影の斑点となって人々を照らしています。この光の斑点を描くことで実際に描かれていない木々の存在を鑑賞者に察知させます。これを hors  champ(オールシャン)と言います。

6)Temps :(時間)

一枚の絵の中に時間の流れを描きこんでいるのはティツィアーノの「ディアナとアクタイオン」。

狩猟の女神、ディアナがニンフたちと水浴びをしているところに、突然若い狩人アクタイオンが現れて、ディアナたちはパニックに。そして彼女の怒りに触れたアクティオンは鹿に変えられてしまうという神話を描いたもの。真っ先に気が付いたディアナ、左に並ぶニンフたちの事態の気づきの時間差が描かれ、さらに絵の上部には狩人が変えられてしまう鹿の頭部も描かれています。

7) Narration :(ナレーション)

絵の中で画家は何を語ろうとしているのか。歴史的な絵画であれば、その場面から全体のストーリーに思いをはせることができます。しかしまた、フェルメールの「絵画芸術(画家のアトリエ)」にいたっては、そのミステリアスな情景を読み解くことは容易ではありません。寓意を多く描いた画家だそうですから、きっとそれぞれに意味があることでしょう。画家のアトリエにしては豪華な大理石の床やシャンデリア、そのシャンデリアにはろうそくが一本も立てられていません。モデルの女性の持つ長いトランペットは、どうみても画家が製作中のキャンバスにはおさまりきらないサイズです。画面手前に描かれた厚くどっしりとしたカーテンは、まるで鑑賞者と画家のアトリエとの境界線のように見えます。このようにまさに「絵解き」のような楽しみ方もあるのですね。

絵画芸術 1666 美術史美術館 (ウィーン)所蔵

絵画芸術 1666
美術史美術館(ウィーン)所蔵

 

以上、ダニエルのプレゼンのほんの一部をご紹介いたしました。正統な技法で写実的に描かれていると思っていた絵が、実はどこかでデフォルメされている、という例をたくさん教えられました。
例えば、アングルの「オダリスク」。美しい背中が印象的ですが、確かにその長さは尋常ではありません。組んだ向こう側の足の位置も無理があります。ちらっと見える乳房もあり得ない位置に描かれています。メレンデスの「メロンと洋梨のある静物」も緻密な筆致で息をのむような美しさですが、テーブルに映し出された洋梨の黒い影は決して周りの他の物体と交わりません。まるで本物そっくりに描かれていると思う鑑賞者は、細かなところで実は裏切られているようです。美しさを追求するために現実をデフォルメして描く画家たち。しかしまた限りなく写真のように現実に忠実に風景を切り取るPhotorealismのRalph Goings(ラルフ・ゴーイングズ)の作品も衝撃的です。電灯の下のドーナッツの載った皿の影は、4層のグラデーションで描かれています。その観察眼とデッサン力、色使いといったあらゆる技を駆使して、写真の無機質な画像と寸分たがわない作品を作り出しています。写真だと思って眺めたものが実は油絵だとは…。絵画の前でこのようにだまされながら、またそれを楽しむのが絵画鑑賞なのかもしれません。

 

※Daniel Pizzoliは今回のプレゼンのために、メソッドについてはHector Obalk(芸術評論家)の作品を、歴史についてはDaniel Arasse(美術史家)の作品を参考にしています。

アートサロン

アートサロン「装飾コラージュ・カルトナージュ」:講座ご報告(2014年5月29日)

6月 3rd, 2014
アートサロン「装飾コラージュ・カルトナージュ」:講座ご報告(2014年5月29日) はコメントを受け付けていません

P5290425  a la terrace

いよいよソフィの最後のサロンになってしまいました。カード、額入りの絵と徐々に大きな作品へと進んできましたが、今回は箱に挑戦です。古くなって汚れた箱や、形やデザインが気に入っていて捨てられない箱などを、コラージュの技法で美しく変身させます。まずは広いテラスで冷たい飲み物をいただいて一息つきながら(今日は本当に猛暑!まだ5月末ですが、ソフィ宅へ到着したときは全員汗でヨレヨレに…)ソフィにカルトナージュのコラージュについて教えてもらいます。

― まず箱を選ぶ。(皆さん、それぞれに箱を持参されていましたが、ソフィもたくさん素敵な箱を用意してくれていました。)

― ベースになる紙を選ぶ。カラフルな包装紙、壁紙、銀箔、papier de soie(シルクペーパー)などというものもありました。

P5290430  materiaux 2P5290426  materiaux

 

 

 

 

 

―モチーフを選ぶ。おしゃれなファッション雑誌、英字新聞、美術展のパンフレット、カレンダー、ナプキン等々。いろいろなデザインのマスキングテープもお店が開けるくらい種類が豊富。

―今回はニス入りの糊(vernis-colle  )を使用。作品によってはニス(vernis )を最後にかける。

ニス入り糊

ニス入り糊

P5290439 vernis

ニス

※最初からしっかりと構想を練る必要はない。好きな色の紙とモチーフをいくつか選んだら、まずは貼ってみること。だんだんイメージがふくらんできて、最初に考えていたものとは全く違うものになることもある。これがコラージュのおもしろさ。

 

 

実際にソフィの作品をみせてもらいました。服飾で使われるディスプレイ用のボディーと背もたれのない丸いイス。捨てられているのを拾ってきれいな花柄に仕立てました。命を吹き込む作業です。

P5290432  oeuvres de Sophie 2

 

そして一斉に素材選びにとりかかります。どれにしようか、これも素敵、あれも悪くない…子供のようにあちこちひっくり返して、モチーフ探しに必死です。至福の時間!!

P5290431  choisir des materiauxP5290436  atelier de collage decoratif

3時間の予定が見事に4時間にオーバー。まるで禅の修行のように声もなく、ひとりひとりがマイワールドに浸り、4時間集中しました。

出来上がった作品です。

P5290443  oeuvre d'AyakaP5290444  oeuvre de Kazue

 P5290446  oeuvre de MisakoP5290445 oeuvre de Yuriko

 

 

 

 

P5290447  oeuvre de TomomiP5290448  oeuvre d'Akiko

 

 

 

 

 

ソフィには、童心にかえって無心に楽しむアートの素晴らしさを教わりました。このソフィのサロンに参加して触発され、ちぎり絵の世界で修業を始めた若い参加者の方もいらっしゃいます。そして今日参加された皆様は、家の中に転がっている箱を見る目が変わることでしょう。どんなものでもコラージュの素材になることから、今後ますます物が捨てられないという問題もありますが…。

最後に参加者からひと言ずつお別れとお礼のあいさつをソフィに送りました。ソフィは目に涙を浮かべて聞いていました。まるで10年来の友人のような気持ちに全員がなりました。

―ソフィ、これが最後じゃありません。私達はそのうちパリのソフィの家に押しかけて、セーヌ川に面したテラスでまたコラージュを教えてもらいP5290425  Sophieます。そしてルーブル美術館をソフィに案内してもらいます。それが実現したら本当に素敵です。この中の何人かのマダムたちは結構本気かもしれません。ソフィ、泣いている場合ではありません。千客万来、大忙しになりますよ。ご用心、ご用心。アート以上にソフィの素晴らしい人柄に魅了されて皆様毎回のように参加されました。

Merci, Sophie !(ありがとう、ソフィ!)Au revoir(さようなら)は言いません。A  très  bientôt !
(またじきに会いましょう!!)

★ ソフィのサイトからも本日のコラージュの様子がご覧いただけます。フランス帰国後にもこちらのサイトを覗いていただければ、ソフィの活動をオンタイムで追うことができます。

logo bdf

 

 

 

http://leszas.wordpress.com/2014/06/02/atelier-collage-cartonnage-adultes/

 

 

アートサロン

カルチャーサロン「スウェーデンを知る」:講座ご報告(2014年5月27日)

6月 1st, 2014
カルチャーサロン「スウェーデンを知る」:講座ご報告(2014年5月27日) はコメントを受け付けていません

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広尾の交差点の雑踏を抜けて聖心大学の敷地に沿って歩いていくと、街並みはにわかに静かな高級住宅地に変わります。マンションかと見まがう豪邸と外国人御用達といった感じの超高級マンションが並んでいます。手足を真っ黒にして走り回るこどもの姿はありません。たまに通りかかる子供はどこかの私立学校の制服をきちんと着て、まっすぐわき目もふらず静かに家路を急いでいるという風情。本日のカルチャーサP5270384  pour souvenirロンのグニラ宅は、そんなハイソな住宅地の一角にあるマンションです。スウェーデンの民族衣装を着たグニラがにこやかにドアを開けて迎え入れてくれます。国旗と同じ青と黄色を合わせた衣装には、可愛い花の刺繍がほどこされています。この民族衣装は、王室の方々も全く同じものをお召しになるのだとか。スウェーデンの紹介をしてくれるということですが、これはかなり気合が入っています。広~いリビングに通されると、まずは飲み物と彼女手作りのケーキのおもてなしを受けます。フワフワのチョコレートケーキにココナツがトッピングされています。柔らかくて様々な味が重層的に口の中で広がるこのケーキのなんと美味なこと!そしていよいよリビングの大きなディスプレイを使ってスウェーデンのプレゼンテーションが始まります。地理から始まり、自然、歴史、政治、文化、経済、社会とあらゆる角度から映像を使って(時には音楽も!)説明がありました。知っているようで知らなかった北欧の国が急に身近なものに感じられる素晴らしいプレゼンテーションでした。おもしろかったことを少し以下にご紹介いたします。

― ヨーロッパでは3番目に大きな国。人口はわずか950万人。その90%が南部に集中しています。夏でも北部では12度、南部で18度と涼しいですが、冬は北部で―15度、南部で+1度まで下がります。一年で一番日照時間が長いP5270395 decoのが、6月中旬で、平均20時間。北極圏近くの地域では全く太陽が沈まない、いわゆる白夜になります。反対に12月中旬には一日6時間しか太陽が現れません。北極圏の地方ではまったく日が昇らないところもあるそうです。

― 首都ストックホルムはMalaren湖に浮かぶ14の島を50ほどの橋でつないで出来た都市。ストックホルムの土地の30%が運河で、公園などの緑地も30%ほど。水と緑豊かな都市です。

― スウェーエンといえばバイキング。17世紀にはバルト海の諸国にまで勢力を伸ばしましたが、戦争に次ぐ戦争で国は疲弊し、存亡の危機を経験したスウェーデンは、平和国家の道へと大きく舵を切ることに。ヨーロッパ諸国の中で2回の世界大戦に参戦しなかった数少ない国のひとつだそうです。

― スウェーデンは「男女平等社会」。国会議員の50%は女性が占めています。羨ましいのは「産休制度」です。子供が生まれると基本的に両親双方が産休を交互にとって育児を分担します。およそ7割の父親がこの産休をとるそうです。有給産休が認められているのは480日間。父親と母親双方とも最低60日の産休をとり、残りについてはどちらかが担当するというもの。この男女平等の精神は王室の後継者についても反映されています。かつては王位を継承するのは「一番上の男の子」でしたが、1980年に「一番上の子供が継承する」と法律が改められました。それで現在のカール国王の後継者は長女のヴィクトリア王女となっています。

― スウェーデンの社会保障制度も有名です。収入が多ければ支払わなければならない税金も高額になりますが、その税金はきちんと国民に還元されています。医療費も教育費も基本的に無料で受けることができます。「子供から老人まで」手厚く保護されているのですね。

P5270396 salle a manger 2

P5270390 salle a manger

 

 

 

 

 

 

 

― 今やスウェーデンと言えば、その優れたデザインを抜きには語れません。服のH&Mは勿論、イケアの家具やインテリアグッズは、日本にもあっという間に浸透しました。スウェーデンのインテリアデザインが優れているわけは?それは暗くて長い冬と関係があるそうです。どうしても室内で長時間過ごすことになりますから、快適に暮らせるように工夫していかなければなりません。ポップな色調やお洒落なデザイン、灯りなどを上手に取り入れて外の暗さとは反対の明るさを演出するようになりました。スウェーデンの家は木造で赤色のペイントで塗られていることが多いそうですが、暗い冬には太陽のような明るい色が必要なのでしょうね。

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― スウェーデンの企業も有名なものがたくさんあります。ミルクやジュースのパッケージを作っているTetra Pak(テトラパック)、H&M, イケア。Skypeは現在マイクロソフトに買収されてしまいましたが、もともとはスウェーデン企業でした。スウェーデンの代表車のVolvo。こちらも残念ながら今は中国企業の傘下に入ってしまいましたが。

― それから忘れてはいけないのが「ノーベル賞」。ダイナマイトの発明などで莫大な富を築いたAlfred NOBEL(アルフレッド・ノーベル)の遺言に従って、毎年12月10日にストックホルムで、文学、医学、物理学、化学、経済の分野で功績のあった人に賞が授与されます。平和賞だけは同じ日にノルウェーのオスロで授与されます。これはノーベルの指示によるもので、彼が生きていた19世紀にはスウェーデンとノルウェーは連合国家だったからだそうです。

ほんの概略だけをご紹介いたしましたが、これだけ見てもスウェーデンという国の力、魅力がお分かり頂けるのではないでしょうか。オーロラや「氷のホテル」、大自然など枚挙にいとまがありません。最後の一手は、スウェーデン料理です。それではグニラのキッチンへと移動いたしましょう。

P5270412 buffet

ビュッフェ式でいただく料理は以下の通りです。

―ニシンのマリネ  じゃがいもと卵を添えて
―サーモンマリネ  サラダとともに
ースウェーデン風ミートボール
―ジャンソンの誘惑 (ポテトとアンチョビーのグラタン)
―チーズ
―クラウドベリーのパルフェ(アイスクリーム)
飲み物:AKUVAVIT(アクバビット)& スウェーデンのビール

 ニシンのマリネは残念ながら生のものが入手できなかったため、瓶詰の4種のマリネをいただくことに。他の4品はすべて作り方をデモンストレーションしてくれました。

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ニシンのマリネ

いろいろなマリネ液があり、どれもおいしい。ゆでたじゃが芋とゆで卵と一緒にいただきます。

サーモンマリネ

P5270400 saumon marine塩、こしょうと砂糖、そしてディルを刻んだものをサーモンの身にすりつけて、重石をして2日間冷蔵庫でねかせておけば出来上がり。酢を使わないので、かすかな甘みとディルのさわやかな香りが楽しめます。

 

 

スウェーデン風ミートボール

生クリームで数分しとらせたパン粉とひき肉(牛肉、豚肉、仔牛肉)、玉ねぎ、卵、ナツメグ、塩、こしょうを混ぜ合わせ、ボール状にします。これをフライパンにバターといっしょに加えて焼きます。フワフワの出来上がりになります。

 ジャンソンの誘惑  グラタン

P5270401 anchois sans huile玉ねぎとじゃがいも、アンチョビーを交互に耐熱皿にしいて最後に生クリームをかけ、パン粉を振りかけて、オーブンで焼くだけのシンプルな料理ですが、とてもおいしい!今回は「アンチョビーの水煮」を使用。手にはいらないければ、オイル漬けのアンチョビーでもOKです。

 

 

P5270421 parfait aux baies polairesクラウドベリーのパルフェ

卵黄、砂糖、水を湯煎しながら混ぜ合わせてクリームを作ります。固く泡立てた生クリームとクラウドベリーのジャムを入れて混ぜ合わせ、冷凍庫に4時間ほど入れておきます。クラウドベリーのプツプツ感がおもしろい、軽くて上品な甘さのアイスクリームの完成です。

P5270416 liqueur 40 degres食卓では、AKVAVITというじゃが芋の蒸留酒とスウェーデンのビールがサービスされました。

AKVAVITは冷たく冷やしておいて、食卓でビールといっしょにいただくそうです。42度もありますので、寒い冬にはさぞ体が温まることでしょう。

グニラの素晴らしい「おもてなし」とAKVAVITの相乗効果で、私達の心もホカホカ温かくなりました。 Tack, Gunilla ! (ありがとう、グニラ!)

カルチャーサロン

料理サロン:講座ご報告(2014年5月15日)

5月 17th, 2014
料理サロン:講座ご報告(2014年5月15日) はコメントを受け付けていません

何故かマリオンの料理サロンの日は雨のことが多いです。今日も小ぬか雨が降っています。「料理日和」には違いないですが。今日はDînatoireです。Dîner(夕食)から派生した言葉かと思いますが、夕飯前の早い時間に集まってアペリティフだけを楽しむパーティーです。ワイン用のおしゃれなおつまみが並びます。前日や朝のうちに準備しておける料理ばかりで、パーティーでは主婦も台所には立たず、大きなテーブルに料理を並べ、ビュッフェ式に各自が好きなものを好きなだけ皿に取り分けて、リビングのソファやテーブルを囲んで床に座り込んで飲んだり食べたり…そしてフランス人のパーティーのメインディッシュはもちろん「おしゃべり」です。そんなわけで今日は昼過ぎからかなり早目のアペリティフパーティーを楽しみました。
ずらっと料理が並んだテーブル。

P5150427 tous les plats

一番奥から
Velouté de Poivron jaune(黄パプリカのヴルテ)、Mini-Tartes à l’Oignon (オニオンのミニタルト)、Taboulé au Boulgour (ブルグールのタブレ)、Muffin Jambon Olives (ハムとオリーブのマフィン)、Rillettes de Porc(ポークのリエット)飲み物はSangria(サングリア)とコーヒー。デザートはEntremet au Chocolat (アントルメ・オ・ショコラ)

P5150424 veloute Poivron

Velouté de Poivron jaune(黄パプリカのヴルテ)

冷たくしていただくのがお勧めの濃厚美味のヴルテ。

 

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Mini-Tartes à l’Oignon (オニオンのミニタルト)

P5150398 cercle pour tarteletteP5150410 taretelette oignon cremeパイ生地をセルクルの中に敷きこんで、キャラメリゼした玉ねぎに卵と生クリームを混ぜたソースを流し込んで焼き上げて、温かいうちにいただきます。玉ねぎのほのかな甘みが絶品です。

 

 

 

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Taboulé au Boulgour(ブルグールのタブレ)

Boulgourは、小麦をもみ殻ごと砕いたもので、みためはクスクスのスムールに似ていますが、粒はもっと大きく少し茶色がかった色をしていまP5150393 Boulgourす。殻ごと砕いて使うので、ミネラルなども豊富。レバノンの代表的な料理だそうです。トマトやきうり、ミント、オリーブなどを細かくカットして、ツナと混ぜたものをヴェリーヌ(小さなガラス容器)仕立てにします。彩りが美しい!!ブルグールと混ぜる野菜はお好み次第。そのバリエーションは100種類にもなるとか。

 

 

P5150419 muffin 1Muffin Jambon Olives(ハムとオリーブのマフィン)

こちらはハムやオリーブ、グルイエールチーズを入れて焼きあげたマフィン。小さく焼けばつまみやすいし、とにかくかわいい。大きなパウンドケーキ型で焼いて切り分けていただいてもインパクトがありそうです。山羊チーズとゴマのマフィンもマリオンのお勧めです。

 

P5150429 rillettesRillettes de Port(ポークのリエット)

前々回のサロンで習ったリエットが再登場。ばら肉で作っているのにさっぱりしていて、フランスパンにつけていただくともう止まらない!これを食べると市販のリエットは脂っこく感じて食べる気になれません。

 

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Entremet au Chocolat(アントルメ・オ・ショコラ)

サクサクのサブレ生地を焼いて、前日に作ってしっかり冷やしておいたチョコレートクリームを2枚のサブレではさみます。てっぺんには小さなチョコレートクリームの帽子をのせて、プラリネをかけます。このプラリネもマリオンお手製。水と砂糖でシロップを作り、そこへ砕いたアーモンドを加えてよくからめたら出来上がり。
「ワインを飲まないフランス人はいるけれど、デザートを食べないフランス人はいない」と言われるくらい食後の甘味は大事なのですね。家でパーティーをするときはデザート担当というご主人様もけっこういらっしゃいます。日本語学校の生徒さんだったビジネスマンは、退職したらフランスでケーキ屋を開きたいとかなり本気で話していました。かくもスイーツを愛するフランス人からは日本食にはデザートがないのが残念だとよく言われます。確かに果物、時としてアイスクリームがちょっぴり出るくらいですね。フランス人の食事はアントレ、メインディッシュ、チーズと続き、最後にチョコレートケーキやタルトなどが「ジャジャーン」という感じで登場すると、待ってましたとばかりに会食者一同から「オォッー!」という称賛の声があがります。甘~いチョコレートやクリームが食事のシメというわけです。コースの最後にごはんと味噌汁、おしんこという和食とはずいぶん違っていますね。

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Sangria(サングリア)
夏などに冷たくしていただくサングリア。作り方はいたって簡単。赤ワインにオレンジジュースなどを加えて、レモンやオレンジの輪切りの他、好みでシナモンスティックなどを入れて冷やします。炭酸で割る場合もあります。甘い飲み物ですので、女性向きかもしれません。

テーブルの料理をお皿にいっぱいのせて、片手にサングリア。おしゃれなアペリティフパーティです。しかも話好きのマリオンは、身振り手振りも交えてフランス語と日本語のチャンポンでみんなを笑わせて大サービス。おいしい料理とおいしいワインに楽しい語らいの時間、これこそが人生のエンジョイの達人、フランス人の「おもてなし」です。嬉しいことにマリオンの滞在があと1年延びました!まだまだいろいろ教えてもらえそうです。次回は夏休み明けの9月の予定。このおフランス的時空間、まだ未体験の方にも是非一度は味わっていただきたいものです。

料理サロン

アートサロン:フランスを巡る – フランス地方のアート散策:講座ご報告(2014年4月24日)

5月 3rd, 2014
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少し急ぎ足で歩くと汗ばむくらいの初夏を思わせる陽気の一日。今日はアーティスト、ロランスのお宅で、フランス地方を巡りながら、その土地のアートを紹介してもらいます。大きなリビングの壁に赤を基調にしたロランスの大作が三点並んでいます。廊下にもトイレの中にも(!)作品が飾られているのをまずは拝見。ちょっとした現代アートの美術館のようです。リビングの窓の向こうには青山墓地の木々の緑が金色に輝いています。フカフカのソファに腰かけて、大画面のディスプレイからどんな映像が現れるのか待っている間の高揚感。本当に贅沢な時間です。この日のために準備していたロランスは、次から次へと紹介したいものが出てきてなかなか決めるのが大変だったと言っていますが、プレゼンを見れば納得です。準備に相当な時間を費やしたことでしょう。

 フランスではいくつかのdépartements(県)が集まってrégions(地方)を形成しています。(日本と同じですね。)この「県」という分け方は、なんとフランス革命の翌年、1790年に制定されたのだとか。

P4240377ロランスのご主人の出身地Alsace(アルザス)からスタートし、ロランスの故郷Provence(プロヴァンス)で締めくくる予定でしたが、白熱したプレゼンは2時間に及び、プロヴァンスが残ってしまいました。次回6月にじっくりプロヴァンスのアートについて教えてもらうことに。

以下ざっくりと巡った地方と取り上げたアートのいくつかをご紹介いたします。

― Alsace (アルザス地方):Cité de l’Automobile
車に余り興味のない女性でも楽しめる車の博物館。紡績工場の元オーナー、Schlumpf兄弟の弟Fritzが集めに集めた膨大な数の車が工場の跡地に収められている。自動車博物館としては世界第一位の規模。

http://citedelautomobile.com/fr/decouvrir

―Lorraine(ロレーヌ地方): Baccarat
手工業が盛んなこの地方で、特に注目すべきはクリスタルを製造するこの会社。クリスタルに初めて色づけしたのがBaccarat(バカラ)。早い時期からデザイナーを重用して、クリスタルのデザイン性を追求。2000年からはアクセサリーも手掛けている。日本人デザイナーの高田賢三も一時期ここで働いていた。

http://www.baccarat.jp/

―Champagne-Aldenne(シャンパーニュ地方アルデンヌ): Maison de Champagne
フランス第一の農業地域。特にブドウの栽培が盛んで、シャンパンの生産で有名。Dom Pérignon(ドン・ペリニョン)日本では「ドンペリ」と呼ばれ、バブルの象徴のようなアルコールだが、ドン・ペリニョンは修道士の名前で、彼が発酵しているワインを瓶詰にして放っておいたところ偶然出来上がったのがこのシャンパンだとか。アートとして取り上げたのは、Maison de Champagne(シャンパンハウス)の宣伝映像。建物に映像を映し出し、光と音を組み合わせて一大イベントに作り上げている。大きな建物の壁面に黄金色のシャンパンが洪水のように波打って流れる様は圧巻。

― Picardie (ピカルディ地方):Cathédrale  d’Amiens
P4240381フランス北部の地方。Amiens(アミアン)は中心的都市。この町のCathédrale d’Amiens(アミアン大聖堂)はフランス国内最大級のゴシック建築として有名。修復時、建てられた当初(13世紀)には正面入り口に色彩装飾が施されていた痕跡を発見、以降夜にはプロジェクターを使ってその当時の色鮮やかな姿を再現して、訪れる人々の目を楽しませている。

https://www.google.co.jp/search?q=cath%C3%A9drale+d’amiens&tbm=isch&tbo=u&source=univ&sa=X&ei=NbBfU-7yEM_k8AW6moLoCQ&ved=0CCkQsAQ&biw=1366&bih=673

 ―Nord-Pas-de-Calais(ノール・パ・ド・カレ地方):Dentelle de Calais
中心都市はLille(リール)。この地方はDentelle de Calais( カレのレース)が有名。まさに芸術作品。

https://www.google.co.jp/search?q=dentelle+de+calais&tbm=isch&tbo=u&source=univ&sa=X&ei=wbNfU8q2H4GB8gWowIGoAg&sqi=2&ved=0CCkQsAQ&biw=1366&bih=673

― Nord (ノール地方):Piscine de Roubaix
フランス北部の町、Roubaix(ルーベ)の美術館。この町の織物工場で働く労働者たちの健康のために1932年に建てられたプールを2001年に美術館にリニューアル。

http://www.roubaix-lapiscine.com/

 ― Normandie(ノルマンディ地方):Plage du débarquement
モンサンミシェルやジベルニーはよく知られているが、「史上最大の作戦」という映画の舞台となったノルマンディ海岸も忘れてはならない。

Tapisserie de Bayeux(バイユーのタペストリ)
同じくノルマンディ地方を代表するもの。タペストリはふつう織物だが、これは亜麻に毛糸で刺繍をほどこした全長70mもの大作。11世紀のフランスがイギリスを征服したときのことを描いている。人の服装、生活様式、動物、建物、木など当時の様子を知ることができる貴重な作品。

https://www.google.co.jp/search?q=%E3%83%90%E3%82%A4%E3%83%A6%E3%83%BC%E3%81%AE%E3%82%BF%E3%83%9A%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%AA%E3%83%BC&tbm=isch&tbo=u&source=univ&sa=X&ei=VW1iU9bGH4m58gWLxYC4DQ&sqi=2&ved=0CDcQsAQ&biw=1366&bih=673

 ― Bretagne(ブルターニュ地方):Ecole de Pont Aven
フィラデルフィア派のアメリカ人がパリからこのブルターニュのポン・タヴァン村に多く移り住み、近代アートの先駆けとなったことから、ポン・タヴァン派と呼ばれるようになった。ポール・ゴーギャンも一時期ここに居を構えていた。

Pays de la Loire(ペイ・ド・ラ・ロワール地方):Voyage à Nantes
観光客誘致のためナント市が開催する通年のイベント。特に夏には町中いたるところでオブジェやイベントが見られ、一番のにぎわいとなる。

https://www.google.co.jp/search?q=%E3%83%90%E3%82%A4%E3%83%A6%E3%83%BC%E3%81%AE%E3%82%BF%E3%83%9A%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%AA%E3%83%BC&tbm=isch&tbo=u&source=univ&sa=X&ei=VW1iU9bGH4m58gWLxYC4DQ&sqi=2&ved=0CDcQsAQ&biw=1366&bih=673#q=voyage+%C3%A0+Nantes&tbm=isch

Centre( サントル地方):Le château des Dames – Chenonceau
「貴婦人たちの城」と呼ばれるシュノンソー城。歴代の主はすべて女性。カトリーヌ・メディチもそのひとり。シェール川の上にまたがるように作られた美しい城。

http://www.chenonceau.com/

 ―Bourgogne(ブルゴーニュ地方): Le tour de France de Mérimée ; 
作家のメリメは、写真家としても功績を残した。フランス全土を回り、歴史的建造物の写真をとり、保存に大きく貢献した。910年に建てられたこの地の修道院も彼のおかげで取り壊しを免れた。

Franche-Comté(フランシュ・コンテ地方)
丘の上にLe Corbusier(ル・コルビュジエ)が建てたChapelle Notre-Dame-du-Haut(ノートルダムチャペル)は当時散々の評判の建物だった。今はその教会の下に、ピアノ氏の設計による修道院が建てられている。

http://fr.wikipedia.org/wiki/Chapelle_Notre-Dame-du-Haut

P4240375

最後にティータイム。いろいろな形のティーカップで、いただいたのはピーチティー。ロランスお手製のガトーショコラ。「真ん中がへこんでしまった!!」と残念がるロランスですが、ロランスのようにやさしくて、でも存在感のある美味しいケーキでございました。続きはまた6月に!!P4240380

 

アートサロン

フランス菓子サロン:講座ご報告(2014年4月12日)

4月 17th, 2014
フランス菓子サロン:講座ご報告(2014年4月12日) はコメントを受け付けていません

P4120397 table

久々の土曜日サロン。春の陽光が暖かく降り注ぐ中、フロランスのお宅訪問。いつものことながらドアを開けて訪問客を迎え入れるフロランスの笑顔がステキです。この瞬間に初めての方も、今までの緊張が解けて「安心オーラ」を放ち始めます。
本日のテーブルは、白のクロスの上に青みを帯びたグレーの織物のランチョンマットが敷かれています。ナプキンも白地にブルーの小花模様。全体を寒色ですっきりまとめています。テーブル中央に絶妙な間隔で置かれた淡いピンクとレモンイエローのバラの花がアクセントです。(これが造花だとは着席するまで気づきませんでした!)お皿はフロランスのおばあ様から譲り受けたというリモージュ。可憐な花が描かれています。

今日教えていただくのは、次の三品です。

P4120439 salade de pates 4              Salade de Pâtes ( パスタサラダ)

フジッリを使った超簡単レシピです。ポイントは、チェリートマト、バジルの葉、パルメザンチーズをたっぷり使うこと。にんにくと塩こしょう、オリーブオイルで調味するだけ。バジルの爽やかさと、トマトの酸味と甘みのあとから、チーズの芳醇なコクがおいかけてきます。今日は入れませんでしたが、黒オリーブなど彩りに入れるとまたぐっとおしゃれになりそうです。おすすめです!!

P4120424 salade de patesP4120431 salade de pates 2

 

P4120441 Tarte Chocolat 3

Tarte Chocolat Liegeois (リエージュチョコレートタルト)

タルト生地には、アーモンドパウダーやカカオパウダーも入れて、サクッと焼き上げます。型に敷いたあとの切れ端の生地を寄せ集めて棒状にのばし、1.5㎝くらいの厚さにカットして、これをオーブンで焼けばおいしいサブレの完成です。(無駄がない!!)カカオ70%のチョコレートクリームは、甘さ控えめの大人の味で、とても美味です。コッテリした感じはありませんが、卵、砂糖、生クリーム、ミルクもたっぷり入っていますから、ご用心!上からCrème Chantilly(固く泡立てた生クリーム)をこれまたたっぷり絞って完成です。

P4120413 billes de cuisson

P4120421 creme au chocolat

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P4120442 sable breton etc

Sablé Breton (サブレ・ブルトン)

 卵、砂糖、バター、小麦粉、ベーキングパウダー、塩をしっかり混ぜて、5㎜厚さにのばし、オーブンで焼くだけの簡単レシピです。ついもう一枚、もう一枚と手がでてしまうおいしさです。金属の缶などに入れておけば二週間くらいは保存がきくそうです。食べないで我慢できればの話ですが…。

P4120406 casserole bain marie本日の特ダネはフロランスの調理器具。たとえばチョコレートの湯煎用のお鍋。フランス語ではcasserole bain-marie といいます。普通は大小のお鍋で代用してしまいますが、さすがチョコレート職人!インターネットで調べたら、さらにすごいお鍋がありました。鍋が二重構造になっていて、注ぎ口から水をいれると外側の空間に水がたまり、そのまま火にかけて放置できるタイプです。かき回すときプカプカ揺れる鍋を左手で支える必要がありません。価格は15ユーロから36ユーロくらいです。湯煎だけでなく、温かい状態でサーブしたい料理などを保温しておくのにも使えるそうです。
P4120428 ciseauxそれから、刃が何重にもなっているはさみ。バジルの千切りに使っていました。均等な幅に一度にたくさん効率よく切れます。「まな板文化」の日本人にしてみると、包丁でザクザク切ればいいようなものですが、欧米の人はあまりまな板を使いませんね。ゆで卵をみじん切りにするときも、細長いカップにゆで卵をいれて、はさみやナイフをカップの中に差し込んで、ザクザク刻みます。これは後片付けが簡単なのでいいアイデアです。

 

それからスポンジ。およそフランス人は「布巾」でテーブルをふきません。皿や手を拭くのには使いますが、テーブルなどはスポンジを使っています。しかも日本製はだめで、フランス人は皆さん、バカンスを終えて日本へ帰ってくるときに、スーツケースの中に商売ができるぐらいたくさんのフランス製のスポンジを入れて持ってくるそうです。吸水力が格段に違うとか。

日本人の台所に馴染まないものもありますが、そのアイデア、いただき!というものもあり、おもしろいです。フロランスは「日本人は器用だ。」と言いますが、本当にそうかもしれません。フロランスのキッチンの引き出しのように道具で溢れかえっていることはありませんが、まな板と包丁で大体のことをやってしまうのが日本人かもしれません。

6月末にはフランス人のバカンスが始まります。フロランスのバカンス前最後のレッスンは6月に2回予定しています。「クレープ&ガレット」です。もっちりふわふわのクレープの他、そば粉のガレットも習います。クレープ料理からデザートまで、冷たく冷やしたシードルといっしょにいただきます。暑くなる時期にぴったりのサロンです。皆さまのご参加をお待ちしております。

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菓子サロン

アートサロン「画家の目、彫刻家の手」:講座ご報告(2014年3月27日)

3月 29th, 2014
アートサロン「画家の目、彫刻家の手」:講座ご報告(2014年3月27日) はコメントを受け付けていません

ブリヂストン美術館で今回は、ブリヂストン美術館コレクション展「画家の目、彫刻家の手」をソフィと一緒に鑑賞しました。美術館が所蔵する160点の作品の中には、ドガのパステル画「踊りの稽古場にて」などのように光に弱く劣化しやすいためほとんど公開されない貴重な作品も並び、エジプト時代の彫刻からバルビゾン派、印象派、ポスト印象派、そして20世紀へとアートの変遷をわかりやすく展示しています。限られた時間の中ですべて見ることはできませんので、ソフィが(彼女いわく)「非常に個人的嗜好で選んだ」作品鑑賞となりました。でもあとでそれがベストチョイスだったことがわかりました。

「絵と彫刻の間に違いがあるのは勿論だけど、共通点もたくさんあると思う。みんなは見つけられるかな?」
参加者一同、「エ~ッ!!」と顔を見合わせてしまいました。美術はちょっと苦手だけど何事も挑戦!と参加された方は、早くも後悔の念にとらわれ始めているようです。
「彫刻は3次元、絵画は2次元ですね。これは違う点よね。」(ハイ…)「今は見つけられなくても最後にはきっとわかると思うから、みんなで見て行きましょう。」(ハ、ハイ…)

「バルビゾン派って??」

西洋絵画の歴史では絵画に「格」の階層があり、「歴史的絵画」「肖像画」「風景」「静物」の順に尊ばれていたのだそうです。
「静物が最下層の絵画だなんて、日本画を知っている皆さんには驚きでしょう??」と、ソフィ。ほとんどが室内で描かれていた絵の中で、「風景」は歴史的絵画や肖像画の背景くらいの位置にしかなかったそうです。ところがバルビゾン派の画家たちは戸外へ飛び出し、自然の中で自然を描くという方法で「風景」を主題へと持ち上げたのです。当時、パリのような都会は産業革命の洗礼を受けて変貌し始めていて、人々が郊外へ自然へと目を向けていったこともバルビゾン派の誕生に拍車がかかったようです。
Barye(バリー)の小さな牛の彫刻を前にして、「この彫刻のどこが絵画と共通しているかしら?」と聞かれても、やはり顔を見合わせるだけの一同。「この牛の胴体は滑らかにつやつやしているけれど、台座を見て。彫りすじがたくさん残されていて、ザラザラしているでしょう?」(ハイ…)答えの出ない一同にソフィはにっこり笑って「次の部屋へ行ったら何かがわかるわよ。」と隣の部屋へ移動。

 「Touche :タッチ・筆使い」

ピエール・オーギュスト・ルノワール 少女1887年 石橋財団ブリヂストン美術館蔵

ピエール・オーギュスト・ルノワール
少女1887年
石橋財団ブリヂストン美術館蔵

そこは印象派の部屋でした。ルノワールの「すわるジョルジェット・シャルパンティエ嬢」の前でソフィは言います。「この女の子の服の感じはどう?触りたくなるようなタッチで描かれているでしょう?ルノワールのお父さんは仕立て屋で、お母さんはお針子だったので、ルノワールは小さいときから布に囲まれて育ったの。だから、絵の中でも布の感じをとても上手に表現しているでしょ?この絵はtouche caressanteですね。なでまわしたようなタッチで描かれているでしょ?」(フム、確かに…)
次に同じルノワールの作品「少女」。「この絵のタッチはちょっと違うわね。髪の毛の流れと同じように、背景も服も垂直な流れで描かれていると思いませんか?」(確かに、先のtouche caressanteとは違います…)そこでつながるのです。バリーの牛のツルツル、ザラザラのtouche(タッチ)とルノワールの筆のタッチが。これが共通点!!

 「三次元の絵」

Matisse(マティス)の「画室の裸婦」の前でソフィはこう説明します。「裸婦の赤く塗られた体と背景のグリーンを見て。寒色のグリーンは奥に引っ込んだ感じを出していて、暖色の赤は前に出てくる感じがあるわね。その上、裸婦の背の部分に白のラインを入れることで背景と裸婦の体に奥行がでているでしょう。これは立体的な絵画といえるでしょう。」(なるほど!)この絵画の立体的技法については、20世紀美術の部屋ではもっと大胆な試みの数々を見ることができます。ペイントをペースト状に塗るというより貼りつけたような質感のある絵。異質の画材を貼り合わせて穴をあけたり、ひっかいたり…確かに彫刻のタッチなのです。

「作家の目:Pomponの家鴨 」

Pompon(ポンポン)はロダンのアトリエで修業していました。彼にとってはロダンの作風をいかに越えるかがテーマだったことでしょう。彼の「家鴨」は小さな作品です。ロダンのゴツゴツとした風合いはなく、滑らかでシンプルなラインをもった美しいアヒルは、まるで魔法にかけられた「眠り姫の森」の生き物のように一瞬を切り取られて永遠に立ち尽くしているかのようです。ここでソフィから命題が出されました。1分間だけじっくりこのアヒルを見てくること。次に他の部屋へ行って、記憶だけを頼りにそのアヒルをデッサンすること。小さなアヒルの周りに大勢で群がって注視。他の見学者の方にちょっとご迷惑だったかもしれません。1分間だけなのでお許しを!
さて、このデッサンはどうなったでしょうか。おもしろいことに、十人十色。頭とくちばしが強調されているもの。しっぽばかりが目立つもの。首が妙に長いもの。足が長くて太いもの。とても同じアヒルをデッサンしたとは思えない出来です。そのデッサンを手にもう一度実物の家鴨を見に戻ると…。「エ~ッ、やだ~、似ても似つかない!!」「何を見てたんだろう!」と大騒ぎ。
ソフィいわく、「それがあなたの「目」なのよ。」何かを写生するとき、人の視点は千差万別。小さなアヒルだって、見る人によってはポイントがくちばしだったり、しっぽだったり違うのです。何を描くかは、画家の視点によるということを身をもって体験いたしました。
展覧会のテーマは「画家の目、彫刻家の手」ではありますが、ソフィのアトリエでは、「画家の目、彫刻家の目、画家の手、彫刻家の手」になりました。

最後にソフィが示したZadkine(ザツキン)の「Pomona(ポモナ)」が象徴的でした。首も手もない胴体だけの黒檀の彫刻ですが、その体には手が描かれているのです。立体と平面、絵画と彫刻の合体です。

今回取り上げた作品は以下のサイトでご覧になれます。

http://www.bridgestone-museum.gr.jp/collection/

ランチタイム美術館を出て、参加者全員とソフィ総勢9人は、高島屋そばのillyで、軽くランチをいただきながら、おしゃべりを楽しみました。帰国が決まったソフィの最後のサロンが5月に開かれるかもしれません。そのときはぜひまたご参加ください。セーヌ川近くのソフィの家にはテラスがあって、近い将来はそこでまたサロンを開こうという話まででました。ソフィが一言。「でもこのサロンは高いわよ。なにしろ飛行機でこなくちゃならないからね!!」

アートサロン

フランス料理サロン:講座ご報告(2014年3月20日)

3月 24th, 2014
フランス料理サロン:講座ご報告(2014年3月20日) はコメントを受け付けていません

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今回のマリオンの料理は「シーフード」。料理に合わせてテーブルコーディネートも「海」がテーマです。ブルーのサテンクロスは海。皿の上にはエンゼルフィッシュに折られたナプキン。テーブル中央には大小様々な貝が並んでいます。お子さんたちと一緒に知恵を出し合って出来上がった素敵なテーブル。ただひとつ、「テーブルの真ん中に砂を敷いたら浜辺になるよ!」というアイデアは即却下されたそうですが…。

外は雨ですが、きちんと整頓されたキッチンは明るいオレンジ色の電灯が灯されて、On va commencer !(始めましょう!)の掛け声とともに料理開始です。マリオンいわく、「今日の料理はちょっと上級コースよ。」
まずはメインのNage de crustacés et coquillages en croûte からスタートです。アサリを白ワインで蒸したり、野菜を炒めたり、アサリの蒸し汁に生クリームを加えてソースを作るなど、加熱、冷却という過程があるので、一番時間がかかります。

P3200296 cuire des coquillages 「サフラン事件」
ソースを作る段階で、ふっとマリオンに料理の神様が降臨しました。「そうそう、このソースにサフランを入れたら絶対いいわ。色もほんのりクリーム色になるし、香りもずっといいはず!!」キッチンのカウンターの下にはありとあらゆるスパイスが並べられています。回転式の棚を何回もくるくる回して、サフランを探しますが、見当たりません。色付けなら「ターメリックは?」という声も上がりましたが、ちょっと風味が違います。「ない!仕方がない。あれがあったら絶対もっとおいしいのに…」残念そうにマリオンはあきらめてあさりのだし汁と生クリームを合わせてミキサーにかけます。しかし、途中で再び「絶対にあるはずなのよ。サフラン。前に見たもの!!」とマリオンはスパイスの棚を物色します。ありません。「おかしいわねェ…残念だわ。絶対サフランを入れたら違うのに!」そしてまたミキサーのスイッチを入れて撹拌しますが…。「おかしい!!絶対あるはずなのに!!」あきらめきれないマリオンは、またもやスパイス棚の捜索開始。「あった!あった!」目を輝かせて立ち上がったマリオンの手にはサフランの瓶が!サフランのパウダーを数回振り入れたマリオンの勝ち誇った顔といったら!!彼女の料理に対する情熱に参加された皆様もおもわず「オーッ!!」と雄叫びを挙げたのでした。

「魚は築地で!」P3200306 Nage  mettre des ingredients dans les bols
メインのNageに使用するあさり、エビ、帆立貝、鮭、そしてアントレ用のマグロもすべてマリオンは前日に築地へ仕入に行っていました。種類が豊富だし、新鮮、そして安いのだから、築地がベストよ!確かにエビは美しいオレンジの縞模様も鮮やか。帆立貝もぷっくりと肉厚でつやつやしています。まぐろの切り身は真紅でうっすら表面に脂がのって光っています。

「食器は料理に合わせて調達せよ!」Nage  ingredients et sauce
このNageのためにマリオンはアマゾンですてきな容器を購入しました。白地に藍色の線が幾筋か描かれた涼しげな器です。ところが届いたらなんとプラスティックで、オーブン使用不可。あわてて彼女御用達の合羽橋まで駆けつけ、白い耐熱の容器を8こ購入。これを聞いた参加者の皆様、申し訳なさにフッとため息。

「折り込みパイはホームメイドで!」
折り込みパイは大変!というのが世間一般の認識です。マリオンもそう思っていました。ところが、フランスの料理嫌いの隣人が新年のパーティーで折り込みパイを作ったと聞き、マリオンは俄然発奮しました。その隣人が参考にしたというYou Tubeの作り方をみたところ、とても簡単に作れることを発見。今回もその作り方を教えてくれました。長い長方形に延ばして三つ折りにするのP3200310 Nage  couverte de pateをフランス語でun tour(アン トゥール)というそうですが、マリオンはこれを2回ずつやっては寝かして、合計6回six tours (シ トゥール)してから、Nageの容器にかぶせました。このトゥールを数多くやればやるほど生地はサクサクになるそうです…。確かにすごく難しいわけではありませんが…こっそり皆様で「市販のものを使いましょうかね?」と言いあうことに。でも小麦粉とバターが同量入るこの折り込みパイ生地、目の前でバター一箱分が小麦粉の中に飲み込まれていくのを目の当たりにし、食べるときにはカロリーのことは絶対考えるな、というマリオンの教えを胸に畳み込んだのでした。

「イタリアンメレンゲ」
デザートのスフレグラセは、イタリアンメレンゲを使います。普通のメレンゲと違うのは、卵白を固く泡立てたところへ熱々のシロップを混ぜいれるところです。今ちょっとしたブームのマカロンはこのイタリアンメレンゲで作るそうです。イタリアンメレンゲは、普通のメレンゲに比べてつぶれにくく、しっかりしています。フランボワーズと混ぜるときも、泡がつぶれにくく扱いやすいです。

「料理上手のママを持つ息子たち」P3200327 pain de Marion
マリオンは4人の子供がいます。そのうち、5歳と11歳が男の子。5歳のルイは将来「星つきのレストランのシェフになる」のが夢で、いつも台所でママにぴったりくっついて料理を手伝っています。彼は将来結婚したら、「奥さんに料理を教えてあげる」そうです。一方、11歳のマキシムは、家族の中で父親と同じくらい食べる大食漢。将来は「料理の上手な奥さんを選ぶ」そうです。フランスでは、マリオンも仕事を持っていたので、もちろんパンは買っていましたが、日本では美味しいパンが簡単には手に入らないので仕方なく自分で作ることに。ところが日々この自家製パンに慣れてしまった息子たちは、フランスの近所の人たちがパンを買っている光景をみて、「どうしてあの人たちは自分でパンを作らないの?」と聞く始末。「何でも当たり前になってしまうのはいいことじゃない。」とマリオンはちょっぴり心配顔。君たち、ママのように毎日胃袋を美味しいもので満たしてくれる女性はそんなに簡単にはみつかりませんよ!

 

P3200332 Tartine de thon 2

Tartine de Thon mariné aux Tomates , Basilic et Parmesan

(マグロのマリネ、トマトのバジル風味、パルメザンチーズ)

 アントレにもアペリティフにも出せる日本人ごのみのテイスト。バジルの風味が食欲を増します。マグロのマリネとパルメザンチーズがこんなによく合うとは!カリカリのパンとマグロのしっとりとした食感がおもしろい。

 

Nage a table

Nage de Crustacés et Coquillages en Croûte(シーフードのナージュ、パイ皮包み)

 こんがり黄金色に焼き上がったパイをフォークで穴をあけたところから、シーフードの旨味を含んだ香りが一気に噴き出してきます。サクサクのパイを崩しながら、えびや帆立、鮭のいろいろな食感が楽しめるおもてなし料理です。

 

souffle glace framboises 1

 Soufflés glacés aux Framboises (フランボワーズのスフレグラセ)

 アイスクリーム?スフレ?美しいピンクのフランボワーズの軽やかなデザートです。カシス、ストロベリー、ブルーベリーでもおいしくできるそうです。フランボワーズの酸味がさわやかです。

flan patissier

 Flan Pâtissier (フラン パティシエ:菓子職人のフラン)

 メニューにはなかったお菓子をマリオンが特別に準備してくれていました。材料はミルク、卵、砂糖、コーンスターチにバニラ。プリンをちょっと固くしたような滑らかで懐かしい味。

P3200330 vin de jour Alsace Riesling 2010本日のワインは、vin d’Alsace  Riesling 2010 (アルザスのリースリング 2010年)です。フルーティーながらキレのいい白は、シーフードの繊細な旨味にマッチしています。

料理サロン

フランス料理サロン:講座ご報告(2014年2月13日)

2月 16th, 2014
フランス料理サロン:講座ご報告(2014年2月13日) はコメントを受け付けていません

マリオンのリビングの大きな窓の向こうには鉛色の空が寒々と広がっています。室内の暖かさと外の冷気が窓ガラスを境にせめぎ合い、水滴が幾筋もガラスの上を流れて行きます。こんな日は、台所で火にかけた鍋の中で肉がクツクツと煮える音や、チョコレートがオーブンの中で焼ける甘い匂いに包まれてホッコリしていたい、まさに「料理日和」です。「今日はどれも超カンタンよ。ただ煮る時間が長いだけ!!」とマリオンの元気な声でレッスンが始まります。

本日のメニューは次の通りです。

Entrée(前菜) :Rillettes de porc (豚肉のリエット)

こんなに簡単に本格的な味のリエットが作れるとは!!感動のレシピです。とにかく豚のバラ肉をスパイスとにんにく、月桂樹の葉、そして塩こしょうを入れてコトコトと3~4時間煮込むだけ。市販のリエットのように脂っぽくなくて、舌触りも滑らか。バゲットにたっぷり塗っていただくと、ワインが進みます。そのままでも十二分に美味しいですが、粗塩やエスペレットを少々ふっても味に変化がつきます。一人ずつに小さな容器に入れてサービスされました。心憎い演出です。

Plat(メイン)    :Navarin d’Agneau (子羊肉のシチュー)

アニョー(子羊肉)の独特の臭いが苦手な人は、日本人だけではなく、フランス人にもいるそうです。でも、復活祭のときにはやはり欠かせないのがこの料理なのだそうです。調理はいたってシンプル。玉ねぎ、にんじん、かぶと肉をコトコト煮込みます。にんにくとたっぷりの白ワイン、トマトペーストが味の決め手。肉は柔らかく、かぶとにんじんの甘味が絶妙です。寒い日にフーフー言いながらいただくには最適の料理です。付け合せにポテトを添える場合もあるそうですが、マリオンのおすすめはクスクスの付け合せ。

 

 

Dessert(デザート):Fondant au chocolat avec sa crème anglaise

(フォンダン・オ・ショコラ, クレームアングレーズ添え)

バレンタインの前日にぴったりのチョコレート菓子です。チョコレートとバター、卵、小麦粉少々を混ぜたフィリングの中にチョコレートの塊をひそませてオーブンで焼き上げます。熱々のケーキにクレーム・アングレーズを添えます。ケーキを割ると、中からチョコレートがトロリと流れ出てくるところを、クレーム・アングレーズと混ぜていただきます。温かいチョコレートと冷たく冷やしたクリームのマリアージュです。クレーム・アングレーズを作る時間がちょっと…という方には代わりにバニラアイスをお勧めいたします。焼き立てが身上のお菓子ですから、サービスする直前に焼き上げます。作った人の心のように熱々のとろけるチョコレートケーキは、きっと相手の心と胃袋を「わしづかみ」にすることでしょう。

本日のワインは、初めCôte de Castillon (コート・ド・カスティヨン)を用意していましたが、マリオンがサービスする前にカラフに移したものを試飲したところ、「おいしくない!」ということで、別のボトルになりました。「これはブッフ・ブルギニョンにでも使うわ。」そしてサービスされたワインがこちら。Tour St. Bonnet Médoc 2008。アニョーに負けないパンチのあるワインです。今日のようにホストは客にふるまう前に、自ら試飲して、そのワインの味に責任を持つのですね。かつて本国帰国が決まった生徒がワインをプレゼントしてくれたことがありましたが、その銘柄を聞いた彼女のご主人様は「とんでもない!」と翌日わざわざ違うワインを届けてくださったことがあります。今日のワインといい、そのときのワインといい、こちらには余り違いがわからなかったかもしれませんのに…。

高級なレストランでワインを注文すると、まずはソムリエが恭しくワインの栓を抜き、注文した人物に「いかが?」とグラスに少し注いで試飲させますね。もし美味しくなかったら、そのように言えば別のワインと取り換えてくれるそうですが、ちょっと勇気がいります。そのような状況を作らないのがまたソムリエの仕事でもありましょうが、出されたワインがどれも美味しいと感じられる「味覚の幅」(言い換えれば「味音痴?」)に甘んじているのが身の程と思っております。

リエットをここまでの完成度に高めるまでには何回も試行錯誤を重ねたというマリオンの味覚に対する妥協のない真摯さ、こういったマダムたちの繰り出す家庭料理がフランス食文化を下支えしているのだと痛感します。完成したレシピーをいただいて、その通り作りさえすれば感動の料理が再現できるこのサロンは本当にお勧めです!研鑽して得た秘訣まで惜しみなく教えてくれるマダムたちとの友好の絆を大切にしたいものです。感謝!!

 

料理サロン

フランス菓子サロン:講座ご報告(2014年2月3日)

2月 4th, 2014
フランス菓子サロン:講座ご報告(2014年2月3日) はコメントを受け付けていません

昨年のクリスマスに引き続き、今回はバレンタインデーにちなんでチョコレート菓子を習います。何かというとチョコレートが登場するフランスの食文化。製菓会社が考え出したバレンタインのチョコレートに踊らされている日本とは比べ物にならない文化力を感じます。チョコレート職人のフロランスが繰り出す本日のアントルメ、いやがうえにも期待が増します。

まずテーブルセッテイングを見てみましょう。ワインレッド(フランス語ではボルドーと言うそうですが)の太いストライプのクロスがかけられています。食器やグラスの周りには真紅の大きなハートがいくつも散らしてあります。しかもそのハートの周りにもごく小さなハートがまるで満天の星のように散りばめられています。招待客にその日のテーマを知らせる役目もあるでしょうし、このように時間をかけてテーブルを設える主人側の「おもてなし」の心が伝わる憎い演出です。おいしい料理を出すだけでなく、このように食卓をキャンバスに見立てて客人を目でも楽しませる工夫をこらせば、食事の前から会食者のテンションが高まること間違いありません。

本日のメニューは次の通りです。

Chèvre frais en Feuilleté (山羊チーズのパイ)

ものすごく簡単で見栄えがよく、そして美味!お勧めの一品です。作り方も材料もいたってシンプル。市販のパイシートを少しのばして、好みの型に切り、(今回は円形にしました。)中央にハーブを混ぜ込んだ山羊チーズを適量置きます。ハーブはフレッシュタイムでも乾燥のものでもOK。今日はHerbes de Provence(エルブ・ド・プロヴァンス)を使いました。チーズの上にもハーブをふって、もう一枚の同じサイズのパイ生地でおおい、少量の水でのばした卵黄を表面に塗り付けて、180℃のオーブンで20分ほど焼けば出来上がり。サラダと一緒にお皿にのせてテーブルへ。熱々のパイはサクサクしていて、山羊チーズのピリッとした風味とよく合います。ブルーチーズ系がお勧めだそうですが、にんにく風味のBoursin(ブルサン)のようなチーズでもおいしいそうです。是非お試し下さい。

 

Entremet chocolat(アントルメ・ショコラ)

まずDacquoise(ダコワーズ)から始めます。これはあらゆるお菓子のベースに使えるとても便利なレシピです。材料は小麦粉、アーモンドパウダー、粉砂糖、卵白、グラニュー糖。卵白を固いメレンゲにして粉とまぜるのがポイントです。さくさくしていて、しかもしっとり感のある生地に焼き上げます。セルクルで型抜きしてアントルメの土台にします。
Crémeux au chocolat(チョコレートクリーム)は前日に作ってよく冷やしておきます。材料はチョコレート(カカオ70%のもの)、ミルク、生クリーム、卵黄、グラニュー糖。チョコレートは湯煎で溶かしておきます。卵黄と砂糖を混ぜ、次に鍋にミルク、生クリームといっしょに入れて弱火で煮てクレームアングレーズを作ります。これを溶かしたチョコレートに混ぜいれてよくなじませたら、クリーム表面にぴったりラップをはって一晩冷蔵庫で冷やしておきます。これをダコワーズの土台に厚めに塗り付けたら食卓へ出すまで冷蔵庫で冷やしておきます。いただく直前に固く泡立てた生クリームをチョコレートクリームの上に絞り出し、干しブドウを散らして出来上がり。チョコレートクリームは思ったより甘すぎず、ダコワーズのしっとりサクサク食感と絶妙なマリアージュ。とてもとても上品なアントルメです。こんなお菓子を出されたら、彼のハートは間違いなく貴女のもの。

Truffes au Chocolat (チョコレートトリュフ)

カカオ50%以上のブラックチョコレートに沸騰させた生クリームを加えてよく混ぜます。次にバターを加えて完全に混ぜ合わせたら、冷蔵庫にしばらく入れて少し固めにします。これを手、または2本のスプーンでクネル形にして、カカオやココナツ、粉砂糖などでコーテイングします。チョコレートにはリキュールを混ぜたり、シナモンやジンジャーパウダーなどを入れてもいいそうです。

Philtre guatémaltèque au chocolat(ガテマラのチョコレート 愛の媚薬)

おもしろい名前の飲み物です。作り方はとても簡単。鍋にミルクをいれて温めます。熱湯でのばしたカカオにこのミルクを注ぎ入れ、よくかき混ぜます。つぎに蜂蜜、砂糖を混ぜいれ、バニラエッセンス、ラム酒、タバスコ、塩、ジンジャーパウダーも入れてよく混ぜたら出来上がり。ホットココアにリキュールとタバスコとジンジャーを入れるのが特徴です。確かに甘味がギュッと引き締まるように感じます。この3つを入れれば、確かに体がポカポカしてきて、気持ちが高まるかもしれません。ちなみにフロランスはご主人と結婚する前にこの「媚薬」を試したかと聞いたところ、「彼は私に首ったけだったから飲ませる必要はなかったの。」だそうです。
日を改めて、他のフランス人マダムに聞いたところ、彼女は高校生のとき、友達の家のパーティーに来た男の子たちにこのジンジャー入りの飲み物を飲ませて、彼らがどうなるか観察したことがあるそうです。確かにすごく興奮してやたら元気いっぱいになったけれど、「結局、何も起こらなかったわ。」とのことです。効果があるのかどうかちょっとよくわかりませんが、体が温まることは確かです。血流もよくなりそうですから、美容効果があるかもしれません。その結果、ボーイフレンドのハートを射止めるとしたら確かに「媚薬」には違いないですね。

チョコレート缶
女の子がかわいい

クラシックなココア缶

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