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アートサロン「フランス地方アート散策(2)」ご報告 2015年1月22日

1月 24th, 2015
アートサロン「フランス地方アート散策(2)」ご報告 2015年1月22日 はコメントを受け付けていません

P1220934 conference昨年11月に開かれるはずだったアートサロン「フランス地方アート散策・後編」は、ロランスの急病で延期となり、今年1月にやっと実現する運びとなりました。
前回の参加者の方の他新しい方も加わり、フランスの南半分の9つの地方から10点のアートを見ていきます。

日本のガイドブックにはあまり紹介されていないイベント、美術館など興味はつきません。フランス人でも知らないという人が結構いたくらい、「穴場」的なところばかりです。
詳細は前回(2014年2回開催)のスタッフブログでの報告と重複する箇所もあるかと思いますが、簡単にご紹介いたします。リンクも貼っておきますので、どうぞそちらもご覧になってみてください。ちなみに2014年11月にフランス議会で2016年を目処に現在の22地方を13に統合することが決まったそうです。これには特にアルザス地方の議員から猛反発があったそうですし、他の地方でも統合されることでその地方独自の文化が失われるのではないかと危惧している人たちもいるようです。とはいえ今後のフランスの地図が様変わりすることは必至のようです。

P1220936  galette des rois

プレゼンのあとはいつものようにテイータイム。今日はGalette des Rois(ガレット・デ・ロワ=王様のケーキ)をいただきます。パイ生地からすべてお手製。料理は好きじゃないというのに立派です。このお菓子、1月初めにいただく伝統的なもの。ケーキの中に陶器の小さな人形が仕込まれていて(昔はソラマメを使っていたそうですが)、この人形が入っているケーキを食べた人はその日の王様/女王様になれるということです。金の冠といっしょに菓子店でもこの時期店頭で売られています。ロランスの家では、子供の誰かがテーブルの下に入り、ママが切り分けたケーキを「それはパパに、それは弟に…」というように人形が入ったケーキが偶然誰かのお皿に配られるようにします。それで王様や女王様になった人にはどんないいことがあるのかと聞いたところ、「次の年はその人がガレットを作るのよ。」思ったより「イイこと」は起きないらしいです。ま、ケーキがおいしいからいいことにしましょうか。

 

P1220939  tasse de hermes(1)

P1220938  tasse de Hermes (2)

 

 

 

 

 

 

P1220940  tasse de Hermes(3)

 

 

テーブルの上のカップはすべてエルメス。いかにもエルメスらしい絵柄。

 

 

 

1)  Rhône-Alpes :ローヌアルプ地方
Palais idéal du Facteur Cheval : 郵便配達夫シュバル氏の「理想宮」

田舎の郵便配達夫だったシュバル氏が郵便配達中にたまたま躓いた石から、宮殿建設を思いつくという奇想天外な、しかし本当にあったお話。33年間、毎日郵便配達をしながら拾い集めた石でついには自宅の菜園に宮殿をたった一人で作り上げてしまいます。当時彼が配達していた異国の絵ハガキや雑誌からインスピレーションをえて建てられたこの国籍不明の宮殿、1969年には「素朴アート」の歴史的建造物と認定されることになりました。現在では毎年アーティストたちがここでシュバル氏のインスピレーションと粘り強い挑戦に敬意を表して作品発表を行っているそうです。

http://www.facteurcheval.com/

2)  Aubergne : オベルニュ地方
Horizons Arts Nature en Sancy : サンシーの自然ホライゾンアート

2007年から始まったプロジェクト。この地方の豊かな自然の中で現代アートを楽しめます。毎年世界中からアーティストの作品を公募して、彼らの作品を自然と融合させて設置しています。アートを見ながら自然の中を歩き回るという心にも体にもよさそうな場所です。

http://horizons-sancy.com/

3)  Limousin : リムザン地方
Centre d’art contemporain –Abbaye Saint André de Meynac :
現代アートセンター メナック サンタンドレ修道院

文化は田園にあっても日々の生活と密接にかかわっていなくてはいけない -というコンセプトから、僧院の一部を現代アートの展示場として開放しています。2014年には日本人の現代アート作家53人の作品展が開かれていました。

http://www.tourismelimousin.com/diffusio/en/what-to-see/museums-art-thematic-areas/meymac/abbaye-saint-andre-centre-d-art-contemporain_TFO155001830.php

4)  Poitou-Charentes :ポワトゥ・シャラント地方
Festival international de la bande dessinée d’Angoulême:アングレム漫画フェスティバル

毎年1月に開かれているフランスのみならず世界中の漫画が一同に集まる欧州最大規模の祭典。このフェスティバル、昨年は韓国の「慰安婦問題」に触れた漫画が展示され、日本がフランスに抗議するというニュースで、知名度がアップした感もありますが。
町の建物の壁面に漫画のキャラクターなどが描かれていて、町全体が常設漫画展のような趣きです。

http://www.bdangouleme.com/

5)  Aquitaine : アキテーヌ地方
Courrèges : クレージュ

この地方はブドウ栽培やエアバスなどの重工業でも有名ですが、デザイナーのクレージュもこの地方の出身者。もともとエンジニアの教育を受け、大戦中は空軍でパイロットの任務についていた彼はファッションとは全く無縁でした。しかし、戦後バレンシアガのアシスタントとなったことから彼の成功への道が始まりました。彼の発表した作品は何もかもが時代の最先端を走るものでした。幾何学的なデザインで有名ですが、ミニスカートも彼が最初に発表しました。パンタロンはイヴサンローランの作品というイメージがありますが、実はクレージュが最初に発表しています。彼のファッションへのこだわりは「女性の体を自由に解放すること」。体にフィットしたラインや真逆のゆったりとしたAラインなどは、「生活の動きに快適なライン」を追求した結果です。
彼の残した言葉です。「スタイルとモードは分けて考えなければならない。モードは変化する。しかしスタイルは時代の流れに影響されることがない。スタイルこそがそのパーソナリティーを表現しているからだ。」

http://www.vam.ac.uk/content/articles/a/andre-courreges/

6)  Midi-Pyrénées: ミディ・ピレネ地方
Viaduc de Millau : ミヨーの高架橋

深い谷に高速道路を作ろうという超人的な計画から建設された高架橋。美しい自然の中に鉄の大橋を建設するという計画に当初、地元の住民たちは大反対したそうですが、現在はこの高架橋のおかげでたくさんの観光客がやってくるようになったこともあり、この美しい橋の景観を誇りにしているようです。確かに雲海に浮かぶ橋は神秘的ですらあります。
http://www.bing.com/images/search?q=+viaduc+de+Millau&qpvt=+viaduc+de+Millau&FORM=IGRE

7)  Languedoc-Roussillon : ラングドック・ルシヨン地方
Art dans l’espace public : 1% artisitique : 公共スペースの1%アート

公共施設建設の場合、その費用の1%を現代アート作品に充て、その作品をその施設内に設置しなければならないという法律があるそうです。これは現代アートの振興をはかるとともに生活のなかにアートを取り入れるというのが目的です。さすが芸術の国、フランス。

http://www.laregion.fr/

8)  PACA-Corse : プロヴァンス・アルプ・コートダジュール地方コルシカ島
Château La Coste : シャトー・ラ・コスト

不動産で巨万の富を手にしたアイルランド人Patrick Mckillenがこのシャトーを買い取り、もともとあったブドウ園にアートと建築を結びつけたセンターを創設。建築にはPritzker賞(建築界のノーベル賞ともいわれる権威ある賞)に輝く5人の建築家、安藤忠雄、レンゾ・ピアノ、フランク・ゲリー、ジャン・ヌベル、ノーマン・フォスターに依頼。何とも豪華な顔ぶれですが、そこへアーティストも数多く招聘し、彼らに好きなように作品を作らせています。お大尽のやることはケタ違いです。緑の自然の中に現代建築とアートが散在する美しい場所。宣伝をほとんどしていないので観光客が押し寄せることもないというまさに「穴場」です。

http://www.via-selection.com/fr/galerie/galerie-photos/id-271-chateau-la-coste

9)  PACA: Fondation Maeght : マーグ財団美術館

マーグ夫妻が政府からの補助金を一切受けず、独立して自分たちだけで作り上げた美術館です。もともとコレクターであったマーグ氏ですが、最愛の息子の死に悲嘆にくれていた時に友人の画家ブラックに「その悲しみを乗り越えるために何か大きなことをやりましょう。あなたがやるなら、自分は絵筆をもってきて岩にだって絵を描きますよ。」と励まされたのが始まりだとか。収蔵作品は、1万点。ジャコメッティの彫刻が62点。ミロの彫刻が150点。シャガールの世界最大の作品も所蔵。何しろマーグ夫妻の友人というのがボナール、ブラック、シャガール、ジャコメッティ、レジェ、ミロ…と美術史の本をひっくり返したような豪華絢爛たる顔ぶれなのです。ヨーロッパ屈指の所蔵作品数というのも納得です。

http://www.bing.com/images/search?q=fondation+maeght&qpvt=fondation+maeght&FORM=IGRE

10)  Ile-de-France:イル・ド・フランス地方
Fondation de Louis-Vitton: ルイ・ヴィトン財団美術館

パリのブーローニュに2014年9月に開かれたばかりの新しい美術館。アメリカ人の建築家フランク・ゲリーの設計です。ちょっとルーブル美術館の中庭のピラミッドを思わせる全面ガラス張りの建物が、ブーローニュの森の中で異彩を放ちます。

http://www.lvmh.com/lvmh-patron-of-the-arts-and-social-solidarity/fondation-louis-vuitton

P1220946  gouter la galette des rois

アートサロン, フランス語

料理サロン:講座ご報告(2014年12月5日)

12月 14th, 2014
料理サロン:講座ご報告(2014年12月5日) はコメントを受け付けていません

 

PC050879 sapin de Noel今年最後の料理サロンは、Buffet de Réveillon です。Réveillonはクリスマスイヴまたは大晦日の晩のパーティーを言います。親しい友達と集まって陽気に過ごします。そんなとき主婦が台所にこもり髪を振り乱して料理作りはちょっと悲しい。ですから事前に作っておける一口サイズの料理はとても嬉しいものですね。今日は何と5種類のおつまみと2種類のスイーツを習います。マリオンはオーブンで焼く順番に相当頭を悩ませたようですが、お見事!!気まぐれオーブンを上手に手なずけながら無駄のないローテーションで進めていきます。マリオンの手際の良さに皆様、感心することしきり。なにしろ7品目です!!さあさあご覧あれ!!

 

リビングには大きなクリスマスツリーが電飾を光らせて鎮座しています。「これはプラスティックでちょっと残念。フランスの家では毎年本物の樅の木を使うんだけど。」一番下のルイ君は、このツリーのすぐ横にあるソファーを自分専用と宣言したそうな。サンタさんが運んできたプレゼントをいち早くゲットできるポジションを確保してご機嫌のようです。

PC050875  table (2)

テーブルはクリスマスカラーのデコレーション。赤のクロスの上からシルバーの水玉を散りばめたオーガンジーの布を更にかけて華やかさを表現。クリスマスカラーのナプキンにはシルバーのリング。ステッキ型のキャンディー、シルバーのキャンドル、そして各自のお皿の横には小さな袋が…。これは前日マリオンが焼いたクリスマス用のクッキーの詰め合わせ。嬉しい本年初のクリスマスプレゼントです。前日の台所はそれは大変な騒ぎだったようです。なにしろ3kgのプティフールを焼いたとか。しかも何種類も焼いたのですから。大きな缶に詰めておいてクリスマスシーズン中、ティータイムや食後にいただくのだそうです。また、今回のように袋詰めにしてプレゼントにも。クリスマスムードが盛り上がったところでいよいよキッチンへ移動。料理開始です。

PC050916 Sable de tomates sechees et parmesan

Sablés de Tomates séchées et Parmesan (トマトとパルメザンチーズのサブレ)

おすすめの一品。サブレといってもパルメザンチーズとドライトマトのサブレです。小麦粉とバター、ドライトマト、パルメザンチーズ、卵、そして塩少々を混ぜ合わせたら、冷蔵庫で2時間ほどねかせてオーブンで焼くだけです。ドライトマトの代わりに黒オリーブやローズマリーを混ぜてもいいそうです。

 

PC050930 oeuf de caille

Oeuf de Caille en gelée aux oeufs de Saumon(ウズラ卵とイクラのジュレ)

シブレットとパセリを加えて香づけした熱湯をこして、ゼラチンとディルも加えてゼラチン液をつくります。ヴェリーヌにゼリー液を1㎝ほど注いで固めたら、そこへイクラを厚さ1㎝ほどのせ、うずらの卵2個も加え、ゼリー液を注ぎ入れて、また冷蔵庫で固めます。最後にイクラをのせて、いただくまで冷蔵庫で冷やしておきます。ゼリー液を冷蔵庫で固めながら層をつくっていくのがちょっと大変ではありますが、とてもおしゃれな一品に仕上がりました。

PC050919  Blinis de saumon fume

Blinis de Saumon fumé sur sa Chantilly au Wasabi

(スモークサーモンのブリニ、わさびのクレームシャンティー)

PC050909  cuire des blinisまずブリニを焼きます。これはロシア料理で一種のクレープ、みためも食感もパンケーキそのものです。小麦粉と同量のヨーグルト、ベーキングパウダー、卵、塩少々を加え混ぜて生地を作ります。フライパンにスプーンで生地を落として小さな円形に焼いていきます。ヨーグルトのせいでしょうか、とても優しく軽やかな食感です。生クリームにわさびを加えて弱火で加熱してよく溶かします。これを冷まして冷蔵庫で冷やしておいて、固く泡立てます。ブリニの上にこのクリームをのせ、その上にスモークサーモン、飾PC050917  Chantilly au Wasabi sur blinisりにディルやピンクこしょう、シブレットなどをのせて出来上がり。

 

 

 

 

PC050913 pain d'epices et foie gras (2)

Bouchées de Pain d’épices maison et Foie gras (パン・デピスとフォワグラのブシェ)

パン・デピスは、4種(シナモン、丁子、ナツメグ、カルダモン)もしくは9種のスパイス(先の4種の他に、アニス、フェンネル、しょうが、コリアンダー、こしょう)を加えて焼くパンケーキです。小麦粉と全粒粉、卵、べーキングパウダー、たっぷりのはちみつ、砂糖、ミルクを混ぜ合わせて焼きます。複雑な香りのする甘いケーキですが、フォワグラとの相性は抜群です。イチジクのジャムやフルール・ド・セルなどを好みでつけていただきます。これをいただくとクリスマス気分はマックスに。

PC050880   pain d'epices (farines, levure, epices )PC050894  pain d'epicesPC050912  pain d'epices en forme d'etoile

 

 

 

 

 

 

PC050930   assiette de buffet

Cuillerée s de St Jacques et Daikon en mille feuilles

(帆立貝とダイコンのミルフイユ、スプーン仕立)

 帆立貝は薄切りにして、ヘーゼルナッツオイルとライムの絞り汁を合わせたものにマリネしておきます。大根は皮をむいて薄い輪切りにします。スプーンにダイコンの薄切り一枚をのせた上に帆立貝のスライス2,3枚をのせ、またダイコン1枚をのせ、帆立貝のスライスをのせます。帆立貝の上にライムの皮をおろしたもの、フルール・ド・セルとこしょうをふって出来上がり。とてもシンプルですが、ダイコンのパリパリとした食感とライムの爽やかな香りをまとった帆立貝の柔らかな身が、口の中でハーモニーを奏でます。近年は、ヴェリーヌからスプーン仕立に流行が移ってきている印象です。他のサロンでもスプーン仕立のお料理が出ていました。

 PC050939  Brochettes de fraises au chocolat

Brochettes de Fraises au Chocolat (イチゴとチョコレートのブロシェット)

イチゴはヘタをとって、菜箸などで芯のところに軽く穴をあけておきます。チョコレートポッキーを芯に差し込みます。チョコレートを溶かして、そこへイチゴの先端をつけます。トッピングをふりかけて出来上がり。超簡単な作り方ですが、子供たちといっしょに楽しく作れそうです。イチゴの酸味とチョコレートの甘味がとても美味。華やかなイチゴの赤とカラフルなトッピングはパーテイーのテンションを高めます。

 

PC050936  petits gateaux au chocolat

Petits  gâteaux au Chocolat parsemés de Noisettes

(チョコレートとヘーゼルナッツのプチ・ガトー)

とてもリッチなお菓子です。見た目も味もカロリーも!!チョコレートとバターを湯煎でとかしておきます。砂糖と卵を全体が白っぽくもったりするまで混ぜ合わせて、とかしたチョコレートバターと、小麦粉、ベーキングパウダーを混ぜいれます。型に流し込んで、オーブンで10分ほど焼きます。その間にマスカルポーネと生クリームを固く泡立てます。そこへ溶かしたチョコレートも流し入れて手早く混ぜて、冷蔵庫で冷やしておきます。ケーキの上からクリームを絞り出し、飾りにヘーゼルナッツを砕いたものを散らします。

PC050891  alveolesAlvéoles :レシピーの中で、ケーキの型として出てくる言葉です。本来は蜂の巣の育房とか岩石の孔のことですが、確かにシリコンのこの型、蜂の巣のようでもありますね。

 

どの料理も本当に洗練されていておしゃれで美味しくいただきました。料理のスパイスはマリオンのおしゃべり。いつものことながら、「立て板に水」そのもの。次から次へと話題がわき出てきます。(通訳泣かせです…)

今回はマリオンのクリスマスについて:

フランスにいたときは、マリオンの実家とご主人の実家を一年おきに訪問してクリスマスを祝っていたそうです。マリオンの実家は南フランス。クリスマスには何とベトナム料理をいただくのだそうです。一方のご主人の実家では伝統的なターキー、フォワグラなどの料理で祝うので、毎年マリオンとご主人のどちらか一人が「ちょっと残念な」クリスマスになるのだとか。東京で過ごす今年のクリスマスはしっかり伝統的な料理が並ぶようです。エスカルゴ、フォワグラ、タルトetc、4人の子供とご主人のそれぞれのリクエストを叶えるためにはまたまたマリオンの台所はテンヤワンヤになりそうですね。とにもかくもJoyeux Noël !!

クリスマス用のビスケット缶

クリスマスビスケット缶

お勧めのアルザスワイン

アルザスワイン お勧めです!

カルチャー講座, フランス語, 料理サロン

料理サロン:講座ご報告(2014年11月18日& 26日)

11月 29th, 2014
料理サロン:講座ご報告(2014年11月18日& 26日) はコメントを受け付けていません

PB180776  Entrance今回は2回とも英語によるサロンです。少し早目のクリスマス料理を習います。ハローインが終わったばかりのフロランスの玄関にはその名残が…。
相変わらず整理整頓されたピカピカのフロランスのリビングの暖炉には、早くも薪が並べられ、クリスマスシーズンの準備が始まっています。「次のレッスンはお掃除レッスンを!!」と参加者の方に言わしめる、いつも清潔そのものの、しかもスタイルッシュなお住まいに、毎度のことながら参加者の方たちからため息が…。

 

 

 

 

PB180732  fireplace

暖炉には薪が用意されています。

 

卵型の陶器のオーナメント

卵型の陶器のオーナメント

 

PB180725 table setting

本日の料理は4品。でもあっという間に作り上げていきます。所要時間2時間半。

 

PB180756  mousse of Red bell peppers

Red bell peppers mousse, goat cheese with cumin

赤パプリカのムース、山羊チーズのクミン風味

 パプリカの皮をむくのはちょっと大変ですね。グリルで真っ黒になるまで焼いてむく、というのもありますが、ここではもっと簡単にオーブン200℃で30分焼きます。それをジップロックのようなビニール袋に入れて冷ましてからむくと、スルスルと本当にきれいにむけます。ぜひお試しください。卵やクリーム、塩、こしょう、クミン、お好みでタバスコといっしょにミキサーにかけます。これを型に入れて90℃のオーブンで30分ゆっくり焼いて、冷ましたらそのまま冷凍します。こうすることで型からはずしやすくなります。スプーン(陶器のれんげ)に山羊チーズをのせ、その上に型からはずしたムースをのせ、フルール・ド・セルとクミンシードをふりかけて出来上がり。タバスコの刺激とクミンのエキゾティックな香りがスターターとしての役割を果たしています。

PB260796  St-Jacques & Saumon

Scallops with smoked salmon

帆立貝のスモークサーモン包み

 PB180743  croissant (2)簡単ながらソースが最高に美味な一品です。どんな魚の料理にも合いそうなソースです。帆立貝は小麦粉をまぶして、半量をスモークサーモンで包んでおきます。エシャロットを鍋の中でバターと一緒に炒め、白ワインを500㏄加えて煮立てます。そこにスモークサーモンで包んだ帆立貝とそのままの帆立貝を加えて両面に軽く火を通します。生クリームを加えて塩こしょうで味を調えます。それから冷凍のパイシートから三角形(底辺約10㎝)を一人2個ずつ切り出して、底辺からクルクルと巻いてクロワッサンを作ります。卵PB180742  croissant黄を塗ったらこれを200℃のオーブンで焼いて、帆立貝といっしょに皿に並べます。ワインソースで煮たスモークサーモンと帆立貝はほどよい弾力を残して柔らかく、クロワッサンにワインソースを絡めながらいただく至福の時間です。クロワッサンは市販のミニクロワッサンを使っても。ただカリカリの焼き立てが身上なので、その場合はオーブンで少し温めて使うことをお勧めします。

 

PB260801  Turkey (2)

Turkey with dry fruits and chestnuts

ドライフルーツと栗のターキー

ターキーはまるごと使うのかと思いきや、ぶつ切りのものを使います。(これなら簡単に作れそう!!)玉ねぎ、スモークベーコンを炒めたら、ターキーも加えます。バルサミコ酢、スープストック、シナモン、蜂蜜を加えたら弱火にして1時間ほど煮込みます。途中でドライフルーツ(デーツ、アプリコット、いちじくを細かく切ったもの)、レーズン、ローリエ、タイムも加え、塩とこしょうで味を調えます。

バターで炒めた栗を添えて出来上がり。このターキーのソースは未経験の味です。甘酸っぱくて、軽やかで食欲をそそられます。ターキーの胸肉が手に入らなかったら鶏肉や豚のフィレ肉でも代用可能です。豚肉は酸味のあるフルーツと相性がいいので合いそうです。こんな簡単でエキゾティックなターキー料理もたまにはクリスマスのメインディッシュによろしいのでは?

 

PB260792  Orange cake

Orange Cake   オレンジケーキ

 

PB180734  baked cakeクリスマスのご馳走のあとで、チョコレートとクリームたっぷりのビュッシュ・ド・ノエルをいただくのがフランスのクリスマス料理のシメですが、日本人のお上品な胃袋にはちょっとヘビー??そこでこのケーキです。バター、砂糖、卵に小麦粉、ベーキングパウダー、オレンジ1個分の果汁とすりおりした皮を順番に混ぜ合わて型に流し込んで、200℃のオーブンで20分ほど焼けば出来上がりです。オレンジ果汁(2個分)とその半量の砂糖を煮立ててシロップを作ります。これをケーキが温かいうちに上から回PB180740  sirop on the cakeしかけしっかりとしみ込ませます。ケーキの上部にシロップで煮たオレンジ輪切りを半月に切ったものを並べ、好みでトッピングシュガーなどをふりかけ、粉砂糖で雪の演出をしたら出来上がりです。とにかく混ぜて焼くだけというのがステキです。オレンジの香りを楽しむケーキです。お勧めです。大人向けにはオレンジリキュールをシロップに混ぜても美味しそう。

 

食卓では楽しい会話が弾みます。気さくで優しいフロランスの人柄がまず第一のご馳走。しかも次から次へと手作りの美味な料理の登場です。やはりパーティーの主役はマダムですね。料理が出てくるたびに、テーブルの四方八方から歓声が上がり、会食者の視線はマダムに集中します。彼らの目にはシルクハットから鳩やウサギを取り出すマジシャンのように映ることでしょう。お取り寄せの料理やデリバリーのピザで世話なしパーティーもたまには悪くないけれど、やはりここぞという時に、集まった人たちを喜ばせるものは、前日からいろいろと準備した家庭の温かい料理なのでは…。メリークリスマス !!

PB180744  making croissants

PB180726 table ornament

カルチャー講座, 料理サロン, 英語

料理サロン:講座ご報告(2014年11月7日)

11月 10th, 2014
料理サロン:講座ご報告(2014年11月7日) はコメントを受け付けていません

PB070644  table (1)

久しぶり(約2か月ぶり)のマリオンの料理サロンです。時はすでに秋。山では紅葉が進み、都会の木々も少しずつ赤や黄色に色づき始めています。空気もひんやりとして朝晩は肌寒いくらいです。そんな季節にぴったりの「秋のご馳走」が今日はテーマです。マリオンにとって「秋」のイメージカラーはオレンジ色だそうです。テーブルに置かれた生け花もテーブルクロスもオレンジ色。朝ふと思いついたという柿のデコレーション。マリオンのエプロンもオレンジ。

10月末のToussaint(トゥッサン:諸聖人の大祝日)で子どもさんたちの学校が休みだったのを利用して、松本、高山、金沢を旅行したときに買った大きな石PB070648  Toro Lanterne en pierre灯篭。かわいいお地蔵さんの像も2体。これはフランスの自宅の庭に飾るのだそうです。全部分解して車に乗せて帰って来たとか。石工のおじさん、自分の灯篭がはるばる海を渡ってフランスの庭に飾られると聞いていたく喜ばれていたそうです。

 

 

さて本日の料理は次の通りです。

PB070703  veloute a la table

Velouté Châtaignes, Champignons et Sait-Jacques poêlées

(栗ときのこのヴルテ、帆立貝のポワレ)

きのこをバターで炒めたら、皮をむいた栗をまるごと加えて、チキンストックで30分ほど煮込みます。栗が柔らかくなたらミルクを加え、ミキサーにかけます。塩こしょうで味を調えて、深鉢に注ぎ入れます。その上に両面にこんがりと焼き色を付けた帆立貝を浮かべて出来上がり。栗ときのこが奏でるやさしいハーモニー。とろんとした舌触りのヴルテ、フランス語でスープは「食べる」といいますが、まさにそんなしっかりとした濃厚さがあります。

PB070691  pain de maison

本日はマリオンお手製のパンといっしょにいただきます。かぼちゃの種入りのしっとり、もっちりしたおいしいパンです。日本ではなかなか美味しいパンが見つからないので、仕方なくイーストからすべて手作りで家族のために焼き始めたパンですが、今ではバカンスでフランスへ帰っても、子供さんたちは「ママのパン」しか食べないほど。

 

PB070690  tarte demoulee

Tarte aux Champignons (きのこのタルト)

PB070665  origami pour la tarteタルトの生地がいいのか、マリオンの腕がすばらしいのか、恐らく両方でしょうが、生地をのばして型に敷きこむと、全体が均等な厚さでそのきれいなこと。空焼きにはクッキングシートを器用に折りたたんでカットして円形にし、その上からあずきを重しにのせて、180℃のオーブンで10分ほど焼きます。その間にきのこを炒めます。マリオンはマッシュルームより日本のシメジのほうが味がいいと言います。塩こしょうで味付けするときに、シブレット(日本ではワケギで代用)とタラゴンも加えます。タラゴンの爽やかな香PB070653  cuire blancり(ちょっとアニスを思わせます)がこのタルトの隠し味。小麦粉を振り入れ、生クリームも加えてとろみがついたらできあがり。空焼きしておいたタルトに敷き込み、グルイエールチーズを全体にたっぷり散らして200℃のオーブンで15~20分ほど焼けば完成です。パイ生地はパリパリ、サクサク、フィリングのきのこはチーズと生クリームをまとって口の中いっぱいに秋の香りが広がります。

 

 

PB070712 mousse au chocolat blanc

Mousse au chocolat blanc, poêlée d’ananas au Malibu et citron vert

(ホワイトチョコレートムース、パイナップルのポワレ、マリブ酒とライム風味)

 ホワイトチョコレートはブラックチョコレートより溶けにくいのですね。湯煎にかけてもなかなか溶けません。カカオバターとは別な油分が入っているので溶けにくいのだそうです。ゆっくり湯煎で溶かしている間に、ゼラチン板一枚(1.5g)を水につけてふやかしておきます。ミルクを温めて、そこに水を切ったゼラチンを加え、溶かしたチョコレートに加えます。さらに固く泡立てた生クリームも加えてよく混ぜ合わせたら、容器に流し込み、冷蔵庫で4時間以上冷やしておきます。飾りのパイナップルの皮をむきます。皮をむいた後に残る黒くて固いブツブツの部分をフランス語では「yeux(目)」というそうですが、日本語ではこの部分、何というでしょう??参加者の皆さんと考えましたが、いい答えがみつかりませんでした。その部分を取り除く道具が登場。中国で買ったそうですが、この黒い「目」を取り除くためだけのカッターです。スイスイと斜め縞にきれいに溝ができました。次にライム。ここでもまた皮を千切り状にスライスするカッターが登場。薄く皮の部分だけを均等な細さと長さに切っていきます。是非手に入れたい一品です。

PB070671  chocolat blanc

PB070669  ananas enleve ses yeuxPB070674  zetes du citron vert

 

 

 

 

 

フライパンにパイナップルを入れて、バターとバニラシュガーとライムの皮のみじん切りにしたもの、ライム汁少々を加えて、カラメリゼします。最後にココナッツリキュールのMalibu(マリブ)を加えてフランベします。冷ましておいて、ムースを食卓に出す直前にのせ、ライムの皮の千切りものせます。リキュールの香りをPB070676  ma残したパイナップルの甘酸っぱさと、ホワイトチョコレートのやさしい甘さにライムの香りが全体を引き締めています。「ハワイの天国の味だわ~」と感動の声。軽やかながら、いろいろな香りと味覚が重層的に口いっぱいに広がる大人のデザートです。

PB070697  vin blanc

 

 

 

 

 

本日のワインは、Pays d’Oc ( Monpellier-Carcassonne)の白。Viognier 2012 「domaine Saint-Roch」軽くて辛口ながらフルーティーな風味がしっかり残ります。

 

 

 

 

 マリオンの台所は「宝島」
今日もいろいろなお宝がザクザクでてきました。

PB070661 ciseaux刃先がカーブしたはさみ。牛乳パックなど切りやすいそうです。しかも百円ショップでみつけたものとか。

 

 

PB070668  couteau pour l'ananasパイナップルの「目」をカットするためのカッター。中国製。

 

 

 

 

 

 

 

PB070673   raper la zeste果実の皮を千切り状にそぐカッター。

 

 

 

 

 

 

PB070659 huile d'olive超高級オリーブオイル。1瓶7000円ほど。料理の上から香りづけにかけたりします。

 

 

素手で小豆をとっちゃうの? まだ熱いでしょう?! ー大丈夫。慣れてるもの。

素手で小豆をとっちゃうの?
まだ熱いでしょう?!
ー大丈夫。慣れてるもの。

 

カルチャー講座, フランス語, 料理サロン

アートサロン: フランスを巡る – フランス地方のアート散策(1):講座ご報告(2014年10月16日)

10月 18th, 2014
アートサロン: フランスを巡る – フランス地方のアート散策(1):講座ご報告(2014年10月16日) はコメントを受け付けていません

 

前回好評だったフランス地方アート散策、今回は通訳付きで開催しました。当初は、前回2回に渡って紹介されたものを1回のダイジェスト版にまとめる予定でしたが、やはりどの地方アートも魅力的で割愛が忍びなく、今回も2回に分けてご紹介することになりました。

ガイドブックなどでは紹介されていない美術館、イベント、建築物など、2度目3度目のフランス旅行を考えている方なら必見です。大画面のディスプレイに流れるビデオなどを見ていると、まるでその地を旅しているような気分になります。フランスのアート文化の深さを思い知らされます。
今回紹介された地方とそのアートは最後にご報告をのせておきます。近々フランスへ旅行を計画されている方は是非参考になさってください。

プレゼンのあとはもちろんティータイム。プレゼンの前にロランスは言いました。「ちゃーんと聞いていた人にはご褒美に私の焼いたチョコレートケーキをあげるわよ。」

ティータイムのガトー・オ・ショコラ

ティータイムのガトー・オ・ショコラ

 

ティータイムのテーブルでは全員にケーキがふるまわれました。(よかった、よかった!!)お茶は前回もいただいた「マリー・アントワネット」の紅茶。パッケージがとてもかわいい。「貴婦人の城を見たあとだから、やっぱりマリー・アントワネットだわね。」とロランス。

マリー・アントワネットの紅茶

マリー・アントワネットの紅茶

 

テーブルの中央にはクリスタルのオーナメントが。星形のものは紹介のあったバカラ。ハート型はラリック。こっそりちゃんとテーブルの上にまで地方アートが並べられていました。お見事!!

バカラとラリックのオブジェ

バカラとラリックのオブジェ

 

– Alsace :  cité de l’Automobile ( collection Schlumpf )

アルザス地方:自動車都市 (シュランフ・コレクション)

*車に興味のない女性にもお勧め。古い繊維工場そのままのクラシックな内部と前衛的な建物正面のコントラストもおもしろい。

– Lorraine : Baccarat

ロレーヌ地方:バカラ

*さすが歴史あるクリスタルメーカー。MOF(Meilleur Ouvrier de France :優れた技術を持つ職人に与えられる称号)を持つ職人の数はフランス国内でもピカイチ。デザイナーとのコラボでは日本人、高田賢三や堀木エリ子なども起用された。伝統を守りながら、常に新しいものにチャレンジしている。近年はアクセサリーもてがけている。ただし、リングは壊れやすいのでお勧めではないとはロランスの体験談。

– Champagne-Ardenne : Maisons Champagne : Collaboration avec des artistes

シャンパーニュ・アルデンヌ地方:シャンパン:アーティストとのコラボ

*ドン・ペリニョン(Dom Perignon)は、なんとベネディクト会修道士の名前。彼がシャンパン技術をこの地方に伝え、修道院で金色に美しく泡立つ飲み物を作り出したのが始まり。秘訣は数種類のブドウを組み合わせて圧搾することだとか。

– Picardie : Cathédrale d’Amiens

ピカルディ地方アミアン大聖堂

*フランス最大規模のゴシック建築のカテドラル。ユネスコの世界遺産にも認定されている。必見は夏の夜、イリュミネーションに映し出される正面入り口のレリーフ。修復時にかつて多色装飾が施されていたことが判明。13世紀のカラフルだった彫刻群をデジタル映像を駆使して再現している。

– Nord-Pas de Calais: Musée de la piscine de Roubaix         

ノール・パドカレ地方ルベのプール美術館

*この地方に建てられた新ルーブル美術館よりお勧めとロランスが言うのは、かつてのプールの建物を改装したルベ美術館。プールを囲んで美術品が美しく並べられているだけでなく、シャワールームなどにも絵などが展示されているほか、陶器や家具、織物のコレクションなどが豊富。

– Normandie: Tapisserie de Bayeux

ノルマンディー地方バイユーのタペストリー

*全長70mのタペストリー。麻地に染色した毛糸で刺繍されている。テーマはノルマンディー公のイギリス征服の戦い。当時の人々の服装、道具、建物なども描かれており、中世を知る数少ない貴重な資料でもある。

– Bretagne: L’école de Pont-Aven

ブルターニュ地方ポンタヴァン派

*ポンタヴァンはブルターニュ地方の村。ベーコンをはじめアメリカ人の画家たちが夏を過ごしにやってきて、やがてゴーギャンもこの地で絵画の実験を始め、新境地を開く。原色を使い、遠近法を無視した幾何学的な構図に、輪郭の縁取り、ディテールの省略といった総合主義の始まり。この運動は20世紀のフォービズムに大きな影響を与えた。

– Pays de la Loire: Le voyage à Nantes

ペイ・ドゥ・ラ・ロワール地方:ナントの旅

*ナント市は1989年から「文化」を全面に押し出した。一年中、町のいたるところ10kmに渡って、常設・仮設のアートオブジェやパフォーマンスが楽しめる。町を歩いている間いつ、どこで何に出くわすかわからない。アートとの出会いがそこかしこに仕掛けられている。夏が最も賑わうらしい。

– Centre : Le Château des Dames

サントル地方:貴婦人たちの城

*小さな川の上に建つシュノンソー城。15世紀終わりから20世紀まで女性がいつも城主だったという、美しい城。しかし、その女性たち(アンリ2世の妻、カトリーヌ・ド・メディチや愛人のディアヌ・ド・ポワティエなど)の人生の悲喜こもごもを見続けてきた城。女主人たちの歴史と一緒に訪れてみたい。

Bourgogne: Tour de France de Mérimée- Abbaye de Cluny

ブルゴーニュ地方:メリメのフランス巡り - クリュニー修道院

*「カルメン」で有名なメリメは、歴史的建造物保護に乗り出した政府の命を受け、カメラを手にしてフランス中の調査に回った。彼のおかげでどれだけ多くの建物が救われたかしれない。この地方のクリュニー修道院もそのひとつ。909-910年に建てられたロマネスク様式の建物。

– Franche-Comté : Chapelle Notre Dame du Haut

フランシュ・コンテ地方:ノートルダム・デュオー礼拝堂

*1950-1955年にル・コルビュジエによって建てられた礼拝堂。当時としては余りに前衛的過ぎた景観は人々から「醜悪」という酷評を浴びた。しかし、自然と礼拝堂の佇まいの調和の美しさは徐々に認められていった。

 

サロンの中で使われた画像などは、当日参加された方のおひとりのブログにたくさん載っています。そちらも是非ご参照ください。P4240381

http://tuesgenial.exblog.jp/22482196/

 

 

 

 

 

アートサロン, カルチャー講座

フランス菓子サロン:講座ご報告(2014年9月29日)

10月 3rd, 2014
フランス菓子サロン:講座ご報告(2014年9月29日) はコメントを受け付けていません

P9290506  table(2)

 

9月末とは思えない強い陽射しながら、さすが空気はカラッとして爽やかです。チャイムを鳴らすと今日のお天気のように爽やかな笑顔のフロランスが扉を開けて、「Bonjour ! ボンジュール!」と迎えてくれます。
今日初めて参加された方々は、きれいに手入の行き届いたピカピカのリビングやキッチンに思わずため息。オーブンのガラス扉など買いたてのように曇りひとつない美しさ。まるでショールームの中にいるようです。(今度、「お掃除講座」をフロランスに開いてもらいたいものです…。)
さて、今日のお料理はキッシュと淡雪卵(ウッフ・ア・ラ・ネージュ)にフィナンシエ。キッシュもフィナンシエもフランス人マダム達が日常的によく作るもので、他のサロンでも何回かいろいろなマダムが自慢のレシピをご披露くださいました。しかし驚くことに、一度たりとも同じ内容に出くわすことがありませんでした。本当にフランス料理の奥深さを感じます。今日は「バルサミコ酢」が大活躍のようです。楽しみです!!

 

P9290519 Quiche aux oignons caramelises (2)

Quiche aux Oignons caramélisés, Parfum de Gingembre accompagnée d’une salade verte assaisonnée d’une vinaigrette balsamique(こんがりオニオンのキッシュ、ジンジャー風味、グリーンサラダ、バルサミコドレッシング)

 キッシュはパイ生地で焼くものと生地なしで焼くものの2種を作ります。忙しいときにはフランス人マダムたちもパイ生地なしで作ったりするそうです。そのパイ生地ですが、何とバルサミコ酢を加えます!!小麦粉、コーンスターチ少々、バター(かなりたっぷり)、全卵1こ、ここに隠し味としてバルサミコP9290514 salade verte酢大さじ1、砂
糖小さじ1、塩少々がはいります。バルサミコ酢をこのように使うのが目下フランスではトレンドなのだ
そうです。確かに焼き上がりはコーンスターチも入っているからでしょうか、サクサク感が際立って美味。フィリングの玉ねぎはすりおろしたしょうがといっしょにオリーブオイルで炒め、さらに赤ワインも加えて水分がとぶまで加熱し、こんがり焼き色をつけます。これを空焼きしたタルト生地の上に敷き詰め、卵、ミルク、生クリームを合わせた液を上から注いでオーブン(180℃)に入れて30分焼きます。玉ねぎの甘味がとてもおいしいキッシュの出来上がりです。

 

P9290502  oeufs a la neige

Oeufs à la neige(ウッフ・ア・ラ・ネージュ)

日本語では「淡雪卵」といいますが、まさにふわふわの今にも溶けてしまいそうな雪の塊を思わせるデザートです。フランスではどんな小さな
レストランでも扱っているとてもポピュラーなデザートだそうです。砂糖を数回に分けて加えながらしっかりと固く泡立てた卵白を大きなスプーンで適量すくっP9290525  oeuf a la neige dans l'assietteて、沸騰したお湯の中に落としてポシェします。両面を返したら布巾などの上に並べて水分を切ります。別に作っておいたクレーム・アングレーズの上に浮かべて冷たく冷やしておきます。その上からカラメルソースをかけていただきます。今回のように大きな器に入れて各自取り分けるか、一人用の小さな深皿に入れてもおしゃれです。冷たく冷やしておくのがお勧めです。こんなデザートが出てきたら、テーブルは歓声の嵐間違いなしです。

 

 

P9290527 financiers

Financiers au miel (蜂蜜のフィナンシエ)

「財界人、資本家」という意味のこのお菓子、その由来は諸説ありますが、パリの証券取引所を中心とした金融街で流行った菓子だからとか、長方形の形が「金塊・インゴット」に似ているからなどいろいろです。「金塊」が一番説得力あるかもしれません。
今日習うフィナンシエの材料もちょっと変わっています。今回は小麦粉ではなく全粒粉、白砂糖のかわりにブラウンシュガーと蜂蜜、アーモンドパウダー少々、バター、そし全卵ではなく卵白5個分を使います。とにかく混ぜて、お好みの型に流し込んで210℃のオーブンで10分焼けば完成。とても簡単で、しかも1週間くらいは缶などに入れておけば保存可能。卵白がはいっているからでしょうか、しっとりながら軽やかで、蜂蜜の優しい甘さが絶妙です。

 

フランス人マダム達の台所はお宝の山。便利そうな料理グッズや珍しい食材が毎回のように登場します。参加者の方が「どこで買ったんですか?」と聞くと、意外なことに「合羽橋」とか「イケア」、「コストコ」「ニッシン」というお答えがよくかえってくるのですが、本日のフロランスのキッチンで発見したお宝は残念ながらMade in Franceでした。

P9290517  pot de vinaigretteドレッシングボトル。上部のレバーをくるくる回すと中のドレッシングが見事に撹拌されます。ドレッシングを入れて冷蔵庫で保存するのにもちょうどいいサイズ。野菜の絵もかわいい。

 

 

 

 

P9290486  serviette「Bon appétit ! ( さあ召し上がれ!)」と書かれたナプキン。だまし絵のようなフォークもおもしろい。

 

 

 

 

P9290503  decoなべ敷でしょうか。「MENU DU JOUR, Qualité Extra, Médaille d’or ( 本日のメニュー、絶品料理、金メダル)」と書かれています。料理上手なマダムのキッチンだからこそ堂々と置いておける代物ですね。赤色がとてもきれいだったのでついパチリ。

カルチャー講座, 菓子サロン

料理サロン:講座ご報告(2014年9月19日)

9月 21st, 2014
料理サロン:講座ご報告(2014年9月19日) はコメントを受け付けていません

夏休み明けの久々のマリオンのレッスンです。一気に秋が近づいてきたという感じの爽やかな一日。でもマリオンのマンションのロビーにはやたらと蚊がいて、デング熱騒ぎのただ中ですから、皆さん大騒ぎ。何とマリオンもたくさん蚊よけスプレーとか、虫刺されの薬など用意していました。情報をいち早くキャッチして、それに対応していく順応力はさすがです。

「蚊の大騒動」が静まったところでリビングに入ると、カラフルな、そこだけパッと花が咲いたようなテーブルが目に飛び込んできました。

P9190438  table

最近購入したというライヨールのナイフに合わせて、カラフルなドットのテーブルクロスがかけられています。このライヨールナイフ、フランス語ではLaguioleと書き、ラギオールと読みます。ラギオール村で造られる高級ナイフをラギオール、ライオール(この地方のオック語でラヨール)などと呼びますが、商標登録がないため、いろいろなところで同じ名前で生産されたナイフが出回っています。ブランド名として認められていないので、本物、ニセ物という区別にはならないそうですが、安物から高価なものまであり、品質もそれなりのようです。マリオンの新しいライヨールの柄は美しい色合いのアクリルガラス製で、しかも軽いです。切れ味も抜群。1本、15000円くらいはする代物です。赤、青、緑、紫、黄色、ピンクの6色が揃っています。テーブルの中央両サイドには、ナイフと同じ6色の羽がお皿に飾られています。今日のテーブルの主役はやはりライヨールのナイフのようですね。

さて今日のお料理は、魚と野菜のマリアージュ。アルザスワインの白、リースリングのCuvé Anne-Laure 2012がお供です。

P9190460  brochette (2) -

Brochettes de Thon et Concombre(マグロときゅうりのブロシェット)

ごま油、しょうゆ、しょうがのマリネ液に15分ほど漬けたまぐろを、ピーラーで薄切りにしたきゅうりで巻きます。まぐろの切り口に黒ゴマをまぶして出来上がbrochettes de Thon et de concombreり。とても簡単。フランス料理でも最近はごま油、しょうゆ、しょうがなどのアジアティックな調味料が使われるようになってきたのですね。まぐろのソフトな食感ときゅうりのパリパリとした食感がおもしろい。お酒のおつまみにも合いそうです。もっと刺激的な風味をお好みの方にはきゅうりで巻く時わさびを少々つけても、巻いた上から唐辛子を振りかけてもよさそうです。

 

Mousse de Saumon

Croustillant de Sésame, Mousse de Saumon et Carpaccio d’Aubergines Grillées

(サーモンのムース、焼きナスのカルパッチョ、ゴマ風味のカリカリパイサンド)

折り込みパイ生地にゴマをのせてこんがり焼きあげた台の上に焼きナスのマリネをのせ、その上にサーモンのムースをのせ、もう一枚のパイをのせます。最後にミニアスパラの穂先を飾ります。グリーンサラダとバルサミコクリームを添えていただきます。こちらも様々な食感が楽しめます。パイはサクサクパリパリ、ナスはほどよい歯ごたえを残し、サーモンのムースはなめらか。小さなサイズに仕立てればアントレやアペリティフにもOKだそうです。見た目もおしゃれですが、結構ボリュームがあります。本日はメインの大役を果たしていました。

aubergines coupees

mousse de saumoncroustillant de sesameP9190473  creme balsamique                                                                                

 

panna-cota

Panna-cota coulis de Pêche blanche et Vin mousseux Café de Paris Pêche

(パンナコッタ、白桃のクリソース、カフェ・ド・パリ・ ピーチ)

Cafe de Paris Pecheこのパンナコッタの特徴は、クリームにもクリソースにもピーチのスパークリングワインが風味づけに入っていること。ピーチの香り高い、しかし思いのほか甘味を抑えた大人のワインです。缶詰の白桃をフードプロセッサーにかけてピューレ仕立てにしたクリソースのあとから、パンナコッタのツルッとしたクリームが追いかけてきます。どんなに濃厚な料理のあとでもこれならペロリといただけてしまいます。

今年の夏にバカンスでフランスへ帰ったマリオンは、友人たちに桜モチを作ってふるまったとか。すごくおいしいと言って食べた人とC’est  bizarre (妙な味ね!)と言った人と半分半分だったとか。道明寺粉やあんこ、桜の葉、桜の塩漬けまで買い込んで帰ったマリオンは、さながら日本食の伝道師!!南フランスの人口わずか100人の村でもついに日本の桜モチがデビューを果たしました。

 

cours de cuisine

 

 

 

カルチャー講座, フランス語, 料理サロン

アートサロン<Regarder la peinture autrement :違った視点で絵画を楽しむ 2>講座ご報告(2014年7月26日)

7月 29th, 2014
アートサロン<Regarder la peinture autrement :違った視点で絵画を楽しむ 2>講座ご報告(2014年7月26日) はコメントを受け付けていません

何しろ暑い!!東京も35度という寒暖計の水銀が吹き出そうな暑さが続く中、本日の参加者の皆様、顔を真っ赤にして、生も根も尽き果てたという様子でご到着。

本日のアートサロンも外気と変わらず白熱した内容に。前回と同様のテーマで、ダニエルが、いろいろな角度から絵の楽しみ方をレクチャーします。内容はほとんどの部分が6月7日のサロンのものと重複しますのでここでは省きますが、ダニエル語録を少々まとめてみました。

Luis Melendez Melon et poires 1770 Museum of Fine Arts (Boston, U.S.A.)

Luis Melendez
Melon et poires 1770
Museum of Fine Arts
(Boston, U.S.A.)

 

 遠くから絵画全体を眺めるのは「知的喜び」を呼び起こす。美術史知識や様式などの学識を必要とするから。 近くから絵画を眺めるのは「視覚の喜び」をもたらす。描かれている「もの」のディテール、テクスチャー、仕上がりなど、思わぬ発見もある。

★ 遠くから見ていい絵が、近くで見てかならずしもおもしろいとは限らない。じっくり近くで見たいと思う絵は、しっかりとしたテクニックで描かれている絵だ。

★ 人体描写は「できるだけ本物らしく」表現すること。人物の顔は「できるだけ似ているように」描くこと。人体はデフォルメしてもなお「人体」と 認められるが、顔は例えば鼻の長さを少し変えただけでも、本人と似なくなってしまう。

★ 肖像画の人物は本当に当人とそっくりに描かれているだろうか。例えば「モナリザ」は?私達には確証がない。しかし、そこに描かれた人 間性、個性は明らかに画家からのメッセージだ。

★ 絵の「タッチ」は、その画家のサインと言ってもいいほど重要だ。

絵画芸術 1666 美術史美術館 (ウィーン)所蔵

絵画芸術 1666
美術史美術館
(ウィーン)所蔵

 

などなど、実際の絵と比べながら話が進み、本当に興味のつきないすばらしい講座でした。たまたまサロンの翌日の新聞にフェルメールの「絵画芸術」についての記事が載っていたので読みましたら、「画家は直接キャンバスに絵を描き始めている。」という箇所がありました。ダニエルの講座では、その部分を拡大して見せてくれましたが、絵の具で描いている下には白い線が描かれていて、あきらかにデッサンをしてから描いているのです。フェルメールは下絵を描かず、直接絵の具で描く画家だったので、この絵の中の画家はフェルメールではないのではないか、とダニエルは考えているそうです。やはり「絵に近づいてよく見る」ことは大切なことだと実感いたします。ダニエルのように一つの絵の前で3時間もじっくり鑑賞するのはなかなか難しいですが、並んでいる作品はすべて見ようと人の流れに押されながら、慌ただしく絵の前を通り過ぎていた展覧会の自分を反省いたしました。

「今度の美術展ではかならず、これぞと思った絵の前では近くからじっくり見てみます。」「知らないことが多かったです。今日のような知識を持って絵を見たらきっともっとおもしろいですね。」と、参加者の方々も収穫があったようです。収穫といえば、ダニエルは講座が始まる前にお出しした麦茶が大変気に入ったようで、「これは何というお茶?いつもの日本茶とは違って、この味好きですねェ。えッ?ムギチャ?ああ、この漢字ですね。ウン、ウン、本当においしい!!」と絶賛していましたが、後日メールが届き、「帰りにスーパーで「麦茶」を買って帰りました。」とのことです。ダニエルにも収穫があってよかった!!

 

 

アートサロン, カルチャー講座

フランス菓子サロン:講座ご報告(2014年6月16日)

6月 19th, 2014
フランス菓子サロン:講座ご報告(2014年6月16日) はコメントを受け付けていません

P6160426  table今日のフロランスのサロンは「クレープ&ガレット」です。日本ではクレープといえばフルーツやクリーム、アイスなどの入った甘いデザートというイメージですが、フランスでは町のあちこちに「クレープ屋」があり、料理としてのクレープをリンゴの発泡酒シードルと一緒に楽しみます。日本の「お好みやき屋」のような感じでしょうか。カジュアルな食べ物のようです。でもフロランスのクレープとガレットはちょっぴりグレードアップされています。今日のテーブルも料理に合わせてカジュアルな感じの木目プリントのテーブルクロスとお揃いのナプキンです。(ちなみにイケアで購入されたそう。)近くでみても木質感があっておもわず触って確認したくなります。

 

本日のメニューは次の通りです。

–       Crêpe Complète(クレープコンプレート)
–       Crêpe aux Crevettes et à la béchamel(エビとベシャメルソースのクレープ)
–       Crêpes aux Pommes au beurre salé et sirop d’érable    (りんごのクレープ、塩バターとメーブルシロップ風味)
–       (*)Aumônière de crêpe à la Pêche, crème d’amande et Chocolat blanc
(桃のクレープオモニエール、アーモンドクリームとホワイトチョコレート)

(*) aumônière : もともとはコインなどを入れる袋状のさいふのこと。転じて茶巾包み。)

 

P6160431  faire une crepe (Florence )

P6160435  galette de sarasin

そば粉のガレット

P6160450  pate de crepe

クレープ

まずはクレープとガレットの生地作りから。クレープとガレットの生地の材料はちょっと違います。クレープが小麦粉を使うのに対して、ガレットはそば粉を使います。その他、クレープにはミルクと砂糖、卵が数個使われますが、ガレットは水と卵1個を使います。これを見ても、カロリーの高いクレープ、低カロリーのガレットというのがわかりますね。ガレットは料理用。クレープは料理にもデザートにも使われます。本日の料理2品はガレットで、デザート2品はクレープを使います。

P6160465  deux galettes

Crêpe aux Crevettes et à la béchamel(エビとベシャメルソースのクレープ)
Crêpe Complète( クレープコンプレート)

 P6160457  crepe completeガレットにたっぷりのチーズ(エメンタール、グルイエールなど)をのせて、ハム、その上には生卵をのせて、4辺の縁を折り曲げて四角形にしてフライパンで加熱します。溶けだしたチーズとトロトロの卵がハムにからみ、香ばしいそば粉の香りと相まって、そのおいしいこと!!焼き立てをサービスするのがお約束です。

 

P6160447  crepe aux crevettes et a la bechamelガレットの中央にベシャメルソースを敷き、オリーブオイルで炒めた大ぶりのエビを3匹ほどのせてからくるくると巻いてオーブンでさっと温めます。エビのほか、ベシャメルソースにあうものなら、他のシーフードでもチキン、野菜でもアイデア次第。こちらもアツアツをいただきたいですね。

 

 

P6160468  deux desserts

Aumônière de crêpe à la Pêche, crème d’Amande et Chocolat blanc
 Crêpes aux Pommes au beurre salé et sirop d’érable
(桃のクレープオモニエール、アーモンドクリームとホワイトチョコレート& りんごのクレープ、塩バターとメーブルシロップ風味)


有塩バターで賽の目に切ったリンゴをアメ色になるまで炒め、シロップも加えて煮ます。クレープの真ん中にたっぷりのせてロール状に包み、上から再びシロップを回しかけてオーブンで15分ほど焼きます。 バニラアイスを添えていただきます。バターの塩味がリンゴのやさしい甘さを引き出し、メープルシロップの香りが立ちのぼります。温かいクレープに溶けだしたバニラアイスをからめていただくときの幸福感!!


P6160440  crepe aux pommesP6160451  crepe aux pommes 2P6160452  crepe aux pommes 3

 

 

 

 

 

アーモンドクリームをクレープの中央に丸く敷き、その上に桃(熟したものか缶詰のもの)を2分の1個分を置き、さらにホワイトチョコレートを数片のせてクレープを茶巾状に絞ってraphia(ラフィア:ヤシの繊維で作ったひも)で結びます。クッキング用の糸を使ってもOK。これをオーブンで15分ほど焼いてテーブルへ。まずこれが運ばれてくると、そのかわいい茶巾の姿にテーブルの一同「おーッ!!」ナイフをいれて中からトロンと溶けたチョコレートをまとった桃が姿を見せると再び「おーッ!!」。口に運んで三度「おーッ!!」楽しくて美味なるデザートなのです。

P6160454  aumoniere de crepe a la peche  2P6160455  aumoniere de crepe a la peche

P6160460  cidres

 

 

 

 

 

クレープ料理にはかならずシードルをいただきます。本日はbrut(辛口)とdoux(甘口)がキンキンに冷やして用意されています。甘口のほうがアルコール度数は低いですが、辛口でも5%以下ですから、とても飲みやすいです。チーズやソースを使ったクレープのあとに甘いデザートのクレープですから、どちらかというと辛口が今日の食卓にはあいそうです。

クレープもガレットもたくさん作って冷凍しておけますので、梅雨の一日、台所にこもってクレープとガレット焼きもいいのでは?梅雨明けの夏の暑い午後、冷たいシードルとお手軽クレープ&ガレットで親しい人たちと素敵な時間をぜひお過ごしください。

P6160443  boite de l'hule d'olive

P6160427  bambou

P6160433  essayer de faire une crepe

菓子サロン

アートサロン:フランス地方のアート散策(2):講座ご報告(2014年6月12日)

6月 18th, 2014
アートサロン:フランス地方のアート散策(2):講座ご報告(2014年6月12日) はコメントを受け付けていません

P6120429  conference

4月のフランス地方アートサロンに続き今回はフランス南部とパリを散策します。

– Rhône-Alpes(ローヌ・アルプ地方)P6120436 Laurence
– Auvergne(オベルニュ地方)
– Limousin (リムザン地方)
– Poitou-Charentes(ポワトゥ・シャラント地方)
– Aquitaine(アキテーヌ地方)
– Midi-Pyrénées(ミディ・ピレネ地方)
– Languedoc-Roussillon(ラングドック・ルシヨン地方)
– Provence-Alpes-Côte d’Azur(プロヴァンス・アルプ・コートダジュール地方)
– Corse(コルス)
– Île-de-France(イール・ド・フランス地方)

以上でフランスのすべての地方を網羅しました。観光ガイドブックに載っていないような珍しいアート、建物だったり、イベントだったり、大変バラエティーに富んでいます。「芸術の都パリ」とよく言いますが、アートはパリだけのものではないこと、フランスのアートの底力を実感したサロンです。いくつか特に興味深いアートについて簡単にご紹介いたします。

P6120428  ecrin Rhone-Alpes

1)Rhône-Alpes(ローヌ・アルプ地方)

 Palais idéal du facteur Cheval :(郵便配達夫シュバル氏の理想宮殿)
http://www.facteurcheval.com/

ドローム県オートリブという小さな村にこの宮殿はあります。1879年のある日、シュバル氏はいつものように郵便を配達して回っていました。ところがその道中に不思議な形の石にけつまずいてしまいます。その石をつくづく眺めて、シュバル氏はこの石で宮殿を建てることを思いつきました。それからは毎日郵便配達をしながら、石を集め始めました。ポケットに…カゴに入れて…最後には手押し車で石を集めながら郵便配達の仕事を続けました。それらの石を使って、たった一人で、33年間もかけて、ついに高さ12m、全長26mの宮殿を完成させます。その外観はまるでインドネシアやカンボジアの神殿のような建築様式ですが、当時絵葉書が使われるようになって、外国へ旅行した人が送った葉書などの写真を、郵便配達夫だったシュバル氏は、時々目にすることがあったのでしょう。村人たちは彼を狂人扱いしていたようです。確かに狂気が生み出した宮殿です。けれど1969年には「歴史的建造物」に認定されました。何もない片田舎に忽然と現れる石の宮殿、ありきたりの旅行では飽き足らない向きにはお勧めかも…。

 2)Midi-Pyrénées(ミディ・ピレネ地方)

 Viaduc de Millau : (ミヨーの高架橋)
https://www.google.co.jp/search?q=viaduc+de+millau&tbm=isch&tbo=u&source=univ&sa=X&ei=6cCdU5eADYP98QXkwYKwDg&ved=0CBsQsAQ&biw=1366&bih=673

渓谷の霧の中に浮かぶこの橋をどこかで目にされた方も多いと思います。アヴェロン県ミヨ―近郊の渓谷にかかるこの橋は、地上からの高さが343m、全長2460m。バカンス時などに南仏へ下る道路の渋滞を解消するために作られた高速道路の橋です。2004年に開通しました。当時は景観を損ねるという理由でこの計画に反対する住民も多かったそうですが、完成した橋の姿は雄大で、徐々に人々に受け入れられていったようです。パリのエッフェル塔しかり、ルーブル美術館のガラス張りのピラミッドしかり…。そこに出来てしまえば、いずれはそれを含めた風景が当たり前になっていくのでしょう。

3)Poitou-Charantes :(ポワトゥ・シャラント地方)

 Festival de la bande dessinée d’Angoulème :(アングレーム国際漫画祭)
http://www.bdangouleme.com/446,angouleme-cite-des-festivals

フランスの南西に位置するこの地方は、古くからコニャックの産地として知られています。Angoulèmeの町の歴史は古く、ローマ時代にはシャラント川の水上貿易の要地として栄えていたようです。水と緑豊かなこの町を世界的に有名にしたのが、「アングレーム国際漫画祭」。1974年から開催が始まり、毎年1月末に3~4日、世界中の漫画が集まります。この期間に人口わずか5万人弱の町に20万人の人がやってきます。別名「漫画のカンヌ祭」ともいわれるほどです。今年初めに慰安婦問題をテーマにした漫画の展示が話題になったのはこのフェスティバルでのことでした。もうひとつの見どころは「ウォールペイント」。町中の建物の壁にもイラストが描かれていて、こちらは通年見ることができます。歴史的な街並みとポップな壁画アート、ちょっと首をかしげたくなりますが、サイトで見るとだまし絵のようなものもあり、なかなかおもしろそうです。こちらはCité de la Création(創造都市)というウォールペイントのアーティストたち(muralistes)の団体が統括しているそうです。

フランスを訪れる外国人観光客は年間8200万人。フランスは世界一の観光大国です。
古い建造物と豊かな自然が美しく調和し、何度訪れても変わらぬ美しさで迎えてくれる。そんなイメージのフランスですが、今回の2回にわたるロランスのアート散策では、歴史ある建物、芸術作品はもちろんのことながら、現代アートもそれらと肩を並べて、しっかり根付いていることを感じました。都会ばかりではなく、人里離れた寒村や大自然の中にまでアートが増殖しているという印象です。フランスのアートは本当に素晴らしい底力を持っていると再認識させられました。

P6120435 apres la conference

最後にロランスお手製の「アーモンドレモンケーキ」とお茶をいただきました。さっぱりしていておいしかったです。「前回のチョコレートケーキは失敗してふくらまなかったけれど、今日のケーキはもともとこんな風にペシャンコなのよ。」出来合いのものは買いたくないけれど、料理は余り好きというわけではない、というロランスですが、家族のためにも来客にもきちんと料理をするところは立派です。「クックパッド」のフランス版みたいなサイトからいつも「simple, facile(シンプル、簡単)」というものばかりを選んで作っているとか。それでも日本のようにデパートの地下でお惣菜を買ったり、出前をとったりせず頑張っています。偉い!!

P6120424  tasses de the & boites de theP6120426  gateau aux amandes et au citron

 

余りに素晴らしかったこの地方アート散策のツアー、秋には通訳付きで再登場いたします。
ぜひぜひこの感動をご一緒に!!ご期待ください。

P6120439  deco

 

 

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