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アートサロン:フランス地方のアート散策(2):講座ご報告(2014年6月12日)

2014年6月18日 水曜日

P6120429  conference

4月のフランス地方アートサロンに続き今回はフランス南部とパリを散策します。

– Rhône-Alpes(ローヌ・アルプ地方)P6120436 Laurence
– Auvergne(オベルニュ地方)
– Limousin (リムザン地方)
– Poitou-Charentes(ポワトゥ・シャラント地方)
– Aquitaine(アキテーヌ地方)
– Midi-Pyrénées(ミディ・ピレネ地方)
– Languedoc-Roussillon(ラングドック・ルシヨン地方)
– Provence-Alpes-Côte d’Azur(プロヴァンス・アルプ・コートダジュール地方)
– Corse(コルス)
– Île-de-France(イール・ド・フランス地方)

以上でフランスのすべての地方を網羅しました。観光ガイドブックに載っていないような珍しいアート、建物だったり、イベントだったり、大変バラエティーに富んでいます。「芸術の都パリ」とよく言いますが、アートはパリだけのものではないこと、フランスのアートの底力を実感したサロンです。いくつか特に興味深いアートについて簡単にご紹介いたします。

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1)Rhône-Alpes(ローヌ・アルプ地方)

 Palais idéal du facteur Cheval :(郵便配達夫シュバル氏の理想宮殿)
http://www.facteurcheval.com/

ドローム県オートリブという小さな村にこの宮殿はあります。1879年のある日、シュバル氏はいつものように郵便を配達して回っていました。ところがその道中に不思議な形の石にけつまずいてしまいます。その石をつくづく眺めて、シュバル氏はこの石で宮殿を建てることを思いつきました。それからは毎日郵便配達をしながら、石を集め始めました。ポケットに…カゴに入れて…最後には手押し車で石を集めながら郵便配達の仕事を続けました。それらの石を使って、たった一人で、33年間もかけて、ついに高さ12m、全長26mの宮殿を完成させます。その外観はまるでインドネシアやカンボジアの神殿のような建築様式ですが、当時絵葉書が使われるようになって、外国へ旅行した人が送った葉書などの写真を、郵便配達夫だったシュバル氏は、時々目にすることがあったのでしょう。村人たちは彼を狂人扱いしていたようです。確かに狂気が生み出した宮殿です。けれど1969年には「歴史的建造物」に認定されました。何もない片田舎に忽然と現れる石の宮殿、ありきたりの旅行では飽き足らない向きにはお勧めかも…。

 2)Midi-Pyrénées(ミディ・ピレネ地方)

 Viaduc de Millau : (ミヨーの高架橋)
https://www.google.co.jp/search?q=viaduc+de+millau&tbm=isch&tbo=u&source=univ&sa=X&ei=6cCdU5eADYP98QXkwYKwDg&ved=0CBsQsAQ&biw=1366&bih=673

渓谷の霧の中に浮かぶこの橋をどこかで目にされた方も多いと思います。アヴェロン県ミヨ―近郊の渓谷にかかるこの橋は、地上からの高さが343m、全長2460m。バカンス時などに南仏へ下る道路の渋滞を解消するために作られた高速道路の橋です。2004年に開通しました。当時は景観を損ねるという理由でこの計画に反対する住民も多かったそうですが、完成した橋の姿は雄大で、徐々に人々に受け入れられていったようです。パリのエッフェル塔しかり、ルーブル美術館のガラス張りのピラミッドしかり…。そこに出来てしまえば、いずれはそれを含めた風景が当たり前になっていくのでしょう。

3)Poitou-Charantes :(ポワトゥ・シャラント地方)

 Festival de la bande dessinée d’Angoulème :(アングレーム国際漫画祭)
http://www.bdangouleme.com/446,angouleme-cite-des-festivals

フランスの南西に位置するこの地方は、古くからコニャックの産地として知られています。Angoulèmeの町の歴史は古く、ローマ時代にはシャラント川の水上貿易の要地として栄えていたようです。水と緑豊かなこの町を世界的に有名にしたのが、「アングレーム国際漫画祭」。1974年から開催が始まり、毎年1月末に3~4日、世界中の漫画が集まります。この期間に人口わずか5万人弱の町に20万人の人がやってきます。別名「漫画のカンヌ祭」ともいわれるほどです。今年初めに慰安婦問題をテーマにした漫画の展示が話題になったのはこのフェスティバルでのことでした。もうひとつの見どころは「ウォールペイント」。町中の建物の壁にもイラストが描かれていて、こちらは通年見ることができます。歴史的な街並みとポップな壁画アート、ちょっと首をかしげたくなりますが、サイトで見るとだまし絵のようなものもあり、なかなかおもしろそうです。こちらはCité de la Création(創造都市)というウォールペイントのアーティストたち(muralistes)の団体が統括しているそうです。

フランスを訪れる外国人観光客は年間8200万人。フランスは世界一の観光大国です。
古い建造物と豊かな自然が美しく調和し、何度訪れても変わらぬ美しさで迎えてくれる。そんなイメージのフランスですが、今回の2回にわたるロランスのアート散策では、歴史ある建物、芸術作品はもちろんのことながら、現代アートもそれらと肩を並べて、しっかり根付いていることを感じました。都会ばかりではなく、人里離れた寒村や大自然の中にまでアートが増殖しているという印象です。フランスのアートは本当に素晴らしい底力を持っていると再認識させられました。

P6120435 apres la conference

最後にロランスお手製の「アーモンドレモンケーキ」とお茶をいただきました。さっぱりしていておいしかったです。「前回のチョコレートケーキは失敗してふくらまなかったけれど、今日のケーキはもともとこんな風にペシャンコなのよ。」出来合いのものは買いたくないけれど、料理は余り好きというわけではない、というロランスですが、家族のためにも来客にもきちんと料理をするところは立派です。「クックパッド」のフランス版みたいなサイトからいつも「simple, facile(シンプル、簡単)」というものばかりを選んで作っているとか。それでも日本のようにデパートの地下でお惣菜を買ったり、出前をとったりせず頑張っています。偉い!!

P6120424  tasses de the & boites de theP6120426  gateau aux amandes et au citron

 

余りに素晴らしかったこの地方アート散策のツアー、秋には通訳付きで再登場いたします。
ぜひぜひこの感動をご一緒に!!ご期待ください。

P6120439  deco

 

 

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