Home > アートサロン, カルチャー講座 > アートサロン<Regarder la peinture autrement :違った視点で絵画を楽しむ 2>講座ご報告(2014年7月26日)

アートサロン<Regarder la peinture autrement :違った視点で絵画を楽しむ 2>講座ご報告(2014年7月26日)

2014年7月29日 火曜日

何しろ暑い!!東京も35度という寒暖計の水銀が吹き出そうな暑さが続く中、本日の参加者の皆様、顔を真っ赤にして、生も根も尽き果てたという様子でご到着。

本日のアートサロンも外気と変わらず白熱した内容に。前回と同様のテーマで、ダニエルが、いろいろな角度から絵の楽しみ方をレクチャーします。内容はほとんどの部分が6月7日のサロンのものと重複しますのでここでは省きますが、ダニエル語録を少々まとめてみました。

Luis Melendez Melon et poires 1770 Museum of Fine Arts (Boston, U.S.A.)

Luis Melendez
Melon et poires 1770
Museum of Fine Arts
(Boston, U.S.A.)

 

 遠くから絵画全体を眺めるのは「知的喜び」を呼び起こす。美術史知識や様式などの学識を必要とするから。 近くから絵画を眺めるのは「視覚の喜び」をもたらす。描かれている「もの」のディテール、テクスチャー、仕上がりなど、思わぬ発見もある。

★ 遠くから見ていい絵が、近くで見てかならずしもおもしろいとは限らない。じっくり近くで見たいと思う絵は、しっかりとしたテクニックで描かれている絵だ。

★ 人体描写は「できるだけ本物らしく」表現すること。人物の顔は「できるだけ似ているように」描くこと。人体はデフォルメしてもなお「人体」と 認められるが、顔は例えば鼻の長さを少し変えただけでも、本人と似なくなってしまう。

★ 肖像画の人物は本当に当人とそっくりに描かれているだろうか。例えば「モナリザ」は?私達には確証がない。しかし、そこに描かれた人 間性、個性は明らかに画家からのメッセージだ。

★ 絵の「タッチ」は、その画家のサインと言ってもいいほど重要だ。

絵画芸術 1666 美術史美術館 (ウィーン)所蔵

絵画芸術 1666
美術史美術館
(ウィーン)所蔵

 

などなど、実際の絵と比べながら話が進み、本当に興味のつきないすばらしい講座でした。たまたまサロンの翌日の新聞にフェルメールの「絵画芸術」についての記事が載っていたので読みましたら、「画家は直接キャンバスに絵を描き始めている。」という箇所がありました。ダニエルの講座では、その部分を拡大して見せてくれましたが、絵の具で描いている下には白い線が描かれていて、あきらかにデッサンをしてから描いているのです。フェルメールは下絵を描かず、直接絵の具で描く画家だったので、この絵の中の画家はフェルメールではないのではないか、とダニエルは考えているそうです。やはり「絵に近づいてよく見る」ことは大切なことだと実感いたします。ダニエルのように一つの絵の前で3時間もじっくり鑑賞するのはなかなか難しいですが、並んでいる作品はすべて見ようと人の流れに押されながら、慌ただしく絵の前を通り過ぎていた展覧会の自分を反省いたしました。

「今度の美術展ではかならず、これぞと思った絵の前では近くからじっくり見てみます。」「知らないことが多かったです。今日のような知識を持って絵を見たらきっともっとおもしろいですね。」と、参加者の方々も収穫があったようです。収穫といえば、ダニエルは講座が始まる前にお出しした麦茶が大変気に入ったようで、「これは何というお茶?いつもの日本茶とは違って、この味好きですねェ。えッ?ムギチャ?ああ、この漢字ですね。ウン、ウン、本当においしい!!」と絶賛していましたが、後日メールが届き、「帰りにスーパーで「麦茶」を買って帰りました。」とのことです。ダニエルにも収穫があってよかった!!

 

 

アートサロン, カルチャー講座