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アートサロン:フランスを巡る – フランス地方のアート散策:講座ご報告(2014年4月24日)

2014年5月3日 土曜日

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少し急ぎ足で歩くと汗ばむくらいの初夏を思わせる陽気の一日。今日はアーティスト、ロランスのお宅で、フランス地方を巡りながら、その土地のアートを紹介してもらいます。大きなリビングの壁に赤を基調にしたロランスの大作が三点並んでいます。廊下にもトイレの中にも(!)作品が飾られているのをまずは拝見。ちょっとした現代アートの美術館のようです。リビングの窓の向こうには青山墓地の木々の緑が金色に輝いています。フカフカのソファに腰かけて、大画面のディスプレイからどんな映像が現れるのか待っている間の高揚感。本当に贅沢な時間です。この日のために準備していたロランスは、次から次へと紹介したいものが出てきてなかなか決めるのが大変だったと言っていますが、プレゼンを見れば納得です。準備に相当な時間を費やしたことでしょう。

 フランスではいくつかのdépartements(県)が集まってrégions(地方)を形成しています。(日本と同じですね。)この「県」という分け方は、なんとフランス革命の翌年、1790年に制定されたのだとか。

P4240377ロランスのご主人の出身地Alsace(アルザス)からスタートし、ロランスの故郷Provence(プロヴァンス)で締めくくる予定でしたが、白熱したプレゼンは2時間に及び、プロヴァンスが残ってしまいました。次回6月にじっくりプロヴァンスのアートについて教えてもらうことに。

以下ざっくりと巡った地方と取り上げたアートのいくつかをご紹介いたします。

― Alsace (アルザス地方):Cité de l’Automobile
車に余り興味のない女性でも楽しめる車の博物館。紡績工場の元オーナー、Schlumpf兄弟の弟Fritzが集めに集めた膨大な数の車が工場の跡地に収められている。自動車博物館としては世界第一位の規模。

http://citedelautomobile.com/fr/decouvrir

―Lorraine(ロレーヌ地方): Baccarat
手工業が盛んなこの地方で、特に注目すべきはクリスタルを製造するこの会社。クリスタルに初めて色づけしたのがBaccarat(バカラ)。早い時期からデザイナーを重用して、クリスタルのデザイン性を追求。2000年からはアクセサリーも手掛けている。日本人デザイナーの高田賢三も一時期ここで働いていた。

http://www.baccarat.jp/

―Champagne-Aldenne(シャンパーニュ地方アルデンヌ): Maison de Champagne
フランス第一の農業地域。特にブドウの栽培が盛んで、シャンパンの生産で有名。Dom Pérignon(ドン・ペリニョン)日本では「ドンペリ」と呼ばれ、バブルの象徴のようなアルコールだが、ドン・ペリニョンは修道士の名前で、彼が発酵しているワインを瓶詰にして放っておいたところ偶然出来上がったのがこのシャンパンだとか。アートとして取り上げたのは、Maison de Champagne(シャンパンハウス)の宣伝映像。建物に映像を映し出し、光と音を組み合わせて一大イベントに作り上げている。大きな建物の壁面に黄金色のシャンパンが洪水のように波打って流れる様は圧巻。

― Picardie (ピカルディ地方):Cathédrale  d’Amiens
P4240381フランス北部の地方。Amiens(アミアン)は中心的都市。この町のCathédrale d’Amiens(アミアン大聖堂)はフランス国内最大級のゴシック建築として有名。修復時、建てられた当初(13世紀)には正面入り口に色彩装飾が施されていた痕跡を発見、以降夜にはプロジェクターを使ってその当時の色鮮やかな姿を再現して、訪れる人々の目を楽しませている。

https://www.google.co.jp/search?q=cath%C3%A9drale+d’amiens&tbm=isch&tbo=u&source=univ&sa=X&ei=NbBfU-7yEM_k8AW6moLoCQ&ved=0CCkQsAQ&biw=1366&bih=673

 ―Nord-Pas-de-Calais(ノール・パ・ド・カレ地方):Dentelle de Calais
中心都市はLille(リール)。この地方はDentelle de Calais( カレのレース)が有名。まさに芸術作品。

https://www.google.co.jp/search?q=dentelle+de+calais&tbm=isch&tbo=u&source=univ&sa=X&ei=wbNfU8q2H4GB8gWowIGoAg&sqi=2&ved=0CCkQsAQ&biw=1366&bih=673

― Nord (ノール地方):Piscine de Roubaix
フランス北部の町、Roubaix(ルーベ)の美術館。この町の織物工場で働く労働者たちの健康のために1932年に建てられたプールを2001年に美術館にリニューアル。

http://www.roubaix-lapiscine.com/

 ― Normandie(ノルマンディ地方):Plage du débarquement
モンサンミシェルやジベルニーはよく知られているが、「史上最大の作戦」という映画の舞台となったノルマンディ海岸も忘れてはならない。

Tapisserie de Bayeux(バイユーのタペストリ)
同じくノルマンディ地方を代表するもの。タペストリはふつう織物だが、これは亜麻に毛糸で刺繍をほどこした全長70mもの大作。11世紀のフランスがイギリスを征服したときのことを描いている。人の服装、生活様式、動物、建物、木など当時の様子を知ることができる貴重な作品。

https://www.google.co.jp/search?q=%E3%83%90%E3%82%A4%E3%83%A6%E3%83%BC%E3%81%AE%E3%82%BF%E3%83%9A%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%AA%E3%83%BC&tbm=isch&tbo=u&source=univ&sa=X&ei=VW1iU9bGH4m58gWLxYC4DQ&sqi=2&ved=0CDcQsAQ&biw=1366&bih=673

 ― Bretagne(ブルターニュ地方):Ecole de Pont Aven
フィラデルフィア派のアメリカ人がパリからこのブルターニュのポン・タヴァン村に多く移り住み、近代アートの先駆けとなったことから、ポン・タヴァン派と呼ばれるようになった。ポール・ゴーギャンも一時期ここに居を構えていた。

Pays de la Loire(ペイ・ド・ラ・ロワール地方):Voyage à Nantes
観光客誘致のためナント市が開催する通年のイベント。特に夏には町中いたるところでオブジェやイベントが見られ、一番のにぎわいとなる。

https://www.google.co.jp/search?q=%E3%83%90%E3%82%A4%E3%83%A6%E3%83%BC%E3%81%AE%E3%82%BF%E3%83%9A%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%AA%E3%83%BC&tbm=isch&tbo=u&source=univ&sa=X&ei=VW1iU9bGH4m58gWLxYC4DQ&sqi=2&ved=0CDcQsAQ&biw=1366&bih=673#q=voyage+%C3%A0+Nantes&tbm=isch

Centre( サントル地方):Le château des Dames – Chenonceau
「貴婦人たちの城」と呼ばれるシュノンソー城。歴代の主はすべて女性。カトリーヌ・メディチもそのひとり。シェール川の上にまたがるように作られた美しい城。

http://www.chenonceau.com/

 ―Bourgogne(ブルゴーニュ地方): Le tour de France de Mérimée ; 
作家のメリメは、写真家としても功績を残した。フランス全土を回り、歴史的建造物の写真をとり、保存に大きく貢献した。910年に建てられたこの地の修道院も彼のおかげで取り壊しを免れた。

Franche-Comté(フランシュ・コンテ地方)
丘の上にLe Corbusier(ル・コルビュジエ)が建てたChapelle Notre-Dame-du-Haut(ノートルダムチャペル)は当時散々の評判の建物だった。今はその教会の下に、ピアノ氏の設計による修道院が建てられている。

http://fr.wikipedia.org/wiki/Chapelle_Notre-Dame-du-Haut

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最後にティータイム。いろいろな形のティーカップで、いただいたのはピーチティー。ロランスお手製のガトーショコラ。「真ん中がへこんでしまった!!」と残念がるロランスですが、ロランスのようにやさしくて、でも存在感のある美味しいケーキでございました。続きはまた6月に!!P4240380

 

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