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アートサロン茶箱:講座ご報告(2014年1月30日)

2月 1st, 2014
アートサロン茶箱:講座ご報告(2014年1月30日) はコメントを受け付けていません

本日は茶箱サロン。講師のマリオンのリビングには大小さまざまな茶箱が並んでいます。まずは参加者の方々にそれぞれ持参された和紙を見せていただきました。まるで縮緬のような風合いの和紙もあれば、型押しした皮のような張りのある和紙もあり、古典的な柄からおしゃれな訪問着の柄のようなものまで、見ていて楽しくなります。全員が揃ったところで、作業開始。昨日からちょっと風邪気味だったため大事を取って学校を休んだ4歳のルイ君が、せっせと床やテーブルに落ちた和紙の切りくずを集めてはゴミ箱へ運んでくれます。仕事がなくなると、ソファに座って本日3回目だというビデオ「ショコラ」を見始めますが、マダムたちの話声が大きいものですから、「な~んにも聞こえないよ!」と訴えます。「ごめんね、ルイ君。病み上がりなのにね。」

工程は次のように進みます。

1)本体のフタ止めになる突起部分から和紙を貼ります。糊をたっぷり塗って貼りつけたら、かならず空気を抜くこと。
2)乾くのを待つ間にフタを貼ります。茶箱でもっとも重要かつ難しいのが角の処理です。実寸より5㎜くらいの糊しろをとって和紙をカットしていきます。
3)次に本体の突出部分の上のところ -フタがかぶさるので見えないところですが、フタを開けると最も目立つ部分でもあります。ここでも角の処理に細心の注意をはらいます。
4)それから本体の側面を貼っていきます。側面の中央に紙の合わせ目がこないように、和紙のカットはかならず端で行います。完成も間近です。
5)最期に底の部分を貼ります。基本的に隠れた部分ですので、同じ和紙でなくても構わないそうです。今回は皆様、持参の和紙で十分覆うことができました。

 本日の作業はここまでです。糊が十分に乾いたら、あとは自宅でニスを最低3回重ね塗りして乾燥させます。ニスを塗ると、和紙がさらに丈夫になり、汚れもつきにくくなります。
5人の生徒の「ちょっと教えて!!」コールが止まない3時間、茶箱から茶箱へと飛び回って手取り足取り教えてくれたマリオンは、さすがに終わりのころにはお疲れ気味。

「さあ、お茶でもいかが?」と完成した茶箱の間からマリオンの嬉しい声。ルイ君がマドレーヌののったお皿を持ってサービスしてくれます。朝、ルイ君がマリオンと一緒に焼いたとか。抹茶味とオレンジ風味の2種。料理が大好きで、いつも台所でママのそばから離れないルイ君、「将来は星つきのレストランのシェフになるんだ。」なるほど、それで映画も「ショコラ」が好きなんだ!!そういえば、他のフランス人マダムのお宅へ行った時も、「息子が昨晩焼いたのよ。」と言ってお菓子を出してくださったのを思い出しました。フランス人の家庭でご主人様が料理担当とか、料理が得意とか、極当たり前のように頻繁に耳にしますが、こんな小さいときから「台所ワラシ」の男の子がいっぱいいるのですから、大人になってフライパンをふったり、パイ生地をこねたりすることに何の抵抗もないわけですね。超多忙のビジネスマンでも休日はいそいそとキッチンで家族のために料理作りを楽しむという話もゴロゴロしています。日本の若きママたち、息子さんをスポーツと勉強漬けにせず、もっといっしょに料理を楽しんでください。ゆくゆくは、共働きの妻を助け、子育ても協力するよきパパとなり、家庭平和、そうなれば妻はもっと子供を産んでもいいかなと思うようになるでしょう。ひいては日本の人口減少の歯止めとなり、国力増強。GNPが押し上げられるばかりでなく、どこかの国の王様がおっしゃったGNH(国民総幸福量)だって計り知れません。「ひょうたんから駒」ではなく、「茶箱からGNH」のサロン顛末となりました。

 


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アートサロン

アートサロン「ガエラの帽子サロン」:講座ご報告(2013年12月4日)

12月 5th, 2013
アートサロン「ガエラの帽子サロン」:講座ご報告(2013年12月4日) はコメントを受け付けていません

Modiste(モーディスト)とは帽子をデザインから製作まですべてこなす職業のこと。工場などで帽子を大量に製造するChapelier(シャプリエ)と  は区別されています。高級な手作りの服がhaute coutureと呼ばれるように、modisteがつくる帽子はhaute modeと呼ばれます。ガエラは自身のブランドを持つModisteです。本日は、彼女がコレクションに出品した貴重な作品をなんと試着させていただくことに!日本ではどんな服に合わせて、どんな場所で着用したらいいかわからないくらい華やかな人目をひきそうな帽子ばかりです。イギリスのロイヤル・アスコット、フランスのシャンティイーのディアヌ賞とかロンシャンといった競馬場へ行けば、このような帽子をかぶったご婦人にたくさんお目にかかれるそうですが、戦後ヨーロッパは帽子の着用が少なくなり、このような社交場や結婚式といったイベントのときにしかみられなくなってきたとも。日本の着物もヨーロッパの帽子と同じ宿命をたどっていますが、これはちょっと淋しいことですね。びっくりしたのは、戦前のヨーロッパの家庭には、帽子用の頭部の木型があって、家族のだれかしらが帽子を手作りしていたそうです。残念ながら戦後、これらの木型は使い方のわからない子孫たちの手によって燃やされたりしてほとんどが処分されてしまったということです。かつてヨーロッパの古典絵画の中ではしばしば帽子をかぶった人物が描かれていましたし、ピカソやドガもmodisteのアトリエや、帽子屋を描いています。また、フランスで最初に帽子をhaute modeにまで高めたのは、マリー・アントワネットお抱えのmodiste、Rose Bertin(ローズ・ベルタン)と言われています。Chapeau-cloche(シャポ・クロッシュ:釣鐘型の帽子)を世に出したCaroline Reboux(キャロリヌ・ルブ)は長い間「modistesの女王」と呼ばれていました。その後一世を風靡したhaute coutureの大御所Coco Chanel(ココ・シャネル)もスタートはmodisteだったそうです。

このように欧米人の生活と切っても切れない存在だった帽子にも最近は変化が出てきました。chapeau miniature(シャポ・ミニアチュール)といわれるような、被るのではなく頭の上や斜めにちょこんとのせる装飾をほどこした小さな帽子や、bijoux de tête(ビジュ・ド・テート)という髪飾りなどが帽子にとってかわられる傾向にあるようです。文明の進歩はあらゆるものを最小化していくのでしょうか?

ガエラのアトリエの帽子たちもどんどん進化しています。素敵な髪飾りがたくさんあります。でもそれを頭に飾る前に、まずはゴージャスなバーティーを見つけなければ…

ガエラの作品はこちらのサイトから

www.gaela.com

アートサロン

アートサロン「都市の印象派―カイユボット展」:講座ご報告(2013年11月14日)

11月 15th, 2013
アートサロン「都市の印象派―カイユボット展」:講座ご報告(2013年11月14日) はコメントを受け付けていません

今回はブリヂストン美術館で開かれている「カイユボット展―都市の印象派」をソフィに案内してもらいました。まず、「Caillebotte?誰それ?」という甚だカイユボット氏には申し訳のない無知から、この美術館探訪の話は持ち上がりました。印象派は日本人によく知られた画家が多く、展覧会も印象派を持って来ればまずそこそこの来館者を動員できるというほど、愛好者が多いのですが…残念ながら美術館内も他の印象派の展覧会に比べると人が少ない印象です。ソフィという素晴らしい案内人がいたからかもしれませんが、大変興味深い展覧会でした。是非もっと多くの方に見に行ってほしいと思います。

カイユボットの生涯の詳細はここでは割愛いたしますが、簡単に触れるなら、大変裕福なブルジョワの家庭に生まれ育ち、絵画、園芸、切手収集、カヌーやヨットといった多彩な趣味を持ち、そのすべてに秀でた才能を見せたマルチタレント - 特に自身も絵を描き、当時世間からほとんど評価されていなかった印象派の画家たちを経済的に支え、彼らを現在の地位にまで引き上げた立役者。裕福だったために自身の絵を売る必要もなく、彼の死後ようやく近年になってその作品が世の中に出され再評価を受け現代に至ったということです。ソフィと見て回った展覧会、2,3回警備の方から「もう少し声を落としてください。」と注意を受けたり、ハガキサイズの紙と鉛筆を持って会場を何人もの熟女がうろうろしたり(勿論、美術館の受付でも、警備の方にも事前に許可をいただいたのですが)、いつもとは違う種類の参観者の闖入は、関係者の方々の耳目をさぞ驚かせたことでしょう!!ともあれ、ソフィ流美術展の楽しみ方をご紹介いたします。

絵の前では童心に戻れ。

好きな絵の前で、「なんだろう?」「どうして?」と疑問を持つこと。例えば入り口近くにかけられた3枚の自画像。1枚だけ帽子をかぶっている。「これは何の帽子?何をしているところ?」このソフィの質問に後ろから一人の年輩の男性が「canotage ! (ボート漕ぎ)」とフランス語でお答えになったのには恐れ入りました。ソフィも「Merci !」と答えていましたが。

肖像画のディテイルに注目せよ。

カイユボットはたくさんの友人、家族の肖像画を残しています。その背景には丹念に部屋の内部が描かれているのですが、2枚の肖像の背景だけは単色でべたに塗られています。何故?この2枚は古典的な様式で描かれていて、服装、ひげの様子、ポケットから垂れる懐中時計の金鎖、チョッキの胸元に挟まれた新聞か手紙のようなもの…すべてがこの人物のステータスを表すために描かれているのだとか。確かに生活感が全くありません。

視点を時には変えよ。

今回の展覧会のポスターにもなった「ヨーロッパ橋」の前ではいきなり床にかがまされました。画面下方中央に描かれている犬とほぼ同じ高さに目線がいきます。この犬は私たちを先導して絵の中へ入っていきます。そのまま絵の中央へ視線を移すと橋と道との織りなす対角線に気づきます。カイユボットの絵は遠近法が駆使され、線と空虚なほどの空間が特徴的です。さまざまな風景画に見られるこの空間からメランコリーを感じるとソフィは言います。確かに…。

光と影をとらえよ。

「室内ー窓辺の女性」1880年
©Private Collection

都会派と言われるのは、カイユボットがパリの近代化していく様子や、街中で働く人々、アパートの室内での家族の生活などを描いたからですが、これらの絵は全体にそこはかとない冷たさが漂っています。それに比べて、同じ外の景色でも田園の別荘やボート漕ぎなどの絵には光があふれています。後年パリを離れ郊外に移り住み、園芸やヨット作りに没頭したというカイユボットの生活は絵が表しているように幸せなものだったのでしょう。恋人ともこの時期一緒に暮らしていたそうですし。しかも大好きな園芸の作業中に肺鬱血で突然死するとは…これこそ「絵にかいたような一生」ではないでしょうか。

デッサンをせよ。                                                                                                                                                                                                                                                                                          

参観者に交じって、紙と鉛筆を持って好きな絵の前でデッサンをする、という命題がでました。全体ではなく、絵の中の一部でいいから気に入ったものを素描しろと言われても、勇気のいることです。与えられた時間は20分。あっという間のことです。しかし、ソフィの言ったことの意味はすぐわかりました。

例えば、フォークとナイフを持つ手をデッサンしてみると、漠然と見ていた時とちがって、指先の力の入り具合をどのように表現しているのかがとてもよく見えてくるのです。下手で恥ずかしいから見せたくないと言っていた方のデッサンも後半の喫茶店でのおしゃべりタイムに容赦なく公開させられましたが、驚いたことにハガキ大にクロッキー風に描かれた絵はどれもなかなかのいい雰囲気をかもしだしているのです。「私のは5歳の子供の絵と同じだから…」という方にソフィから「あら、それはピカソだわ。」と素晴らしいフォローが入ります。いざ見せていただくと、「漕ぎ手たち」のオールさばきも楽しそうな絵がかなり忠実に描かれています。一番好きな絵をデッサンしたというだけあって、楽しい雰囲気まで写せています。また「パリの通り、雨」の中のガス灯だけをデッサンした方も。ソフィいわく「これはとても重要なエレメント。このガス灯が一本の柱となって絵を左右に切り分けている」そうな。

ソフィから教わった絵の楽しみ方はまだたくさんありますが、要は好きな絵を見つけて、それをいろいろな視点で眺めてみる、そして「なんだろう?」と想像力をたくましくして絵の中で遊ぶことでしょうか。ソフィは自分の子供さんを美術館に連れて行くと、今日のように一緒にデッサンしたり、「何だろう」ごっこをして楽しむのだそうです。子供のときからそのように絵画と親しんでいけたら、感性豊かな人間に育つことでしょうね。ただ、日本の美術館は余りに雰囲気が厳粛すぎて、今日の私達大人が少々声高に話しただけでお叱りを受けるのですから、果たして子供を歓迎してもらえるのかどうか、子どもが絵を楽しむ土壌が日本に育っているかどうかがちょっと気になるところではありますが。

 

アートサロン

アートサロン(コラージュ):講座ご報告(2013年9月12日)

9月 13th, 2013
アートサロン(コラージュ):講座ご報告(2013年9月12日) はコメントを受け付けていません

やっと涼しくなってきたかとホッとしていた矢先にまた30度を超す暑い一日となりましたが、ソフィのリビングは、涼やかな木立ちの緑に囲まれて快適な空間でした。(勿論、クーラーがフル回転しておりましたが…)

本日は初回サロンで取り上げたコラージュに再挑戦。台紙は各人好みのサイズですが、タブロー(絵画)を制作します。作業に入る前にソフィから取り組み方の説明がありました。

― 気に入った台紙、サイズ、好きな絵や写真、文字などをすべてまず手にして、それから浮かんだイメージに沿って素材を貼りつけていくこと。

― あまり考えすぎないこと。インスピレーションを大切に。子供のように自由奔放に遊び心で向かうこと。途中で当初のイメージが変わってしまっても全く構わない。

― 素材(紙、写真、絵、新聞など)はちぎったり、切り出したりして使用。貼った素材の上から絵の具で色をつけたり、スタンプを使うのもおもしろい。

いくつも用意された大きな箱から気に入った素材を見つけ出すことから開始。コラージュをする人間にはこれはまさに「宝の山」。コラージュに全く興味がない人の目には単なる「ゴミの山」。

「アートセラピー」という言葉がありますが、いろいろな意味で納得させられます。まず、作品には制作者のパーソナリティーが色濃く表れます。ピンク系を多用するロマンチック路線の方。いろいろなメッセージを一気にワ~ンと盛り込む方。しっとりとした色調で大人の哀愁を表現する方。お疲れがたまっている方の作品はちょっと元気がない。その一方、紙や色を重ねていくうちに、無意識のうちに自分の中にあるものを発散させていきます。それが作品の中でうまく表現できるかどうかで心の落ち着き方も違ってきます。今回はどの作品も優劣つけがたい個性の光る秀作揃いとなりました。ソフィが全員の作品を丁寧に見て回り、素敵なコメントを各人に残してくれます。中でもソフィが「何て日本的なんでしょう!!」と驚いた作品はどれだかおわかりになりますか?


     

 

 

 

 

上段左から2番目の作品です。西洋のコラージュは空間を埋めていくのが基本だそうですが、この作品では、貼りつけられたモチーフが、そのまわりに大きく残された空間を際立たせています。生け花でも空間を大切にしますね。また左右非対称にすることで、空間に「密と疎」が生まれ、双方が引き立てあうというところに日本画の美があります。

参加者の中のおひとりがつぶやかれました。「家でひとりでコラージュをやろうと思えばやれるけれど、こんな風にみんなで意見を言い合ったり、ソフィからコメントをもらったりできるのは、最高に楽しい。今日は本当に楽しかったです!!」これこそがアートサロンの醍醐味です。この味を知った方々は次々とリピーターになっています。まだ未体験の方、アートサロンの扉は貴女のためにいつも開かれています。

アートサロン

アートサロン(茶箱):講座ご報告(2013年6月18日)

6月 27th, 2013
アートサロン(茶箱):講座ご報告(2013年6月18日) はコメントを受け付けていません

今日、茶箱を教えてくれるのはイングリッド。静かな住宅街の一軒家 - 正確にはセミデタッチタイプの戸建てとでもいいましょうか。門扉は二つ。建物の右にイングリッドの家の玄関があり、左手には上に上がる階段があり、他の方の住居になっているようです。しかし、イングリッドの家にも2階があるようですので、建物の構造がいまいちよくわかりませんが…。代々伝えられてきた18世紀の重厚な家具の並んだリビングから2段ほど下がったところが食堂になっていて、今日はそこで茶箱を教えてもらいます。食堂の奥の壁の掛け時計がおもしろい。直径50㎝はあろうかという大きな時計はフランス製だそうですが、太くていかにも重そうな鉄の針が時を刻々と刻んでいます。でもイングリッドいわく、「針が下へおりてくるときは、上がるときよりストンと落ちてくる感じ」なんだそうです。その時計の左右には、日本の浮世絵が飾られています。右は誰の作かわかりませんが、芸妓が料亭かどこかの玄関にたっている図、左は琴の前になよっと座った女性を描いた上村松園の作品。日仏文化融合の壁面です。

さて、本日のサロンでは5Kという小さなサイズの茶箱に和紙を貼っていきます。和紙の柄にもよりますが、だいたい60㎝×90㎝1枚でフタと本体をカバーできるようです。ただし本体上部のフタを受ける突出部分は他の単色和紙で覆います。工程は次のように進みます。
1)フタ部分の寸法を測り、それに合わせて和紙を切り出します。ポイントは和紙を実寸より1㎝弱多めにのりしろとしてカットすること。
※本日は時間の関係で省きましたが、和紙を貼る前にまず茶箱全体を白のペイントで塗って乾かせておくと和紙に茶箱の木の目地が浮き出ないのでより美しく仕上がるそうです。
2)フタの表面にまんべんなく糊(木工用の白い糊を水少々でのばしたもの)を大きな刷毛で塗っていきます。塗り残しがないようにいろいろな角度から確認します。和紙をかぶせて、布で中央から外側へと空気を抜いて表面が滑らかになるようにします。フタの側面は長い面をまず対称に糊を塗って和紙をかぶせ、同様に布で空気を抜きます。次に横の短い側面、2面も同様にして和紙を貼りつけます。

3)本体の突起部分に使用する無地の和紙(本体に貼る和紙の色に調和するような色を一色選びます。)の寸法をはかり、糊を直接木の部分に塗って、和紙を貼っていきます。このときもフタと同様、長い側面をまず2面、次に短い面を2面貼っていきます。

4)本体側面の寸法を測り、和紙をカットします。今回は2面を一続きに切り出し、もう1面を別途カットしました。ふたのかぶさる部分の和紙も忘れずにカットしておきます。さらに本体底部分は、実寸より数ミリ小さ目にカットしておきます。
5)長い幅の側面から糊付けし、和紙を順番に貼っていきます。茶箱の和紙貼り付けで最も技術を要するのは、角の処理です。余った角の部分はまず垂直に切り込みを入れ、片方を斜め切りにして厚みをなくします。側面に和紙を貼る際注意するのは、フタの柄行との連続性を考慮して位置を決めることです。よく見ると、柄のうねりの方向があったり、微妙な色の連続性などがあるので、その流れに合わせて柄行を配すとすっきりします。最後に底を貼って完成です。
6)サロンでの作業はここまでですが、1日糊を乾かせてから、ニスを3度ほどかけて完成させます。
糊が乾ききらないうちに、紙の上などに置いておくと、和紙がはがれてしまったりします。乾かすときは出来るだけ底部分を床から離しておくことをお勧めします。はがれてしまった部分は同じ和紙の端切れで補正して、上からニスをかければほとんど目立たなくなります。


ここまでの工程は、途中ではさんだランチの時間を除けば、およそ3時間半くらいで終了すると思います。ランチには、イングリッドがアペリティフのチーズ、アントレのサーモンマリネ、トマトタルトまで用意していてくれました。さすがにワインのおすすめは丁重にお断りいたしましたが…。タルトの生地は、小麦粉とオリーブオイル、水、塩少々、お好みのハーブ(本日はローズマリー)を加えてこねあわせてそのまま型にのばすだけという超簡単レシピーでしたが、バターも卵も入らないとてもヘルシーな生地です。
本帰国を間近に控えたイングリッドですが、食堂を作業用にきちんとしつらえ、しかも手作りのタルトでもてなす、というフランスのおもてなしの心を今日もまた学びました。心も胃袋も「わしづかみ」にされたよき一日をイングリッドに心から感謝。Bon retour !

アートサロン

アートサロン(Pochoir/型染め):講座ご報告(2013年4月4日)

4月 8th, 2013
アートサロン(Pochoir/型染め):講座ご報告(2013年4月4日) はコメントを受け付けていません

前回のコラージュに引き続き、ソフィのアトリエで今回は「型染め」に挑戦いたしました。健気に咲いていた桜の花を無残に散らした春の嵐から二日後、コートもいらないくらいのポカポカ陽気の一日となりました。ソフィはリビングにつながる大きなバルコニーにもアトリエを広げ、大木を通り抜ける風の音と小鳥のさえずりをバックグラウンドに、染め仕事を楽しむという趣向です。まずは、冷たいドリンクとソフィお手製の「ロシェ」というお菓子をいただきます。(ヴァレリのレッスンで習ったロシェとはちょっと違ってこちらはアーモンドパウダーを使っていますが、形はやっぱりロシェ(岩山)です。)お茶をいただきながら、本日の型染めのいくつかの手法を見せてもらいます。バッグに染め出すモチーフの背景には、次のような方法があります。
1)直接染料を生地にぬりつける。
2)ジュースなどの空き缶に何重にも輪ゴムを巻きつけて、その上から染料を塗り付けて、バッグの生地の上をゴロゴロと転がすと縦縞や横縞の出来上がり。ゴムの間隔を不規則にあけたり、ゆがませたりしてもおもしろいデザインになる。
3)菓子や食品の袋に入っているプラスチックトレーの底部分に色をつけて、生地に押し付けて染める。何気なく捨てていたトレーにも、いろいろな模様があるのを知ってビックリ!!

皆さん、ご自分でデザインを持っていらしてました。愛犬の写真、ペガサスの絵、エッフェル塔等々…
写真や絵の上に薄いプラスチック板(A4のプラスチックファイルの片側を使用)にマーカーで丁寧にモチーフを写していきます。染め出したい部分をカッターで切り出しますが、このとき注意しなければならないのが、輪郭を全部カットしてしまうと内側の絵まですべて切り落としてしまうということ。ラインの一部を残しつつ、全体の絵の構成に響かないように残す部分を決めて行かなければなりません。この型染めのプロセスの中でも天王山の箇所です。古いシャンソンの流れる中、出来上がりをイメージしながら、皆さんカットに没頭。職人の工房のような厳粛な空気が漂っています。
染色はワクワクドキドキの時間です。ローラーか小さなスポンジに染料をつけて切り抜いた型の上から色を押しつけていきます。思った色を作るのはちょっと難しいですが、生地に染めてみる瞬間はスリリングです。少しにじんだりするのは、ご愛嬌!!最後はどれもとても個性的な作品が完成しました。
今回は、無印良品のバッグに型染めをしましたが、「古いTシャツに型染めをするとガラリとイメージが変わるでしょ。古いものに新たに命を吹き込んで生まれ変わらせるのがこの型染めのすばらしいところよ。」とソフィは言います。そう言われてよく見れば、ソフィのジーンズの膝にもお尻にも芸者の顔がプリントされてます。ソフィが動くたびに芸者の顔も動く…確かにこれは新しい命の誕生に違いないですね。

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アートサロン(アクセサリー):講座のご報告(2013年3月15日)

3月 18th, 2013
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今日のアクセサリーサロンはフレデリックのリビングが会場です。最上階の大きなテラスから暖かい日差しが差し込む素敵なリビングで、総勢6人の全くのビギナーの私達が、ペンダントトップ製作に取り組みました。なにもかも「ド素人」の6人が、四六時中「ヘルプ!!」の声をあげるのですから、フレデリックは大忙し。「おかしいと思ったら、かならずそこでストップしてすぐ聞いてね。」と言われてますますヘルプコールがかしましくなりました。でもとても丁寧に指導していただいたので、最後は皆様、そのペンダントを身に着けてニッコリ写真に無事納まることができました。98%純銀のワイヤーとスワロフスキーのビーズ、ムラノガラスという上質な素材を使っているだけあって、とても上品な出来上がりになりました。
本日、教えていただいたテクニックは3点。
1)6本のワイヤーを使って「レース」状の編み込み部分を作る。先の丸いペンチを使ってリングを作る。パーツをつなげていくときの基本的なテクニック。
2)ビーズをつなげるときのサイドの処理方法:スパイラル(螺旋状にワイヤーを巻きつける手法)
3)パーツをつなげるときのリングの開閉の仕方。
アクセサリーサロン
今回習ったテクニックを使えば、シルバーワイヤーとビーズをシンプルにつなげたり、レース状に編み込んで、ネックレスやブレスレットを作ることができます。是非また自分で何か挑戦してみたいものです。パリではビーズばかり売っている店がたくさんあって、パリジェンヌに大人気だそうです。日本にも専門店がいくつかありますが、最近は少し下火になったのでしょうか?「オンリーワン」のアクセサリーをして、春風の中を颯爽と歩くのカッコイイと思いますけどね?

素敵な作品に仕上がって全員ヤレヤレと安堵したとき、フレデリックの一声。「みなさん、コーヒー?紅茶?」フカフカのソファーのコーナーへ移ります。でもなぜか全員ソファーではなく床に座り込んじゃいました。「あ~ら、やっぱりみなさんそこに座ったのね?」とフレデリック。きっと来るお客様の日本人はどなたも同じなんですね。実を言って、ソファーからテーブルまでが遠かったのです。狭いリビングしか経験のない日本人にとって、この距離は「安心できないゾーン」なんですね、きっと。そうこうしているうちにフレデリックお手製のチョコレートケーキが登場。「おいしそう!!」の大合唱です。コーヒーは、コーヒ―マシンで挽きたての「アワアワ」のホット。紅茶は何のフレーバーかわかりませんが、マンゴーのようなフルーツの香りがほんのりしています。ケーキも勧められるままにお代わりまでして、気が付けばすでに5時。「オールドシンデレラ」たちは、大慌てで家路へと急ぐことになりました。優雅な午後でした。Meci, Frédérique !!

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アートサロン[コラージュ]:講座のご報告(2012年12月13日)

12月 17th, 2012
アートサロン[コラージュ]:講座のご報告(2012年12月13日) はコメントを受け付けていません

今日は広尾のソフィの家で「コラージュ」の教室がありました。ソフィのリビングのバルコニーは、紅や黄の葉をつけた大きな木々に囲まれて、静かな晩秋の日差しを浴びています。北欧風の家具とアジアンテイストのインテリアが調和した室内には絵画やオブジェが並んでいてまるで美術館。

コラージュ作り手順

コラージュ??]昔、美術の時間に聞いたかもしれないけれど、なんだったかしらん?という人も多いと思います。私自身、「貼り絵?」くらいのお粗末な知識でのぞみましたが、実際にソフィの説明を聞いて、自分で[コラージュ]を体験して、そのおもしろいことにびっくり!時の経つのも忘れてカード作りに没頭することに…。

まずソフィお手製のサブレとお茶を楽しんでいるときに、ソフィが紙を一枚出してきて言いました。「順番になんでもいいからここに言葉を一つ書いてください。書いたらその部分は折って次の人には見せないで。次の人も同じように書いて隣の人に紙を回して」6人がそれぞれ書いて、最後にソフィがその紙を開くと、「河、羽、縁結び、空、amour(愛)、夜の月」と字が並びました。これがソフィいわく、「言葉のコラージュ:コラージュの詩」だとか。字でもコラージュが出来るんですね!!
コラージュは、第一次世界大戦のころに生まれたアートで、物資も不足し、苦しい生活の中で「楽しみたい」という人々の思いから生まれたアートだそうです。材料も、写真、文字、絵、絵の具、インク、デッサン…なんでもOK。唯一のルールは、「偶然性」を楽しむこと。深く考えず、好きな色、好きな絵を合わせていくうちに、思いもかけない仕上がりになる「驚き」-これがコラージュの神髄だそうです。こんな意味をなさない音の響きだけを楽しむ詩もあります。(Zimzim urallada zimzim, urullala zimzim zanzibar, zimzalla zam)

ソフィは私たちの作品をひとつひとつ写真にとりながら、「すばらしい!」「美しい!」「おもしろい!」などと褒めちぎります。そして、各作品について「この色使いがきれい」とか「素材の使い方がおもしろい」など、どこかいいところを見つけ出してコメントしていきます。フランスの学校の美術の授業では、教師は生徒に絵の描き方を指導しないと聞いたことがあります。紙と絵の具を持たせて、自分の好きなように描かせるのです。そしてきっとソフィのようにいいところを見つけてほめて、子供たちを励ますのでしょうね。こうして個性豊かな、ちょっと自信過剰なフランス人気質が培われていくのですね。
作品完成記念撮影
作品とレッスンの模様は、ソフィのサイトにもアップされています。
次回の教室では、pochoir (型紙)を使ったもう少し大きな作品に挑戦します。
http://leszas.wordpress.com

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