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料理サロン:講座ご報告(2016年2月20日)

2016年3月1日 火曜日

P2202110 salle a manger昼過ぎから雨が強く降り出し、風も強くなるという天気予報の土曜日。皆さまと駅で待ち合わせてソフィの家に着くまでは何とか天気がもちましたが、しばらくすると通りを歩く人が傘をさす姿がチラホラ。家の中で料理をするにはもってこいの雨の休日になりました。土曜日なので子供さんもご主人もチラチラ姿が見えます。いかにもフランス人の友人の家に遊びにきたようなオープンな雰囲気です。ソフィの快活な人柄に参加者の方たちは安堵された様子で、エプロンをつけてカウンターの回りに集まります。今日はフランスのアルザス地方の伝統料理です。アルザス地方の食卓では余りアントレ(前菜)を準備しないそうで、スープなどのあとすぐメインディッシュになるのだそうです。タルト(ヴァリエーションがすごいです。玉ねぎタルト、にんじんタルト、キッシュ等々)もよく作られるとか。またソーセージを使った料理も伝統的だそうですが、日本ではこのソーセージが手に入らないということで本日のメニューは日本でも材料が手に入りやすいものが選ばれました。

 

P2202117 veloute de chou-fleur

Velouté au chou-fleur et Roquefort

(カリフラワーのヴルーテ、ロックフォール添え)

 カリフラワーとジャガイモをブイヨンの中でゆでて、柔らかくなったらミキサーにかけます。バターと生クリーム、塩、こしょうで味を調えます。好みでにんにくやオレガノを加えてもOK。スープ皿によそい、ロックフォール(または他のブルーチーズ)を薄くスライスしたものを数片中央にのせ、みじん切りにしたパセリも飾って出来上がり。ソフィは本格的なフードプロセッサーのミキサーにかけていましたので、ヴルーテはその名の通り、まるで「ビロード」のような滑らかさです。塩分控えめのヴルーテにロックフォールを少し混ぜていただくと、野菜のやさしい味にピリッとしたチーズの塩味が絶妙にからみます。作り方は至極簡単ながら、美味かつお洒落な一品に仕上がりました。

 

P2202127 Fleischschnake

Fleischschnaka

(フレイシュシュネッカ)

アルザスの言葉でFleischは「肉」、Schnaka は「かたつむり」。肉をロールケーキのように生地でクルクルと巻いたものをスライスした形からこの名前がついたそうです。生地は、小麦粉、卵、水、塩、酢少々を混ぜ、こね合わせます。酢は卵黄を酸化させるので、生地が水っぽくなりません。これを1時間ほど寝かせておいてから、長方形にのばします。牛のひき肉は玉ねぎとニンニク、エシャロット(適宜)をバターで炒めます。これに生の豚挽肉、卵、ニンニク、パセリ、チャイブの刻んだものを加えて混ぜ、ナツメグ、塩コショウで味を調えます。これをのばした長方形の生地に塗り、ロールケーキと同じ要領で最後まで巻き上げます。次にこれを1.5㎝~2㎝の厚さの輪切りにします。フライパンにオリーブオイルとバター少々を入れて熱し、そこへ輪切りにした生地を並べ、両面をきれいなきつね色になるまで焼きます。最後に熱したブイヨンをひたひたに加え、弱火で15分~20分蒸し煮にします。ソフィは「餃子と同じね。」と言いますが、確かに餃子の輪切りです。
皿にこの輪切りを2つずつ並べ、上から熱々のブイヨンを回しかけ、グリーンサラダ添えて熱いうちにいただきます。想像を超えたお味です!!美味しい!!生地はほどよい固さのパンを思わせ、ブイヨンに浸されてもべしょべしょにならず、適度な歯ごたえを残しています。中のひき肉は本当に餃子のようなお味です。フランス料理は今までに数知れず習いましたが、この食感は初めての経験です。また、raifort(ホースラディッシュ)をつけながらいただくと更に美味。全体にとてもサッパリとした味のところへホースラディッシュのかすかな辛さがアクセントになり、あとをひきます。フランス料理と一口にいっても本当にいろいろな料理があって奥が深いとつくづく実感いたしました。

P2202104 vjiande etalee sur la pate FleischschnakaP2202105 Fleischschnaka roule P2202109 sauter morceaux de Fleischschnaka

 

 

 

 

 

 

 

P2202130 tarte aux pommes cuite

Tarte aux Pommes à l’alsacienne

(アルザス風りんごのタルト)

フランス人はいとも簡単に生地を作ってしまいます。そして本当に失敗しません。普通の練りこみパイ生地の材料(小麦粉、バター、塩、水少々)の他にお菓子には砂糖が加わります。ソフィのレシピでは、バニラシュガーも入ります。よくフランス人マダムの料理レッスンでみかけますが、皆さんお砂糖の中にバニラの鞘を数本いれて自家製のバニラシュガーを作っています。香りも確かにはなやかです。それからソフィのりんごタルトでおもしろいのはりんごの並べ方です。りんごタルト用のりんごは普通薄くスライスして放射線状に並べていくのをよく見ますが、今回のりんごは5㎜くらいの厚さにスライスしたものを端から垂直に立てて中心へ向けてぎっしり並べていきます。ボリューミーでインパクトがあります。これをオーブンで25分ほど焼いたところでフラン液を流しいれます。フランは卵と生クリーム、砂糖を混ぜて作ります。フランを流し込んでからはオーブンの温度を下げてさらに15分ほど焼きます。型から外しますが、焼く前に硫酸紙またはクッキングシートを敷きこんでおきますので、きれいに取り出せます。最後にシナモンを振りかけて、切り分けてサービスします。りんごの表面がカリッと焼けていて、中はしっとり、しかもフランをまとってりんご本来の甘さも残しています。なんとも美味しい!これは是非一度、この並べ方で作ってみたいと思います。

P2202089 pate de tarte aux pommes P2202092 mettre pommes dans la tarte P2202094 pommes dans la tarte

 

 

 

 

 

せっかくの休日にママを私たちにとられてしまった坊やは、何かとママの気をひこうとキッチンへ入ってきます。「ママ~ン!!」初めは「ウイ!」と笑顔で答えていたソフィも度重なるにつれ、「もう、いい加減にしなさい!」と厳しく叱ります。他人の前では余り怒らない日本人の母親とは違って、フランス人のママにはよそ行きの顔はありません。子供を怒っているときは、こちらが思わず身を縮めてしまうくらいコワイです。その顔を今度は私たちににこやかに向けて、ソフィは忙しい。出来上がった料理は大きなテーブルでソフィのご家族(二人の息子さんとご主人様)も加わって賑やかにいただきます。スープのときはワインをサービスしないのだそうで、メインディッシュのとき冷たく冷やしたアルザスのリースリングがグラス
P2202134 morceau de tarteに注がれます。やはりいついただいても美味しい!!話題は今夏ご一家で移り住むドバイの話に。残念ながらソフィのご主人様の転勤が決まったとのこと。東京では自転車で思う存分散歩を楽しんでいたソフィですが、ドバイでは自転車を乗り回すわけにはいかないようです。どこへ行くにも距離があり、車社会のようです。料理だけでなく、このようにソフィのご家族と一緒に食事をするといった体験は、まさにプチ留学、まるでフランスでホームステイをしているような錯覚にとP2202107 en cours らわれます。「今日はフランス語のシャワーを浴びて楽しかった!!」とは参加された方のご感想。4時間もの間、確かにずっとフランス語を聞くという機会は日本にいては余りないかもしれません。「Merci!」と玄関でソフィとお別れをして帰られた皆さまの姿、気のせいかちょっとパリジェンヌのようでした!!

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