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Bon Appétit  (ボンナペティ)! 

2015年1月13日 火曜日

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フランス語に「Bon appétit 」という表現があります。直訳すれは「良い食欲を」という意味で、食事を始める前に使われます。日本語の「いただきます」にあたるでしょうか。小学校で給食のときクラス全員で手を合わせて「いただきます」と唱和していた日本人は、大人になっても食事の前にはそんな呪文を唱えないと落ち着かない人も多いことでしょう。私もこの「Bon appétit 」を知るや、フォークとナイフをしっかと握り、皿の中に鎮座まします料理と格闘する前に、嬉々として同席者たちに言っておりました。「Bon appétit  !」と。

でもこれは日本語の「いただきます」とは微妙にニュアンスが異なり、むしろ「召し上がれ」に近いように思います。というのも「Bon appétit !」と言うと、相手のフランス人はかならず「Merci !」(ありがとう)とか、「Bon appétit !」と返してくるからです。日本人が食前に言う「いただきます」は、そのごはんを作ってくれた人に対して、または米を作ってくれる農家の人たちに対して、ひいては自然の恵みを与えてくれる神に表す感謝の言葉だと私は小学校で教わりました。会食者がそろって唱和することで、「同じ釜のめしを分け合う」仲間感情、ちょっぴり敬虔な連帯感のようなものが食卓に漂います。それに比べ、フランス語の「Bon appétit 」には、「よく味わってエンジョイしなさいよ」という、食卓の上の料理に対する強いエネルギーとパッションを感じます。

更に驚いたことに、フランス人はあまり食卓で「Bon appétit 」と言わないそうなのです。ましてフォーマルな席では決して言わないそうです。じゃあどうやって食事をスタートさせるのかと尋ねれば、「別に何も言わない。フオークとナイフを手にとってなんとなく始める。」「家の女主人が食べ始めたらそれがスタートの合図」等々。そう言われてみれば、日本でも天皇陛下の晩餐会でまさか「いただきます」とは言わないでしょう。ビジネスランチの席でもきっと言いませんね。結婚式の披露宴テーブルでも聞いたことがありません。ということは「いただきます」も「Bon appétit 」もかなり親密な内輪での表現ということでしょうか。

フォークとナイフを手に取るや毎回「Bon appétit !」と嬉しそうに叫んでいた自分の姿が走馬灯のように駆け巡ります。その相手にはとんでもない方のお顔まで浮かんできて……(汗)

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