料理サロン:講座ご報告(2015年9月17日)

2015年9月26日 土曜日

P9171876  salon et salle a manger

夏休み明けのサロンには8人もの方々が参加してくださいました。あいにく雨脚の強い悪天候ではありましたが、ひとたび家の中に入ってしまえば、こんな料理日和はありません。キッチンの大きな窓ガラスに雨の滴が当たっては流れていく向こうに、木々の緑とビル群と鈍色の雲の流れる空がまるで絵画のように控えています。キッチンのカウンターには、本日の主役の野菜と果物がこれまた静物画と見まがう静謐さで私たちを待ちうけています。リビングで全員の記念写真をとります。イタリアンテイストの色調にまとめられたおしゃれな空間には、コンタンポラリーアートの巨大なポートレートやオブジェが美術館さながらに飾られています。ぜひまねをしたいところですが、そのためにはこの広々とした空間がまず必要です。よく日本人の方がおっしゃいます。「絵は大好きなんだけど、飾るカベがないの。」そう、日本人の家は本棚、タンス、テレビ、サイドボードなど本当に家具が多いですね。大きな絵を飾るスペースがなくなるのも当然。そういえばベランジェールのリビングにはテレビが見当たりません。ソファーと椅子とテーブルの他には、棚が少々あるだけ…。すっきりしているわけです。今度テレビがどこにあるのか聞いてみなくては…。

P9171842  legumes pour la terrine

P9171843  peches

 

 

 

 

 

さて、本日のレッスンで習う料理は以下の3品です。

 

P9171888 terrine sur l'assiette

Terrine de Légumes confits(野菜のコンフィ、テリーヌ)

アントレは野菜のテリーヌ。スライスしたズッキーニは塩コショウを振ってオリーブ油をたらし、そのまま電子レンジで軽く加熱します。なすは皮をむいてさいの目にカット。オリーブ油で松の実とにんにく、玉ねぎのみじん切りを炒めたところになすも加えて炒め、水も加えてフタをして蒸し煮にして、ナスをキャビア状にします。パプリカはピーラーで薄く皮をむき、くし型にカットしたものをオリーブオイルと一緒にフライパンでしんなりするまで炒めます。パプリカの皮は、グリルやオーブンで焼いたりしてむくことが多いですが、ピーラーを使うと、パプリカ本来の美しい色をとどめることができます。次にトマトのクリソースを作ります。フライパンでみじん切りの玉ねぎを炒め、トマトの果肉を加え、塩こしょうで味を調えます。ミキサーにかけて水を加え、バルサミコ酢少々と刻んだコリアンダーを加えます。水にふやかした板ゼラチンも加えて再度加熱してゼラチンをよく溶かします。テリーヌ型の内側をラップでしっかり覆います。(型から外すときとても楽です。)型の底にまずズッキーニを切り口が平行になるように並べ、次にナス、パプリカ、トマトのクリソースという順番で重ねていきます。冷蔵庫で4時間冷やしておきます。

いただくときに型からはずし、銘々の皿にロケットサラダをしいて厚めにカットしたテリーヌをのせます。トマトソースのほのかな酸味といろいろな野菜の異なる食感が楽しめます。夏の暑さに疲れた胃袋にやさしい滋味豊かな一品です。

 

P9171898 saumon en papillote

Saumon en papillote, sauce mousseline (サーモンのパピヨット、ムスリーヌソース)

メインディッシュはサーモン。クッキングシートの上にサーモンの切り身をのせて、塩こしょうをふり、オリーブ油もまわしかけます。シートの両端をキャンディーのように絞ってタコ糸でしばります。180℃のオーブンで15~20分焼きます。魚料理はやはりソースが決め手となります。本日のムスリーヌソースは絶品です。バターを180g、卵黄3個、レモン汁一個分、塩こしょうを湯煎で混ぜ合わせます。マヨネーズくらいのとろみがついたら火からおろして固く泡立てた生クリームと合わせます。大量のバターに生クリーム、お約束のフレンチソース。たまにはこんなリッチなソースも目をつぶっていただきましょう。本当に絶品!!!

P9171902  Sabayon de peches (2)

Sabayon de Pêches (桃のサバイヨン)

 

新鮮な桃が手に入ったら是非トライしたいデザートです。桃は適当な食べやすいサイズにカットしておきます。次にソースを作ります。卵黄にレモンの皮、砂糖、バニラビーンズそして白ワインも加えます。その間絶えずしっかりと泡立て続けます。次に湯煎にかけてさらに分量が2倍か3倍に膨らむまで泡立てます。このソースを桃の上に回しかけ、ローストしたアーモンドの薄切りを散らして出来上がり。バニラの香り高い上品なサバイヨンソースは決して桃の富貴な香りを殺さず、混然とまじりあって限りなく美味。

P9171853  cours de cuisine今日は3種のソースを習いました。トマトのクリソース。泡という意味のmousse(ムース)を語源としたムスリーヌソースはその名の通り軽くてなめらか。サバイヨンソースは温かいうちに果物や菓子にかけていただきます。まさにソースに始まり、ソースで終わるフレンチコース。ベランジェールの料理は素材本来の味を大切にし、ソースは美味ながら、素材を引き立てる脇役に徹しています。みんながメインディッシュの肉や魚になることを目指している今のご時世に、肉や魚をおいしくするソースみたいな人生もあってもいいかも、と深く思うのでした。

 

 

カルチャー講座, フランス情報, 料理サロン

パリのアパルトマン滞在

2015年8月2日 日曜日

2008_1026陽子のパリ旅行2008年9月0074梅雨明けから途端に連日の猛暑。でもヨーロッパも今年は暑さが半端ではないようです。ベルギーからの便りでは、39度の熱波に2度も見舞われたとか。パリも36度の暑さだとはパリから帰国されたKiyokoさんの話。地球温暖化は猛烈なスピードで進んでいるようです。クーラーなど縁のなかったパリでも最近はクーラーを備えたホテルが増えてきたそうです。Kiyokoさんは今回のパリ旅行ではアパルトマンを借りて滞在されたそうですが、そのアパルトマンの備品の扇風機が故障していて、卓上型の小型扇風機がかろうじて動いた…とは何ともフランスらしいアバウト加減。でもホテルとは違ってキッチンもあり、パリジェンヌになった気分の滞在だったようです。

2008_1026陽子のパリ旅行2008年9月0056このアパルトマン滞在、一度はやってみたいと思う人は多いと思いますが、どうやって探すかとなると言葉の問題もあり、容易ではありませんね。日本人スタッフがパリ現地に常駐し、物件の紹介から手続きまで代行するサービスを提供しているサイトを目にしたことがありますが、ちょっと高めです。

アパートメントホテルは、ホテル本来のサービスの他に部屋にキッチンなどがついていてアパルトマン滞在の疑似体験ができますが、どうしても割高です。時期と立地にもよりますが、夏などのハイシーズンなら、6区サンジェルマン・デ・プレで6日間滞在の場合、1泊200ユーロくらいになります。Hotel Citadines(ホテル・シタディーン)のサイトの日本語版のリンクを貼っておきます。但し、これはユニット料金ですから、2人の場合は一人100ユーロ。

http://www.ena.travel/hotel-area/europe/France-Paris-bhjiji/IledeFrance-Paris-Citadines_Apartaposhotel_SaintGermaindesPr%C3%A9s_Paris-biicih/?gclid=CjwKEAjw0NytBRD-1d3QsdHNpR0SJACGXqgRj0f3fOHK7Wq8J_SJdgAGyHzTfzKVLnxWhrIPsbFkqxoChJPw_wcB

Kiyokoさんが利用したのはLODGIS http://www.lodgis.com というエージェントです。
日本語サイトがあります。同じ時期、サンジェルマン・デ・プレの小さなアパルトマンを6日間借りると、およそ1泊135ユーロ(大きさによってはもっと高くなります)、二人でシェアすれば一人70ユーロくらい。物件探しはこのサイトからできますが、実際の契約手続きはオーナーとのやりとりになるので、英語かフランス語が多少できないと難しいそうです。またこのほかにエージェントに手数料を払わなければなりません。Kiyokoさんは312ユーロ払ったそうですから、これを含めると二人で1泊200ユーロくらいになりますね。アパルトマンの大きさや期間などによって手数料は変動するようです。

その他では、Homelidaysというサイトがあります。世界中の国の中短期レンタル可能なアパートや家を紹介しています。パリの物件のサイトのリンクを貼っておきます。

http://www.homelidays.com/location-vacances/france/paris/r1216

日本語版はありません。フランス語や英語で検索する必要がありますが、例えばサンジェルマンで6日間、上と同時期に滞在すると、894ユーロからあります。1泊149ユーロ、二人でシェアすれば一人75ユーロほど。物件を自分で選んでオーナーと直接メールでやり取りすることになります。これはフランス人から教えてもらったサイトで、利用者のコメント欄を参考にして選ぶようにアドバイスを受けて、私も実際に一度利用したことがあります。

Kiyokoさんのアドバイスと合わせてアパルトマンを借りるときのポイントをいくつか…。

― 物件の立地を地図などで確認しておくこと。交通量の多い道路に面している場合、騒音の問題があります。特に夏などは冷房が完備していないアパルトマンでは窓を開けて寝ることになりますから、睡眠障害になることも。私の場合は2階の部屋でしたが、早朝5時くらいに窓の下の石畳をゴミ収集車がやってきて各建物から巨大な金属のごみ箱を引き出していく音で毎朝目を覚まされました。

― エレベーターのあるアパルトマンを選ぶこと。パリの建物は、エレベーターを備えていないところもあります。重いスーツケースの上げ下ろしには、狭くて急な階段は大変です。エレベーターと言っても、人が二人も乗るとキツキツの狭いものが大半ですが、それでもないよりはましです。

2008_1026陽子のパリ旅行2008年9月0053― サイトの写真はどれも美しい部屋ばかりですが、実際に行ってみると、トイレのドアノブが壊れていたり、水回りに問題があったり、オーナー自身が電子レンジや洗濯機の使い方を知らない、など「えーッ!」という事態にたくさん遭遇します。でもそれも含めてのフランス生活です。日本のようにきちんと整備された住環境は特別なのだと知らされます。それでも数日もたつと、なかなか開かないドアの鍵にも「わが家的な」愛着がわいてくるものです。

2008_1026陽子のパリ旅行2008年9月0054― 長期滞在になればなるだけ賃料も割安になります。利用者のコメントなどを見ていると、同じアパルトマンにリピートして滞在する人もチラホラ。最初は短期間からトライして、ここは!という場所に出会ったら、次から1か月、2か月の滞在にのばして借りるというのがいいかもしれません。ホテル滞在ではアメニティーが不足しているくらいでも損をしたような気分になりますが、アパルトマン滞在だと、ドアの取っ手が壊れていようが、隣の住人の部屋の出入りのたびにこちらの部屋の壁まで揺れようが、Tant  pis !(仕方ない!)と思えてしまうから不思議です。

 

 

フランス情報

パリのショコラティエ

2015年7月4日 土曜日

tour Eiffel

7月になると東京のほとんどのフランス人たちはバカンスでフランスへ帰って行きます。ビジネスマンのご主人様たちも3週間から4週間の休暇をとって家族と合流します。また、日本人もこの時期フランスへ旅行に出かける方が結構いらっしゃいます。 特にパリへ行かれた方はほとんどの場合「私のパリ」という気持ちになって帰っていらっしゃいます。「ほとんどの」と言ったのは、中にはパリジャンが冷たいとか、治安が悪いとか、マナーの悪い外国人だらけでフランスとは思えない、とかネガティブな経験をして帰っていらっしゃる方もあるにはあるからです。そんな中、インターカルチャーのサロンに参加してくださっている方々は、どちらかというとフランス、パリで楽しい思い出をたくさん作って、一度といわず何度も彼の地へ赴いているというタイプの方が多いです。そんな方々から「イチオシ」情報をおすそ分けしていただいて、これからフランス旅行のプランを立てようという方にも共有していただけたら…そんなわけでまずそのトップバッターにお願いしたのは、毎年少なくとも1回は仕事も投げ打ってパリに滞在するというAtsukoさんの情報です。

DSC_0504


私がParisに行ったら必ず買う、パトリックロジェのchocolatです。 数あるショコラティエの中でもお気に入りです。 特にガナッシュ系がおいしい♪ 写真の緑のballeの中はキャラメル、ライムの香りがしました。彼はすだちを使ったりもします。
現在のところ、日本にきていません。 本店はSceauxにあるそうです。(私は行ったことないです。春は桜がきれいで有名なところです) Parisでは、マドレーヌ、サンジェルマン、サンシュルピスにお店があります。 (Atsukoさん)


Patrick Roger のサイトを覗いてみるとboutique en ligne(オンラインショップ)からそのチョコレートも購入可能です。でもこの夏の時期は残念ながら販売休止!! Patrick ROGERは何と30歳のときに(*)MOF( Meilleur Ouvrier de France :国家最優秀職人賞)を授与されています。「味の彫刻家」とも呼ばれ、チョコレートで巨大モニュメントを作るなど注目のショコラティエらしいです。日本にはフランスの有名なショコラティエがかなりの数進出していますが、今のところ彼の作品はフランスへ行くか、オンラインショップでしか手に入らないということですから、パリへ行かれたら是非訪れてみてください。店舗もなかなかスタイリッシュでおもしろそうですね。

http://www.patrickroger.com/jp/

Wikipediaより
(*)国家最優秀職人賞(こっかさいうしゅうしょくにんしょう、Meilleur Ouvrier de France、MOF)はフランス文化の最も優れた継承者たるにふさわしい高度の技術を持つ職人に授与される称号で、その名誉は日本の「人間国宝」に相当するものと言われる。

フランス情報

カルチャーサロン「スウェーデンを知るⅡ」:講座ご報告(2015年6月25日)

2015年6月28日 日曜日

 

P6251754  salon

梅雨というのに素晴らしい晴天。しかも真夏のような暑さです。広尾駅から15分ほど歩くとグニラの家があります。すっかり夏姿のグニラがにこやかにBonjour (こんにちは!)と扉をあけてくれます。彼女はスウェーデン人ですが、フランス語も英語も母語並みに話せます。日本語もちょっと分かるのです。北欧の人たちの言語能力は本当に素晴らしいです。

さて本日は去年5月に開かれたスウェーデンカルチャーサロンの第二弾。前回同様にスウェーデンの地理、自然、社会などのプレゼンに加えて、歴史と文学、アート、音楽の紹介も加わります。皆様の到着はまさに12時、ランチタイム。グニラが準備してくれたスウェーデン料理をまずは味わうことにいたしましょう。

P6251756  salle a manger

白地に赤と青のストライプが入ったテーブルクロスにグリーンのナプキンと白い皿。シンプルですが、清潔感溢れるテーブルです。そこでいただくのはGratin de Saumon(鮭のグラタン)。

P6251758 gratin de saumon

スライスしたポテト、サーモン(スモークサーモンでもOK)、輪切りにした玉ねぎ、ディルの順に耐熱皿に重ね、卵とミルク、生クリーム、塩こしょうを合わせた液を流し込んで、中火のオーブンで45分ほど焼けば出来上がり。至極簡単ですが、とってもおいしいのでびっくりしました。いただくときに溶かしバターの熱々を上からかけるのがポイントかもしれません。「いい塩梅」とはこのことかというお味で、皆様、勧められるままにお代わりに手が出ます。白ワインも冷えていてグラタンによく合います。グリーンサラダもお変わりが続出。「まだたくさんあるからどんどん召し上がれ!!」と台所からサラダの追加が登場。

P6251760  gratin de saumon sur l'assiette

その後これでもか、とばかりにグニラお手製のデザートが。バニラアイスにルバーブをジャム状に煮込んだソースをかけ、pâte d’amande(マジパン)をすりおろし器でけずったものを軽くローストして上から散らします。ルバーブの赤が美しく、マジパンのカリカリとした食感も楽しい。太いサラミのような形状をしたマジパンは初めて見ました。フランスから持ってきたようです。アーモンドを砕いたものよりソフトで主張しすぎずいい脇役に徹しています。グニラのゆったりとしたサービスで、皆様もすっかりくつろぎ、お腹も満たされたところで、リビングへ移動して、今度はスウェーデン紹介です。

P6251761  glace au rhubarb

今回初めて紹介されたスウェーデン人画家Carl Larsson(カール・ラーション)。ご存知の方もいらっしゃいましたが、知らないという方も多くいらっしゃいました。私も初めて知りました。彼が描いた家族と家の水彩画がステキです。非常に貧しい家に生まれたものの、天賦の絵の才能を認められ、結婚して7人のこどもに恵まれ、仕事も順調だった時代の水彩画集「私の家」は、家族の風景だけでなく、彼の妻の手になるインテリアが今見ても魅力的。ウイキペディアのリンクを以下に貼りました。どうぞ覗いてみてください。子供たちも可愛くて、気持ちがホンワカしてきます。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%83%A9%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3

次に文学。1909年のノーベル文学賞で女性の受章者第一号になったのがスウェーデン人だったってご存知でしたか?Selma Lagerlöf(セルマ・ラーゲルレーヴ1858-1940)。彼女の名前は知らなくても、彼女の作品「ニルスの不思議な旅」はテレビアニメでご覧になっていた方も多いかと思います。いたずらばかりしている腕白小僧ニルスが妖精に小人にされ、ガチョウと一緒にスウェーデンを旅する物語です。実はこれは子供たちに地理を学ばせるためにと依頼を受けて書かれた物語なんだそうです。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BB%E3%83%AB%E3%83%9E%E3%83%BB%E3%83%A9%E3%83%BC%E3%82%B2%E3%83%AB%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%83%B4

あの有名なABBAもスウェーデン人のグループだったんですね。このグループ名は4人の名前の頭文字をとってつけられたとか。しかも彼らが二組の夫婦だったとは知りませんでした。全盛期の後、彼らは2組とも離婚してしまったそうですが、仕事もプライベートも何もかも一緒では公私の切り替えも難しく、大変だったことでしょうね。

その他、前回と同様男女平等、社会福祉システム、王室等々面白い話満載で、アッという間に時間が過ぎてしまいました。

「さあ、それではフィーカに食堂へ戻りましょう!!」とグニラ。Fika(フィーカ)とは「甘いお菓子といっしょにコーヒーを飲む」という意味でいわゆるコーヒータイムのスウェーデン語。もとの意味は「コーヒー」だったそうですが、今は「フィーカ」と言えば「お菓子とコーヒーで一休み」、オフィスでも友達とでも家庭でも、時間に決まりはなく、朝からフィーカ、ランチのあとにフィーカ、夕方にフィーカとスウェーデン人はよくコーヒータイムをとるようです。

P6251767  gateau de chocolat au noix de coco

P6251771  rouleau de gateau chocolat

フィーカにつきものの甘いお菓子、本日は2品。「ココナッツチョコレートケーキ」と「チョコレートロールケーキ」。ロールケーキのほうは小麦粉の代わりにコーンスターチを使うのだそうで、生地にサクサク感があります。どちらもチョコレートたっぷり、バターたっぷり。体重計が目の前をチラチラしましたが、エスプレッソと一緒にいただく誘惑には勝てません。

P6251774  gateaus sur l'assiette

参加者の方から「スウェーデンの国旗にはどんな意味があるんでしょう?」という質問がでましたが、グニラは「あら、そう言えば何の意味かしらね?知らないわ。」と答えていました。確かに身近なものだけに余り意味など考えませんよね。ちなみに後で調べたところ、「青は澄んだ空、金色はキリスト教、自由、独立を表す」そうです。ところで日本の国旗についてはご存知ですか?ついでに調べてみました。聖徳太子の時代から「日出ずる国」と称したように「日DSC_0092の出の太陽を象徴」。それは日本人のほとんどがそのように説明できることでしょうね。しかし、「赤は博愛と活力、白は神聖と純潔」だそうです。知りませんでした。

それから嬉しいニュースです。グニラの日本滞在があと2年延びました。99%帰国と言っていたので今日はau revoir (オルボワール:さようなら)を言わなければならないと思っていましたので、本当によかったです。スウェーデンの大自然のようにおおらかで、温かいハートを持つグニラのファンが今日もまた増えたようです。盛りだくさんカルチャーサロン、皆様楽しんでいただけたようです。Merci ,Gunilla !

カルチャーサロン, カルチャー講座, フランス語

料理サロン:講座ご報告(2015年6月19日)

2015年6月27日 土曜日

P6191693  salle a manger et salon (2)

梅雨本番。朝から小ぬか雨が降り続いています。駅からベランジェールの家まで近いのはこんな時はありがたいです。ベランジェールのリビングは、今日のような雨の日でも大きく全面に開いた窓から光が差し込んでいます。ガラスやメタリックなものをインテリアに使っていること、オレンジや赤と言ったビビッドな色使いもまた部屋の明るさに一役買っています。

P6191681  Legumes d'ete

今日のテーマは「夏の野菜と果物」。見るからに体によさそうなつやつやと光る野菜たちがキッチンでお出迎えしてくれます。

P6191724 charlotte de courgette et couli de tomate(2) Charlotte de Courgettes au Chèvre

(ズキーニと山羊チーズのシャルロット)

スライサーで薄く縦長にズッキーニをスライスし、オリーブオイルで軽く両面焼いたものを、小さなボールの内側に並べます。山羊チーズはよくこねてから、ハーブ(ミント、コリアンダーなど)、みじん切りのたまねぎ、にんにく、塩こしょうを加えてよく混ぜます。これを小さなボール状にスプーンですくって先ほどのズッキーニで包みます。トマトのクリソースは、缶詰のトマトをミキサーにかけただけ。トマトがたくさんあるときは、同様にミキサーにかけておけば、パスタソースにも使えますし、そのままジュースとしても飲めます。冷凍も大丈夫。最後にバジルの葉を飾って出来上がり。コリアンダーの香りは好き嫌いがありますが、このチーズはミントが大量に入っているので全く気になりません。ミントの香りのあとからコリアンダーのちょっとエキゾティックな香りがアクセントに。簡単ですが、とてもおしゃれな一品に仕上がりました。

P6191733 legumes farcis cuits

Légumes  farcis

(野菜のファルシ)

Farci(ファルシ)は「詰め物」という意味。今回は夏野菜に挽肉やお米をつめてオーブンで焼きます。挽肉には炒めたみじん切りのたまねぎ、にんにく、ハーブ(バジル、コリアンダー、パセリ)、たまご、塩こしょうを加えてよく混ぜます。トマトのヘタの部分はカットし、パプリカは縦半分に切ります。それぞれの底に米少々を入れ、挽肉をしっかり押しながら詰めます。トマトのヘタの部分ものせてオーブン205℃で40分ほど焼けば出来上がり。銘々の皿に野菜をのせ、付け合せにはライスを。オーブンで焼いた際に皿の底にたまった野菜や肉から出た汁をライスにもかけていただきます。肉はハーブの香りをまとって爽やか。野菜のエキスも吸ってなんともやさしく美味。

P6191735  legumes farcis avec du riz

 

P6191740  mousse de mangueMousse de Mangue

(マンゴームース)

マンゴーはミキサーにかけてピューレ状にします。水でしとらせた板ゼラチンは少量のレモン汁を煮立てた中に入れて溶かします。マンゴーピューレにゼラチン、ヨーグルト、砂糖を加えてよく混ぜます。次に生クリームをかたく泡立てて、ピューレの中に加え泡をつぶさないように静かに混ぜ合わせます。これを型にいれて冷蔵庫で4時間以上冷やしておきます。今回はマンゴーを使いましたが、イチゴや桃でもおいしいそうです。甘さは控えめでマンゴーの酸味が大人のデザートです。レモンのフィナンシエと一緒にいただきます。

P6191700  financiers cuits

Financiers au Citron

(レモン風味のフィナンシエ)

Financier(フィナンシエ)というこのお菓子、形は基本的には長方形。意味は「金融」。金の延べ棒の形に似ているからとか、金融街の紳士たちが仕事の合間につまみやすいように考案された形だからとも諸説あります。ベランジェールは小さい丸型に焼いたりもするそうです。つまり型はお好みでOKということのようです。作り方はとても簡単。小麦粉に砂糖、アーモンドパウダーを入れて混ぜ合わせます。メレンゲも加え、溶かしたバター、レモン汁とレモンの皮も加えて混ぜます。バターを塗った型に流し込み、240℃のオーブン中段で5分焼き、その後温度を210℃に下げてさらに10~15分焼きます。オーブンから出したらすぐ型から出して冷まします。このフィナンシエ、ベースになる生地に蜂蜜を入れたり、抹茶をいれたり、チョコレートを加えたりといろいろな味が楽しめます。缶などに入れておけば保存もききますので、何種類が作っておいてコーヒータイムに楽しみたいですね。

P6191742  pivoines

外は雨が相変わらず降っています。でも私達はおいしいお料理でお腹はいっぱい。楽しい会話で胸もいっぱい。とっても幸せな気分になりました。夏休み明けの再会を誓ってBonnes Vacances !!(ボンヌ・バカンス!!)ベランジェールが大好きという芍薬のつぼみが、私たちが帰るころには開き始めています。温かくてサンパな午後のひと時に花もきっと興味深々だったに違いありません。P6191707 cours

カルチャー講座, フランス語, 料理サロン

Sortie amicale 交流会(7)荒川都電の小旅行 2015年6月11日

2015年6月17日 水曜日

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

いや~、「晴れ女」なんですね。皆様。梅雨入りしたというのに太陽がカンカンと照りつけて暑いこと。でも傘片手の散策よりは10倍いいには違いありません!!
今回は荒川都電に乗って東京の町を散策します。帰国が決まったマダムたちとのお別れ会も兼ねましたので、その生徒さんたちも集合。フランス人8人、日本人8人、総勢16人の団体様です。こんな大人数で行動しないフランス人ですが、今日ばかりは立派に団体行動をとっていました。
まず日比谷線「三ノ輪」駅に集合。でもやっぱりフランス人。15分ほど遅れて到着したフランス人が2名。駅入り口に金髪、茶髪、黒髪が入り乱れてたむろして、ペチャクチャおしゃべりに花が咲き、地下鉄利用の他のお客さんには結構ご迷惑だったに違いありません。

P6111681 ticket pour une journee全員揃ったところで都電駅「三ノ輪橋」に向けて出発。アリの行列よろしくゾロゾロと、しかもすごいことは黙って歩いている人がいないのです。10分ほど歩くと、ありました。都電の小さな駅が。「キップはどこ???」と皆様お探しに。キップは電車の中で運転手さんから買うのですが何しろ16人です。運転手さん曰く、一日乗車券が2枚しかないということで、途中の荒川車庫前で調達してくれることになりました。電車に乗ったらまたおしゃべりが始まって、運転手さんの「これから乗ってくるお客様のためにもっと後ろへ移動してください。」というアナウンスなど聞いてもわからないし、しっかり入り口をブロックしてしまいました。Plus  au fond !(もっと奥へ!)と交通整理が大変。車窓からの景色なんて誰もみていません。やっぱりペチャクチャおしゃべりに忙しい。

 

photo by Marie

photo by Marie

30分ほど乗って、「王子駅前」で下車。ここから、飛鳥山に上ります。かわいいケーブルカーが飛鳥山の上まで連れて行ってくれます。エスカルゴ(フランス語でかたつむりの意味)ならぬ「アスカルゴ」という名前のこの乗り物、16人乗れば満員になりますが、全面ガラス張りでゆっくりと2分ほどかけて頂上に向かいます。無料なのもうれしい。桜の時期は相当混むのでしょうね。今日はゆったり。斜面の両側に紫陽花が咲いています。もっと群生していたらこれも素晴らしいのでしょうけれど…。

P6111650  ballade dans le parc Asukayama

飛鳥山は8代将軍吉宗の肝いりで江戸時代に造成されたもっとも古い公園だとか。当時の庶民には娯楽が少なく、吉宗が桜を植えさせて江戸庶民の憩いの場にしたそうな。飛鳥山というものの、愛宕山より低そうで、山というより小高い丘というのがふさわしい。この時期、木々の緑が深く、桜の木に交じってモミジも散見できるので、秋もまたいいかもしれません。公園の奥には子供が遊べる遊具などもあり、蒸気機関車も置かれています。

P6111653  Shibusawa kinenkan

青淵文庫

そのもっと奥に進むと、日本資本主義の父とも言われた渋沢栄一のもと住居跡が資料館となり庭園とともに公開されています。庭園の中には晩香蘆という木造洋風の小さな家屋が残っています。客の接待に使ったそうですが、渋沢氏の喜寿のお祝いに建設会社から贈られたというのも何とも桁違いのプレゼントで、庶民にはピンときませんが。

晩香蘆の前にて

また東京大空襲でこの地の建物はほとんど焼けてしまったそうですが、もうひとつ青淵文庫という鉄筋造りの書庫も残っています。どちらも重要文化財。こちらはステンドグラスがはめ込まれていて西洋建築。「コロニアルスタイルね。」というフランス人もいました。

 

 

 

P6111659 tram Arakawa (2)

さて、再び都電に乗って次は巣鴨へ。駅で待っていると反対側に三ノ輪橋行きの都電車両が止まっています。いろいろな宣伝などがボディーに描かれていて車両の一つ一つがおもしろいのですが、これは歌舞伎舞台の三色引幕に塗られています。庚申塚で下車。ここから巣鴨地蔵通り商店街が始まります。別名「おばあちゃんの原宿」。

P6111662  Koshinzuka  trois singes

庚申塚 見ざる聞かざる言わざる

入り口に庚申塚の社(猿田彦大神)があります。江戸時代にはここは中山道へと向かう旅人の休憩所として賑わった様子が境内の石碑に描かれています。庚申塚は猿とは直接関係がないそうですが、「申」が猿を表すことから塔に猿が彫られたりするようになったそう。

P6111665  magasin de culottes rouges

商店街は食堂、甘味処、衣料品店などに交じって、外国人が喜びそうな和物の品揃え豊富な店もあります。「赤いパンツ」のお店は有名。物価は東京の中にあってちょっと安めかも。帰国するマダムたちはお目当ての品をお土産用に買い込んでいます。彼女たちがよく買っていたのが、和風花柄のバンダナ、ハンカチ、歌舞伎役者の化粧が描P6111667 culottes rouges (2)きこまれたフェイスパック、カラフルなタオル、スガモンの靴下などなど。ほぼ全員が購入したのが「柚子蜜」。韓国の「柚子茶」とは違って、柚子入りの蜂蜜。冬にはホットで、夏には炭酸などで割っていただきます。爽やかな甘さで体にもよさそう。小さな小分けパッケージもあって、これもお土産用に皆様お買い上げ。

 

 

P6111672  sushi

昼食はとげぬき地蔵の隣にある「鶴すし」へ。フランス人マダムが一人途中で帰ったものの、総勢15人が入れるお食事処を探すのは結構大変。ここは16人までならお座敷が予約できます。若いご夫婦(?)らしき男女がきびきびと働いている気持ちのいいお店。何と、生魚が食べられないフランス人マダムと日本人マダムが二人。生魚を抜いたスペシャルメニューを作っていただけました。感謝!

http://r.gnavi.co.jp/g863700/

P6111671  sushi restaurant食後はおとなりのとげぬき地蔵に立ち寄り、また境内で立ち話。とはいえ、フランス人も団体行動をとれるのだという新発見の一日でした。これからフランス人たちは夏のバカンスに向けて帰国準備で大忙しになることでしょう。離日するマダムたちも次の赴任地に向けて学校の手続きや住まいなどまたゼロからのスタートになります。ちょっと寂しい夏になりそうですが、また新しいマダムたちが来日することでしょう。「別れは出会いの始まり」と考えることにしましょう。à bientôt ! (じゃまたね!!)

交流会

料理サロン:講座ご報告(2015年6月9日)

2015年6月15日 月曜日

PB180776  Entrance遂に昨日から梅雨に突入。暑さに湿気が加わるようになり、肌のベタベタ感が嫌な季節の始まりです。今日はフロランスの最後のサロンです。この道も、この扉も今日が見納め…とちょっと感傷的になります。次の赴任地のシンガポールに下見に行ってきたフロランスは、日曜日に日本にもどってきたばかり。それなのに私達のために料理の準備をして待っていてくれました。今回が最後とあって、今までに参加された方々が名残を惜しんで集まりました。

 

 

 

 

P6091629  verrines avocats crevettes et fromage

Verrines  avocats  crevettes  et  Fromage frais

(アボカドとえびとクリームチーズのヴェリーヌ)

涼しげなガラスの容器にアボカドのピューレ、えび、クリームチーズを順番に入れて層を作っていきます。グリーン、ビンク、白の層が美しい。最後にアボカドのピューレを絞り袋に入れてデコレーション。カクテルシュリンプも飾り、ライムのいちょう切りを飾れば出来上がり。初夏のおもてなしにピッタリです。

P6091623  finition de couches de verrines P6091619  creme en pommadeP6091617  couches de verines

 

 

 

 

 

 

P6091640  morceau de quiche

Quiche  lorraine

(キッシュ・ロレーヌ)

フランス人家庭の定番料理です。キッシュにはいろいろな種類がありますが、キッシュ・ロレーヌといったら、パイ生地に基本のタマゴ、生クリーム、ミルク、そしてLardons(ラルドン・豚胸肉の塩漬け)ですが、日本ではこのラルドンが手に入らないので、本日はハム三種で代用しています。ベーコンでもOKです。これに塩こしょう、忘れてならないのはナツメッグ。このほかチーズを入れる家庭も多いですが、フロランスのはチーズなし。スレンダーな彼女の秘訣はこのあたりにあるのかも…。出来上がりはフワフワのやさしい味。きっとフランス人の「おふくろの味」ってこういうのなんでしょうね。キッシュには、その他サーモンやエビ、きのこ、ほうれん草などアイデア次第でバリエーション豊富です。

P6091608  ingredients pour Quiche LorraineP6091611  mettre du jambon sur la tarteP6091637  Quiche Lorraine

 

 

 

 

 

 

P6091641  assiette de dessert

Cake au chocolat

(チョコレートケーキ)

チョコレート職人のフロランスが作るチョコレートケーキは興味深々です。特徴は勿論カカオ70%以上のチョコレートを使うほか、砂糖とその半量ぐらいの蜂蜜を使うこと。その他、卵、生クリーム、小麦粉、ベーキングパウダー、アーモンドパウダー、カカオパウダー、バターとリッチな材料が入ります。オーブンで焼く時は、まず200℃で5分表面をしっかり焼き、次に155℃に温度を下げてゆっくり35分ほど焼きます。温度を下げる前にケーキの上部表面に縦に切り込みを入れます。こうすればあちこちに裂け目ができずきれいな仕上がりに。焼き上がったらすぐ型からはずします。
食感はかなりズッシリしています。あれだけの材料が入っているのですから当然ですね。一切れいただけば「チョコレートを食べた!」という満足感がこみ上げてきます。

Soupe  de  fraises au basilic

(いちごのスープ、バジル風味)

これは本日のレシピーの中でも一番斬新なものでした。イチゴとバジル???と想像のつかない組み合わせですが、調理は超簡単、そして超美味。是非お試しください。
イチゴ500g(フロランスの冷凍のものを使用)と砂糖80g、レモン汁1/2個分、バジル4茎(この量はお好みで増減してください。)をすべてミキサーに入れて撹拌するだけ。バジルの代わりにミントを使ってもいいそうです。また夏以外でもイチゴとバジルを冷凍保存しておけば、いつでもこのスープは作れるとも。これを読まれた方にはちょっと未知のお味かと思いますが、是非上記分量にてお試しください。本当においしゅうございました!
このほかにフルーツのブロシェットにチョコレートソース(チョコレート250gを温めた生クリーム100㏄、ミルク100㏄の中に加えて混ぜるだけ)を添えた一品を加えてassiette de dessert(デザートの盛り合わせ)の完成です。

 

P6091614  cours (2)2年に渡り、キッチンとリビングを開放してフランスの家庭料理を教えてくれたフロランスですが、参加者の方のなかには、「おそうじとインテリアのことをもっと習いたかった」という声もありました。本当に美しい住まい方のお手本のようなフロランスの家でした。きちんと選んだオブジェをスペースを大事にしながらディスプレイすること、日本のリビングにありがちな思い出の品が所狭しと並べられているのとは大違い。そういえばフロランスのリビングには日本のものが見当たらなかった気がします。シンガポールのリビングには何か日本のオブジェが登場するのでしょうか…?シンガポールから届くフロランスの便りを楽しみに待つことにしましょう。

カルチャー講座, フランス語, 料理サロン

料理サロン:講座ご報告(2015年5月22日)

2015年5月31日 日曜日

 

P5221548  table

今日はマリオンの最後の料理サロン。ついに帰国が決まりました。参加者の皆さんも声をそろえて「残念!!」 仕方ありませんね。C’est la vie. 今日は存分に楽しみましょう。
本日のテーブルクロスはアルザスのものだそうです。縁にチェックの柄の別布が縫い合わされていて、中央にはブルーの幾何学模様の花が刺繍されています。テーブルに置かれた深いピンクの芍薬が引き立ちます。ナプキンはタイの女性支援団体がチャリティーで販売しているもの。手刺繍でアジア風の寺院や人物、アクセサリーなどが施されています。「さくら」のデザインもあるのよ~、とマリオンが奥の部屋から持ってきたのは、未使用の糊のパシッときいた同様のナプキンの山。どれだけチャリティーで買ったのやら!

さて最後のレッスンは何人かの方からリクエストのあったリエットを含めて4品。いつもの手際の良さでマリオンの料理は進んでいきます。

P5221585  salade tiede de lentilles

Salade tiède de Lentilles (レンズ豆のサラダ)

 1時間ほどぬるま湯につけておいたレンズ豆を、玉ねぎのみじん切りとにんにく、にんじんを賽の目にカットしたもの、タイム、ローリエといっしょにバターで炒め、そのあと何と白ワイン「1本」分を注いで煮込みます。ほとんど水分がなくなるまで煮たら、温かいうちにドレッシングをかけてなじませます。スモークハムの輪切りやスモークハム、スモークサーモンと一緒にあえてもいいそうです。今回はスモークサーモンと合わせました。レンズ豆の食感は思いのほかしっかりとしていて、日本の柔らかい煮豆とはまた違ったおいしさです。「健康にもとてもいいのよ!」とマリオン。少量でも結構の満腹感。砂糖を使わずカロリ―控えめ。ダイエットにいいかもしれません!!

P5221558 lentilles

P5221560  cuire lentilles avec du vin blanc

P5221576 lentilles cuites

 

 

 

 

 

 

 

P5221588  rillettes de porc maison Rillettes de Porc maison (ポークのリエット)

 再登場のリエット。これは本当に簡単で、たくさん作って冷凍保存がきくのでとても便利。といっても次から次へと解凍していただいてしまうので、すぐなくなってしまいますが。自家製のリエットを食べると、市販の瓶詰のリエットは脂ぽくってちょっと手が出ません。豚バラ肉を使っているのですが、脂肪が気にならずさっぱりしているのです。参加者の方一同「これはオイシ~イ!!」。(作り方はスタッフブログ:2014年2月13日の料理サロン報告を参照してください。)

 

P5221592  pate de campagne

Pâté de Campagne maison (パテ・ド・カンパーニュ)

これが自家製で食卓に並んだらちょっと鼻高々になれそうです。しかも作り方は超簡単。

P5221556  viande et foie豚肉500gと豚レバー150gをミンチにかけます。今日は豚バラ肉の塊を使いましたが、フランスでは豚の首のところの肉を使うのだとか。ミンサーがない場合は豚挽肉を使ってもOKですが、出来るだけ脂の多い部位を挽いたものを選んでください。脂身が少ないと、焼き上がったときパテがパサパサしてしまうようです。また、この肉を挽いたところに加える調味料の分量が重要だそうです。肉500gに対して塩13g、こしょう5g、砂糖9gが黄金比率らしいです。エシャロットとにんにくのみじん切り、コニャックかポルトー、卵一個も肉に加えてよ~く混ぜ合わせます。沢山つくってしP5221557 pate de campagneまったら、冷凍できます。火にかけない状態のものをそのままテリーヌ型に入れて冷凍し、必要なときに冷蔵庫で解凍、オーブンで焼けば出来上がり。

 

 

 

 

P5221596 Flan Patissier

Flan Pâtissier (フラン・パティシエ)

「お菓子屋さんのフラン」という名のこのお菓子、実際フランスでは菓子店でよくみかけるものだそうです。卵、ミルク、砂糖、コンスターチ(または小麦粉)、ヴァニラでクリームを作り、タルト生地の中に注ぎ入れて焼き上げます。カスタードクリームの焼菓子というのが近いでしょうか。ブルターニュにもfarというよく似たお菓子があります。今回はクリームだけをタルト生地に流し込んで焼きましたが、プラムなどのお菓子をいれてもいいそうです。ほんのりと甘くて、フワフワかと思いきや、案外しっかりと焼き上がっていて、日本の羊羹やういろうのような食感です。エスプレッソと一緒にいただく幸せのひととき!!

P5221563  preparation du flan

P5221570 verser la creme dans le moule      P5221568  cuire la creme de flan

 

 

 

 

 

「キティーはエロイ??!」

食卓ではしばし「プリクラ」が話題に。一度もプリクラに挑戦したことがないという参加者の方も多かったのですが、マリオンの話では今や日本在住のフランス人の間ではこのプリクラは大人気とか。そういえば、どこかでフランスへ帰国が決まった友人夫婦のためにその友人たちがプリクラで撮った自分たちの写真をアルバムにしてプレゼントしていP5221604  morceau du flan patissierるのを見たことがありました。ひげを垂らした男性や、まつ毛がビヨ~ンと上下に伸びてビックリ眼の女性とか…思わず笑ってしまいます。今は高機能になって、目の大きさや形まで好きなタイプにできる機種もあるとか。もはや誰の顔??というより○○さん似のプリクラ美人というべきでしょうか。更にマリオンが見せてくれたのがインスタントカメラ。プリクラのようにいろいろな細工ができるカメラだそうです。「エロキティーのデザインのもあるのよ。」とマリオン。「エロ???」「エロいキティーちゃん??」一同耳を疑いました。いや待てよ…ローマ字で書くと「Hello Kitty 」…そうだそうだ、フランス人のまたもや「問題のH」の発音!フランス語のアルファベットにも勿論「h」はあるのですが、これが日本語、英語、ドイツ語のようには発音しないのです。厄介なことに「ha」は「ハ」ではなく「ア」、「hi」は「イ」、「he」は「エ」、「ho」は「オ」というようにことごとく「h」が落ちてしまいます。それでフランス人のマリオンは「ハロー」の部分をフランス語風に発音して「エロー」と言ったのでした。ヨーロッパにはキティーちゃんのアダルト向けバージョンがあるのかと一瞬びっくりさせられましたが。

そんなこんなで毎回楽しい会話とおいしい料理で幸せな時間を提供してくれたマリオンのサロンもこれで終わりです。昨年の秋にお母様が亡くなられて一時帰国したものP5221552  coursの、帰ってきてすぐに予定の料理サロンを開いてくれました。「大丈夫?」と心配したのですが、「il faut avancer.」(前に進まなくちゃ。)という答えが返ってきました。日本の生活もその言葉通り、好奇心をもっていろいろなことにチャレンジし、日本人の私達より日本のことを知っている「頼りになる」フランス人マダムでした。

 

ありがとう、マリオン!!またどこかでいつか再会できることを願ってさようならは言いません。À bientôt ! じゃまたいつかそのうちにね!

 

カルチャー講座, フランス語, 料理サロン

5月の夕暮れはワインで

2015年5月18日 月曜日

太陽が照りつけると真夏のような暑さの日もある今日このごろ。それでも夕方になると涼しい風が吹き抜けて過ごしやすい。梅雨前のカラッとした空気が心地よいですね。ゆっくりと夕日が落ちて空が茜色から藍色へと暮れていく夕方、食事の前にワインをグラスに注いで刻々と色の変わっていく空を見ながらちょっと一息というのもたまにはいいもの。そんなとき、ワインにぴったりのお手軽おつまみも一緒にいただければ、一息どころか二息、三息…。

P5131546  fromage herbes & anchois

市販のクリームチーズを半量に分け、片方にはパセリのみじん切りとにんにくのすりおろしたものをよく混ぜます。にんにくの量はお好みで加減してください。もう一方のクリームチーズにはアンチョビーを細かくみじん切りにしたものを混ぜます。アンチョビーはちょっぴりの量で充分。塩気も強いのでちょっとずつ加えて味加減を見ながら混ぜてください。これをバゲットやラスクにつけていただくと、ワインのすすむこと、バゲットのすすむこと…。 サワークリームに明太子をほぐして混ぜただけのものもディップにとてもよく合います。淡いピンク色もきれい。 サワークリームにオニオンスープのパウダーを混ぜたものも美味。でもこれは絶対誰にも何が使われているかわからないのがおもしろい。 本格的な夏がやってくる前の快適なこの季節に、どうぞたまにはこんな簡単なおつまみで時間を節約して、優雅な夕暮れのひと時をお過ごしくださいね。

未分類

アートサロン「19世紀の画家という職業・後編」ご報告 2015年4月18日

2015年5月5日 火曜日

今回は後編。アカデミズム絵画が忽然と消えてしまったその訳は? まずはアカデミズムのシステムについてのおさらい。 1665年にルイ14世がAcadémie Royale(アカデミー・ロワイヤル:王立アカデミー)を創設。デッサン力を最重要視した教育の中で、Prix de Rome(ローマ賞)というコンクールも作られました。これは1968年まで続きますが、この賞に輝いた画家の中で後世まで名をはせたのはIngres(アングル)だけ。フランス革命後も、ナポレオンによってAcadémie des Beaux Arts (アカデミー・デ・ボ・ザール)が設立され、このアカデミズムのシステムは継承されていきます。アカデミズム芸術では高度なデッサン力と構図力でギリシャ・ローマ風の美が追及されました。ナポレオンの時代には、政治的なプロパガンダのツールとしても利用されましたが。パトロンの発注によって絵を描いていた画家たちは、描く絵画によって階層分けされていきます。「売れっ子画家」になるための門戸も依然として狭いものでした。 1-1850-Prix de Rome-Bouguereau-Zenobia_Found_by_Shepherds_on_the_Banks_of_the_Araxes William Bouguereau :Zénobie retrouvée par les bergers sur les bords de l’Araxe , 1850 (Prix de Rome で一位を獲得した作品。あらゆる線が内側にうなだれたカーブを描いて悲しみを強調。杖の曲線もそのひとつ。)

そんな美術界に変化をもたらしたのはインクとリトグラフ(石版印刷)の出現です。印刷技術の発達のおかげで、当時台頭してきたブルジョワジーたちが絵画市場の一大顧客となっていきます。キャンバスやチューブ入りの絵の具も出回るようになると、製作される絵画の数も膨大になりました。 13 A-Litho (リトグラフの出現:大量の印刷が可能になり、一般市民にも手が届くようになる。)

レンタル絵画というのもこの時期に出現しています。かつての王侯貴族にかわって、ブルジョワや一般市民が買い手となったこの時期から画商が現れます。同時に批評家という職業も生まれます。彼らは展覧会などを多く開き、新しい視点から人々に絵画を紹介するようになりました。アンチ・アカデミズムの作品がもてはやされ始めます。今や画商や批評家の後ろ盾がなければ有名にはなれないという新しいシステムの前に、古典的なアカデミズムは次第に忘れ去られていきました。アカデミズムの多くの作品はアメリカへと渡って行き、かろうじて消滅の危機を逃れています。美術館からも美術書からも姿を消してしまったアカデミズムの絵画たちですが、その絵画の高い完成度や美しさを目にする機会に恵まれた今回のアートサロンで、アカデミズム絵画がまた見直される日があるかもしれないという思いを強くいたしました。この後は皆様にもサロンの時と同じようにアカデミズムの絵画をじっくり味わっていただきたいと思います。残念ながらここに載せられる数はほんのごく一部になってしまいますが、どうぞお楽しみください。アカデミズム絵画をみるとき知っておきたいのがジャンルの階層です。 絵画のジャンルのヒエラルキー: 絵画のテーマによって階級分けされていました。 1)歴史をテーマにした絵画:中でもAllégorique ―寓意的なテーマが最上位。その下に歴史、戦争などのテーマが並ぶ。 2)肖像画 3)風景画:その中でも海をテーマにしたものは格が上になる 4)動物画 5)静物画

 

1-1881-L'Aube

William Bouguereau :   L’aube , 1881 (夜明けの光を表す女性の優美なポーズ: 寓意画)

2-1882-Humeur nocturne

William Bouguereau : Humeur nocturne,  1882 (こちらは夜の闇をまとった女性像。ドガはこのブグローの絵画からbouguereauterという動詞を作った。「ブグローのような冷たい絵画を描く」という意味:寓意画)

16-Couture

Thomas Couture : Décadence de Rome , 1847 (典型的な triangle académique。三角形の構図はアカデミズム絵画の特徴。中央の彫像を頂点として左右対称の構図になっている。群像の頂点へと向かう曲線、直線にも注目:歴史画)

 

4-1863-Cabanel-Naissance de Venus

Alexandre Cabanel: La naissance de Vénus, 1863 (この絵はナポレオン3世によって買い上げられた。)

 

5-1865-Cabanel-Napo III

Alexandre Cabanel : Portrait de Napoléon Ⅲ, 1865 (同画家によるナポレオン3世の肖像画。)

 

5-1894- Rochegrosse-ChevalierFleurs

Jeorges-Antoine Rochegrosse :  Le chevalier aux fleurs, 1894 (ダニエルお気に入りの一枚。騎士の鎧の胸に風景が映っているのもおもしろい。)

 

1-1859-Troyon

Constant Troyon :  En route pour le marché , 1859 (戸外の光と羊を連れて市場へと赴く農民の姿。テーマは日常生活へと移っていく。)

 

2-1864-Tissot-Japonaise

James Tissot :  Japonaise au bain, 1864 (どうみても日本人ではないが、日本のものと思われる(?)品々に囲まれた女性像。後の印象派画家たちに与えた浮世絵の影響がここでも垣間見える。)

 

 

P4181541  conference

アートサロン, カルチャー講座, フランス語