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<フランスかぶれ>と<Tatamisé (タタミゼ)>

2012年10月16日 火曜日

先日の料理教室での参加者の方々の会話:
「私、フランスかぶれなんです。」
「あ~ら、私なんてかぶれすぎてジンマシンになっちゃうくらいよ。」
本当にフランス大好き人間を自称する日本人は結構多いかもしれません。
どうしてでしょう?


料理レッスンでうかがったマダムのリビングの窓際に、大きな絵が2枚イーゼルに立て掛けて飾ってありました。どちらも海と船が描かれています。マダムの話ではどちらもご主人様からのプレゼントだそうです。1枚は、彼女の30歳の誕生日に、もう1枚は息子さんが生まれたときに、いただいたものだとか。


日本では妻が夫に服やバッグをおねだりする話はよく聞きますが、誕生日に絵のプレゼントをお願いする人はどれくらいいるでしょう???

私の日本語レッスンの生徒で、「クーちゃん」というフランス人の女の子がいました。<小悪魔的妖精>そのもので、10歳にしてすでに美しく、おしゃれが大好きで、心優しく、しかし自己主張は半端じゃなく… 10年後のマドモワゼルの姿が目に浮かぶ…
そのころ、私の学校の部屋という部屋にSoizickという女性の作品の絵が飾ってありました。商品として展示してあったのですが、クーちゃんはその中のひとつがとても気に入って、ママにおねだりしました。するとママは言いました。「OK。じゃ、これはあなたのクリスマスプレゼントに買いましょう。」クーちゃんは目をキラキラさせて答えました。
「ママン、メルシー!」

クリスマスプレゼントに両親から絵をもらってキラキラと目を輝かせる日本の子どもはどれくらいいるでしょう???

フランス人には小さいときから、こうした美意識が備わっていて、アートが生活の一部になっているんですね。やっぱりすごいことです。<フランスかぶれ>にもなってしまいます。

ところでフランスには、<tatamisé タタミゼ>という人たちがいます。あの和室の「たたみ」が語源で、日本の文化をこよなく愛している人のことですが、早い話が<日本かぶれ>です。ちょっと前までは、禅、茶道、生け花、文学、美術といった伝統的な日本文化に心酔する人たちをこう呼んだようですが、最近の<タタミゼ>を自称するフランス人のブログなど見ると、京都などの他、村上春樹とか、マンガ、コスプレといった言葉が踊っています。<Tatamisés : fous de Japon>(タタミゼ:日本きちがい)とブログのタイトルにありますから、<France-Kabure : fous de France> でおあいこですね。

日本人がボンヤリしているうちに、日本文化もすごいことになっているみたいです。

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